夜、寝ている僕は、何者かに襲われた、僕を夜襲する?有り得ないだろうに。
「お前は何者だ?」
問い掛けをスルーし、問答無用って感じで、黒い女が僕を襲ってきた。闇属性の攻撃…効きませんが…何か?
「ふ~ん、単なる影だと思っていたけど、胸が揉めるんだね♪」
黒い女の懐に入り込み、胸を揉みながら押し倒した。
「やめろ~!」
叫ぶ女。
「ここは、どうなっているんだ?」
股間に手を伸ばした。ふむ、人間と同じなのか。では♪
「やめろ~!汚らわしい~」
闇属性の黒い女に言われたく無い。
「なんで…心臓が無いの~」
黒い女が僕に何かをしたのだが、僕に恐怖を感じ、女の声が震えている。
「戦闘特化生物なんでね、戦うことと、女体とヤルこと以外に、することが無いから、そういう面倒な臓器は無いんだよ♪」
形勢逆転したようだ。そうか、心臓にダイレクトに攻撃かぁ。それは即死クラスの攻撃だわな。
「やめてください…」
もう、入っていますが…う~ん、淡泊だな。そんなに気持ち良く無い。単なる筒のような感触である。そこまではコピーしていないのか。手抜きだな。
「じゃ、上の口で奉仕してくれる?」
「イヤです…ごめんなさい…」
黒い涙が零れるように見える女。だけど、涙は床に滴下はしていない。コイツ思念波か?
「僕の奴隷になれよ~♪」
「なれません」
問答無用に、魔具である『奴隷の首輪』を、女の首に嵌めた。
「ふふふ、どう?性の奴隷になった気分は…」
って、女は霧散するように消えた。床には首輪だけが残っている。う~ん、実体に嵌めないと効果は無いようだ。
◇
「兄さん、襲われたんですか?物好きがいるんですね~」
って、ヤマト。
「たぶん、あれが『死に戻り』の原因だろうな。心臓を撫でようとしていたから」
闇属性の者で無くても、心臓をダイレクトに触れば、大抵死んでしまうだろう。
「正体は何者ですか?」
「記憶が読み取れなかったよ。思念波に近いのかな。伝わって来たのは、ナツキ・スバルと一緒になりたいって、願望だけだよ」
スバルの魂は僕が預かっている。だから、僕をスバルと誤認させられたんだろうけど。どうするかな…情報が足り無すぎる。そもそも、一緒になりたいのであれば、何故殺すのかが疑問である。霊体、もしくは魂でないといられない場所にいるのか?となると、『死に戻り』をさせている人物とは別の可能性があるなぁ。戻ることで、生き返る訳だし。う~ん…奥が深い事案だ。
「そうだ。魔女教の司祭は見付かったか?」
あのオカッパは苦手である。
「まだです。見付かり次第、掃除しますよ」
ヤマト共に闇の世界でのミーティングを終えて、地上へ戻ってきた。
◇
食事の後、屋敷内の探険に…ドアを開けると書庫に出た。金髪でドリルツインロールの少女が、僕の前に立ちはだかった。
「あんた、誰?」
「ベアトリス…契約をしたい。あぁ、お前には拒否権は無い」
速効で、僕の仲間のベアトリスと、同化吸収させた。
「久しぶりだなんて、思わないわよ」
って、僕に抱きつき、肩車を強請る少女。彼女の希望を叶えて上げた。
「取り敢えず、この世界の書庫の本のチェックを頼む」
「アンタの願いなんて、叶えてあげないかしら」
嬉しそうに、僕の頭をペシペシ叩いている、ツンデレ妖精のベアトリス様♪
◇
次に村へ…村人達の要望を、老若男女を問わずに、一人ずつ訊いて廻る。直ぐに叶えられそうな物は、叶えていく。難しい物はエミリア達と相談だな。
