魔破竜人リントヴルム 第2部 作:魔破竜人リントヴルム製作委員会
子供達の野球クラブの練習場を煉光財閥の買収から守るために宗麟はチーム集めと監督探しに奔走する。とりあえず、事情を研究所で話すが、研究員の中に野球が得意な知り合いはおらず、さらにはバイラノスの約束した期限は2日後のため、呼べてもここに来れるかわからない状態である。そこで九頭龍博士とヴィヴィルが宗麟のチームに入ると名乗り出てくれた。さらに話を聞いたヴァネッサと紅鬼と蒼鬼も手を挙げたため、これで一気に6人揃った。そこに偶然研究所へやって来ていた美沙子も協力を申し出る。これで後2人となった。
クシナ「じゃあ、私は応援ね。チアガールにでもなればいいかしら?」
博士「いや、クシナ君。あと2人必要だから君も出てくれ。」
宗麟「確かに。てか、おばさんのチアガールとか誰得なんだ…痛い痛い!」
クシナ「私はまだ27よ!」
宗麟は足を思い切りクシナに踏まれた。しかし、クシナも博士の頼みなら断れないという理由でチームに入ることになった。そして、あと1人…その時だった!
辰弘「話は聞かせてもらった!俺をチームに入れろ!」
宗麟「お前、何で生きてんだよ!?」
辰弘「ギャグ補正だ…と言いたいところだが、あの世からお前達の様子を見ててな。居ても立っても居られなくなった。」
宗麟「死んでからさらに丸くなったな…」
ヴァネッサ「貴方が初代リンドレイクか。よろしくお願いしよう!」
とんでもないところで新旧リンドレイクが出会ってしまったが、とりあえずこれで9人揃った。次は監督を探す宗麟。すると、知り合いに1人できそうな人物を見つけてアポを取った。彼女の名は…「深郷由希菜」。フェスタのアイドルの1人だ。
宗麟「由希菜!君に野球チームの監督を頼みたい。全員、野球はど素人だけどうちのチームはただの人間だけじゃなく、ロボット工学の権威から超能力者、宇宙人、人造人間、幽霊までいるぜ!」
由希菜「わぁお!どこぞの女子高生が喜びそうなメンツがいるよ!?宇宙人、人造人間、超能力者以外興味ありませんって言われちゃうよ!?」
最初は由希菜も「野球は走る以外できない」と消極的だったが宗麟は何とか頼み込み、由希菜にこのカオスなチームの監督になってもらった。かくしてここに恐るべきドリームチームが完成した。
宗麟「チーム名はどうしようか?」
辰弘「やはりここは竜人がたくさんいるから…」
ヴァネッサ「『ドラ○ンズ』でどうだ?」
蒼鬼「いろいろ問題になりそうだからやめてくださいよ、姐さん…」
とりあえずチーム名は「アース・デルミエンズ」に決定した。地球とデルミエン星人の共同チームという意味合いだ。そして、2日間みっちりした練習が始まった。と言っても全員ほぼ野球はど素人のためルールを覚えるのに1日かかり練習できたのはたった1日だけだったが。
そして迎えた試合当日。だが、煉光財閥は何と社内に野球部がある。つまり社会人野球チームが相手というのだ。しかも、そのチームにはプロに行けそうな人物も何人かいるらしいのである。早くも不安を覚える由希菜監督だが、キャプテンの宗麟は絶対に勝つと闘志を燃やしていた。いよいよ試合開始を告げるサイレンがなぜか子供野球クラブの練習場に鳴り響く。無駄に本格的であった。審判のバイラノスがプレイボールを告げ、1回の表は煉光財閥野球部の攻撃から始まった。ピッチャーは何と美沙子である。美沙子は球速は70kmも出ていないが持ち前のテレキネシスを活かしてボールの動きを操り、カーブ、シュート、フォーク、スライダーにスプリット、さらにナックルボールまで投げ、相手バッターを大いに惑わせた。ただ、やはり美沙子は野球未経験のため、ボールを曲げ過ぎてフォアボールになってしまったり、球速が遅すぎるために挙動を見切られて打たれたりもしてしまった。しかし、それをフォローしたのが守備陣である。ショートの宗麟はゴロを確実に取って捌き、センターの紅鬼は自身の怪力を活かしてレーザービームのような送球を見せる。そしてセカンドの蒼鬼は槍を伸ばしてボールを突き刺してフライをキャッチする…
