魔破竜人リントヴルム 第2部   作:魔破竜人リントヴルム製作委員会

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外伝最終章『神判!黙示録の龍(後編)』の結末

宗麟「博士…協力者とは?」

博士「うむ…実はかつて真戸野博士から押収した危険な発明『ヒエロニムスマシン』…このエネルギーがあと少しだけ残っていたのだ。これを以前使用した時、そのヒエロニムスマシンの力を相殺するマシンとエネルギーがぶつかり、並行世界と繋がっただろう。それを使ってみた。」

 

しかし、どの並行世界とつながるかは完全にランダムである。おそらく九頭龍博士も藁にもすがる思いで使用したに違いない。だが、引き当てたのは奇跡的にリントヴルムと面識がある人物だった。

 

博士「紹介しよう。『アーヴェント・ゾネンウンターガング』君だ。」

アーヴェント「リントヴルム…だよな?俺の世界ではリントヴルムは架空の存在で宇宙人も悪の組織もいないんだ。でもまさか本当にリントヴルムが存在する世界があるなんてな。」

 

宗麟は突然の展開に目を丸くする。そして、こう返した。

 

宗麟「待ってくれ。いくらなんでもこの戦いに巻き込むのは気がひける。今までのネオ・キマイラとの戦いとはわけが違うぜ?」

博士「落ち着け宗麟。何も彼をいきなり戦場の真っ只中に放り込むわけないだろう。今回は九頭龍研究所と治療が終わるまでの君の護衛だ。それくらいなら任せていいかと思った次第だ。」

 

それくらいならいいかと宗麟も頷く。そして、その直後、ヴァネッサが宗麟のいる部屋に入ってきた。

 

ヴァネッサ「皆、デルミエン星から人工細胞が到着した。博士、これで何とかなるだろうか?」

博士「これを使えば老化した宗麟の身体の細胞も元に戻るかもしれないな。よし、早速注入に取り掛かろう。ヴィヴィル、君に任せてもいいか?」

ヴィヴィル「任せてください。こういう事態ために医学知識を頭脳にインストールしておきましたから。医師免許はありませんが場合が場合なので!」

 

ヴィヴィルが宗麟の治療に取り掛かろうとしたその時、外で雷鳴のような音が響いた。2人以外の博士、ヴァネッサ、クシナ、アーヴェントが様子を見に外に出る。すると、空にミライザの顔が大きく浮かび上がっていた。どうやら雲をスクリーンに見立てたホログラムのようだ。

 

ミライザ「私は地球の抑止力…人類は今、懺悔の時を迎えた。自然を汚染し、多数の生物を滅ぼした罪深き生命体はまもなく地球の意思、飛竜達によって滅亡する。人類よ。この滅びを受け入れろ。かつて太古の時代、地球を支配していた恐竜のように時代が変わるのだ…」

 

そして、ミライザの顔はフッと消えた。

 

博士「何が地球の抑止力だ、侵略者め!あやつの呼び出した飛竜は人工物であるという証拠もあるのに!」

アーヴェント「こんな自作自演を許すわけにいかないな。」

ヴァネッサ「九頭龍博士。出撃の許可を。あの自称抑止力の横暴は私が止める!」

 

博士は頷き、クシナに分析させたホログラムの出元をヴァネッサに見せる。そこはかつてバイラノスがNightmare matterと一体化するために使用していた実験場の跡地だった。ヴァネッサはその情報を基に出発し、実験場の跡地に向かうこととなった。

 

クシナ「貴女1人で孤独な戦いなるだろうけど、信じてるわ。必ず勝って帰ってくることを。」

博士「我々も最大限バックアップする。頼んだぞ、リンドレイク。」

 

ヴァネッサは新しく博士が開発したマシン『スレイプニルmarkⅡ』に乗って例の実験場へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

実験場に到着したヴァネッサはその視線の先にミライザを捉えた。だが、ミライザは余裕綽々でヴァネッサに語りかける。

 

ミライザ「やはり九頭龍研究所は警戒すべき戦力だったわ。何せ一番にここを嗅ぎつけるんだもの。」

ヴァネッサ「お前は何者なんだ!何が目的だ!」

ミライザ「私はかつてデルミエン星を支配していた種族『竜牙族』。正確に言えばそのクローンね。」

 

話によればミライザはヴァネッサ達のような地球人に近い容姿のデルミエン星人が現れる数万年前に存在した種族であり、現在のデルミエン星人のように独自の文明を持っていた。しかし、環境の変化、大規模な地殻変動により絶滅した。だが何と、竜牙族の王族は死後、古墳にミイラにした死体を保存する風習があったのだと言う。

