ちなみに二人は27歳です。
「何してるの?八幡。」
「ああ、高校のアルバム久しぶりに見てたんだ。」
「そう...」
「...」
「この時は私たちは付き合ってもなかったのよね...」
「ああ。それに俺は由比ヶ浜と付き合ってたんだよな...」
「由比ヶ浜さん...」
「あいつ今頃どうしてんだろうな。」
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10年前...
2年生が終わる、3月の初めくらいだ。
俺は由比ヶ浜から告白された。
だが、俺の本当の好きな人は違う...
だけれど俺が告白する勇気もない。そして雪ノ下が俺のことが好きかも分からない。それにあいつと俺では釣り合うはずがない...
その時は自分に自信を持てていなかった...
だから由比ヶ浜の告白を受け入れてしまった。
「この事、ゆきのんにも言わなくちゃいけないよね...」
「そうだな。いつまでも隠していちゃダメだよな...」
翌日
「ゆきのん。話があるんだ...」
「...」
「うちとヒッキー付き合うことになったの。」
「...そう」
その時の雪ノ下は非常に悲しそうな顔をしていた。
「...」
「...」
「...」
沈黙が続く。
この沈黙は今までの中で非常に辛く、胸が締め付けられるようだった。
「恋人同士がいるこの環境下で、3人はいらないわよね...」
雪ノ下も昨日の俺のようにネガティブになっていた...
「そんなことないよ!奉仕部は3人でいなくちゃいけないと思うの...」
「由比ヶ浜さん。私の気持ちも考えないで、無責任な発言をしないでちょうだい!」タッタッタ
ガララ、バタン!
走りながら部室を抜ける雪ノ下。横から見ても涙を流していることがわかった。
「どうしよう。ヒッキー...」
「俺に言われても...」
「...」
この時、やっと雪ノ下の気持ちがわかった。
でも、俺はもう付き合ってしまった。だから行動する勇気もない。それに由比ヶ浜が勇気を出して告白したことを否定することになる。
だから、もう雪ノ下のことは忘れよう...
それから3年生になり、奉仕部は2人で続けていた。
恋人という関係である以上、雪ノ下のことは極力意識しないようにした。
部室では2人で楽しく会話したり、笑いあったり、雪ノ下がいなくなったとはいえ充実はしていた。
部活を引退してからは、勉強部屋として2人で使っていた。
俺と由比ヶ浜は同じ大学への進学をするために努力していた。
特に由比ヶ浜はアホの子だから必死になっていた。
...
...
そして受験、卒業式、他にも色んなことがあった。
この1年は2年生の時より、はるかに長い1年だった.....
大学は無事に合格した。
大学では周りの男子から話しかけられたりして、念願の友達ができた。
この大学生活はとても充実していた。
ある日...
カマクラのエサなどの買い出しにペットショップに行った時のことだ。
ネココーナーの所に、雪ノ下がいる...
「(そういえばあの日以来全く話してないし、話しかけるか...)」
「よう、雪ノ下」
「!...ひ、比企谷くん...久しぶり...」
話しかけるとはいっても何話すかとか全く考えてなかった!!
「...だ、大学とか充実してるか?」
「え、ええ。」
「...」
「由比ヶ浜さんとはちゃんと上手くいってるの?...」
「まあ、一応...」
「...そう」
「...」
「ならもう行くわ...さよなら...」
さよなら。この言葉が重くのしかかってくるような感じがした...
ドキドキ
雪ノ下と話したあと、俺の心臓の鼓動はとても早くなっていた...
やっぱりまだ雪ノ下の事が...
雪ノ下にあった日以来、授業中や、ましては由比ヶ浜とのデートの日にも雪ノ下の事が脳裏に浮かぶ。
「ヒッキー?どうかしたの?ぼーっとしてるけど...」
「あ、ああ。何でもない。大丈夫」
「?...」
...
...
ダメだ...雪ノ下の事が忘れられない...
どうすればいいんだよ...
俺は由比ヶ浜という存在がいながらもこんなことを考えてしまう。
由比ヶ浜といると、もう1人の空白の存在が浮かんでしまう...
...
俺と由比ヶ浜ではダメなのかもしれない...
考え抜いた結果だった。
あまりに自己中心的な考えだ...
俺には由比ヶ浜をリードする自信が無い。
そして恋人という関係でありながら、俺には違う好きな人がいる。
これは「本物」という関係とは言えない...
...
俺は最低だ。昔っから変わっていない。自分の勝手な考えで、他人を傷つけてしまう。だけどこれしか方法がないんだ...
本当にすまない、由比ヶ浜.......
...
...
...
翌日
「由比ヶ浜、話がある。」
「ん?何、ヒッキー。」
「...別れよう。」
「え?う、嘘だよね?」
「本当だ。」
「な、なんで!?」
「俺は由比ヶ浜を引っ張っていけない...」
「そして、俺には違う好きな人がいる.....」
「...」ポロポロ
「ヒッキー...最低!!!大っ嫌い!!!!」ポロポロ
これでいいんだ。嫌われてもいいんだ。
なんたって俺は"最低"だから.....
