天・地・冥を統べる主となれ   作:ネヘモス

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文字通りのタイトル。読んで字のごとく。


堕ちた天使は赤い竜の逆鱗に触れる

「ダメよ」

 

「何故ですか部長。何でアーシアを助けに行ってはダメなんですか!?」

 

「落ち着いて、今あそこは奴良組がことを片付けようとしている。私ではどうにもならないわ」

 

イッセーは焦っていた。また、自分が誰一人として助けられないのを見て見ぬふりはできなかった。

 

「少し、頭を冷やしてきます」

 

まだ昼休みだったのにも関わらず、イッセーはそのまま学校を飛び出した。

リアスは夜リクオ(性格が違いすぎて混同するため)が言っていたことを思い出す。

 

『赤龍帝の篭手はもうすぐ目覚める。でも、切っ掛けを作れるかは、アイツ次第だ』

 

赤龍帝の篭手ー持ち主の力を10秒ごとに2倍にし、それを無限にまで引き上げて、一時的に神をも滅する力を宿す神滅具。

彼を悪魔にしたのはただの気まぐれだったのか。偶然だったにしては面白い偶然だ。いや、これは最早、

 

「運命、なのかしら…」

 

あのシスターの事など放っておきたい。だけど、そんな事したらイッセーは悲しむ。私は、あの場所に手を出せない私は、彼にどうしたら…。

 

「部長、あの堕天使の件ですが…」

 

話しかけてきたのは、自分の戦車の小猫。確か彼女は奴良組の斥候だったはず。

 

「今夜、あの廃教会にリクオ様の百鬼が襲撃をかけます。そして、その中には私も含まれます」

 

「何ですって!?」

 

「部長には悪いとは思ってます。でも、あの堕天使はイッセー先輩を殺し、リクオ様を手に掛けた」

 

そう、小猫は小猫で考えていた。自分が管理している領域で起こってる不祥事を他の勢力が解決する。どんな種族でもそれは歯痒いことなのだ。

 

「私は、リクオ様と七分三分の盃、親分子分の盃を交わしてきました。そして、リクオ様は今回に限り、私達グレモリーが関わることを許可して下さりました」

 

「はあ、これじゃ私、あなたの王失格ね」

 

「それでも、私は部長の優しいところは嫌いじゃないです。王は王らしく、堂々としていればいいです」

 

王は王らしく、か。自分の部下にそんな事言われるなんて、グレモリーの名前が泣いてしまうわね。

そう、「グレモリー」の名前が…。

 

「それが出来るのはいつまでなのかしら…」

 

リアスは黄昏ることしか出来ない。グレモリーの血が流れてる限り運命は変えられないと。

リアスはこの時気がついてなかった。その腐った運命を変える人物に2人も出会っているという事実に。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

イッセーは学校を出て、しばらくその辺の公園の散策をしていた。

 

「痛いよー」

 

子供の泣き声が聞こえる。そして、

 

「男の子が泣いちゃダメですよ。待ってて」

 

聞き覚えのある声。声の方を振り向くと、忘れもしない、金色の髪にエメラルドの瞳のシスター、アーシア・アルジェントが子供の手当てをしていた。彼女の手から緑の光が溢れてる。あれは、回復の神器?

そして、数秒ほどで子供の傷は完治していた。

 

「言ってること分からないけどお姉ちゃん、ありがとう!」

 

子供はそれだけ言うと走り去っていった。

 

「優しいんだな、アーシアは」

 

「イッセーさん!?無事だったのですね!」

 

「ゴメンな、あの時助けてあげられなくて」

 

「いえ、それがあの後、長い白髪の男の人が現れて、その後何でか気がついたら教会で…」

 

無理もない。本人はその時気絶していたのだから。

 

「それで、今日は外に出てもいいと許可が出たのですが、行く宛もなくて…」

 

そうか、アーシアは教会から出た事がないのかな?

