弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある? 作:へたペン
朝、カカロットが亀を拾ってきた。
どうやら陸に上がり迷子になって海に帰れない亀であるらしく、甘いカカロットはその亀を海に連れて行ってやろうとしている。
ブルマは夏休みという限られた期間中にドラゴンボールを探さなくてはならないようで、当然ながらそんな無駄足を踏みたくないと異を唱えていた。
護衛を引き受けた以上依頼主であるブルマを優先するべきだが、ここでカカロットと別行動を取ると戦闘力30以上の相手に遭遇した時逃げるしかなくなってしまう。
ここはほんの少しだけカカロットに助け舟を出すとしよう。
これはあくまで私の保身の為であってカカロットの為では決してない。
「海の方角にドラゴンボールの反応があるかどうかを確かめてからでも遅くはない。もしも海の中にドラゴンボールがあるのならこの亀には利用価値がある」
「あんた口悪い癖してフォローが上手いのね。いいわ、もしもドラゴンボールが海の方に有ったら考えてあげる」
ブルマがレーダーを取り出し地図と照らし合わせると、海の南にドラゴンボールの反応が一つあったようだ。
今向かっている場所より距離が離れてしまうがいずれ立ち寄らなければならない場所だから問題ないと、亀とカカロットを自動車の上に乗せて海に向かうことになった。
「なんかでっけぇクマがいっぞ」
その道中、車の上で亀のおもりをさせていたカカロットが道に立ちふさがる獣人を見つけた。
「なななななな、なんかおっかないのがいるわよ!?」
「慌てるな女。大した戦闘力じゃない。ただの見掛け倒しだ」
スカウターで計ってみると獣獣人の戦闘力は10以下とカカロットなら拳一発で倒せるレベルの相手だ。
「戦闘力?」
「こいつはスカウターといって相手がどれくらい強いのかがわかる機械だ。この星くらいならすべての場所の戦闘力を測定することが出来る」
「変な物つけてると思ったらそんな機能がついていたのね。ちょっと貸してみなさいよ」
「構わんが壊すなよ。代えがない」
「へぇ、すごいじゃない! よく分からない部品を使ってるしとっても精密な機械ね」
「壊すなと言ったそばから解体するな!」
「いいじゃないの少しくらい。壊れるようなヘマなんてしないわよ。あー、もう! パーツが劣化してるし、ここなんて緩んで取れそうじゃない! 精密機械なんだったらメンテナンスくらいしなさいよね!」
ブルマは機械に強い人種なようで劣化したパーツをバラしては組み直している。
「理解出来るとは驚いたな。都の人間は貴様みたいなのが多いのか?」
「ふっふっふ、この私が天才なだけよ。天才ブルマさんに掛かれば壊れてないメカのメンテナンスなんてちょちょいのちょいなんだから!」
このブルマという女は予想以上に使えそうだ。
もしかしたら私の宇宙船も直せるかもしれないので利用できるだけ利用することにしよう。
そんなやり取りをしている内にカカロットが獣人を予想通り一撃で倒して戻って来る。
「姉ちゃんより
「あの程度の相手に勝てたからといって調子に乗るなカカロット。お前以上の奴はこの星だけでも沢山いる」
「やっぱ姉ちゃんは物知りだな。へへへ、オラ早く
強い相手と戦うとしても、なるべくなら段階を踏んで戦いたいところだ。
いきなり戦闘力100を超えた相手と戦うことになったら今の私達の手に余る。
それなのに自動車が向かう遥か先には戦闘力100を超える反応があるではないか。
ブルマが見ていた地図と照らし合わせると距離的には海よりも先だから問題ない筈だが、よりにもよってこの星で最上位の戦闘力を持つ相手がいる方向に進むことになるとはついていない。
もしもの時はカカロットを囮にして逃げるとしよう。
そんなこんなで亀を海まで送り届けると、亀はお礼がしたいと戦闘力100を超えるジジイをドラゴンボール付きで連れて来た。
目当てのドラゴンボールの反応とセットなせいで逃げる訳にもいかない私はどうしたらいい?
キャロットの受難始まります。