なぜかって?まんまこのキャラなのが原作にいるから。
なので続くかが微妙。まあリハビリなのでごめんなさい。
No.1ヒーローオールマイト。
年齢不詳、“個性”不明という経歴ながらヒーロー界に颯爽と現れその圧倒的な実力で不動の人気を誇る存在。
彼の登場以降深刻だった
そしてその男が俺に言った。
“君はヒーローになれる”と。
そして俺は自分自身に約束した。
“俺はヒーローになる”と。
いくつもの罵声を実力でねじ伏せてきた。半端な“個性”よりも強い肉体を得るために必死で鍛えてきた。誰よりも素早く判断するためにヒーローと
これまで誰かに言ってほしかったその言葉を、よりによって憧れのヒーローから言われるという栄誉。
しかし涙すら流す衝撃は、更なる衝撃で上塗りされた。
「君なら私の“力”、受け継ぐに値する!!」
もう何度目かわからない沈黙が、俺の全身を支配した。受け継ぐ? オールマイトの力を?
呆然としていたのだろう。オールマイトは笑いながら、俺に「これは提案だ」と示してきた。
「私の“力”を、君が受け取ってみないかという話さ!!」
自分の中の冷静な部分がある可能性に至る。だが、そんなまさかと考える理性がそれを否定する。有史以来、そんな“個性”は一度も確認されなかったはずだ。
オールマイトの話は続いた。
「私の“個性”の話だ少年」
オールマイトの口から初めて語られる自らの“個性”。
これまで写真週刊誌を始め科学雑誌にすら取り上げられてきたオールマイトの“個性”。
一種の増幅系“個性”だろうというのが一般的な見方ではあったが、彼はそれをことごとくジョークで濁してきた。
彼が言うには、オールマイトは、“平和の象徴”はナチュラルボーンヒーローでなければいけないかららしい。
確かに、そういった考察もあった。彼の“個性”は彼だけが生まれながらに持っていた奇跡の“個性”だと。
「私の“個性”は、聖火の如く引き継がれてきたものなんだ」
自分の中である仮説が込み上げる。それは、あるワイドショーでなんとはなしにコメンテーターが言った一言。
──まるで彼の“個性”は複数の“個性”が組合わさったかのようだ──
という言葉。
オールマイトは語る。自らの“個性”は“
その名もワン・フォー・オール。
「一人が力を培い、その力を一人へ渡し、また培い次へ……そうして救いを求める心と義勇の心が紡いできた力の結晶!!」
なんと壮大な“個性”だろうか。となれば、オールマイトが有する“
文字通り連綿と、その想いと共に受け継がれてきたものなのだ。
「元々後継は探していたのだ……そして君になら渡しても良いと思ったのさ!! 無個性であった君が、あの場の誰よりもヒーローだったからだ!!」
次々と自身を焚き付ける言葉が投げつけられ、思わず体の内側に熱が籠る。しかしこの期に及んでオールマイトは俺次第だと言う。どうするかだって? そんなものは決まっている。
「お願いします……!!」
俺はオールマイトに負けじと目に力を込めて、彼の提案に乗っかった。
「即答。そう来てくれると思ったぜ」
嬉しそうなオールマイトの様子に、俺も自然と笑みがこぼれた。
◇▫️◇▫️◇▫️◇▫️◇
そして二日後の朝6時。俺は市営多古場海浜公園へと来ていた。
「ぬうぅッッ……!!」
オールマイトの乗った大型冷蔵庫が、ゆっくりとではあるが動いていく。
「ヘイヘイ何て座り心地の良い冷蔵庫だよ!」
とはいえその程度ではオールマイトのお眼鏡に叶うわけもなく、俺は敢えなくその場に転がる。
「まあちょっとずつではあるが動いたからね! ちょっとは楽だよHAHAHAHAHA!!」
全身の力を使っては見たが、自身の身長よりも大きな冷蔵庫にプラスしてオールマイトが乗っているのはさすがに動かすのが精一杯だった。
「ふぅっ、274㎏でしたっけ? 体重」
「いーや痩せちゃって255㎏。この姿だと」
「……オールマイト、これってもしかしなくても“テスト”ですか?」
「オフコース! まあ多分受け継ぐ分には君の体は十分さ。だけどね、そんなもんで満足してもらっちゃ困る!!」
オールマイト曰く、ワン・フォー・オールは並みの人間では受け取りきれず、生半可な身体では四肢がもげ爆散してしまう危険性があるらしい。
