弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある?   作:へたペン

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ブルー将軍と戦う話。


其之二十三『対決ブルー将軍』

「やってくれるじゃない。こんなことしてタダで済むと思っていないでしょうね?」

 周りの男達がブルー将軍と呼んでいたか。

 一番戦闘力の高い男ブルーの手の仕草による指示で男達が動き始める。

 このブルーがこの中のリーダー格である事は間違いないだろう。

 

 指示で動く男たちの動きは一部が私を取り囲むように動き、残りがカカロット達を追おうとしている。

 

「先に仕掛けてきたのは貴様らだろう。ここから先は通行止めだ」

 

 男達の動きを阻害するようにエネルギー波で地面を軽く薙ぎ払い牽制する。

 あまり高威力でやり過ぎると洞窟が崩れてしまいそうなのが実にもどかしいところだ。

 

 

「手からビーム砲!? さては貴女……人造人間ね!! ドクター・ゲロ以外に人造人間を作れる天才が居たなんて、シルバー隊とホワイト隊が全滅させられた訳だわ」

 

 

 ブルーは何かおかしなことを言っている。

 人造人間、人工的に作られた人間……どうやら私のエネルギー波を化学兵器と勘違いしているようだ。

 

 

「生身の体だ。エネルギー波も撃てんとは期待外れだな。世界最悪の軍隊が聞いて呆れる」

「私だけではなくレッドリボン軍まで侮辱するだなんて、そんなに死にたいのかしら」

「降伏するというのなら陸までの送り迎えくらい考えてやってもいいぞ?」

「貴女を殺して、お仲間も殺して、潜水艇を奪った方が効率的でしょう!!」

 

 

 周りの男達は私のエネルギー波に半ば戦意を喪失しかけていたがブルーはそうではないようだ。

 ブルーは構えを取り勢いよく私目掛けて拳を振り抜く。

 

 

「何が効率的だって?」

 

 

 それを僅かに体の軸をずらす事で躱し、膝蹴りを鳩尾に撃ち込み、回し蹴りで蹴り飛ばす。

 地球にしては戦闘力が高い方だがそれでも戦闘力100未満の相手だ。

 触れた相手をニンジンに変えるような初見殺しを持っていない限り私の敵ではない。

 

 ブルーが簡単にやられ周りの男達がうろたえるが、すぐに援護しようと立ち向かってくる。

 見上げた忠誠心だが技量や連携練度があっても一人一人の戦闘力が低すぎだ。

 これが全員ブルーくらいの戦闘力があったならまた結果は違ってきたのだろうが、私は次々に襲い掛かって来る男達を殺さない程度に加減をしながら打倒していく。

 

 レッドリボン軍の情報を色々吐いてもらう為にも殺す訳にはいかない。

 襲い来る火の粉はいつでも払えるように万全の態勢を整えておきたいのだ。

 

 

「ブルー将軍っ! 今です!!」

「私をごらんなさい!!」

 

 

 男の合図とブルー将軍の叫びに何かする気なのか身構え、慌ててブルー将軍の方を向く。

 向いたところですぐに体に異変を感じた。

 体がピクリとも動かない。

 

 

「ほほほほほ……いかがかしら? 私の超能力は」

 

 

 ブルーがよろりよろりと近付き、私の横顔を蹴り飛ばす。

 攻撃されても体は動かず、私の体が宙を舞いごろごろと地面を転がった。

 何が起きたのかはわからないが何かをされたのは確実だ。

 

 超能力と言ったか。

 体が動かないのは非常に不味い。

 解除条件は何か、発動条件は何か、有効射程はあるのか、様々な思考が頭を駆け巡るが、何一つ解決策が思いつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「お下品になってもかまわないわ。私に恥をかかせた罰よ。お前達、遊んであげなさい」

 

 

 

 

 

 

 ブルーの合図によろりよろりとまだ動ける男達は起き上がる。

 薄気味悪い笑いを浮かべて近付く男達に嫌悪感を感じる。

 不味い。不味い。不味い。不味い。不味い。不味い。不味い。不味い。不味い。

 

 

「生きてても死んでてもかまわないわ。無残な姿の仲間を見ればシルバー隊とホワイト隊を全滅させた少年も隙が出来る筈よ。ふふふふ、絶望に染まる顔が楽しみだわ」

 

 

 

 男達の手が私に伸びる。

 ここでカカロットの足を引っ張る訳にはいかない。

 一か八か戦闘力を集中させ自分を中心にエネルギーの爆発を起こさせる。

 

 弾き飛ばされる男達と私の体。

 肉が焼ける焦げ臭ささと体全体に走る激痛。

 衝撃で洞窟が揺れ僅かに天井が崩れ始めた。

 

 

「何なの!?」

 

 

 ブルーの驚きの声と共に体が動くようになり、再び超能力を使われる前に洞窟の奥へと飛び込む。

 まだ体が動くという事は有効射程はそんなに長くないのだろう。

 ブルーはあの時、わざわざ「私をごらんなさい」と声を掛けてから超能力を発動させた。

 自分と相手が互いに見えているのが発動条件だろうか。

 いや、そう結論付けるには判断材料が足りなさすぎる。

 

 少なくともあのブルーという男は私にとってもカカロットにとっても脅威だ。

 まだ戦闘力が100未満の内に何とかしないといつか手におえない相手になるだろう。

 

 

「お待ちなさい!」

 

 

 特に馬鹿正直に戦うカカロットとは相性最悪の相手だ。

 ここで絶対に倒さなければならない。

 私は痛みに悲鳴を上げる体に鞭を打ち、床を勢いよく蹴り、壁や天井も足場に使って立体的な動きで相手の視界に入らないようとにかく動き回る。

 

 

「速い!? この!! ちょこまかと動くんじゃないわよ!!」

 

 

 視界に捉えられなければ超能力が発動しないという予想は当たってくれたらしい。

 ブルーは私の動きを捉え切れず、私の体はまだ自由に動かす事が出来る。

 次第に崩れ始める洞窟の天井に身を隠しながらブルー将軍の背後に降下し後頭部に手刀を入れ、回し蹴りで蹴り飛ばしたところに追撃でエネルギー波を連続で叩き込んでいく。

 

 

 エネルギー波の衝撃で崩れた壁や天井の岩に埋まったブルーが動く気配はない。

 生きていたとしても、戦闘の余波で今にも崩れそうな洞窟の中潜水艇も無しに助かるのは無理だろう。

 

 

 私は洞窟が崩れきる前にカカロットと合流する為、急いで洞窟の奥へと向かった。

 洞窟は途中から人工の建物に変わり、途中罠もあったが強引に駆け抜け、海賊の港に辿り着く。

 

 

「キャロットさん!! こっちです!!」

「キャロこっちこっち!! 早く!!」

「姉ちゃん。ここのドラゴンボールもじっちゃんの形見じゃなかったぞ」

 

 

 洞窟が崩れ始めているのにドックで潜水艇を出しながら待っていてくれたようだ。

 しっかりとドラゴンボールを手に入れ、詰めるだけの財宝を潜水艇に詰め込んでいる。

 

 痛みはもう引いているが今回はとても疲れた。

 無事海賊の港から潜水艇で脱出する中、眠気に抗えず深い眠りにつくのだった。

 

 




気を集中させて爆発させる自爆業で緊急脱出するキャロットでした。
自覚はありませんが気の使い過ぎてものすごく疲れているご様子。

なお、これだけやっても死なないブルー将軍ですが舌には勝てないようです。
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