屋敷に帰ると、お客さんが来ていた。
「スバル…会いたかった♪」
僕が目に入ると、僕に駆け寄り抱きついて来たお客様。
「クルシュ…どうしたんだ?まだ1ヶ月も経っていないぞ」
「会いたかった…3日くらいが限界…」
それは短すぎるだろ?せめて、1週間は保って欲しいなぁ。
「フェリス、お前、止めろよ!」
「僕も会いたかったんだよ~」
お前もかよ~。じゃ、しょうがないか。
「会ったから、もういいか?」
クルシュが強く抱き締めてきた。帰りたくないオーラが滲み出て来ている。しばらくさせたいようにさせて、落ち着いた処で、用件を訊いた。
「エミリア様に、私の想いを譲りたい」
「え?私にですか?」
驚いたような表情で、クルシュを見つめるエミリア。
「もし、私が王になったら、エミリア様に代理執行をしてもらいたい」
「どうしてですか…」
「スバルに言われたの。私のしたいことと、エミリア様のしたいことは相反しないと。だから、私のしたいことを、エミリア様に託したい」
それって…そういうことか?フェリスを見ると、Vサインをしてきた。
「スバル…私は、どうすれば良いの?」
「エミリア様のしたいように…って、無責任か。是非、クルシュの申し出を受けて貰えませんか?僕の任務は、王選が終わるまで、エミリア様の騎士でいることです。終われば、国へ帰還しないと行けないのです。その時、クルシュとフェリスが同行したいと申し出ているのです」
「そうなんだ…でも、私、王になれるか、わからないよ。銀髪のハーフエルフだし…」
「だから、クルシュが王になったら、代理で執行して欲しいんだよ。その時、エミリアのしたいこともすれば良い」
「なんか、後ろめたいけど…」
困ったような表情を浮かべるエミリア。
「気にしちゃダメだよ♪」
「スバルったら…」
問題は、王選までクルシュをどうするかだ。3日で禁断症状か…これは予想外である。いや、重症と言うか。今まで自分を押し殺して来たツケが廻ってきたか?
「クルシュは、領地を留守にしていて、大丈夫なのか?」
「大丈夫では無いけど…家臣達に後押しされて…」
真っ赤な顔で俯いたクルシュ。家臣達にもわかる位、禁断症状が出たのか…王選どころでは無い状況か…
「じゃ、3日に一度会いに行く。それで、いいか?」
「いいの?ねぇ…」
目を見開いて僕を見つめるクルシュ。
「転移術がある。ただ、お泊まりはダメかも…」
「兄さん、お泊まりでも良いですよ。僕が代わりにエミリア様を護りますから♪」
って、ヤマト…
「え?スバルの弟さん?」
ヤマトに驚くクルシュ。弟なんかいないんだけど…。
「初めまして、ナツキ・ヤマトと申します。兄がお世話になっております」
僕よりも常識人に見えるヤマト。ズルい…闇属性は僕よりも濃いのに。
「そうか…弟さんがいるのか…」
フェリスが獲物を狙う目付きになっている。
「フェリス、ヤマトにはいるぞ」
「え?もういるの…じゃ、スバルきゅん一筋だな♪」
男に惚れられてもなぁ…あっ!そうか…
「フェリス、連れ帰る時に、お前を女にしていいか?」
目が点になるヤマト以外の者達…
「お、お、女に…なれるの?」
「あぁ、TS術をマスターしているから♪」
「いや、僕は男としての誇りが…尊厳が…」
有る訳ないだろ?見た目、超かわいい娘なのに…男装の麗人のクルシュを見習えよ!
