弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある?   作:へたペン

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レッドリボン軍に突撃する話。


其之二十七『キャロット突撃』

 カカロットを生き返らせる為、レッドリボン軍のドラゴンボールを奪う事に決まった。

 元々攻めに行くつもりだったがそこまで急ぐ予定はなかった。

 だが私がカカロットの死を告げると、ドラゴンボールを集める方針に切り替わったのだ。

 

 ブルマが簡易型のドラゴンレーダーを半日で完成させたが、私も疲れているだろうと半ば強引に休まされ、翌日の出発となる。

 

 

 

 

「キャロ、そんな顔しないの。孫君は絶対に生き返らせてあげるから。だから……ね?」

 

 

 

 

 ヤムチャが乗ってきた飛行機で移動中、ブルマがまるで腫れ物に触るように声を掛けて来る。

 私は今どんな顔をしているのだろう。

 よくわからない。

 

 

「武天老師様、キャロットさんはブルマさん達と一緒に後方支援にまわした方が……」

「ふむ……今の状態のキャロットを戦わせる訳にはいかんからのう」

「いつもキャロットには修行の世話になってるんだ。抜けた穴は俺が埋めてみせる」

 

 

 やる気があるのは嬉しいがなぜ私が行かない事になっているのだろうか。

 戦えないくらい落ち込んでいるように周りから見られているのだろうか。

 そうだとしたらもっとしっかりしなければならない。

 カカロットを生き返らせようとして他の誰かが死んでしまったら本末転倒である。

 

 

 空から接近すると対空迎撃に遭うので、飛行機はレッドリボン軍の基地から離れた所に着陸させるらしい。

 飛び出すならそのタイミングだろう。

 

 

「私なら大丈夫だ。囮は空が飛べる私が引き受ける。地上から施設制圧の援護を頼んだ」

「待つんじゃキャロット!! 早まるでない!!」

 

 

 私は亀仙人の声を無視して空高く飛び、真っ直ぐレッドリボン軍の基地を目指す。

 空を飛べる私が囮になれば亀仙人達が基地に侵入して白兵戦がしやすい。

 

 接近するドラゴンボールの反応に不審を抱いていたであろうレッドリボン軍の警戒は厳重で、私は先制攻撃を仕掛けるまでもなく発見された。

 地上からは対空砲火が、空中からは戦闘機が弾を乱射してくる。

 

 

 

 まずはやっかいな対空砲火を何とかするべきだろう。

 

 

 

「死にたくない奴は道を開けろ」

 

 余裕がないから最初で最後の警告。

 いや、自分への言い訳か。

 弟の為に悪人とはいえ一方的な虐殺をするかもしれない自分への防衛線だ。

 

 とても卑怯な考え方だと思った。

 そうだとわかっていても、私はまたカカロットに会いたい。

 私は私の我儘の為にサイヤ人らしくない考えを持ちながら、サイヤ人のように人を殺す。

 

 

 弾幕を掻い潜り、戦闘機を盾にするよう意識して飛行し、エネルギー波で砲台を潰していく。

 だが空を埋め尽くす弾幕を全て避け切れきるのは無理があった。

 何発か直撃を貰い怯んだところ戦闘機に背後を取られる。

 

 

 閃光が空を射抜き私の背後を取った戦闘機が爆発した。

 遠くから亀仙人がかめはめ波で援護してくれたようだ。

 こんなところでダメージを負ってスタミナを大量消費する訳にはいかないので助かった。

 

 

 対空砲火が来ない安全な空域に陣取ってからエネルギー波の優先目標を戦闘機に切り替え、戦闘機や戦車が出撃する兵器庫を見つけては増援が来ないように発進口を破壊しておく。

 

 その際に歩兵が銃を乱射してきたが、射程外、それも地上から上空を飛び回る人間に向けた弾なんて滅多に当たるものではない。

 当たったとしても小機銃のダメージはたかが知れているだろう。

 地上からの小機銃は無視して戦闘機の破壊に専念する。

 

 

 

 

 制空権を取った頃、地上からの銃撃がいつの間にか止んでいる事に気付いた。

 

 

 

 

 基地の方を見下ろすとどうやら既に亀仙人達が基地に侵入したようで、亀仙人が正面から敵を引きつけ、戦車や砲台をかめはめ波で破壊し、クリリンとヤムチャが建物の陰に隠れながら敵兵士に接近戦を仕掛け、そんな二人のカバーを倒した敵から奪った銃火器でランチが行なっている。

 

 

 

 ならば私もカバーに入るとしよう。

 

 

 

 クリリンを狙撃しようとしていた兵士を蹴り飛ばし、スタミナが尽きかけている亀仙人にロケットランチャーを向ける兵士をエネルギー波で薙ぎ払う。

 

 倒しても倒してもキリがないが、暴れに暴れ回ったおかげか「化け物だ」と逃げ出す兵士が出始めて来た。

 このままドラゴンボールを置いて撤退してもらいたいところだ。

 

 

「キャロット! ブルマから連絡だ! ドラゴンボールがある所をドローンで誘導してくれる!」

 

 

 ヤムチャが建物の中から私に呼びかける。

 すると飛行ドローンが私の前に止まった後、真っ直ぐ一つの塔を目指して飛んでいった。

 ブルマが遠隔操作してくれているのだろう。

 

 

「ありがとう。ヤムチャ。ブルマ。皆。行ってくる」

 

 

 ドローンを目印に私は塔最上階の窓ガラスを蹴り破って中へと侵入した。

 

 




あのブルマがものすごく心配するくらいの顔。
理不尽?な突撃がレッドリボン軍を襲う。

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