 

ミライザ「私はそのミイラから採取された僅かなDNAを元にクローンとして蘇った…まあ、生前の記憶はないに等しいけど。そして、私を作ったのは『バイラノス』様よ!」

ヴァネッサ「そうか。これですべて合点がいった。バイラノスはお前に遺志を継がせようとしているのだな。地球を征服しろと。」

ミライザ「いいえ。地球を征服するつもりはないわ…私の目的、それは私の生みの親を殺した地球人に復讐することよ!」

 

そう叫ぶとミライザは懐からスイッチのようなものを取り出す。

 

ミライザ「私のお父様…バイラノスは私に最強の兵器を遺してくれた。さあ、現れなさい…『エル・ドラゴン』!」

 

実験場の地面が裂け、その地割れの中からせり上がって来たのはシルバーに輝く鋼鉄のドラゴンを模した戦車だった。しかもその大きさはざっと100mは超えている。もはや戦艦と言っても遜色がない。ミライザはエル・ドラゴンのジャンプし、コックピットに入った。

 

ミライザ「ドラゴンで世界を蹂躙した後、エル・ドラゴンで反抗する地球人を皆殺しにするのが私の計画よ。リンドレイク、さしずめ貴女はこのエル・ドラゴンのデモンストレーションの相手ね!」

 

有無を言わせず、エル・ドラゴンは四方八方にある砲台からミサイルを発射する。ミサイルの集中放火に晒されるリンドレイクであったがミサイルの軌道を読み、何とか紙一重でかわしている。だが、爆風の威力が凄まじく早くも身体がふらついている。

 

ミライザ「ふっ、無様ね。こんな巨大兵器を相手にまだ戦おうとするなんて滑稽を通り越して哀れよ。」

ヴァネッサ「ぐっ…お前、言い回しがバイラノスそっくりだな…だが、私はバイラノスを倒した戦士…お前ごときに負けはしない!」

 

すると再びミサイルがリンドレイク目掛けて飛び交う。リンドレイクはミサイルをかわしながらエル・ドラゴンに必殺技の「ドラグーンダークネスブレイク」を叩き込む…

 

 

一方、ここは九頭龍研究所。ヴィヴィルによる人工細胞の注入は成功し、後は細胞が活性化されるのを待つため安静にしていろと博士に言い渡され、自室で横になっていた。すると、外の廊下からこんな声が聞こえてきた。

 

美沙子(九頭龍博士、大変です!今、私のテレパシーで感じとったのですがヴァネッサさんが命の危機に瀕しています!)

博士(何だと!?よし、こうなれば私もありったけの武装を集めて救出に向かおう。リントヴルムがいない今、我々が戦わねばならぬのだから!)

 

おそらく宗麟の見舞いに来た美沙子と博士のやりとりであろう。それを聞いた宗麟もふらつく身体を起こす。

 

アーヴェント「身体はいいのか?」

宗麟「まだ休むべきであるのは百も承知だ。だけど…大切な仲間が死にそうなのに寝てるだけなんて我慢できないぜ。俺は行く…ん?あれは?」

 

起き上がった宗麟が目にしたのは慌てた様子で自身の乗って来たUFOに向かうルネアの姿だった。宗麟は部屋の窓から外へ飛び出し、ルネアを追う。

 

宗麟「待ってくれルネア!君は今からヴァネッサのところへ行く気か?」

ルネア「はい。ヴァネッサお姉様がピンチとお聞きしまして。助けに行こうと…」

宗麟「ならば俺もつれて行ってくれ!頼む!」

 

ルネアはまだ安静にしていた方がいいと宗麟を止めるが、そこへアーヴェントが追いつき、「自分も一緒に行く」と所信表明する。ルネアもさすがに2人の想いに負け、UFOに乗せることにしたのであった。

 

ルネア「さあ、飛ばしますわよ!しっかり掴まっていらして!」

宗麟「君、操縦桿握ると性格変わるんだな…」

 

ルネアの意外な一面が発覚したところでUFOは飛び立ち、ヴァネッサとミライザが戦う実験場跡地に超高速で向かった。UFOはエル・ドラゴンに捕捉されないスピードで接近する。あまりのエル・ドラゴンのスケールに驚く宗麟一行だったが、ルネアの指摘が皆を正気に戻す。

 

ルネア「あそこから入れそうですよ!突入しますか!?」

宗麟「おう!行かせてくれ!」

アーヴェント「俺も行くぞ。大丈夫だ。覚悟はできてる。」

 

