成り代わりヴァサゴのSAOライフ   作:kinopio

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いやー勉強で時間がなかった(・ω・`)
合間合間に書いてるんで本当に不定期です。


フロアボス攻略戦

翌日約束の時刻に集まったメンバーはディアベルを先頭にフロアボスの部屋に向かっていた。

 

この世界に閉じ込められ一ヶ月経っても一層すら攻略できていないこの現状を打破すべく彼らは文字通り命を賭けた戦場に向かっている

その中に会話は無く重苦しい空気が流れており聞こえるのは金属の擦れる音と地面を強く踏みしめる足音のみ

道中の敵との戦闘をできるだけ避けついに第一層のボスが待ち構える部屋に辿り着いた

 

「みんな俺から言うことはただ一つ、勝とうぜ!!」

 

ディアベルの激励に各々自分の得物を頭上に掲げてそれに応える

ふとユウキとランを見るといつもより全身に力が入り、神経も尖っている

 

これは良くない…

 

そう思い声をかけるがあまりの緊張にどちらも気づかない

肩に手を置き少し揺さぶるとようやく気づき振り向いた

 

「ユウキ、ラン、大きく深呼吸して力を抜け。いつも通りにすれば大事には至らない」

 

それでも手から震えが伝わってくる

戦う覚悟を決めたとしてもまだ13歳の子供だ

更に彼女達は病気のせいで他の人よりもシビアに命を考えることが出来る

 

 

だから怖いのだ

 

だから恐ろしいのだ

 

 

なんとか得た人並みの体、入院してはいるが元気な両親、何処にでもある普通の生活

 

 

それらを失うことが

 

 

 

 

けれどそうはさせない

 

手を彼女達の頭に置いてしゃがんみじっと二人の潤んだ目を見つめてはっきりと口にする

 

「『必ずお前達を現実に生きて返す』俺はそう約束したんだ、だからー

 

ーお前達が死ぬことはありえない、必ず守り抜く」

 

そのまま数回ゆっくりと丁寧に頭を撫でる。彼女達も震えが止まり手の甲でゴシゴシと涙を拭き取った後二人ともいつもの華の咲いた様な笑顔になった

そしてちょうどよくボスの部屋の扉がゆっくりと開かれ始めた

 

 

:

 

センチネルが繰り出す振り下ろしを体を半身にする事で避けその勢いのままソバットでもう一体のセンチネルの元に蹴り飛ばし追撃の≪サイドバイト≫であっけなくポリゴン片と化した。

キリトとアスナ、ユウキとランのコンビも瞬く間にセンチネルを倒しているが他の班はうまく連携が取れず追い詰められているところもある。

このままではロードを攻撃している班に近づけてしまう。

 

「ユウキとランと俺で新しく湧いてくるセンチネルを引きつける、キリトとアスナはD班とスイッチして体制が整うまで時間を稼いでその後合流しろ」

 

新しく湧いた前方のセンチネルに、キリト達を追うセンチネルにナイフを二、三本投げこちらにヘイトを集め、こちらに前方から向かってくる敵の武器に二連回し蹴りを当て後方から攻めてきた敵の頭を使ってバク転で離脱。敵は頭を抑えられたことで体制を崩されてしまう

 

「はぁ!」

「ウリャー!」

 

その隙をランが≪リニアー≫で、ユウキが≪バーチカル≫で強襲し、あっという間に敵は消えてしまった

 

「good job」

 

 

:

 

ボスの体力も4本目のレッドゾーンに突入したのか武器を持ち替え始めた

取り巻きを相手する俺たちも攻撃に回って一気に片をつける、そう考えた時だった

 

「下がれ!俺が出る!」

 

ディアベルが周りのメンバーを下げて一人で向かった

おかしい

彼はー本当の命を預かる指揮官としてはー素人ながらも冷静に指示が出せていた。さらにこの場合誰が見ても全員で攻めるべきなのは火を見るより明らかだ。そしてボスの手にはーー

 

 

 

ーー曲刀ではなく巨大な太刀が握られていた

 

 

「急いで後ろに飛べ!!」

 

いち早く気づいたキリトがディアベルに大声で呼びかけるが相手はすでにソードスキルを発動させた。今までとは全く違う素早い動きでディアベルは翻弄され致命的な一撃を受ける

 

「ぐあああ!」

 

あまりの威力にディアベルの体は大きく吹き飛ばされる。

誰もが今起こった事の衝撃の大きさに咄嗟に行動できなかった。その隙はボスの追撃を許してしまうには十分だった

 

「グオオアァァ!!!」

 

ディアベルとボスの距離は瞬く間に埋まり放たれた横薙ぎの一閃は彼の体力を消し飛ばす

 

 

 

はずだった

 

 

ディアベルに当たる前にPoHが彼を攻撃範囲外に蹴り飛ばした。体力もレッドゾーンではあるがゼロではない。

しかし刀はすぐそこまで迫っておりもはやPoHのAGIをもってしても攻撃範囲から抜けるのは不可能ーーではなかった

なんと彼は迫りくる刀の側面に片手をつき反動をつけ側転をすることで敵の横薙ぎを避け、ボスの腕、肩、頭などを足場にし、敵を翻弄して的確に逆手に持った短剣でダメージを与える。敵も彼を振り払おうと暴れるがカスリもしない。

