弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある?   作:へたペン

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海の珍味を料理する話。


其之十三『海の珍味』

 カメハウスのある小島では修行するには狭すぎると引っ越す事になった。

 人口300人程度の自然あふれる大きな島にボートで移動し、ホイポイカプセルにしたカメハウスを元の家に戻せば引っ越しは完成である。

 拠点をこのように持ち運べるホイポイカプセルは実に便利だ。

 

 今日は身体能力を測るだけとの事なので、私はランチと共に夕食の買い出しをする事にした。

 

「見てキャロット。市場のおすすめですって」

「フグが市場に置いているとは驚いたな。確か珍味書によると一部に毒があり調理するのが難しいようだ」

「あら、そうなの? キャロットが居なかったら私普通に買ってお料理しているところだったわ」

「そいつは危なかったな。だが市場で置いている以上この島ではフグをさばける奴は多い筈。少し鮮度が落ちてしまうが誰かにさばいてもらおう。せっかくの珍味を食べないのは損だ」

 

 魚市場の人間に聞くと目の前で簡単な説明をしながらフグをさばいてくれた。

 せっかくフグが食べられるチャンスなので大量に買っておく。

 

 今日はフグの鍋である『ふぐちり』、『フグの刺身』、『フグの唐揚げ』、『フグ皮の刺身』に鍋にさっと入れた『フグ皮のしゃぶしゃぶ』、締めに鍋を『雑炊』にして食べるとしよう。

 

 

「キャロットはお料理が上手なのね」

「この星の食は素晴らしいからな。私などまだ遊び程度だ。ランチの方が手慣れているだろ」

「そんなことないわ。私フグのことも知らなかったし、キャロットが居てくれてとても助かっているのよ?」

 

 

 二人でテキパキと調理しながらも会話が弾む。

 こうして誰かと料理のことを話すのは初めてでとても新鮮だ。

 

 

 

 

 

「へっくしょん」

「料理中にくしゃみをするなランチ」

「あ? なんだてめぇは!?」

「二重人格だかなんだか知らないが、手伝わないなら大人しく待ってろ。見ての通り料理中だ」

「お、おぅ……待たせてもらうぜ」

 

 

 

 

 どうやらこちらのランチは料理をしないようで、包丁をしばらく見つめた後それを置いてソファーに座る。

 

 

「で、何なんだてめぇは。見たところ刑務所じゃないみてぇだが、ここはどこでオレとはどういう関係だ?」

「関係は知り合ったばかりだから私に聞くな。とりあえず貴様はここに住んでいて私が出す飯を食う。それでいいだろ。邪魔したり残したりしたら承知せんからな」

「なんだよそりゃ。てめぇその年で一人暮らしか?」

「私より小さなガキが二人とエロ爺が居る。エロ爺は撃っても死なないが目障りなら撃っておけ」

「訳わかんねぇが……オレを気にせず料理し続けるガキなんて気に入ったぜ。てめぇオレの子分になるか?」

「私が親分なら考えてやる」

「くっくっく、キモが座ったガキだぜ。それにしても旨そうな匂いだな。唐揚げ一つ貰うぜ」

「つまみ食いは構わんが、食い過ぎて雑炊を食う余裕をなくすなよ。雑炊ありきの鍋だからな」

 

 

 子分になるのはごめんだが、何だかんだでもう一人のランチとも会話は弾んでしまった。

 

 




地元の人にさばいてもらった為、食中毒は避けられました。

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