「魑魅魍魎の主」ぬらりひょん、と。
襲来、未知の黒羽
鵺との戦いー清浄から3年の月日が流れた。僕達奴良組は平穏な毎日を送っていた。僕が三代目を継いで、そして、婚約者も決まった。だけど、僕は人間年齢で18になるまでは学生生活を送ることにした。浮世絵町を1人離れ、今は隣町の駒王町に1人で生活している。
「若ー!学校に行きましょう!早く早く!」
いや、正確には僕の幹部が何人か付いてきた。七分三分の盃を交わした雪女、青田坊、黒田坊、河童、首無は僕の住んでいるマンションと同じマンションで暮らしている。曰く付きの物件らしいが、おじいちゃんが「めんどくせぇから全部屋奴良組が買い取るわ」とか言って結局、奴良組駒王町支部的な扱いになっている。
「今いくよ。青…いや、倉田くんは?」
「風紀委員に呼び出されたとかなんとか…」
青田坊…学校では倉田くんと呼んでいるが、倉田くんは余程のことでもない限りは風紀委員の見回りに駆り出されてる。だから、雪女、及川氷麗が僕、奴良リクオを朝に呼びに来るのは日常茶飯事になっていた。
「じゃあ行こうか、氷麗」
「はい♪リクオ様」
今日もいつも通り日常が終わると思っていた。そう、あの少女に出会うまでは。
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私立駒王学園。その途中の公園で僕は少女に出会った。
「あの、貴方が奴良リクオさんですか?」
振り向いてみると、そこには濡鴉のような黒い長髪の女生徒。制服が違うところを見ると、他校の生徒だろうか?氷麗が出張ってくる前に少し聞いてみる。
「そうですが、貴女は?」
「私は天野夕麻と言います。リクオさんにこれを渡したくて呼び止めました」
渡されたのは一通の手紙。これは何かと聞こうとしたら少女はどこかに消えていた。妖力の欠片も感じなかったから新手の妖怪では無いと思うのだが…。何だか物理的に辺りが寒い。
「リクオ様、早々にその手紙は捨てた方がよろしいかと。これが暗殺予告の可能性も有りますし…」
いや、それは無いだろう。言い表せないが、ピンクの封筒に女性がデコレーションした手紙。恐らくはラブレターの類だ。これで何通目だ?
「氷麗?僕ってそんなにモテる部類の人間に入るのかなあ?」
「一生リクオ様には分からないでしょう。というか、頭脳明晰で運動神経抜群、整った顔立ちをしてらっしゃるのにモテないとか、全国のモテてない人達への挑発と取られますよ?」
頭脳は兎も角、運動と容姿は血筋だからなぁ。何せ4分の1とはいえ大妖怪・ぬらりひょんの血を受け継いでるし、おじいちゃん曰く、本人が若い頃は相当モテてたらしいし。それに、遠野の修行があったからなあ…思い出しただけで寒気がしてきた。
「早く行こう氷麗。学校に遅れるよ」
歩きながら封筒の中身を確認すると案の定、告白の手紙で、先程の公園で夕方5時に待っているとのこと。ただ少し気になるのが、二人きりで返事を聞きたいから一人で来るように指定されたこと。今回もやんわり断ろう。相手の娘には悪いと思うけど、婚約者が怒りそうだから。
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放課後、僕は氷麗と倉田くんを一足早く家に帰した。ただ、僕はその周辺で異様な気配を感じ取った。妖怪では無い、この力今まで感じたことすらない。陰陽術?いや、花開院さんからはこっちに人を派遣するみたいな言い回しはされてないし、これは陰陽師の力じゃない。
すると、僕の前に今朝の少女が現れた。
「約束通りだね。それで、リクオくん。返事は…」
「ごめん。僕、他の人と付き合ってるんだ」
事実は話した。他の人とは言っても婚約者は氷麗では無い。
「そう、なんだ…。だったらお願い」
すると、少女の背中から黒い翼が開かれる。そして、その少女の言葉を僕は聞き逃さなかった。
ーーー死んでくれる?