翌日
「俺、彼女と別れた。」
男友達「え?なんでだよぉ。めっちゃ可愛い子だったじゃん。」
「俺、あいつに告白する前に好きなやついたんだよ。」
「それで、まあ色々考えて付き合ったんだけど、その好きなやつが忘れられなくて...」
「...」
「おまえ、最低だな。」
「ああ、分かってる。」
「そんな自分勝手に片付けちまうやつだとは思わなかったよ!!」
「...」
また俺の周りから人がいなくなる...
過去が蘇ってくる...
2年後...
俺は20歳になった。初めて酒でも飲んでみようかなと思ってコンビニで酒を買ってみた。まあ初めてだから、ほろ〇いだけどね!
その帰りの事だった。
「比企谷くん?」
後ろから話しかけられた。それは俺の好きな人だった...
「雪ノ下...久しぶりだな。」
「由比ヶ浜さんと別れたんだって?」
「ああ、そうだ。」
「理由を聞いてみれば、自己中心的すぎないかしら?それに好きな人がいるだなんて。恋人という関係であるのに最低ね。」
「そうだよ。俺は最低だ。こんなやり方しか出来ない。」
「何?大学に由比ヶ浜さんより良い人でもいたの?」
「違う。」
...
俺は全てを話す覚悟を決めた。もう会えないかもしれないから。
振られたっていい。これで俺の心の中が少しでもスッキリするのなら...
「俺はそもそも告白された時から、由比ヶ浜じゃない違う好きな人がいたんだ」
「では、なんで告白を受け入れたの?」
「自信がなかった...その好きな人に告白する勇気も何も...」
「仮に告白したって、失敗すると思ってた。」
「だから、楽な道を選んだ。」
「でも、付き合ってからも好きな人の事が忘れられなかった。」
「その事に気づいて、別れた。そんだけだ。」
「本当に変わっていないわね。」
「ああ。」
「雪ノ下は誰かと付き合ったりしてんのか?」
「...」
「...」
「私も比企谷くんと同じような理由よ...」
「え?」
「大学に入ってから、告白はかなりされたわ。」
「...」
「でも、私も好きな人がいて、その人のことが忘れられなかった。」
「だから、全部受け入れてないわ...」
「...」
「...」
ここで言うしかないんだ。勇気を出すんだ。あの時後悔したことをいま晴らすんだ...
「雪ノ下...」
「なにかしら...?」
「俺のその好きな人ってのがな、お前なんだよ!」
「え?...」
「高校時代、お前と話してると罵倒が飛んできて、最初はすこし嫌なところもあった。でも、それが俺と雪ノ下のコミニュケーションの一部みたいになってて、それが少し心地よかった。ちなみにマゾってことじゃないぞ?」
「...」
「由比ヶ浜がいない日は2人で静かに本読んで、ずっと沈黙してたけど、その沈黙でさえも心地よかったんだ。」
「他にも色々あるが、だんだんとお前に惹かれていって、憧れの存在になっていた。」
「...」
「さっき由比ヶ浜との別れ話の時に言ったように、俺は最低だ。クズだ。」
「でも、そんな俺でよければ付き合ってくれないか...?」
全て言った。どうせ振られるだろう。何度も言うが俺は最低だ。
こんな俺と付き合うわけがないとわかっていた。
でも言い尽くして、かなりスッキリした。
とても清々しい気分だ。
...
...
「私の話も一旦聞いてもらえるかしら...」
「おう...」
「私の好きな人は比企谷くん、あなたよ。」
「!!」
「私も比企谷くんが好き...私も高校の時の話になるのだけれど、比企谷くんと接していてとても楽しかったわ。」
「他にも様々な場面で私を支えてくれた。それがとても嬉しかった...」
「でも由比ヶ浜さんと付き合うってことになって、とてもその空間に居続ける自信はなかった...」
「だけど、今、ここでチャンスができた...」
「...」
「私からも言うわね。私と付き合ってください...」
「...是非ともよろしく頼む...」
「ありがとう...」
「本当に最低だな俺」
「由比ヶ浜、本当にすまない...」ポロポロ
「比企谷くん...」
...
...
...
このことは由比ヶ浜には伝えてなかったが、2人で外に出歩いていた時にたまたまあってしまい、事実を伝えた。
俺は由比ヶ浜に謝り続けていた。
「ううん。過去を振り返ってばかりもダメだし大丈夫だよ...」ポロポロ
やはり由比ヶ浜は優しかった。
泣きながらもポジディブな姿勢を見せてくれた。
ありがとう、由比ヶ浜。そして申し訳ない...
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「八幡。涙出てるわよ。」
「え?あ、本当だ。」ポロポロ
「たしかに、辛い過去ではあるけれど、由比ヶ浜さんの言ったように過去を振り返ってばかりもいけないわ。今を、そしてこれからを考えましょう。」
「そうだな。雪乃。」
オワオワリ
文章が下手になってしまった...
まあ元から下手なんですけど。