魔破竜人リントヴルム 第2部 作:魔破竜人リントヴルム製作委員会
宗麟達が南極に向かったのに対し、ヴァネッサ達は北極へ向かうことになった。だが、残念ながら九頭龍博士には北極へ行くための伝手はなく、ヴァネッサ達は定期的に北極にあるNightmare matterの様子を見に行く煉光財閥の監視船に船員に変装して乗り込んだ。
ヴァネッサ「うまく乗り込めたはいいが…行きは良くても帰りが難しいぞ…」
紅鬼「確かにそうか。Nightmare matterを持ったままじゃ監視船には乗れねえべ。」
蒼鬼「だから、帰りは最悪この船をジャックして戻るしかない。厳しい連戦になりそうだ。」
そんな話をしている間に3人を乗せた監視船は北極に到着。ヴァネッサ達は蒼鬼があらかじめ持って来た睡眠薬を船員達の飲み物に混入させて船員が全員眠ってしまった隙に船を降りてNightmare matterの隠し場所へ向かう。辺りはやはり猛吹雪であったが、デルミエン星人であるヴァネッサとゲノム魔人である紅鬼と蒼鬼には関係なく、ずんずんと地図を頼りに隠し場所へ向かう。やがて、目的地が見えて来たが、そこには案の定、見張りのネオ・キマイラが待ち構えていた。しかも、3体もいる。サーベルが武器の「オーガサーベル」、大きな盾を持つ「オーガシールド」、身体中に回転カッターを持つ「オーガギロチン」と紅鬼や蒼鬼と同じ種類の敵だった。
オーガシールド「良く来たな、リンドレイク…それに貴様らは我々の同族か。」
オーガサーベル「同じシリーズだからって敵ならば容赦はしない。我々は最新型だ。旧型に勝ち目はない。」
オーガギロチン「リンドレイクも時代遅れのオーガもまとめてズタズタにしてやらぁ!」
3対3の戦いがついに幕を開けた。ヴァネッサはリンドレイクに変身し、オーガサーベルに立ち向かう。紅鬼の変身したオーガアックスはオーガギロチンに、蒼鬼の変身したオーガランスはオーガシールドにそれぞれ挑みかかった。互いに譲らぬ一進一退の攻防が続く中、最初に動きがあったのはリンドレイクであった。オーガサーベルの突き出したサーベルにジャンプでかわした後に足を巻きつけてオーガサーベルの顔面に蹴りを入れた。リンドレイクはオーガサーベルが怯んだ隙に必殺技の「ドラグーンダークネスブレイク」を繰り出し、オーガサーベルを撃破した。
一方のオーガアックスはオーガギロチンのカッター攻撃に苦戦していた。斧は振りかぶる隙が大きいため、隙間からカッターで斬られるために相性が悪かった。しかし、オーガアックスは何と武器の斧をブーメランのように投げる。だが、オーガギロチンにかわされてしまい、丸腰になってしまう。ところが油断したオーガギロチンをオーガアックスは懐に入り込んで背負い投げを決めた。カッターで背中から出血したものの、敵の意表をつくには十分であった。面食らったオーガギロチンは態勢を立て直そうとするが…後ろから飛んできたオーガアックスの斧がクリーンヒットし、そのままがっくりと崩れ落ちた。
紅鬼「前にオラが食らったヴィヴィルと美沙子ちゃんの作戦を参考にしてみたべ。うまくいって良かっただ。」
そして、オーガシールドは神妙な面持ちで2人の戦場を見ていた。
オーガシールド「何、あの2人が負けただと?仕方あるまい。ここは私が仇を…」
蒼鬼「待てよ…俺はまだ負けてないぞ。」
そこには目元から血を流すオーガランスがふらつきながら立ち上がった。
オーガシールド「何だ。まだ生きてたのか。まあいい。貴様の負けだ。貴様はエラクレル帝国のゲノム魔人だろう。同郷のよしみで命だけならば助けてやろう。」
蒼鬼「いや、死ぬのはお前の方だ。仕方ない。できればこの手は使いたくなかったんだけど…お前に教えてやろう。実は俺は…」
オーガシールドはオーガランスから語られた衝撃の発言に思わず盾を落としてしまった。
オーガシールド「貴様…ハッタリだとしてもタチが悪いぞ。」
蒼鬼「いいや。これはれっきとした事実だ。さて、そういうわけだから死んでくれや。」
オーガシールド「ぐっ、駄目だ。今貴様に攻撃したら私が殺されてしま…うぐっ!?」
オーガシールドは戦闘態勢を解いた瞬間にオーガランスの槍の一撃で心臓を貫かれてしまい、息を引き取った。
ヴァネッサ「紅鬼、蒼鬼!無事だったか?」
紅鬼「姐御!オラは何とか勝てただよ。」
ヴァネッサ「おい、怪我してるじゃないか紅鬼。大丈夫か?」
紅鬼「何のこれしき!こんな傷は姐御がハグしてくれたら治るべ。」
ヴァネッサ「そうか。それで治るなら協力しよう。」
ヴァネッサは紅鬼の冗談を間に受けて紅鬼を抱きしめた。
紅鬼「ムハー!姐御のいい匂い…」
蒼鬼「どさくさに紛れて姐さんの胸に顔埋めようとするな。ほら、離れろ馬鹿。」
蒼鬼は紅鬼をヴァネッサから引き離す。
ヴァネッサ「お前も無事だったか蒼鬼。何だ?傷が浅いな。そんなに簡単に敵に勝てたのか?」
蒼鬼「あはは。ちょっと交渉させてもらいましてね。」
何がともあれ無事で良かったとヴァネッサは2人を称え、Nightmare matterを回収した。その時、紅鬼が何かを見つけた。
紅鬼「姐御!あそこにUFOがあるべ!?」
蒼鬼「何でこんな場所に乗り捨てられてるんだ?」
ヴァネッサ「ちょうどいい。中に入って調べてみよう。」
3人は北極の真ん中に着陸していたUFOの内部に入る。コクピットまで行くが、人気はまるでない。
蒼鬼「こりゃエラクレル帝国の技術でできた円盤だな。どこのマヌケが忘れていったか知らないが、これを操縦すれば日本までひとっ飛びですぜ。」
ヴァネッサ「よし、操縦は任せよう。蒼鬼、よろしく頼むぞ。」
紅鬼「いやー、本当にラッキーだべな。わざわざ監視船にまで戻らなくていいんだべ。」
こうして3人はUFOを発進させ、北極から一気に日本へ飛んだのであった。だが、UFOの内部には…実は1人、何者かが潜んでいた。それは…
バイラノス(ふふ、見事に計画通りだ。私がわざわざこのUFOを用意したかいがあった。私のスパイにはまだまだ生きていてもらわないと行けませんからねぇ…ヒッヒッヒ。)
バイラノスは3人がUFOを操る姿を格納庫に隠れて伺っていた。
(続く)