弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある? 作:へたペン
原作アニメどちらかを見ている前提で駆け足に話は進んでいきます。
其之一『ブルマとキャロット』
「姉ちゃん! 姉ちゃん以外の女がやってきたぞ! こいつにもメシ食わせてくれ!」
料理の下ごしらえをしているとカカロットがブルマという女を連れて来た。
なんでも孫悟飯の形見である球はドラゴンボールと言い7つ揃えると何でも願いを叶えてくれる物のようで、それをレーダー頼りに探してパオズ山まではるばるやって来たらしい。
何でも願いが叶うなんて便利なものがあるか疑わしいし、そんな願いを叶える球が世界各地バラバラに散らばっているところがまた怪しいところだ。
「爺様の形見を貸すのは構わない。だが一つ聞かせろ。無制限に願いが叶えられる物がそう簡単に散らばるとは到底思えない。なんせどんな願いでも叶えられる球だ。世界中の人間を逆らわせないようにして永遠の命を手にすることだって出来た筈。このドラゴンボールとやらはどのくらいの周期で願いは叶えられる?」
軽い吹っかけのつもりで言葉を投げかけてみるとブルマの表情からは動揺の色が見て取れる。
「あんた、口が悪いけど頭は回るのね。こいつの姉とはとても思えないわ」
「カカロットの頭と一緒にするな。あいつは昔頭を打ってからおかしいんだ」
「ああ、それで。あんたも大変なのね」
こんなやり取りをしてもカカロットはなんの話をしてるんだと首を傾げるだけだ。
これでいて私よりも戦闘力が上なのだからやるせない気持ちになる。
「1年だろうが10年だろうが100年だろうが爺様の形見は貸してやるし、ボディーガードの件も引き受けよう。私達サイヤ人は戦闘種族。戦える場を用意してくれるというのなら願ったりだ」
「サイヤ人?」
「私達のように尻尾の生えた種族とでも思っておけ」
「あ、あんた達の尻尾本物だったのね。てっきりダサイアクセサリーかと思ったわ」
「獣が二足歩行で喋る惑星で何をいまさら。それで周期はどうなんだ?」
「なんだ? 姉ちゃんも願い事あるんか?」
「大したことではないからこいつの願いが先でいい。個人的に『ステキな恋人』なんていう馬鹿げた願いがどのような形で叶えられるか興味がある」
「馬鹿げたって何よ! 私にとっては真剣な願いなのよ!?」
「大雑把な願いだ。無から理想の恋人を作り出すのか、それとも今生きている人間が連れてこられて恋人として洗脳されるのか。貴様は気にならないのか?」
「願いが叶えられるってことに夢中で私としたことがそこまで頭が回らなかったわ。もう少し詳細な願いにした方がいいかしら……」
「一つだけ叶えるという条件で詳細な情報がどこまで一つの願いとして扱われるかの問題もある」
「そうね。少し頭が冷えたわ。ありがとう。お礼といってはなんだけど周期は1年よ。願いをかなえるとドラゴンボールは1年の間ただの石ころになってしまうらしいわ」
有力な情報を聞き出せた。
使える周期が長いようだったら願いを横取りすることも考えていたが、たった1年というのなら実験もかねてまずはブルマに願いを叶えてもらおう。
いきなりぶっつけ本番で願いを叶えるにはドラゴンボールというものは未知数すぎる。
例えば『不老不死にしてくれ』という願いをした時、老いず死なないだけで傷は治らず肉片や骨だけになっても生き続けたらたまったものではない。
『この惑星の支配者になりたい』というのも支配者と認知されても即クーデターを起こされるような甘い洗脳だったら意味はない。
それらの願いはドラゴンボールをしっかり理解してから願った方がいいだろう。
「十分だ。なら来年は私の願いを叶えさせてもらおう。方針は固まった。食事をすましたら球探しに出かけるぞ」
せっかくカカロットが取ってきた魚を粗末にはできない。
今日は初めての客人もいる。
昼は刺身と炙り焼きに加え、頭と骨で出汁を取った味噌汁に白米で行くとしよう。
悟空の口調をアニメのなまり有りにするか原作基準にするか迷いどころ。
どちらの悟空も好きなのでしばらくはブレるかもしれません。
何気に『エサ』ではなく『メシ』と言っているのは、キャロットがいることによるほんの些細な変化だと思ってください。