弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある?   作:へたペン

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修行で得たものの話。


其之十五『修行で得たもの』

 20キロの甲羅を背負いながら初日と同じ特訓を毎日続けさせられている訳だが、ある日ふと思った事がある。

 この星の重力が軽過ぎるせいで想定より戦闘力の伸びが悪いのではないだろうか。

 

 こうして甲羅を背負いながら遠回りな基礎体力作りをしているだけで、徐々にだがスカウターで確認できる私達の戦闘力は上昇していっている。

 もしかすると今まで体に掛かる負荷が少な過ぎたのかもしれない。

 ブルマに宇宙船を直して貰い、一度惑星ベジータに帰還して体を鍛え直すべきだろうか。

 

 いや、惑星ベジータは不味いか。

 侵略者として何の成果もあげられていないので、帰ったら役立たずの烙印を押されてしまう。

 この近くに重力の大きい手軽に行き来できる惑星があれば嬉しいところだ。

 

 

「そういえばキャロットさん。何で悟空の事をカカロットって呼ぶんです?」

「姉が弟を本名で呼んで何が悪い」

「え? じゃあ俺もカカロットって呼んだ方がいいですかね?」

「カカロットって名前よりじっちゃんが付けてくれた悟空って名前の方が好きだ。それによ、クリリンまでそう呼んで来たら、オラ姉ちゃんの名前とこんがらがっちまうよ」

「ははは、カカロットとキャロットって響きが少し似てるもんな」

「貴様は爺様が付けた名を大事にするといい。カカロットという名は私が覚えていれば十分だ」

 

 

 甘いカカロットはサイヤ人の本業である惑星の侵略行為を認めないだろう。

 だから私がもしも任務を達成しても惑星ベジータにカカロットを連れて帰る事は出来ない。

 目の前にいるのは使命を忘れて地球人になってしまった孫悟空なのだ。

 だったらせめて地球人として暮らさせてやるというのが姉の情けというものである。

 

 

「お前、あんまり自分の姉さん困らせるなよ?」

「姉ちゃん困ってるんか?」

「いつも貴様には困らされてばかりだが、貴様はやりたいようにやれ。骨くらいは拾ってやる」

 

 

 私が任務を放棄しない限りどんな形であれ必ずカカロットとの別れは訪れる。

 とうの昔に覚悟していた筈なのに、戦闘力が上がるにつれ地球の支配という目標が僅かながら現実味を増していき、最近その事ばかり考えるようになった。

 カカロットの甘さが移ってしまったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今は余計な事は気にせず、どうすれば亀仙人を超えられるかだけを考えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基本戦闘力が上がったとはいえまだ私の戦闘力50と100には届かない。

 戦闘力を解放した亀仙人を超えるのは程遠い数値だ。

 圧縮で底上げした戦闘力60のスピリッツキャノンを撃っても正面から防ぎきるだろう。

 見様見真似では限度があると数値で思い知らされた。

 

 戦闘力のコントロールに日々意識を向けてきた成果なんて酷いものだ。

 色々試した結果、自分の戦闘力を0近くにまで下げる事が出来た。

 戦闘力を向上させたいのに、なぜ下げる方法を編み出してしまったのだろう。

 

 

 この分だと地球を支配するのは当分先になるなと私の口元が緩む。

 そこでようやく自分が安心してしまっていた事に気付き、私は唇を強く噛み締めた。

 

 




仲間との生活が心地よくて、力による地球支配すらも躊躇い始めたようです。
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