由希菜「それはさすがに反則なんじゃないの!?」
蒼鬼「でもルールには『槍を所持してはいけない』とは書いてなかったぞ?」
由希菜「誰も使わないからだよ!」
しかし、審判のバイラノスは『デルミエン星人は常識にとらわれてはいけない』という意味不明な判定を出し、蒼鬼の槍の所持、使用を認めた。だが、終わってみれば失点は1点となかなかに健闘した。
さて、お次は1回の裏、宗麟達の攻撃である。1番バッターは何と九頭龍博士だった。
由希菜「博士は野球できるんですか?」
博士「何、安心したまえ。私の発明したこの『AIで球種やボールの動きを分析して自動でスイングするバット』があれば大丈夫だ。」
宗麟「ド○えもんの道具みたいだな…」
博士「さらに足にはホバークラフト機能が付いたスパイクを履いている。これがあれば…」
宣言通りに博士はボールを打ち返す。しかし、走ろうとしない。だがその直後、ホバークラフト付きスパイクが起動し、博士は空中に浮いたまま一気に一塁へ進む。
宗麟「すげえ!これなら走らずに済むな。」
ところが判定はタッチアウトであった。
博士「なぜだ!?ちゃんと一塁に行ったではないか!」
バイラノス「いや、あんた地面から数ミリ浮いてるからベース踏んでないじゃん。」
博士「しまった!!」
由希菜「発明品はすごいけど野球が何かがまずわかってなかったね…」
二番バッターはヴィヴィル。しかし、相手ピッチャーが投げ方を誤り、ボールはヴィヴィルの身体目掛けて飛んで来る。通常ならデッドボールだがヴィヴィルは反射的にバリアを展開したため、ボールがバリアに跳ね返されて外野まで飛んでいった。思わぬ事態にてんてこ舞いになる守備陣を横目にヴィヴィルはダイヤモンドを全力疾走。三塁まで到達した。
ヴィヴィル「すごいわ!私が身体にバリアを張ったからデッドボールがスリーベースヒットになったわよ!」
由希菜「どっちにしろヴィヴィルちゃんの大切な体に当たりそうになってる時点でアウトだと思うな、俺は!?」
そんな監督のツッコミを余所に次の三番ヴァネッサはヒットを放ち出塁。さらに四番の紅鬼は怪力を利用してセンター前ヒットを飛ばして見事に1点を返すことに成功し、1回の裏は終了した。
宗麟「さあ、ここでGame highlight!番組の尺の都合で2回以降はダイジェストにさせてもらうぞ。」
由希菜「メタ発言は自重しようよ…」
まずは辰弘が何と二打席連続ホームラン。しかし、その後、警戒されてしまい、次の打席では敬遠されてしまう。その態度にブチ切れたのかヴァネッサからパワードスーツを引ったくり、リンドレイクに変身し、ピッチャーに向かう。慌てて宗麟がリントヴルムに変身して止めに入り、何とか死人が出かねない乱闘は阻止された。
そして昼休みにクシナが一言もらしたのは…
クシナ「あいつら本当に鼻に付くわね。相手チームのドリンクに筋弛緩薬でも混ぜてやろうかしら?」
博士「早まるなクシナ君。」
由希菜「それって完全に悪の組織の手口だよ。」
さらに午後からの回では今度は紅鬼がデッドボールを食らい、キレた紅鬼がピッチャーに迫る。しかし、ここで蒼鬼がヴィヴィルとヴァネッサと美沙子にクシナがなぜか持参して来たチアコスを着るように指示。そして、3人は紅鬼の前でセクシーポーズを取る。すると、紅鬼は一気にデレデレ鼻の下を伸ばして落ち着いたのであった。
由希菜「紅の人単純過ぎだね。てか、1試合で2回も乱闘起こるなんてそうそうないよ…」
そしていよいよ試合は9回の裏を迎える。泣いても笑ってもアース・デルミエンズの最後の攻撃である。現在の点数は10対8と2点差で負けている。この回で何としてでも2点以上は取らなくてはならない。ところがここでアクシデントが発生した。
博士「大変だ!次のバッターの美沙子が試合中ずっと超能力を使っていたからぶっ倒れてしまった!」
宗麟「どうしよう…俺達はギリギリ9人しかいないからな…こうなったら最後の手段!ピンチヒッターを呼ぼう。由希菜、打席に立ってくれ!」
