弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある? 作:へたペン
危うくカカロットが壊す所だったらしい自動車に乗り長い道をしばらく。
途中で花摘みをするブルマを襲おうとしたプテラノドンを返り討ちにして肉を調達できた。
「助けてくれたのはありがたいけど、私はそんなもの食べないからね!」
魚料理は食べたのに何が違うのかがわからない。
だが食い分が増えるというのは嬉しいことだ。
今晩のおかずに追加するプテラノドンのソテーと唐揚げはカカロットと二人で食べるとしよう。
「しまった、調味料を忘れた」
「そのくらいハウスの中にあるから安心しなさい」
どうやらブルマが持っているホイポイカプセルには家も入っていたようだ。
科学技術がそこまで発達していない星だと思っていたが一部の技術は私が知っている宇宙の水準を超えているのかもしれない。
もっとも、幼くしてこの地球に送られてきた私が単に見たことがないだけの可能性は十分にある訳だが。
夕暮れ時にホイポイカプセルから出された家は大きいものの、ホイポイカプセル以外の文化レベルは遠い村にある一軒家とそう変わりはない。
だが物々交換などで村に降りたことのないカカロットは電気やテレビといった文明器具に驚いていてしまっている。
姉としてもう少し世間や文化についても教えておくべきだったと一瞬後悔するが、カカロットが頭までよくなってしまうと私が勝っている所がなくなってしまう。
これからも能天気で無知なままカカロットにはいてもらいたいところだ。
「あんた達はボディーガードなんだからお風呂に入ってさっさと寝ちゃいなさい。特に孫君! あんた小さいんだから夜更かししないの!」
「フロ? ドラム缶見当たんねぇぞ?」
「ドラム缶がお風呂だなんて、あんたほんと田舎もんね。ほら、洗ったげるからきなさい!!」
家にある文明的なものと言えば調理器具とドラム缶で作った風呂と石鹸くらいだ。
孫悟飯が『女の子は綺麗にしないとダメじゃぞ』と作ったので、カカロットも風呂くらいは知っている。
もっとも、羞恥心のようなものはなく「前ぐらい隠しなさいよっ!!」と今まさに怒られている最中なので無知であることに変わりはない訳だが。
「そう言えばあんた達って小さい癖してやたら強いわよね。戦闘種族だっけ? 聞いたことないけど大人はもっと強いんでしょうね。あんた達は年いくつ?」
「カカロットが12、私が15だったか。3歳にもなれば未熟ながら戦士だ。大人だろうが子供だろうが強い奴は強いし弱い奴は弱い」
下級戦士は一生下級戦士のままでエリート戦士には勝てないというのが一般的だ。
だけど私の父、バーダックは下級戦士の身でありながらエリート戦士の戦闘力を持っていたと聞いたことがある。
ふと父の言葉が脳裏をよぎる。
だが父バーダックと母ギネが私達に投げかけた言葉は思い出せるのに、どんな表情で送り出してくれたのかが思い出せないことに気付いた。
何を思って保育器で育て途中であるカカロットと一緒に私を地球へと送ったのだろう。
私一人だと戦力不足だと判断したのだろうか。
戦闘力たったの2、サイヤ人の赤子以下の戦闘力しかなかったからだろうか。
だとしたら、ほんの少しだけ、悲しい、いや悔しいと思った。
男性と女性の違いを少し理解できる。
ドラム缶風呂に入っている等、キャロットがいる影響で悟空の知識が増えております。