俺の身体は受け継ぐ分には問題ないとのことだが、どうやらオールマイトは俺のなにかを試したいようだ。
「でも、鍛えるんだったらわざわざこんな場所じゃなくても……」
「そこだ! 昨日ネットで調べたらこの海浜公園。一部の沿岸は何年もこの様のようだね」
「ああ……何か海流的なアレで漂着物が多いのと、そこにつけこんで不法投棄がまかり通ってで……」
実は俺自身何か役立つガジェットが作れないかと何度かここに足を運んだことはある。しかし所詮はゴミ。精々が壊しても問題ない廃棄物が立ち並ぶだけという有り様だった。
「最近の
オールマイトは語りながら先ほどまで乗っていた大型冷蔵庫を片手でひしゃげ押し潰してしまう。
「この区画一帯の水平線を蘇らせる!! それが君のヒーローへの第一歩だ!!」
「ま、まじすか……!」
体力筋力共に自信があっただけに、その言葉は衝撃だった。この海浜公園に蔓延る無数のゴミを掃除などと。そんなのどれだけ時間が──否、そうじゃない。
否定するのは簡単だ。拒否するのも簡単だ。だけど、ここで今オールマイトに言われてこの海浜公園の水平線を蘇らせる使命を負ったのは、この俺しかいない。
「ほほぅ、さすがのヤル気だな? 緑谷少年は雄英志望だったね」
「はい!」
オールマイトの言葉に、俺は思わず頷く。雄英はオールマイトの出身校。行くならば、ヒーローを目指すならば絶対に雄英だと思っていた。
「くー! 行動派オタクめ! しかし前にも言ったが、ヒーローは“無個性”でも成り立つような仕事じゃない。悲しいかな、現実はそんなものだ。ましてや雄英はヒーロー科最難関! つまり──」
「──入試当日まで残り十ヶ月で、この身体を完成させる! そういうことですね!!」
俺は思わず拳を握り、オールマイトと向かい合う。
「そこでこいつ!! 私考案『目指せ合格アメリカンドリームプラン』!!」
ビシィ! とオールマイトが取り出したのは食事から睡眠時間までタイトに記入された数枚の紙。それは俺がこれから過ごす日々が一週間刻みで綿密に記入されていた。
「ぶっちゃけ超ハードこれ。ついてこれるかな!?」
「そりゃもう!! こうなったらとことん行けるところまで鍛えてやりますよ!!」
思わず自分の天パをくしゃりとかきむしりながら、オールマイトの与えてくれた超鍛練プランに目を通した俺の表情は笑顔に染まっていた。
◇▫️◇▫️◇▫️◇▫️◇
海浜公園に運び込まれた廃棄物、漂着物、不法投棄の品々は多岐に渡る。
それこそロッカー、各種サイズのタイヤ、車の一部等々。
これまで身体を鍛えてきた自身が、僅か一週間で無くなった。
こんなにも鍛えていない筋肉があったのかと、筋肉痛に喘ぎながら最近は驚きの毎日を過ごしている。
オールマイトは俺の体力を計算し、ギリギリでスケジュールを組んでくれている。だが、俺は思った。これで足りるのかと。
入試一週間前には完成しているのが理想だろう。となると残り294日。筋肉の超回復を考えれば二日程度をインターバルとして考えて、実質トレーニングできるのは約98日。朝と晩で約5時間のトレーニングだから490時間。
ダメだ。それだけじゃダメだ。俺が受けとるのは受け継がれてきた聖火の灯火。
正義と平和の象徴、その“個性”。それを
もっとだ。もっと鍛える時間を増やさなければ。
教師が何か言っているが、俺の耳には届かないし正直邪魔なだけだ。かっちゃんがこちらをチラチラと見ていたが、今は彼女よりも特訓プランだ。
◇▫️◇▫️◇▫️◇▫️◇
ホイールが着いたままのタイヤを起こし、転がして運ぶ。
放置されぼろぼろに錆びた軽トラックを後ろから押し、無理矢理砂の上を進ませる。
雨水の入ったおよそ200㎏のドラム缶を担ぎ、入り口まで次々と運んでいく。
体力には自信があると言ったが、すでに何度も挫折していた。
鍛えていて吐くことなどしばらくぶりのことだった。
それでも意地で身体を動かし、オールマイトが用意してくれたトラックへとゴミを運んでいき、時には彼と一緒にマラソンをしてスタミナを鍛える。
すでにオーバーワークによって身体の限界は近い。無理に動かしても筋肉は超回復せず、逆に痩せてしまうことは知識にあったが、それでも俺は動かずにはいられなかった。