そして突然彼は下から上に向かって振り上げられた腕を踏み台にして上空に飛び上がり回りながらボスの頂点に落ちてくる。

しかしそれを見通していたのかボスは既に刀を振り上げようとしていた。

空中では体は自由に動かず先ほどのような回避はできない

誰もが見ても絶妙の距離、タイミングで放たれた不可避の一撃

 

 

突如彼の短剣がソードスキル《ラピッドバイト》のエフェクトライトを放ち爆発的に加速した

 

 

戦場ーーこと一対一の戦闘中での隙というのは死を意味する。

それはなりたての新米兵士から歴戦の武人全てに当てはまる。

故に誰もが隙を出さないように警戒し起こりうる最悪のケースを考え、目の前の状況に対応する。

しかしどのように警戒していてもとある場合において隙は出てしまう。

それは『攻撃を敵に当てる途中及び当たる瞬間』である。

単純、誰もが知る当たり前のこと。

多くの強者、つまり戦いをよく知る者は『後の先』ーー相手の行動を見てカウンターを決めるーーを理想とする。

 

 

故にヴァサゴ(戦いを知る人間)はあえて敵に必中となるであろう隙を見せ案の定敵は完璧な攻撃(致命的な隙)放った(晒した)

 

言うは易し、行うは難し。

 

空中でソードスキルを放つ為に回る姿勢の維持する体幹とバランス感覚

自分と敵及びソードスキルによる加速でギリギリ避けれる位置関係を完璧に把握する空間認識能力

そして少しでも噛み合わなければ失敗する事を前にして冷静にいる精神力

 

これら全てが揃っている彼だからこそ可能な芸当である。

 

 

それでもボスの体力をゼロにするには届かなかった。しかし彼は慌てない

 

「決めろよお前ら」

 

ずっと相手をしていたことでボスのヘイトはPoH一人に集まっていた。

だから気づかなかった。

後ろから接近するユウキ達に

 

「「「ハアアァァァ!!」」」

「グオオアァァ!?」

 

女性陣による不意の高速の斬撃を全て受け大きく怯む、がまだ一押し足りなかった。せめて道連れに、とも言わんばかりの力任せの一撃を放とうとする。

 

しかしそれは叶わなかった。

 

彼女達の後ろの陰から現れた最後の剣士による二連撃《バーチカルアーク》は体を引き裂き小鬼の王はまるで散桜の蝶のように消えた

 

congratulation!

 

その文字が空中に映し出される。数瞬おいて全員に第一層をクリアしたという実感が徐々に湧き上がりそれは歓声となって部屋に響き渡る。

ユウキと珍しくランも飛びついてくる。

 

「やった、やったよ…漸く第一層クリアだ!」

「えぇ…これで帰るための希望が持てるわ!」

「そうだな、それにしてもよく頑張ったじゃないか。大活躍だな」

「それはあんただろう」

 

すると広場でキバオウを論破し、ボスの攻撃の多くをパリィしていた黒人とディアベルがいた

 

「俺の名はエギル、今回のMVPは100パーお前さんとその班だ」

「俺も異論はないよ、それとさっきは助かった。君が蹴ってくれなかったら今ここにいなかっただろうからね」

「生きてて安心したよ、それよりもなんであの時一人で突撃したんだ、お前は全体を広く見えるほど冷静だっただろう?」

 

ユウキやラン、アスナ、それにエギルも違和感を感じていたようだがキリトだけは何か確信があるような感じだ。その言葉にディアベルは少し俯いたがすぐに意を決して

 

「ラストアタックボーナスは分かるか?」

「トドメを刺したプレイヤーにのみに与えられる唯一の強力なアイテム、これを知ってるってことはディアベル、アンタβテスターだな」

 

ディアベルの問いにキリトが答えゆっくりと頷く。

 

「このゲームをクリアするにはあと99回もこれ以上の極悪なボスに勝たなきゃいけない。その間多くの人が絶望せず生きていくためには帰れるという希望がいる。けど攻略の最前線にいる彼らが効率よく、なおかつ安全に着実にクリアまでにたどり着くにはリーダーが必要だと思ったんだ。それには周りより強くないといけない…」

 

彼は覚悟を決めたような力強い雰囲気を醸し出している。

しかし次の瞬間柔和な笑みを浮かべた。

 

「けど君らを見て思ったんだ。自分よがりじゃなく相手を信頼するってこともあるんだってね…礼を言いたい、ありがとう。あと迷惑をかけた、すまなかった」

「気にするな」

 

実際のところ、彼は100%善意で助けた訳でない。

ディアベルは物事を客観的に俯瞰に長けカリスマもある。さらに荒削りではあるが指揮も良くできている。

彼を失うことは士気の大幅な低下と攻略の足並みが揃わなくなり元来嫉妬深いゲーマー達によるいざこざが起きる可能性が非常に高い。

そして結果的にユウキ達をより危険に晒すことになる。

 

しかしそんなことを口にすれば非常に面倒になるのはわかっているので心に留めておく。

その後ディアベルとエギルをフレンドに登録して次の街のアクティベートに向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そーいえばお兄ちゃん、ディアベルさん蹴っちゃったけど街に入って大丈夫なの?」

「………しまった」

 

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