由希菜「ちょおっ、俺もできないって言ったよね!?ボールに当てることすらしたことない人にやらせるって結構だけど今更か知ってた!」
博士「安心しろ。君にはさっき使った私の発明品、AIバットとホバークラフト付きスパイクを貸してやろう。」
最初は自信なさげだった由希菜だが、博士が盛り上げるために登場音楽を流してくれた(BGM:巨人の星のOP)それで少し背中を押された由希菜が相手チームに向かって叫ぶ
由希菜「俺がアース・デルミエンズ、監督!深郷由希菜である!!」
宗麟「なんかいろんな漫画が混ざってんな…」
AIバットの力はてきめんであり、ちょうどいいタイミングでボールを打ち返した。さらに由希菜はホバークラフト付きスパイクを巧みに操り、何と二塁まで走塁に成功した。だが、次のバッターの博士は普通のバットを使ったため、三振。続くヴィヴィルもフライを取られてアウトになってしまい2アウトと追い詰められてしまった。かなりピンチな状況となってしまう。
ヴァネッサ「こういうのを何と言うんだっけか?確か蒼鬼に教えてもらった言葉で…あ!『ハイサイのジン』だったか?」
蒼鬼「沖縄のお土産にありそうなお酒になってますよ。それをいうなら『排水の陣』でしょ…」
しかしながらそんな大ボケをかましたヴァネッサはヒットを放ち、塁に出た。さらにここで紅鬼がバッターボックスに斧を持って立つ。
由希菜「だからそれは反則じゃないのかな…」
紅鬼「だけどルールには『斧を持ち込んではいけない』とは書いてないべ。」
結果、斧はバイラノスの温情判定でギリギリOKになった。しかも紅鬼は斧でバントした。四番がまさかのバントという前代未聞の状況に意表を突かれて相手の送球が遅れてしまい、紅鬼はセーフとなった。ついに迎えた最終回2アウト満塁。打席に立ったのは…宗麟だった。
宗麟「俺は絶対にホームランを打ってやるぜ!」
ピッチャーが振りかぶり、第1球…投げた!
宗麟「DraGO!リントヴルム!」
何と宗麟はスイングをする直前にリントヴルムに変身。そのリントヴルムの2トンの威力のパンチを放てる腕力で…ボールを場外へ運んだ!
宗麟「やったぜ!逆転満塁サヨナラホームランだ!」
逆転勝利でゲームセットととなり、宗麟達は勝利を喜んだ。さすがにこの結果には納得いかないと相手チームから抗議があったものの、バイラノスの「ならこの面倒くさい試合をもう1回やり直すか?」と言われたため、煉光財閥野球部は馬鹿馬鹿しくなって帰ってしまったそうだ。
宗麟の提案でチーム全員で記念写真を撮ることになり、監督の由希菜をセンターに皆が集まった。
ヴィヴィル「辰弘、死んだ貴方が写ってたら心霊写真にならないの?」
辰弘「余計なこと言うんじゃねえよ。」
かくして野球大会はこれにて幕を下ろした。これは果たして夢なのか。夢としたら誰の夢なのか。だが、そんなことも気にならないほどの楽しい時間が流れていた。
(完)
●ざっくりとしたスタメン紹介
一番 キャッチャー 「九頭龍真太郎」…ご存知九頭龍博士。発明品や明晰な頭脳で皆をサポートするが野球ルールがイマイチ理解できていない
二番 レフト 「ヴィヴィル」…バリアが使えるためデッドボールがヒットになり、タッチアウトが無効である
三番 サード 「ヴァネッサ」…身体能力が高いため攻めてよし、守ってよしの万能選手
四番 センター 「紅鬼」…持ち前の怪力で剛腕を誇る。しかし、キレやすいのが欠点
五番 ショート 「龍崎 宗麟」…主人公らしく安定した活躍を見せる
六番 セカンド 「蒼鬼」…九頭龍博士とは違う意味で頭が切れる策略家
七番 ファースト 「夜刀 辰弘」…初代リンドレイク。体は死んでも運動神経は死んでない
八番 ライト 「櫛田 七海」…クシナさん。外野は楽そうだからという不純な動機でライトになったらしい
九番 ピッチャー 「美沙子」…ある意味一番このチームで身体を張って勝利に貢献した人物
監督 「深郷由希菜」…時にツッコみ、時にボケる、人情味あふれる監督兼選手
審判 「バイラノス」…なぜかデルミエン星出身の人物を贔屓していた。いわゆる奈良判定ならぬ「デルミエン判定」だろうか