弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある?   作:へたペン

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ピラフ大王とドラゴンボールを奪い合う話。


其之九『激突ピラフ大王』

「お前ら! 人が折角忠告してやったのに無視しおってからに。もう許さんぞ!」

 ガスから逃げ一度外に飛び出すと空からマイク越しの声が響き渡る。

 降って来たのは三種類の戦闘機械。

 

 

「このピラフマシンはとんでもないパワーなのだぞ!! 大人しくドラゴンボールを渡さなかった事を後悔させてやる!」

 

 

 足が長い物、大柄な物、小柄な物、それぞれが合体し一つの戦闘機械となる。

 相手は戦闘機械だから戦闘力は計れないからまずは様子見にエネルギー波を撃つと、ピラフマシンはそれをアームで弾く。

 自慢するだけあって簡単には倒せそうになさそうだ。

 

「撃ち出せマイ!」

「はっ! ピラフ様!」

 

 そして左アームの関節部が逆に折れ曲がり中から銃身が飛び出す。

 そこから私目掛けて雨あられのように放たれた。

 威力がわからない以上生身で防ぐのは不味いと判断。

 銃身の向きから弾を予測して直撃しないようにとにかく走り続ける。

 

「ひっ、ひぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

「危ない!!」

 

 ヤムチャはブルマを抱き抱えて建物に隠れ、ウーロンとプーアルも後に続いて飛び込む。

 

「ロン毛、そのまま役立たず共の面倒を見ていろ!!」

「キャロット! 悟空! お前達も早く逃げろ! 相手はガトリングを持ってるんだぞ!?」

「必要ない! 行くぞカカロット!」

「へへ、そうこなくっちゃ! 伸びろ如意棒!!」

 

 カカロットが如意棒を伸ばしてガトリングとやらを撃ち続けるピラフマシンの左アームを押し出すように弾き、銃口が私からそれる。

 その隙に私は右手にエネルギーを溜めながら一気に距離を詰め、迎撃に振り回される右アームを足場に全力のエネルギー波を至近距離から人の姿が見える胴体のキャノピー目掛けて撃ち込む。

 

 キャノピーは焦げ目と僅かな亀裂が入るだけでパイロットには届いていない。

 至近距離からの大技が決め手にならないとなると、締めはカカロットに任せるか長期戦に持ち込むしかないか。

 

 

「ひぃっ! ピラフ様!」

「落ち着けマイ! 主砲だ! 主砲で迎撃しろ!」

 

 

 足場にしたアームが振り回される前に離脱しようとすると、ピラフマシンの胴体につけられた二門の砲門が開き、私目掛けてビーム砲が放たれた。

 回避は間に合わないから防ぐしかないと腕で防ぐが、勢いに負け吹き飛ばされピラフ城の壁に叩きつけられる。

 

 

 

 衝撃で一瞬息が詰まる。

 

 

 

「姉ちゃん!」

「背後を取ったなら攻撃しろカカロットっ!」

「ふっふっふ、背後にも武装があるんだなこれが! シュウ! 火炎放射だ!!」

「了解!!」

 

 私の方を向きカカロットに背を向けていたピラフマシンだが、下半身の後ろには尻尾のような機関が取り付けられており、その先から炎を出してカカロットを近付かせないように牽制し出した。

 

 その間にピラフマシンが両方のアームでがっしりと私を掴み、カカロットの方を振り向く。

 アームは頑丈で握力も強く振りほどこうと力を入れてもうんともすんとも言わない。

 そんな抵抗する私の姿にアームの力はさらに強まりメキメキと骨がきしむ音がした。

 

 

「姉ちゃんと今言ったな。ふはははははは、このまま姉を握りつぶされたくなければ最後のドラゴンボールを素直に渡すんだな! お前らの内の誰かが持っていることはわかっているんだぞ? さあどいつが持っている!!」

 

 

 どうやら私をダシにドラゴンボールのありかを聞き出そうとしているようだ。

 一人ずつ殺して調べていかないのはドラゴンボールの正確な位置はわからないのだろうか。

 何を考えているのかはわからないがドラゴンボールを渡したからといって見逃してくれるとは到底思えない。

 

「カカロットっ……。言う事を聞くなっ……!!」

「お前は黙っていろ! マイ! もっとアームの力を強めてやれ!!」

 

 

 アームの力がさらに強まりバキバキとどこかの骨が折れた。

 おそらく左腕と、脇腹だろうか。

 

 

「ピ、ピラフ様。も、もう少しアームを緩めた方がよろしいのではないでしょうか?」

「この子死んじゃいますよ?」

「しかしだな。あの壁を壊す化物だぞこいつらは。しっかり拘束しておかんと不安でたまらん」

「姉ちゃんを放せ! 爺ちゃんの形見は渡すから! 姉ちゃんを殺すな!!」

 

 

 姉でありながらカカロットの荷物になるとは情けない。

 こんな戦闘力の低い奴等に後れを取るなんて情けない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は誇り高きサイヤ人の戦士バーダックの娘で、地球人孫悟飯の孫だ。

 こんなところで終われない。終わらせない。終わらせてたまるか。

 

 

 

 

 

 

 

 まだぎりぎり動く右腕に意識を集中させるエネルギーの刃を作り出す。

 土壇場だが出来た。

 戦闘力の一点集中により作られた短い刃はアームを豆腐のようにたやすく切断する。

 

 

 ピラフ達の驚きの声とカカロットの私を呼ぶ声。

 アームから零れ落ちる私の体が地面にぶつかれば痛みでしばらく動けなくなりまた捕らわれの身、最悪の場合もう捕えておくには危険すぎるとトドメを刺されてしまうだろう。

 

 

 だからそうなる前に決めなければならない、ほんの刹那の最後になる攻撃チャンス。

 

 

 刃を青白いエネルギーに変え、どうせできやしない受け身など一切考えずそれをピラフマシンに投げつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで最後だああああああああああああああっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 地球で学んだ戦闘力圧縮方法と、保育器の中で学習の為に見続けた父バーダックのスピリッツキャノン。

 ただの見様見真似だが私が知る限り最高の二つを合わせたエネルギー波がピラフマシンに直撃し、ピラフマシンを空高く打ち上げ爆発四散させる。

 

 

 地面に激突し激痛に耐えながらも無意識に右手を空に伸ばしていた。

 決して届かない空、孫悟飯と父バーダックの背中は遠い。

 それでもほんの少しだけ近づけた気がして嬉しさに痛みを忘れ頬を緩ます。

 

 私は空を掴もうと伸ばした手をぎゅっと強く握りしめた。

 

 




原作のピラフマシンは出るタイミングが遅すぎただけで、タオパイパイを倒した悟空を僅かながらアームで拘束できるパワーを持っていたり、最初のキックで機体が壊れなかったりと強力な兵器だと思います。
そんなピラフマシンのガトリングとビーム砲は懐かしのゲーム『スパーキング』から。
以上、最初の歴史改変によるまさかのピラフマシン先行登場でした。

ファイナルスピリッツキャノンの台詞がバーダックと被っているのは偶然です。
憧れの父と偶然台詞が一致するのも良いなと叫ばせました。
なおピラフ一味は機体が大破しただけでしっかり生きております。

次回ようやく神龍にお願い事です。

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