 

「なら、今日は俺と遊ぼう。代金は俺が全部持つからさ!」

 

「いいんですか!?ああ、主よ。この素敵な出会いに感謝を…」

 

アーシアが祈り始めたので(悪魔なので)物凄い頭痛がしてきた。その後、遊園地に行ったり、ファストフードで食事をしたり、そして、夕暮れ俺はあの公園に来ていた。

 

そして、俺は忘れもしない女と再会を果たすことになる。

 

「アーシア、ここにいたの?そろそろ戻りなさいって、あら?もしかして、私が殺したイッセーくん?」

 

「天野…夕麻…!」

 

「私はそんなダサい名前じゃない、偉大なる『神の子を見張る者(グリゴリ)』の支配者、アザゼル様の右腕になる堕天使、レイナーレよ!覚えておきなさい、下っ端悪魔のイッセーくん!!」

 

『Boost!』

 

相手が長ったるい自己紹介をしてくれたので、倍加の能力が一段階上がる。

 

「たかだか龍の手で私に勝つ気?死ぬだけよ!!」

 

堕天使ーレイナーレが無数の光の槍を放とうとしたその時。

 

「やめてください!大人しく、教会に戻りますから…イッセーさんを殺さないでください!!」

 

「そう、いい子ねアーシア。イッセーくん?今回は見逃すけど、次はない。覚えておきなさい」

 

レイナーレとアーシアは堕天使の魔法陣で消え去った。

 

『宿主、それでいい。怒りが俺の力を呼び覚ます』

 

そして、イッセーの左腕が目にわかるように変化した。手の甲に緑の宝玉、龍の手よりもトゲトゲしいフォルムの腕は、最早龍の手の見た目を逸脱していた。

 

「これが『赤龍帝の篭手』か…」

 

「イッセー先輩!」

 

「イッセーくん!」

 

すると、背後から木場と小猫ちゃんの声が聞こえた。

 

「何の用だ?」

 

「僕は部長から伝言を1つ。イッセーくん、キミは兵士をチェスにおいて一番弱い駒だと誤解している。兵士には昇格(プロモーション)という自分が敵陣に乗り込んだ時に他の駒の特性を引き出す性質がある。これの意味が分かるかい?」

 

「私はリクオ様から伝言を。今夜奴良組はあの廃教会に総攻撃を仕掛けます。そして、この総攻撃には私も参加します。なので今回に限り、グレモリー眷属も総攻撃に加わる事が可能です」

 

「それってつまり…」

 

2人の話を纏めると、部長(自分の王)が教会を敵陣として認めた。つまり、悪魔の駒の兵士の本領である「昇格」が使うことが出来るということ。そして、本来なら手を出すことすら出来ない奴良組の出入りに参加を許されたという事だ。

ちなみに、部長と朱乃先輩は野暮用があるとかで席を外したらしい。

 

「出入りの決行は今日の子の刻、12時です」

 

「わかった。ありがとうな、木場、小猫ちゃん」

 

イッセーは今度こそ守ってみせると心の中で誓いを立てて決行の時を待つ。

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奴良組地下修練場。リクオは自分の神器にとある違和感を覚えたので、とある実験をしていた。

 

「氷麗、黒!畏れを解き放て!!」

 

「「はい!リクオ様!」」

 

鵺切丸・心打を構えた状態で鬼纏(まとい)を使った時に、奇妙な違和感を覚えたのだ。それは、黒田坊を鬼纏った時に、自分の人間の部分に変な空白を感じたことが切っ掛けだった。もしやと思い、この無茶を発動した途端、信じられないことが起こった。

この場には牛鬼も呼んでいる。そして、それは起こってしまった。

 

「牛鬼…、これは、何が起きてるんだ?」

 

畏襲(かさね)の状態の服装は黒田坊と同じ。だが、その服の色は雪女の着物の色に雪の紋様を描いている。そして、黒田坊の畏れである無数の暗器に雪女の畏れの冷気が宿っている。

 

「鬼纏が、進化したとでも言うのか!?」

 

牛鬼にも想定外の事態だった。二代目の鯉伴ですらそんな事は出来なかった。まさか、四分の三の人間の部分に別々の畏れを憑依させた?それしか考えられない。あるいは、

 

「リクオ様の刀が、それを成してる?」

 

謎多き、リクオの神器。その真価が今夜明らかになる事を、この時は誰も予想してなかった。




・鬼纏・雪ノ下闇黒武装(ゆきのしたあんこくぶそう)
鵺切丸・心打を構えた状態で発現した前代未聞の鬼纏。黒田坊の無数の暗器に雪女の冷気が篭っている。

・鬼纏・闇黒武装
黒田坊との鬼纏。公式に名前が無かったので命名。


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