ただそれだけの物語   作:もっち~!

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注意:グロなシーンがあります


呼び出し

朝、目覚めると、両手両足が動かなかった。目の前には、怒ったエミリアの顔が、僕を見つめていた。

 

「おはよう、エミリア…」

 

誰かが腕枕で寝ている予感…エミリアがいるってことは、クルシュとフェリスでは無いってことだよな…あれ?後、誰がいたっけ?

 

頬に当たる誰かの頭が2つ…首が横に向けない。横目で見ると、ピンクの髪の毛と、水色の髪の毛が見えた。なんで、この姉妹がここにいるんだ?太股には柔らかな物を感じる。う~ん、全裸か?

 

「ねぇ、どういうことかな?なんで、レムとラムが全裸で添い寝?」

 

僕の予想通りであるが、何故、こうなったんだ?

 

「どうしてだろうね?」

 

「う~ん…わかったわ!今夜は私が添い寝をします。全裸で…逃げるなよ!スバル!」

 

ご立腹なエミリア。まぁ、どうだろうな。って、エミリアが起きているのに、この姉妹は寝息を立てて安眠中である。二人を起こさないよう、ベッドから抜け出した。そして、『着衣』を発動して服を着た。

 

部屋を出ると、セバス・チャンが待っていた。

 

「主様、おはようございます。お食事の準備は出来ております」

 

「あぁ、おはよう」

 

なるほど…メイドが増えた事で、あの姉妹は寝坊をしても、問題が無いことに気づいたようだ。

 

「エミリア…」

 

僕を睨んでいるエミリア。う~ん、不可抗力だと思います。爆睡タイプの僕は、夜這いをされても気づかないんだもの…

 

エミリアを背中から抱き締めた。

 

「そんなんで、許してあげないよ。私にも優しく接してよね」

 

優しく接しているつもりですが…今夜が恐ろしい…逃げるとマズいかな?

 

食後、姉妹が起きてきた。

 

「エミリア様、申し訳ありません」

 

二人揃って、エミリアに頭を下げる。

 

「大丈夫よ。レムはもういいの?」

 

「はい。スバル様のお陰で、身体が軽いです」

 

「それは良かったわ。スバル、忘れないでよ!」

 

姉妹には優しい声で接するエミリア。僕には怒った声である。理不尽な扱いだ。どうして?

 

『ねぇ、リタイヤしていい?』

 

ヤマトへ念話で訊いてみた。

 

『ダメですよ。そろそろ女心を勉強してくださいね、兄さん♪』

 

って、返答が…男の僕には女心は理解出来ない上、ヤマトの兄では無い。理不尽である…

 

 

しかし、エミリアの思い通りには行かなかった。王城から、招集が掛かったのだ。近況を報告しろってことのようだ。参勤交代みたいなもので、拒否権は王選候補者には一切ない。拒否すれば、脱落決定であるのだった。

 

僕とエミリア、ヤマトとフェルト、付き人として、レムとセバス、遊軍としてルプスレギナを連れ、定宿にしているクルシュの屋敷に転移した。

 

「クルシュ、悪いなぁ。また、厄介になるよ」

 

「問題は無い。いつでも、来てくれていいのだぞ、スバル」

 

皆の目があるので、男装の麗人モードのクルシュ。

 

「エミリアとフェルトは、ここで礼儀作法を学ばして貰え」

 

頷く二人。

 

クルシュは何かを訴えるような目で僕を見ている。う~ん…限界なのか?ヴィルヘルムが苦笑いしているし。

 

「クルシュ…お前の部屋で少し話そうか?」

 

「望むところだ!」

 

男装の麗人の表情がおかしい。もう、限界のようだ。急いで、クルシュの部屋へ向かった。

 

「逢いたかったです」

 

二人きりになると、僕に抱きついてきたクルシュ。軍服を脱ぎ去り、下着姿になっている。

 

「一昨日会ったばかりだろ?」

 

「ですが…」

 

涙目で僕を見つめている。なんで、僕なんかに惚れたんだ?はて?