「そうか、イヤならいい。忘れてくれ」
「ちょっと、結論が早過ぎるよ~、スバルきゅんの意地悪♪」
こいつ、エムなのか?う~ん…男のエムは苦手だぞ。
「スバルきゅんの帰る時までに、考えておくから。勝手に結論を出さないでよ~」
「あの~!」
ラムが声を上げた。これは、珍しい…
「お帰りになるとき、私を専属メイドとして、お連れ下さい!」
僕に頭を下げたラム。レムも便乗するかの如く頭を下げて来た。
「なんか、私だけ留守番みたいな…う~ん…」
エミリアが悩み始めた。お前が王になるんだろ?おいおい…
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今夜は屋敷に泊まり、明日帰ることになったクルシュ一行。
「ロズワール卿が、ご乱心なんですか?」
姿を見せる主は、精神疾患で、療養中ってことにした。まさか、両腕を切り落として、闇の世界に幽閉とは言えないし。
「そういうことだ。で、後盾は…」
言いたくない…代わりに鬼畜が後盾になったなんて。
「兄が言いにくそうなので、僕が代わりにお伝えします」
おい!ヤマト…やめろ~!
「エミリア様の後盾は、幽玄龍騎士団の団長が受けてくださいました」
フェリスの顔から、血の気が失せていく。クルシュは、わからないようだ。
「まさか…それって、伝説の騎士団ですよね?実在するんですか?」
ヤマトが頷いた。
「どんな騎士団なの?」
クルシュがフェリスに訊いた。
「噂レベルですが、化け物クラスの騎士揃いの騎士団です」
いや、噂レベルだが、正解だ。
「騎士団の団長は、鬼畜と言われていて、男は皆殺し、女子供は弄んだ上、連れ去るらしいです」
概ね正解だ。噂レベル、恐るべし。
「どうして、そんな者を後ろ盾に?」
そう思うでしょ。僕もそう思う。
「ケンカを売る勢力は、少ない方が良いと思いませんか?」
ヤマトがクルシュに言葉を投げた。
「それはそうですが…」
「まさか…」
フェリスが声を上げた。どうしたんだ?
「スバルきゅん…君のいる騎士団って…」
あっ!そうなるよね…
「フェリス様、正解です♪」
って、ヤマト…
「えっ?スバル…」
エミリアが僕を見つめている。ここまでかな?そんなエミリアの隣に転移陣が現れ、一人の騎士が現れた。
「エミリア様、初めまして。幽玄龍騎士団の小隊長をしておりますファルコンと申します。団長からの言伝です。無駄な殺生はしない。噂を信じないように、だそうです。では、これで失礼します」
ファルコンがフォローを入れて、転移していった。一番騎士らしいファルコンなら、信憑性は高く感じるだろう。
「見守ってくれているんだ…スバル、ありがとう」
何が、ありがとう?何がだ?
◇
夕食後、フェリスの計らいで、ヴィルヘルムさんと手合わせすることに…この人は強い。どうするかな?
「スバル様、この老兵に、本気を見せて下さい」
本気って…死んじゃうよ~。ダメだって、クルシュを護って貰わないといけないんだから。
剣を抜き、斬り掛かってきて。僕は特に避けずに、攻撃を透過していく。
「なんですと…透過能力…」
フェリスが試すように魔法弾を撃ち込んできた。それらは吸収していく。
「スバルきゅん…何で?魔法が効かないの?」
様々な剣技を、僕に叩き込んでいたヴィルヘルムさんは、息が上がってきている。
「もう止めた方が良いですよ」
「スバル様、本気は見せて貰えないのですか?」
「ヴィルヘルム様には死んで欲しく無いのです。わかってください」
しかし、更に剣技を繰り出しているヴィルヘルムさん。このままだと、マズい。しょうが無い。見えないラインをヴィルヘルムさんの身体の内部へ侵入させて、心臓を一時的に止めて、再起動させた。
その場で倒れるヴィルヘルムさん。次はフェリスだな。瞬動術で懐に入り込み、首の頸動脈の血流を一瞬止めた。その場で失禁しながら崩れ落ちるように、意識を飛ばした彼。
「これでいいか?クルシュよ!これ以上は、殺しかねないから。相手を殺さずに戦うって、つらいんだよ」
「スバル…あなたは…」
言葉を飲み込んだクルシュ。エミリアは固まっている。
「じゃ、僕は寝るよ♪」
一人になりたくなった僕は、自分の部屋へ戻った。