しかし俺の表情などから俺の様子を観察していたのだろう。ある日、オールマイトは俺の前に立ちはだかり断言した。
「君、プラン守ってないだろ」
その通り。睡眠時間は削ってるし、食べる量だって減りつつある。
合格したくないのか、とオールマイトは言う。
「……したいですよ、合格。でも、入るだけじゃダメなんです……! 俺は“ヒーロー”になるんです……! あなたみたいな、最高のヒーローに……!!」
言って、よろめく俺の身体をオールマイトが受け止める。
「やれやれ、見据えていたのは遥か先!! ってか!!」
オールマイトは笑いながら、へばる俺を担いで笑う。プランを調整しようと言いながら。
◇▫️◇▫️◇▫️◇▫️◇
そして入試当日朝6時。
俺は、一台の軽トラックを
「水平線、お待たせしました……!!」」
「君ほんとに“無個性”なんだよね……?」
思わずオールマイトがそう訪ねるのも無理はない。正直俺もそう思うからだ。
オールマイトに鍛えられた俺は、まるで殻を破るようにその力を増しつつあった。思わずオールマイトが“個性”を疑ってしまうほどに。
だが俺が“無個性”なのは本当だ。幼い頃に診断されたし、何より“鍛えた結果を強化する“個性””など聞いたこともない。
なぜなら“個性”は全て結果だ。超常現象を作り出しこの世にあり得ざる結果を残す“個性”は全てなにかしらの結果を伴う。パワーを蓄積するとかならまだしも、徐々に肉体を変化成長させていく“個性”などは存在しない。
とはいえ、1トン近い軽トラックを持ち上げることが出来るようになったのには驚いたが。
「人類の限界を超越してやるって自負はありましたけど……たしかにこれはちょっと異常ですね」
「いやまあ別に限界を超越ってほどじゃないかな。私も全盛期は“個性”なしでそれくらいできたし」
「はあ!?」
さらりと語られたオールマイトの超パワーの一端。彼の持つ“個性”ワン・フォー・オールは受け継がれ重ねられてきた超パワー。なるほど、天候を変えるほどの力があるわけだ。
「でもまあまさか、いきなりワン・フォー・オールを使いこなせるかもしれないだなんてね!!」
「
「身体はね! あとは
オールマイトの言葉に俺は気づく。そうだ、これほどのパワーをもし並みの耐久力の相手に使えば……。
「お、どうやら気づいたようだね! いやあ、私もワン・フォー・オールを受け継ぐのに鍛えてた頃は手加減を散々仕込まれてね! 0.0001%の誤差で超パワーを制御しろとかもう正気の沙汰ジャナイヨネ!!」
何かトラウマを思い出したのか、オールマイトは吐血しながら力強く語った。そうか、それもそうだ。彼の力が受け継がれてきた
「……つまり、雄英に通ってからはパワーを制御するのがメインになる、ということですか」
以前よりも太くなった腕を構え拳を握って自問自答する。オールマイトから受け継ぐのは正しく超パワー。かつてのオールマイトでそれだけのことができるというなら、彼のパワーをも受け継いだ俺はもはや並ぶもの無しの超パワーを得ることになる。
扱いを誤れば、どんな相手をも殺しかねないパワーを。
「怖いかい?」
「……はい」
「なら、その恐怖を忘れないことだ。恐怖を忘れればどんな無敵のヒーローだって簡単に死んでしまう。そして恐怖に打ち克つ為に、君も笑うんだ! 見る者全てに安心感を与えるようにね!!」
「……はい!!」
先達の言葉。それは何よりも重い。オールマイトのフォロワーとして、ヒーローを見てきた者として、彼らが常に栄光にまみれてきたわけじゃないのを俺は知っている。
犠牲を止められないこともあった。結果的に
それは時としてヒーローの矜持を奪い、彼らの心を蝕み、やがて自分自身を失わせてしまう。
誰よりも強いという自負。No.1という座は、伊達ではない。
「さ、話はここまでだ。そろそろ一度家に帰らないと間に合わないよ」
「わかりました!」
話し込んでいたら時刻は朝の六時半。ヤバイ。だが何か忘れているような……?
「あ、“個性”の譲渡忘れてた!!」
「それだ!!」
てんやわんやで大騒ぎしながら、俺とオールマイトは無事“個性”の譲渡をすることができた。
誤字が多かったり訂正されないのはそういう理由なのです