弟と一緒に地球という人外魔境に送られた下級戦士だけど何か質問ある? 作:へたペン
フライパン山に行く道中、ヤムチャがやって来て「昨日は悪かった」と襲い掛かった詫びとして懐中時計を投げ渡しそそくさと逃げていった。
ブルマは「良い男からプレゼント貰っちゃった」などと喜んでいるが、敵からの贈り物に爆発物などが仕込まれているとは思わないのだろうか。
馬鹿と天才は紙一重という言葉がぴったりと当てはまる女である。
さて、三日も掛けてフライパン山についた訳だが、肝心のドラゴンボールはというと炎に包まれる牛魔王の城の中。
戦うつもりでいた牛魔王はというと、孫悟飯と一緒に亀仙人の元で修業した身らしく、カカロットの如意棒と筋斗雲を見るなり友好的に接してきた。
ドラゴンボール探しとしては友好的なのは嬉しいところだが、強い相手と戦いたいという欲求は見事に打ち砕かれてしまった形となる。
亀仙人の持っている芭蕉扇で牛魔王の城を囲む炎は消えるらしく、城の火が消えればドラゴンボールを快く譲ってくれるらしい。
そうなってくると移動速度が一番ある筋斗雲に乗れるカカロットに亀仙人の所へと行ってもらうのが自然な形だ。
他にも先に爺の元に向かわせた娘を回収してくれとも頼まれたが、居残る私には特に関係ない話である。
「爺様と貴様はエロ爺……亀仙人の弟子といったな。修行で力をつけたのか?」
「んだんだ。それはもう厳しい修行でメキメキとオラ達を鍛えてくれたべ! いや~、なっつかすいなー!」
もともと戦闘力が高かった訳でなくトレーニングで己を鍛えて強くなったようだ。
一般的な成人の戦闘力が5のこの星の人間である孫悟飯が戦闘力を100まで高めた。
何か亀仙人のトレーニングに強くなる秘密でもあるのだろうか。
嫌な事を思い出すのであまり会いたくはないが、強くなる秘訣を盗み出したいところだ。
私にとって運がいい事に芭蕉扇がなかったらしく、カカロットが牛魔王の娘チチの他に亀仙人を連れて戻って来た。
なんでも直々に炎を消してくれるらしい。
やって来た亀仙人はブルマと何か約束事があって少し席を外したのが少し気になるが、今はどうやってあの激しい炎を消すかの方が気になる。
常識的に考えれば炎を消し飛ばす程のエネルギー波を放つ事だが、戦闘力100程度であの炎を吹き飛ばす程の衝撃を生み出せるとはとても思えない。
何か特別な術を持っているのだろうとあれこれ考察していると、亀仙人が戻って来て城全体が見渡せるほどの高さの瓦礫をよじ登った。
骨と皮しかないような体だった亀仙人の筋肉が盛り上がり戦闘力が爆発的に上がる。
そしてエネルギー波が掌に凝縮されていき更に戦闘力が跳ね上がった。
本来誰もが垂れ流し状態になっている戦闘力を無駄なく一点に集中させているのだろう。
「かめはめ波!!」
信じられない事だが亀仙人は戦闘力をコントロールする術を持っているのだ。
凝縮されたエネルギーが掛け声と共に解き放たれて牛魔王の城は炎ごと消し飛ばされた。
いや、城だけではない。
城がそびえ建っていた大きなフライパン山すらもエネルギー波で吹き飛んでしまっている。
これは戦闘力100なんてレベルの問題ではない。
この爺は一撃だけならサイヤ人の平均的な下級戦士とやり合うだけの潜在能力を秘めている。
その気になれば小惑星くらい破壊できるのではないだろうか。
カカロットが真似をしてエネルギー波で乗って来た自動車を壊す。
その時わずかだが戦闘力に変化があった。
カカロットは一回見ただけで戦闘力を一点に集中する術を身に着けてしまったらしい。
私も試しに集中したつもりになってエネルギー波を放つが自分の戦闘力は変わらない。
ここでもカカロットに差をつけられてしまったのは悔しいが、戦闘力のコントロール術があると知れただけでも大きな収穫だ。
しばらくは戦闘力のコントロールができるものだと意識して生活してみる事にしよう。
戦闘力とは生命からあふれ出るエネルギーを数値化したものだ。
戦闘力を凝縮して無駄をなくし突き詰めていけば先ほど亀仙人がやったように瞬間的な戦闘力の向上を私も出来るようになるかもしれない。
「キャロ、ちょっといい?」
「スポーツ用パンツ、あの爺に変なことを要求されているなら自分で何とかするんだな」
「安心して。ウーロンにあんたの姿させるだけだから。せっかくの変身能力だものね」
予想通りといえば予想通りだがカカロットが余計な約束を亀仙人としたらしい。
それが私かブルマどちらかの胸を触る事を条件に炎を消してやるという約束だったようだ。
そこでウーロンの変身能力で私の姿に変身してもらい身代わりになってもらうとの事。
「貴様の姿でいいだろう」
「何言ってるの。私と同じ姿をしたのがセクハラを受けるなんて嫌に決まってるじゃない」
「嫌なことを平気で俺達に押し付けるんだもんな。お前ろくな死に方せんぞ」
ピーピーキャンディーで脅されているウーロンと全くの同意見だが、戦闘力が100どころではなかった亀仙人の機嫌を損ねるのは不味い。
自分の胸でないのだからここは我慢すべきだろう。
我慢して許可を出した結果、私の姿をしたウーロンは亀仙人の顔を寄せた小さな胸で挟んでパフパフと自ら揉み始めた。
約束が違う。何を調子に乗っているんだあのブタは。
自分と同じ姿をした者が破廉恥なことをしている様子に怒りがこみあげてくる。
私はこの日、激しい怒りでも戦闘力が僅かに向上する事を知った。
これが戦闘力コントロールの第一歩だというのだから実に情けない話である。
まさかのキャロットかめはめ波撃てず、再び羞恥プレイに遭う。
武天老師は元々強く月を破壊したこともあるので、Maxパワーかめはめ波の戦闘力は大きく水増しして考えております。
ヤムチャは女が二人いる為最初からドラゴンボール7つ揃ってから奪えばいいと、朝の襲撃はせずに車ではなく懐中時計に発信機をつけて渡しました。
他にも悟空がチチにパンパンしていなかったりと原作から変化があるところがありますが、しばらくはキャロット視点での話を楽しんで頂けたら幸いです。
おまけ程度ですが少女期立ち絵をあらすじに追加しました。
見ての通り?ギネ似の少女となっております。