部屋で寝ていると、性懲りも無く、あの黒い女がやって来た。
「スバルの魂を返して…」
何故か女は、僕がスバルの魂を、持っていることを知っている。魂に臭いは無いのに、何を目印にしているのだ?
「ダメだ。お前は、スバルを死に戻りとして、生き返らせるんだろ?」
ビンゴだったのか、怯む女。
「なんで、こんなことをする」
話をしている間に、女の本体の居場所を探る。思念波である女。通常、思念による有線でのコントロールのはずである。
「彼に、会いに来て欲しいから…私を彼の手で解放して欲しいから…だから、彼には英雄になって欲しいの」
どこかに囚われているか、たぶん、封印されているんだろな。
「ダメだな。封印されるほどの悪さをしたのであれば、渡せない」
「そう…ならば、死ね!」
僕に襲い掛かってきた女。だけど…ダメージは入らない。闇属性攻撃は、大抵の者は死に至るダメージを負うけど、闇属性の者には空気と一緒、心地良い風程度の感触にしかないらない。
「どうして…どうして、死なないの?」
彼女の闇が僕に触れ、彼女の本体を見つけた。封印の祠みたいな場所にいるようだ。
「見つけたよ。お前の本体の居場所をな♪」
怯む女。その女を抱えて、本体の元へと転移した。僕が転移したことで、女は恐怖の表情を顔に浮かべている。
「どうして、ここに来られるの?瘴気が充満しているのに…」
「特殊体質だからね」
僕はオーラ体であり、生物的な肉体は無い。なので、毒も効果は無い。
「私をどうするの?」
「お前の良心な部分だけ切り離して、生きてみるか?」
「出来るの?」
「わからない。やってみないとね」
目の前の女の成分を分析していく。肉体、精神…うん?二重人格か?人格が二つある。そして魔女因子…これが、悪の権化かな?
精神を、それぞれの人格とリンクされている部分で切り分け、魔女因子を『強奪』し封印して、悪そうな人格に返却した。そして、良さそうな人格と精神だけを取りだし、エミリアの身体をコピーした器を作り、取り出した人格と精神を収めた。そして、彼女の魂の代わりにコピーしたスバルの魂を入れて、器、精神、人格に対して安定させた。
「どうだ?これなら、死に戻りなんか、できないだろ?」
スバルの魂を死なせることは、サテラの死に繋がる。彼女の魂は、スバルのコピーした魂であり、それが死ぬと言うことが、サテラも死に、二度とスバルとは一緒になれないってことだ。次の死に戻りの際、サテラは消える運命である。そもそも死に戻りすら起きない。戻る先は無いから…この方法は、彼女にとって残酷な方法ではあるが、彼女の意志による死に戻り行為は阻止できるだろう。
「かまわない。だって、スバルと一緒にいられる。ずっと…生きている限り…」
執行猶予無しの刑を執行されても、笑顔のサテラ。これで、終わりかな?って、全然、僕は呼び戻されない。う~ん…エミリアの王選まで、ダメなのか?それとも、あのオカッパを倒さないとダメなのか?
もう一人…嫉妬の魔女サテラの方は、このまま封印されていてもらうか。魔女教の信仰対象だし。とは言うものの、魔女因子は封印してあるので、その効力は無いけど。
幸せそうな魔女サテラと二人で、封印の祠から転移した。もう黒い女は出ないはずである。魔女因子は機能しないし。今夜から、ゆっくりと寝られそうだな。
◇
朝、目覚めると、右にクルシュ、左にエミリア、僕の顔を睨むように覗き込んでいるエミリアがいた。あれ?なんで、エミリアが二人?
「ねぇ、スバル!説明してくれる?なんで、私がもう一人いるの?」
はて?錆付いた脳細胞をフル回転させていく。昨晩、なんか、やらかしたか?あぁ、サテラか…魂を見ると、スバルからコピーした魂を、サテラの精神が嬉しそうに抱き締めていた。
「あぁ、この子は、サテラって言うんだよ。エミリアでは無い」
驚いた顔のエミリア。
「サテラって…あの?」
「どの?」
「世界の半分を滅ぼしたという…」
「知らないよ。本人に訊いてね♪」
「で、スバル…あのねぇ…」
恥ずかしそうな顔をするエミリア。
「クルシュ様はわかるんだけど…なんで、その子と…」
交われているのか…かな?
「エミリアはまだ出来る年齢では無いが、彼女は出来る年齢だからだ♪」
いや。器を作るときに、僕とだけ出来るように作ったから、って言えない。
「そうなんだ…羨ましい…」
真っ赤な顔で俯くエミリア…かわいい…やはり、娘枠だな♪