 

そのまま、ベッドへ向かう僕達。

 

 

翌日、フェリスと二人で情報を収集しに出掛けた。

 

「スバルきゅんとデートみたいだね」

 

僕の腕に抱きついて甘える男の娘。全裸にしなければ、問題は無いかわいい娘である。

 

「変わったことはあったか?」

 

「ないよ。あぁ、クルシュ様が3日に一度じゃ、ダメかもって感じだよ。どうする、スバルきゅん」

 

それは重症である。特に媚薬なんか使った覚えは無い。はて?何故だ?

 

そんな僕達の前に、フルフェイスの兜を被った男が現れた。

 

「スバル・ナツキだな。一緒に来て貰うぞ」

 

って、一方的な言い方だ。既に周囲を囲まれたみたいだし。

 

「お前、誰だ?」

 

「プリシラ様にお仕えするアルデバランだ。ちょっと、顔を貸せ!」

 

「おい!お前ら、失礼だろ?!なんで、こんなにものどかな雰囲気を壊すんだ?!」

 

ご立腹なフェリス。

 

「フェリスか…なんで、お前がコイツと…」

 

「スバルきゅんに、ちょっかいを出すのか?プリシラ様は?」

 

あぁ、プリシラって、僕の好みでは無いんだが…

 

「わかった。フェリス、お前は帰れ!ちょっと、行って来るよ」

 

だけど、僕の腕を更に強く抱き締めるフェリス。

 

「一人で行かせられない。ダメだよ。ねぇ…」

 

「お前には見せたく無いことをしてくる」

 

彼女?いや彼の耳元で囁いた。

 

「余計ダメだよ。お願い…行っちゃダメだよ」

 

僕の本質に気づいているのかもしれない。だから、余計連れて行けないんだよ。フェリスを残して、プリシラの眷属達と共に、プリシラの屋敷へと転移した。

 

 

豊満な身体に、橙色の髪の女が、ソファで寛いでいた。

 

「お前がプリシラか?」

 

「スバル・ナツキ、待っていたわ。君には興味があるのよ。ねぇ、私の陣営に来ない?」

 

「何か、メリットでもあるのか?」

 

「そうねぇ、王になったら、あなたの好きにしていいわよ。この国をね」

 

「ふっ、断る。お前は、僕の好みでは無い」

 

「はぁ?あなたの好みは関係無いのよ。世の中は、私の興味しだいで、どうにでもなるんだからね」

 

「そうか…じゃ、手土産だ受け取れ!」

 

彼女の前に、頂上に兜が載っている挽き肉の山を発現させた。

 

「新鮮な挽き肉だ。それでも食べて、リタイヤしろ!」

 

「どういう意味?」

 

挽き肉の山から何かが落ちてきた。それを見て、固まるプリシラ。フルフェイスの兜が落ちてきたようだ。

 

「お前の従属は、もういない。あぁ、お前の豪運は『強奪』させて貰ったよ。今後、僕達のジャマをしたら、次は君をどうしようかな。なぁ、興味無いか?」

 

挽き肉の山の正体に気づいたプリシラが、嘔吐しだした。顔色も悪そうだ。

 

「まぁ、精々、長生きしろよ。いや、長生き出来るといいな、プリシラよ!」

 

僕は、その場を後にした。そして、フェリスの元へ転移した。

 

 

「ねぇ、スバルきゅん!やらかしていないよね?」

 

涙目で僕を見つめるフェリス。

 

「何をやらかすと言うのだ?僕は浮気はしないよ」

 

「きゃっ!」

 

彼の涙を舐めると、かわいらしい反応をしていた。う~ん、どうして、コイツは女では無いのだ?理不尽だろ?あぁ、プリシラとフェリスの性別を入れ替えるのも悪く無いかな?

