魔破竜人リントヴルム 第2部   作:魔破竜人リントヴルム製作委員会

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聖槍!白銀鏡の騎士(後編)の結末

 

ヒエロニムスマシンを九頭龍研究所に移送し、解析を進める九頭龍博士。どうやらこのヒエロニムスマシンのエネルギー波は数秒だけだが並行世界と繋がる力を持っていたようである。時空を歪ませるほどの力を持つエネルギーはやはり危険であると九頭龍博士は真戸野博士に説明するが、真戸野博士はま納得いかない様子であった。

 

真戸野「あなた方が危惧するのはわかる。だが、ここで発明を中止するのは科学者としてだな…」

ヴィヴィル「お言葉ですが、この発明はいつか必ず恐ろしいことを引き起こしますよ。」

 

しかし、ここで事件が発生。何とアンドリルウスが警視庁に出現し、警察官を襲い始めているという。急いで宗麟はリントヴルムに変身して現場に向かう。だが、リントヴルムが目の当たりにしたのは3m以上に巨大化し、ケンタウロスのような身体になった「アンドリルウスW」だった。リントヴルムはファフニールフォームに変身してこれを迎え撃つが、アンドリルウスWのドリル型ミサイルはダイナマイトでも壊せないファフニールフォームの装甲を砕いてしまう威力であった。尋常じゃない強さの連続攻撃についにリントヴルムは変身解除に追い込まれてしまった。しかし、アンドリルウスWは突然跳躍し、どこかへ去って行った。

 

宗麟「あいつ…なぜとどめを刺さなかったんだ?」

九頭龍博士「どうやら奴は織田川の復讐心が原動力となっている。警察に復讐した後に向かうのは…」

ヴィヴィル「織田川は家族に縁を切られたということがわかってるわ。つまり、次は実家に向かったに違いないわよ。」

 

ヴィヴィルの予測通り、アンドリルウスWは織田川の両親が住んでいる住宅街へ向かっていた。宗麟一行はそこへ先回りし、さらにヒエロニムスマシンとそれを相殺する装置を持っていく。2つのマシンを向かい合わせて九頭龍博士はこう言った。

 

九頭龍博士「この戦いは現時点では勝つことは難しい。そこで、もう一度並行世界の入り口を開くことにした。そうすれば、アンドリルウスがパワーアップしたようにリントヴルムもパワーアップできるかもしれない。」

クシナ「今はそれにすがるしかないわ。成功する保証はないけど…」

 

九頭龍博士とクシナは2つのマシンを起動させる。しかしその時、アンドリルウスWがやってきた。宗麟はリントヴルムバハムートフォームに変身するも、現在の最大戦力であるバハムートフォームですら防戦一方に追い込まれてしまう。このままでは決定打を与えられないまま時間切れになってしまう。その時だった…

 

ヒエロニムスマシンとそれを相殺する装置のエネルギー波がぶつかり並行世界の入り口を開けた。だが、そこから現れたのは白銀に輝く騎士であった。そう、それこそ宗麟があの時に見た並行世界の英雄『ナイトユニコーン 』であった。皆があっけにとられる中、ナイトユニコーンは真っ先にアンドリルウスWに向かっていき、体当たりでアンドリルウスWを横倒しにする。反撃のミサイルの乱射も素早い動きでかわし、一気に距離を詰めて槍の一撃でアンドリルウスWの胴体を貫いた。これがナイトユニコーンの必殺技「ユニコーン・ギャロップ」である。完全にグロッキー状態になったアンドリルウスWは駄目押しと言わんばかりにバハムートフォームの必殺技「ドラグーンブレイブブラスター」で大爆発を起こした。

 

宗麟「君は…あの時の…そうか!アンドリルウスがパワーアップした原因の謎の粒子を追ってきたんだな?」

 

ナイトユニコーンの世界では『エビル・マシン』という悪のロボットが存在している。そのエビル・マシンの一機である『アンドロマリウス』がナイトユニコーンとの戦いで破壊された際に漏れ出たエネルギーがこちらの世界へヒエロニムスマシンによって開かれた時空の歪みを経由してアンドリルウスと融合したのだという。ナイトユニコーンはそのアンドロマリウスの発する特殊な波長を追ってこの世界にやって来たのであった。

 

織田川「くそ…ならば龍崎 宗麟!貴様だけでも消してやる!」

 

往生際悪く織田川はまたヒエロニムスマシンを奪い、最大出力に上げて宗麟を狙う。その時、ヴィヴィルが叫んだ。

 

ヴィヴィル「宗麟!あの壁の後ろに隠れて!」

 

そこにあった壁には九頭龍博士がヒエロニムスマシンの調整をしている間にヴィヴィルが貼り付けた板があった。宗麟は急いでその壁の裏に入る。すると、ヒエロニムスマシンのエネルギー波をヴィヴィルの貼り付けた板が反射した。実はこれはかつてEXゲノム魔獣『ベルゼブブ』と戦うために使用した「特殊反射板」であった(※魔破竜人リントヴルム第1部14話参照)。ヴィヴィルは事前にそれを用意していたのであった。反射されたエネルギー波は…織田川に直撃した。ヒエロニムスマシンの力で身体がどんどん消滅していく。

 

織田川「なぜだ…なぜだ…なぜだ!どうして俺はこんな終わり方しかできないんだ!俺は結局利用されて終わるのかああああ!」

 

悲痛な絶叫の末、身体がすべて消えてしまった。後には何も残っていない。

 

九頭龍博士「これで分かりましたかな、真戸野博士。ヒエロニムスマシンはこのように人間1人消すことができる機械だ。私はやはりこれは封印すべき発明だと思う。」

 

真戸野博士は織田川が消滅した瞬間を見ていたため、首を縦に振るしかなかった。

 

宗麟「ナイトユニコーン…君のおかげで助かった。感謝するよ。そうだな…もしも君の世界が危なくなったら、今度はリントヴルムが助けに行くぜ!」

 

ナイトユニコーンは無言で力強く頷く。やがて九頭龍博士と真戸野博士がそれぞれの装置を起動させ、再びエネルギー波をぶつけ合わせる。空間が歪み、並行世界の入り口が開く。ナイトユニコーンは悠々とその中に入っていった。

 

宗麟「ありがとう、ナイトユニコーン!」

 

世界を超えたヒーローの共闘。それは住む世界は違えど正義はひとつである。そのようなことを体現した戦いであった。

 

 

バイラノス「あーあ、織田川君はやっぱり失敗したか。まあ、戦闘力は悪くなかったが計画性がない上に精神力は問題外だ。所詮は未知なる力の奴隷だったわけだね。やれやれ、とんだハズレくじを摑まされたものだ。」

 

警視庁の建物の屋上で織田川が戦死した訃報を聞いたバイラノスはため息をつきつつ、空を見上げたのであった。

 

(完)

 

 

 


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