弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある? 作:へたペン
――――――エイジ776――――――
「ナッパ! 貴様どういう食い物かも見きれんのか!? スシに焼き肉のタレを掛ける奴がどこにいやがる!! クソッタレが!!」
「す、すまねぇベジータ。危うく醤油とソースを間違えるところだったぜ」
「あああああああああ!! ラディッツ兄ちゃん、それオラの肉だぞ!! そっちがその気ならオラだって!!」
「カカロット!! 今のは間違えただけだ!! 悪かった!! 取った分は返すから俺の皿から取っていくのは止めろ!!」
「俺たちは生き残ったサイヤ人のわずかな仲間、仲良く食おうぜ、弱虫ラディッツさんよ」
「ターレス、貴様もどさくさに紛れて俺から取るな! まっ、まて―――――っ!!」
「ええい、貴様ら静かに食事も出来んのか!! ん、カカロット。今貴様俺の皿から取りやがったな!? サイヤ人の王子であるこの俺の皿に手を出すとはいい度胸だ。表へ出やがれ!!」
§
トキトキ都で歴史改変以上の大事件、『時の指輪』が増えてしまった事が確認された。
既に存在する世界を改変する歴史改変は『終わりと始まりの書』を使用することで回避できるが、別の時間軸として独立した世界を生む時間移動によるパラレルワールドは一度確立してしまうと『時の指輪』となって残り続けてしまう。
新たに指輪が出来たということは誰かがパラレルワールドを作ってしまったということだ。
その原因を突き止めて抑えなければ鼠算式に平行世界が増えてしまう恐れがある。
時の界王神が『時の指輪』の世界を覗いてみると、最初に目に映ったのはサイヤ人達による食事という名の厨房戦争だった。
次から次へと運び込まれていく食事をサイヤ人達が次から次へと平らげていく。
本来の歴史でもよくみられる光景だが、悟空とベジータの他にも本来死亡する筈のラディッツとナッパ、それに加えてターレスまで仲良く食事をしているのは異様である。
「時の界王神様……これはいったい……」
「見ての通りよ。一見すると平和な世界だけど、何が原因でこんなことになってしまったのか見当もつかないわ。もう少し過去の書を見てみましょう」
状況が理解できないトランクスと同じく時の界王神もこんな歴史の大改変されたケースは初めてだ。
歴史の管理を任されている時の界王神は何としてもこれ以上『時の指輪』を増やさない為に原因の究明を急がなければならないと焦りを感じながら巻物を取り出しては目を通していく。
「待って! この書……歴史の改変が行われようとしているわ!」
「何ですって!? 指輪が生まれた原因も正しい歴史もわからないのに歴史の改変まで発生してしまうだなんて! 一体どうしたら!?」
「暗黒魔界の連中が絡んでいる可能性が出て来たわね。もしかしたらキリを集める為の実験的な世界なのかも……とにかく、どんな改変が行われているか見てみましょう!」
§
―――――エイジ767――――――
「結婚したんですね! ヤムチャさんと」
「ああ。トランクスって言うんだ。可愛いだろ? 本当はギョクロって名前にしたかったんだが、ブルマの奴がどうしてもトランクスが良いって聞かなくてさ」
「はははは、ヤムチャさんすっかり尻に敷かれちゃってますね」
「言うなよクリリン」
「いっ、父ちゃんはベジータじゃないんか!?」
「何で私がベジータと結婚しなちゃいけないのよ。おかしなこと言わないでよね孫君」
「そうだぞ悟空。俺はな、ブルマを守る為に今日まで修行してきたんだ。ブルマの為にって思うとどんどんパワーが沸き上がって、今ならベジータの野郎だってぶっとばしてやれそうだぜ」
「もう、ヤムチャったら。そんなこと言って調子に乗ってるとまた痛い目見るわよ。だけどありがとう。あの時真剣に私と向き合ってくれて嬉しかったわ」
§
「俺えええええええええええええっ! 俺の存在が消えたあああああああああああああああっ!?」
「落ち着いてトランクス! まだ改変は確定されていないわ! 誰かもっと過去の書に行ってヤムチャ君のやる気を削いできて! 平行世界だからこっちの世界に影響ないけれど向うのトランクスが現実を受け入れられずタイムマシーンを必要以上に使ってしまうかもしれないわ!」
慌ただしい中、トランクスの相棒であるタイムパトロールは思う。
一体皆は誰と戦っているんだ、と。
次回続くようでしたらまたキャロット視点の少女期から始まります。
一発ネタの短編集から連載に変わるかどうかはわかりませんので予めご了承ください。