太陽が沈むと同時に、僕は何かに腹を貫かれた。
「これで、面倒な
黒い翼の少女はそこまで口にして気がつく。手応えがない、確かに私はそれを貫いた。それなのに、貫かれた張本人は煙のように消えていった。
「夜は、オレの両分だぜ?黒い翼のお嬢さん?」
少女が振り返ると、そこには横に伸びた白い長髪、腰に長い刀を携え、切れ長の赤い瞳が特徴的な青年が立っていた。
「お前、何者!?」
「妖怪任侠一家『奴良組』三代目総大将、ぬらりひょんの孫、奴良リクオ」
リクオがそれだけ言い放つと、リクオの周囲にただならぬ何かが漂い始め、気がつくとそこには、妖怪の群れだろう集団が集まっていた。
「さっきのヒョロいのと同一人物!?バカな、神器を使わないでその強さなんて聞いてないわよ!?」
「同一人物だよ、一応な。さっきからセイクリッドなんちゃらとかうるせえが、お前の目的は何だ?オレの島を荒らすってなら、容赦なく斬り捨てるぜ?」
リクオは腰に携えた長ドス「妖刀・祢々切丸」を抜き放つ。
すると、赤い幾何学的な紋様の何かが両者の間に現れる。
「グレモリーの紋章…、今日はこの辺にしておいてやるわ。次は、殺す!」
「はっ、出来るならな」
黒い翼の少女は鴉天狗顔負けのスピードでどこかに消えた。そして、赤い紋章、確か知り合いの陰陽師が魔法陣と言っていたそれから赤い長髪の、自分より少し年上だろう少女が現れる。
「堕天使の気配を感じて来てみれば、あなた達は何者?私の監視下の土地で何をしてたのかしら?」
「お前こそ何者だ。名乗らせたいならまずは自分から名乗れと教わらなかったか?」
リクオは刀の切っ先を赤い長髪の少女に向ける。
「そうね。私はリアス・グレモリー。この町、駒王町を任されてる悪魔よ」
リアス・グレモリー…?確か二大お姉様の1人の名前がそうじゃなかったか?情報ソースは昼のオレだが。
「奴良組三代目総大将、奴良リクオ。妖怪と人間のクォーターだ」
「妖怪と人間のクォーター…なるほど、それで狙われた訳ね」
「それで、リアス・グレモリー。お前、あの堕天使とかいうのが言っていた神器の事を知ってる風だな」
「そうね、その話は明日学校でしましょう?1年後輩の奴良リクオくん?」
「そうだな、とりあえず家に帰るか。野郎共、行くぞ」
リクオが一声かけただけで周囲の妙な気配が無くなっていた。
自宅に戻ったリクオは鴉天狗を呼び寄せた。自宅に帰った時には昼の姿に戻っていた。
「お呼びですか、三代目総大将」
「あの、堕天使?とか言うやつの気配は覚えてる?」
「はい、あの様な力は出会ったことすらないので。例によって、家の三羽鴉を飛ばせます」
「よろしく頼む、鴉天狗」
妖怪、悪魔、堕天使。人ならざる三種族が交錯する時、物語は始まる。
おおまか設定
・ハイスクールD×D舞台の駒王町は東京郊外のどこか。土地的に奴良組の傘下。
・時系列は「清浄」が終わって3年後。リクオは現在駒王学園の2年生で婚約者がいる。
・リクオの得物は「妖刀・祢々切丸」。夜の姿になると勝手に現れる。
・本人は気がついてないが、四分の三の人間の血が混ざってる為に神器が宿っている。
・リクオの現在の幹部は雪女、青田坊、黒田坊、河童、首無、そしてハイスクールD×Dから二名ほどいる。
・リクオの婚約者は人間(もうバレてる気がしてならない)。