宗麟とアーヴェントはルネアのUFOから放たれたレーザー砲で破った窓からエル・ドラゴン内部に突入する。一方のルネアはエル・ドラゴンと単身戦い、満身創痍のリンドレイクを助け出した。

 

ルネア「お姉様!ご無事ですか?」

ヴァネッサ「ああ、何とかな…しかし、ルネアの激しい運転でとどめを刺されるかもしれないな…」

ルネア「もう!失礼しちゃいます!」

 

冗談を言う余裕か、それとも妹を心配させないためかヴァネッサは床に伏せながらも軽口を叩くのであった。

 

 

一方、リントヴルムとアーヴェントはエル・ドラゴン内部に侵入し、防衛システムをかいくぐり、ついにミライザのいるコクピットに突入する。そこには不敵な笑みを浮かべたミライザがいた。

 

ミライザ「今更来てももう遅いわ。たった今、このエル・ドラゴンの試運転が終わったところよ。これから100万体は下らないドラゴン達と共に世界を破壊し尽くすわ!」

宗麟「だから俺達はそれを阻止するために来た…覚悟しろミライザ!」

 

リントヴルムがミライザに拳を突き出すがミライザは両腕を瞬時に肥大化させて攻撃を受け止めた。その腕は丸太のように太く、鱗に覆われていた。

 

ミライザ「息巻いている割には痛くも痒くもないパンチね…いい加減邪魔よ!」

 

ミライザは腕を振るうとリントヴルムを弾き飛ばした。どうやらこの能力は竜牙族独自の力らしい。

 

アーヴェント「リントヴルム!?大丈夫か?」

 

しかし、間髪いれずにミライザの追撃がリントヴルムを襲う。アーヴェントは何とか剣で受け止めた。

 

ミライザ「ふーん、貴方。反応はいいけど…まだちょっと剣が軽いわね?」

 

ミライザは腕だけでアーヴェントを突き飛ばす。何とか剣でガードしたが50m以上押し戻された。しかし、ミライザは不敵に笑うと豪腕をアーヴェントに向ける。

 

ミライザ「それに先に貴方を倒しておいた方がいいわね。身体がボロボロなリントヴルムなんていつでも倒せるわ。だから、まずは貴方を始末するわ!」

 

豪腕をふりかざし、ミライザがアーヴェントを襲う。だが、そこでリントヴルムが立ち上がる。

 

宗麟「させるか!ドラグーンボルトブレイク!」

 

リントヴルムの飛び蹴りがミライザの顔面へ迫る。しかし、ミライザはリントヴルムの右足を片腕で掴んだ。

 

ミライザ「あら、その程度の攻撃をかわせないとでも思ったのかしら。浅はかね!」

 

ミライザはそのままリントヴルムの足を握り潰そうとする。だが、その時だった。

 

アーヴェント「くらえ!星の剣の一撃を!」

 

アーヴェントがミライザが硬直した隙をついてミライザの腹部を斬り裂いた。予想外の一撃に怯むミライザ。そして、アーヴェントに気を取られてリントヴルムの足を掴む力を抜いてしまう。その瞬間をリントヴルムは見逃さなかった。

 

宗麟「ドラグーンボルトブレイク…リターン!」

 

掴まれた右足を軸に身体を捻り、左足で空中回し蹴りのようなドラグーンボルトブレイクをミライザの首筋に決めた。その渾身の一撃を食らってミライザは吹き飛び、コクピットの壁に叩きつけられた。

 

ミライザ「肉体に…大規模な…損傷…。自己修復は…不可能…」

 

ミライザの腕は魔物のような豪腕から華奢な少女の腕に戻り、彼女の瞳から光が消え、がっくりとうなだれて消滅してしまった。

 

アーヴェント「俺達…勝ったのか?」

宗麟「やったぜアーヴェント!君と俺は地球を救ったんだ!」

 

その一言にアーヴェントも笑みを浮かべる。だが、まだ地球の危機は終わっていなかった。エル・ドラゴン内部にけたたましい警報が鳴り響く。何事かと宗麟は思いモニターを起動させる。そこにはミライザが死んだことでコントロールを失い、狂ったように空を飛び回り、破壊活動を行う飛竜達の姿だった。

 

宗麟「まずいぞ!今はまだ実験場の破壊に止めているがこれが世界中に放たれたら大惨事だ!ミライザを倒した意味が…ぐっ…」

 

そう言った後、リントヴルムが膝をついて蹲った。

 

アーヴェント「おい、どうした?あ、まだ人工細胞が身体に浸透していないからか。しかし、これは絶望的な展開だ…リントヴルムはもう戦えるような状態じゃないぞ…」

 

