弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある?   作:へたペン

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消化不良で少しもやもやする話。


其之五『消化不良』

 ドラゴンボールの反応のある小さな村。

 ドラゴンボールを報酬に女を攫う妖怪退治の依頼を引き受けたまではよかった。

 

 面倒なことに今まで攫われた女の救出も依頼に含まれており、女好きである妖怪の特性から女である私がヒラヒラの衣装を身にまとい囮になる事になったのも仕方ない。

 相手の住処がわかる前に倒してしまうと攫われた女達を助けに行けないから不愉快ではあるがここまでは受け入れられた。

 

 

 

 だが鬼の姿で現れた妖怪の戦闘力があまりにも低すぎて一気に私のやる気は削がれた。

 

 

 

 村の子供程度しか戦闘力がないのに村の住人は何をそんなに恐れたのだろう。

 想定していた相手の戦闘力が5から30くらいで、あれこれ対処法を考えていたのに、これでは恥ずかしい姿をしているのがバカバカしくなってくる。

 

 呆れながらも妖怪ウーロンを力技で組み伏せて攫われた女達の居場所も聞き、無事報酬のドラゴンボールも貰ったところでウーロンの処遇について少し話した。

 

 戦闘力は皆無だがウーロンの変身能力は地球を支配する上で役に立つ能力だ。

 この星の支配者を暗殺してからその支配者に変身してもらえば裏から徐々に侵略を進めていけるだろう。

 

 理由は私と違うだろうがブルマも変身能力が役に立つと考えウーロンは強制的にドラゴンボールを探す旅に連れて行く事にした。

 

 

 ボートで川を移動する間、逃がさないようウーロンは私の膝の上に置き、保険としてブルマがピーピーキャンディーという物を食べさせている。

 効果は知らないが保険というのだから逆らうと害をなすような何かだろう。

 これからはブルマから出される飲食物には注意しておくとしよう。

 

 

 

 

「おっかなくなければ特等席なんだけどなぁ」

 

 

 

 

 今のところウーロンは愚痴をこぼすだけで大人しく私の膝の上にいる。

 私に身を預けてニヘラと笑っている姿にこの星の奴はこんなのばかりなのかとまた真剣に人類の抹殺を考えてしまうが、ただのブタに目くじらを立てていても仕方がない。

 一先ずこれは人類ではなくブタなんだと割り切っておこう。

 

 

「次の目的地はフライパン山だったか。距離的には戦闘力50以上の奴がいるな。カカロットと二人掛かりなら、まあ最悪ボールを盗み出すことくらいは出来るだろう」

「姉ちゃんと二人掛かりで勝てないのか? へへへ、おもしろいじゃないか」

「ああ。ただのパワーバカだったら十分に勝ち目はある。ようやく戦闘らしい戦闘になるぞカカロット」

 

 

 

 私一人ではどうにもならないが二人掛かりなら時間稼ぎくらい十分できる範囲だ。

 幸いまとまった戦闘力は周りにないので、勝てなければ二対一で時間を稼いでいる間にブルマとウーロンにドラゴンボールを探してもらえばいいだろう。

 手ごろな格上一人とはサイヤ人にとってこれとない鍛錬相手だ。

 

 

「俺の強さを見たっていうそのスカウター? ってので強さ知ってんのに挑むってなら止めないけどよぅ……俺は絶対危険なことはしないかんな!!」

「安心しろ。ブタごとき戦力に考えていない。格上すらも殺す戦闘種族サイヤ人の戦いを大人しく見てるがいい」

「お前、本当に口悪いよな……」

 

 

 戦闘力100を目指す私にとって好条件の戦場になる予感に気分を向上させていると、不意にプスンと音を立ててボートのエンジンが止まった。

 

 さらに言うと、ブルマが地図を取り出す時にホイポイカプセルのケースを落としてしまったようで、移動手段も宿泊施設も調味料もなくなり、時間を掛けてフライパン山に徒歩で向かうことになってしまったのだ。

 

 この日は実に消化不良が続く一日だった。

 

 




武天老師の弟子ということで牛魔王の戦闘力は50以上90以下くらいに考えております。
それでも二人掛かりなら何とかなるとキャロットが思っているのはサイヤ人特有の慢心。
そして組手をし続けて来た関係上悟空の戦闘力が原作よりも高く、2倍くらいの戦闘力差なら立ち回りで埋められると判断したからだったりします。

これが戦闘力100を超える相手だと孫悟飯との組手による思い出補正で一気にへたれるキャロットでした。

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