 

「スバルきゅん、なんか、悪いことを考えたでしょ?」

 

フェリスが僕の顔を覗き込んでいた。

 

「いや、フェリスを女の子にしようか、どうか…悩んでいたのだが…」

 

「王選が終わるまで、男でいたいんだよ。わがままだけど…お願い…」

 

まぁ、クルシュのナイトだものな。

 

「まぁ、お前が望むなら、それでいいけど…」

 

二人でデートを楽しみ、屋敷へと帰宅。後、アナスタシアをどうにかせんとなぁ。

 

 

王城へ出向いた僕達。僕とエミリア、ヤマトとフェルト、クルシュとフェリス。王城へ着くなり、王選の候補者が4名になったことが告げられた。プリシラが脱落したそうだ。

 

5人の目が僕を注目していた。

 

「スバル…やらかしたの?」

 

心配そうなエミリア。

 

「師匠…何をしたんですか?」

 

師匠になった覚えは無いぞ、フェルト。

 

「密会したのか?」

 

ちょっと不機嫌なクルシュ。

 

「やっちゃったんだね」

 

涙目のフェリス。

 

「兄さんらしい…素早いな」

 

関心しているヤマト。

 

なぜ、僕がやらかした前提なんだ?理不尽だろうが…

 

 

報告会が終わり、帰ろうとすると、呼び止められた。今度は誰だよ?

 

「スバル・ナツキ君、お手合わせを願いたい」

 

って、爽やかそうな顔の男が声を掛けてきた。

 

「誰?」

 

「私はラインハルト・ヴァン・アストレアだ」

 

「誰の騎士だ?」

 

「今朝、プリシラ様に雇われた。君を倒す為にね」

 

あぁ、反撃か?

 

「私闘は禁じられている。無用な戦いはしない」

 

「そうもいかない」

 

剣を手にして構えている。

 

「ヤマト!ガードを頼む」

 

「了解!」

 

エミリア達のことをヤマトにまかせた。

 

「わかった。エミリアの騎士とでは無く、騎士団の団長として受けて立つ」

 

「騎士団の団長?」

 

あれ?知らないのか?ラインハルトが怪訝な表情をした。

 

「まぁ、いいや。ここじゃ、ダメだろ。闘技場でするか?」

 

「いいや、王城で決める。広い場所だと私が不利らしいからな」

 

まぁ、狭い場所は嫌いだよ。剣が使えないから…

 

「わかった。いつでも来い!」

 

「剣を構えろ!」

 

「あれ?僕は剣士では無い。魔法使いだ。剣は使わない」

 

「何?」

 

無詠唱、ノーアクションで『雷撃』を放った。剣を避雷針にして、カミナリが落ち、ラインハルトを感電させた。意識は狩り取られ、その場に崩れるようにして、倒れたラインハルト。

 

「次は、殺す。今回のは警告だ。ジャマをするな」

 

何事も無かったように、その場を立ち去る僕達。

 

 

 

---アナスタシア・ホーシン---

 

プリシラが放った刺客であるラインハルトが、一瞬で倒された。彼は近衛騎士団に所属する『剣聖』 と呼ばれる程の『騎士の中の騎士』と言われる者である。それが、一瞬で倒されたのだった。エミリア陣営、フェルト陣営、クルシュ陣営は、何事も無かったように、この場を後にしたが、あの陣営は、あのスバルという人物の力量を知っていたってことか。

 

「ユリウス、どう思う?」

 

自分の陣営の騎士に訊いた。彼はラインハルトには及ばないが、それなりに優秀な騎士である。

 

「自分の時は、拳一発でした。たぶん、剣も使えるオールマイティな騎士なのかもしれません。しかし、厄介なのは、無詠唱、ノーアクションで魔法が使えることです。精霊の加護を感じませんから、生粋の魔術師だと思います」

 

厄介な敵だ。戦うことになったら、不利である。いや、プリシラは戦って敗れたのかもしれない。眷属を全滅されて、ラインハルトを雇ったって考えるのが良いか。

 

「あやつの所属する騎士団は、わかるか?」

 