ざっと目測でも1000体は下らない空を埋めつくさんばかりの飛竜の群れ。たとえリントヴルムが万全の状態でもアーヴェントとたった2人では倒し尽くすことは不可能である。だが、そこへ…

 

博士「遅くなってすまない。ようやくたどり着けたよ。」

ヴィヴィル「ごめんね、アーヴェント。無理させちゃって。だけど、ここから先は私に任せて!」

 

2人はどうやらヴァネッサを救出した後にルネアのUFOに乗って来たようだ。ただし、重傷を負ったヴァネッサを看病するためルネアはクシナと一緒に研究所に残った。博士はUFOの操縦をヴィヴィルに任せてここに来たようである。そうじゃなきゃ、ルネアの運転で2人は酔っていたことであろう。

 

宗麟「しかし、博士。外はもうすでに飛竜の群れが空を埋め尽くしてる…」

アーヴェント「まだまだこの戦力じゃ太刀打ちできないぞ。」

博士「いや、私は直接は戦わんよ。戦うのはこの…エル・ドラゴンだ!」

アーヴェント「なるほど、その手があったか!しかし、どうやって操縦を?」

ヴィヴィル「ふふ、私に任せなさい!私の頭脳はスーパーコンピューターに匹敵するレベルよ。この演算能力を使って操縦するわ。」

 

しばらくして、アーヴェントは満身創痍になりかけている宗麟に肩を貸しながらエル・ドラゴンから降りる。やがて博士とヴィヴィルを乗せたエル・ドラゴンは飛行モードに変形し、空へ飛び立った。飛竜の群れで真っ黒に染まった空へエル・ドラゴンはミサイルやレーザー砲を放ち、飛竜を一層する。飛竜達も火炎弾で反撃してくるがエル・ドラゴンの装甲が何とか持ち堪えている。ミサイルとビーム砲と火炎弾とブレスの応酬が約1時間ほど続いた。

 

戦いを終えたエル・ドラゴンが宗麟とアーヴェントのもとへ帰還する。ヴィヴィルによれば飛竜を全滅させることができたものの、ミサイルなどの武装はすべて底を尽き、燃料もあと僅かになってしまったという。それでも、宗麟はヴィヴィルを労った。

 

宗麟「ありがとう…今度こそ俺達の勝利だ…!」

ヴィヴィル「リントヴルムばかりに頼ってないでたまには私も活躍しないとね。」

 

 

 

 

 

 

実験場の空が晴れ、光が差し込む。青空が戻ってきたのだ。するとそこへものすごいスピードでUFOが飛んできた。中から降りて来たのはヴァネッサとルネアだった。

 

ルネア「いやっふー!お姉様、最高のフライトでしたね!」

ヴァネッサ「私は何度吐き気に襲われたことか…まあいい。それより約束のヒエロニムスマシン一式持ってきたぞ。」

宗麟「そうか。いよいよ別れの時か。」

 

宗麟はフラつきながらもアーヴェントに向き直る。

 

宗麟「まずは済まなかったな。別世界から来た君をここまで付き合わせてしまって…」

アーヴェント「大丈夫だ。俺はむしろ本物のリントヴルムと一緒に戦えるなんて思ってもなかった。だから、こんな貴重な冒険をさせてもらったことを感謝してる。」

宗麟「俺も感謝してるぞ。もし君がいなかったらミライザを倒せなかったかもしれない。ありがとう…!」

 

宗麟とアーヴェントは固い握手を交わす。そして、アーヴェントは博士が起動したヒエロニムスマシンとそれを相殺する機械で開いた別世界への扉に足を踏み入れる。

 

アーヴェント「さよなら。また会えるといいな。」

宗麟「ああ。向こうの世界の俺にもよろしく…!」

 

アーヴェントは微笑み返すと別世界へ帰っていく。その背中はまるで勇者のように堂々としていたという。

 

 

数日後。エル・ドラゴンはルネアがヤハウェーに頼んで呼んだエラクレル帝国の輸送用UFO数台に運ばれデルミエン星に回収された。博士はできれば研究したかったとやや悔やんでいたがこれでまた平和な日常が戻ってきた。しかし、宗麟は人工細胞が完全に浸透してない状態で無茶をしたため、身体が言うことを聞かなくなり、しばらく車椅子で生活することになってしまった。それでも懸命にリハビリを続け、もう少しで歩けるようになるという。

 

宗麟「戦いは終わった…だけど、まだ完全に平和になったわけじゃない。これからは俺達人間が自らの手で地球を守らないとな。」

 

病室の窓辺に手をつき、宗麟は窓の外を見つめて呟いた。

 

(完)

 

 

 

 

 

 

 

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