ヒトデナシ   作:影絵師

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 辺り一面が海しかない舞台、異形の水生生物……そういうゲームを遊んだわけでこれができました。

ざっくり説明
・安全な大陸へ避難中に怪物に襲われて船から海に落ち、無人島に流れ着いてしまった貴族の女性。
・小舟で脱出しようとしたけど、失敗して再び無人島へ。
・やがて魚に変異していく……




無人島にあった何かの日記

 

 獣化病、異形病が根絶されている大陸に向かう船が鳥の異形らに襲われてしまった。その船に乗っていた私は海に投げ出され、気がついたら何らかの島に流れ着いていた。変わらないはずの日常生活と大切な人を奪った異形共への呪いの言葉を吐きまくるものの、私の家である館に帰るか、行くはずの大陸に向かうには生きてこの島から脱出しなければならない。

 手元にあるのは今書いている防水ノートと、私が漂着していた浜辺に落ちていたナイフしかなく、主にこれで生きるしかなさそうだ。着ていたドレスや飾りはこの島では意味がない

 

 

 

 1日目

 

 家で読んでいた冒険小説に登場するイカダを一日で作れるはずがないと考えた私は食料と飲水、寝所を探した。寝所は浜辺からある程度離れた場所で見つかり、その近くに口に出来る果実と飲める川があった。運があってよかった。

 

 

 

 2日目

 

 食べ物や水が困らなくなった私は浜辺で一日中イカダを組み立ててみた。しかし、小説のようにはうまくいかず、何度も崩れてしまった。それでも私は貴族の遊びより自然で遊ぶのが好きなお姉さんに会うために諦めないように頑張ったが、日が落ちる直前にまた崩れてしまい、翌日に最初から組み立てることになってしまった。

 朝から姿を見せない誰かの視線に晒されていることに恐怖を感じ、今夜は眠れそうにない。

 

 

 

 3日目

 

 イカダを組み立てに浜辺へ向かう寝不足の私を待っていたのは、いつの間にか完成したイカダだった。素人の私では不可能な完璧な小舟同然にそれに驚きながらも、無人島から脱出出来る可能性に喜んだ。運良くこの島に異形はいなかったが、ずっとここに住んでいるわけにはいかない。これで謎の視線から逃げられる。翌朝、食料や飲水を準備して島から逃げ出そう。

 

 

 

 4日目

 

 なんで せっかく小舟で島から脱出できたのに 海の底に影が見え こちらに近づいた直後の記憶がない また同じ島の浜辺に流れついた またここにいないと駄目なの?

 いやだ、また何かに見られている。

 

 

 

 5日目

 

 今日はしばらく川水や海水に浸かっていた。陸にいても大丈夫だが、何故か水中にいる方が心地いい。水を吸って邪魔になる服は全部脱ぎ捨てた。どうせここには私と例の視線の持ち主しかいないだろう。その謎の存在も私の前に現れないのが気になるが。小舟を作ってくれたお礼をしたいのに。

 

 

 

 6日目

 

 両足が一本に一体化していた。足先がヒレに変化していた。その下半身が細かい鱗に覆われていた。一見、おとぎ話の人魚のような姿になっているが、人ではなくなってしまった。人として死のうとナイフで喉を突こうとするが、強烈な恐怖と耐えられない不快感に襲われ、死ねなかった。

 もう人魚として生きよう。

 

 

 

 7日目

 

 今度は脇腹に3対の切れ込みが現れ、水中ではそのエラで息をしているような感覚がする。よく見えないが、背中に背ビレが生えてきているのがわかる。両腕も変化していて、まるでヒレに指が生えた感じになっている。細かい鱗が首元まで迫ってきた。

 この姿で生魚を直接食べたことに気づき、それなりの可愛さがある人魚というより半魚人みたいな自分に驚くより笑うしかなかった。これでも地上に行き来出来るが、今夜は水中の洞窟で眠れそうだ。

 

 

 

 8日目

 

 例の視線の正体がやっと判明した。普通の人間である漁師だった。この漁師は随分前にこの無人島に漂着しており、この島からの脱出を諦めていた。私が初めて漂着した時は警戒して姿を見せずに見張り、小舟を作ってくれたのは「さっさと出ていけ」の意味だったらしい。

 そして、再びこの島に私が流れ着いた時はもう既に死んでいたらしく、その辺りから異形化が進み始めたらしい。そう話していた漁師に「何故殺してくれなかったの?」と問い詰めると、「人間より異形の方がマシ。何なら全員化け物になっちまってもいい」と返されてしまい、私は怒るところが呆れそうになった。

 そんな彼が渡してきた鏡で今の自分の顔を理解した。

 

 丸みを帯びたシャチかサメのような頭になっていて、人間時と変わらない長髪から角のような尖った一対のヒレが見える。耳も変形していてヒレになっていた。

 

 

 

 これまでのノートに書かれていた姿の魚類の異形になってしまった私は、漁師と共にこの島で過ごすか、海に出て家や大陸に向かうかは、まだ決めかねていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

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