「調べてみます」

 

スバル・ナツキ…調べておく必要があるな。

 

 

 

---スバル・ナツキ---

 

予定外の行動で、疲れたので、クルシュとお昼寝…起きると、夕方だった。庭では、ヴィルヘルムがフェルトを鍛えてくれていた。エミリアは、クルシュの家人達から、貴族社会について学んでいた。

 

「悪いな。エミリアとフェルトの面倒まで見て貰って」

 

「いいんだよ。スバルきゅんは気にしないで。クルシュ様の面倒を見て貰っているから、ウィンウィンだよ」

 

って、フェリス。

 

「クルシュ…どうするかな。1日おきは、辛いなぁ」

 

「スバルきゅんに対するクルシュ様の依存度が高くなっているんだよ。でも、1日おきは辛いよね」

 

同居するのが一番であるが…領土が離れているしなぁ。

 

「1日おきにクルシュに来て貰うか…同居するかだな」

 

「同居?どこに?」

 

う~ん…一番安全で、尚且つ俊敏に動ける場所…僕の城か…

 

「僕の城で暮らすか?」

 

「スバルきゅんの城?」

 

フェリスの目が白黒している。

 

「フェリスとクルシュに転移可能なアイテムを渡す。それを使えば、僕の城へは来られる」

 

「どこにあるの?」

 

僕は指を空へ向けた。

 

 

夜寝るときだけ…1日おきに、クルシュとフェリスが来る事になった。彼女達の部屋を用意しておく。彼女達の部屋とリンクした部屋で、僕と一緒でない時は、移動制限がかかるけど、問題は無いだろう。僕に逢うのが目的だし。

 

内覧会では無いが、フェルト、エミリア、クルシュ、フェリスを連れて、お城へ帰還した。

 

「空の上か…雲が眼下に見える…」

 

驚いているフェリス。クルシュは、僕の腕に抱きつき、環境の変化には興味がないようだ。エミリア、フェルトは固まっていた。

 

「スバル…本当に王様だったんだ…」

 

「師匠…浮遊城の王様ってすげぇ~♪」

 

案内出来るのは、彼女達の部屋と僕の部屋、後、食堂程度か。僕の部屋に案内した。窓が無い部屋。三方を本棚で囲み、広めのベッドしかない。いや、机があるのだが、本や書類で埋まっていた。

 

「ここが僕の部屋だよ」

 

フェリスとエミリアは、本棚に喰い付いた。フェルトはベッドに興味を持ち…天蓋付きのベッドで、四方をカーテンで囲めるようになっている。添い寝の相手が直ぐにバレないようにする配慮である。本棚には、色々な並行世界で集めた魔導書が並んでいる。

 

「スゴい…禁書庫にあるような書籍ばかりだわ」

 

って、エミリア。

 

「読めない文字の本ばかりだよ。スバルきゅんは読めるの?」

 

「え??読めないと、置いていても、粗大ゴミだろ?書庫にある中で、読めそうな本しか持ち出していないよ」

 

「書庫があるの?」

 

エミリアが興味を持った。

 

「あるよ。ベア子が司書をしているから、エミリアの屋敷から見たい本は、ベア子の部屋で見られるよ。基本、持ち出し禁止だからね」

 

様々な並行世界で手に入れている書籍類は、この世界にあってはいけない物も多いから、持ち出しは禁止である。

 

「わかった。ベアトリスに頼んでみるわ」

 

「ベア子に訊いた方が、下手に探すより早いぞ」

 

ベア子と知り合いでは無いフェリスとクルシュにだけ、書庫を案内した。

 

「スゴい…無限回廊に本棚が無限にあるみたいだ」

 

無限な広さを持つ書庫。ここを管理するベア子、女神達と僕以外の者が入ると、ほぼ出られないと思う空間である。

 

「無い本が無いように、行く先々で補填をしているんだ」

 

宇宙最大級の書庫だと思う。

 

 

 

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