弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある?   作:へたペン

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早めに気という単語が出て来る話。


其之三十三『生命エネルギーの定義』

 しばらく考察してみて気付いたが、亀仙流の修行は筋肉増加や基礎体力の向上が目的ではなく、生命エネルギーの効率的な運用法を学ぶ修行なのではないだろうか。

 

 戦闘力を抑えられるようになってからわかった事だが、サイヤ人の体は地球人の体よりも丈夫なものの戦闘力を抑え生命エネルギーで守られていない状態だと包丁で切り傷を作る事が出来る。

 銃弾を弾く体にも関わらず触ってみて柔らかい個所が残っているのが不思議だったが、戦闘力の源である生命エネルギーが体を覆い、本来ひ弱な筈の体を守ってくれていたからだろう。

 身体能力の向上も筋肉よりも生命エネルギーによる強化の方が大きい。

 

 亀仙流の修行は筋肉だけでは出来ない事をやらせて、言葉では説明しにくい生命エネルギーの効率のいい運用法を体で学び、人間を超える為の修行なのだろう。

 

 

 その事を亀仙人に尋ねてみると大体合っていたらしい。

 生命エネルギーを気と呼んでいる事を教えてくれた。

 

 

 そうなってくると、私が好き好んでやっている重力修行も気のトレーニングに入るのだろう。

 重力から常に気で体を守り続ける事で気に負荷をかけて鍛える修行と考えればいいかもしれない。

 

 

「という訳だクリリン。まずは重力に耐えながら自分の気を感じてみろ」

「無茶言わないでくださいよキャロットさん!! 立っているだけで精一杯ですって!!」

「そういうものがあると意識しながらやっていればその内出来る筈だ。少なくとも私は出来た」

 

 

 気の察知やコントロールを口で説明するのは難しい。

 クリリンの重力制御室での修行にさっそく気の概念を取り入れてみたが上手く説明する事が出来ない。

 

 

「わかりやすいように気を視覚化させると、通常時気は煙のように体から漏れ出しては消えている。この状態だと力が集約されていないおかげかドアの開け閉めや食事など日常生活に支障はない」

 

 

 エネルギー波の応用で気の流れに見立てて体からエネルギーを視覚化させて垂れ流す。

 見えているのと見えていないのとではわかりやすさが違うと思いたいところだ。

 

 

「戦闘状態だとこれが引き締まり、漏れ出す気が少ないほど効率がいい、筈だ。さらにこれを一点に集中させる事で攻撃力を上げたり、防御力を上げたりできるがその分他の部位の気がおろそかになる」

「こ、こう、ですか?」

「すまん、私にもどうなっているのかまだわからないから自分で判断してくれ」

「そりゃないですよ、キャロットさん」

「それでもかめはめ波モドキくらいならすぐに撃てるようになる筈だ」

「本当ですか!?」

「モドキだがな。エロ爺のかめはめ波は気の圧縮効率がおかしい。そこは練度の差だろう」

「へへへ、それでも俺もかめはめ波が撃てると思うと嬉しいですよ」

 

 

 そのまま修業を続けると、なんだかんだでその日の内にかめはめ波モドキをマスターするのだから、クリリンも才能がある。

 かめはめ波が撃てた事を飛び跳ねて喜び感謝するクリリンに私は頬を緩ませていた。

 

 

 




亀仙人は気という単語を次の天下一武道会では使っていたので、神様程の知識は持っていないものの武人や仙人として何か感じるものはあったのでしょう。
中途半端に齧った知識のキャロットによる気の講座その1でした。

気のコーティングを解いて油断している状態だとビームガンが通ってしまうよという程度の話ですが、本作の気のイメージは『HUNTER×HUNTER』の念が近いかもしれませんね。

気を纏ってぶつかり合い、気を消耗させていくのがバトルの基本で、戦闘力(気)が離れすぎていると腕がもげた天津飯のように気のコーティングを突破されて脆い体にダイレクトダメージが通ってしまいます。

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