魔破竜人リントヴルム 第2部 作:魔破竜人リントヴルム製作委員会
高校2年生の友里恵は学校の授業で博物館を訪れた。つまらないと苛立っていた友里恵は少し魔が差して「関係者以外立ち入り禁止」の部屋に入ってしまう。そこにはガラスケースの中に入った壺があった。友里恵は好奇心からガラスケースを外し、壺の蓋を開けてしまった。その時、何か煙のような物が吹き出し、友里恵の頭上で消えた。友里恵はその光景に呆気にとられるが、この部屋に近づく足音でハッと我に返り、部屋から逃げた。一方、部屋の扉を開けた守衛の男は驚いていた。
守衛の男「蓋が開いている!?まずい…奴の封印が解けてしまったようだ。」
そのガラスケースには「開けるな危険」と張り紙が貼ってあったが、友里恵は見逃してしまったようだ。
その夜、枕元にアガシオンと名乗るアラビア風の装いと頭にターバンを巻いた青年が現れ、「何でも願いを3つだけ叶えてやろう」と友里恵に声をかける。友里恵は半信半疑で「明日、憧れの先輩に告白するから成功させてほしい」と頼む。
翌日、友里恵は部活の帰りに先輩に呼び出される。何と、その先輩も前から友里恵が好きだったらしく、今日告白しようと思っていたのであった。友里恵はもちろんOKし、一緒に自転車で2人乗りをして帰る。だが、そこでとんでもないアクシデントが起きた。居眠り運転をしていたトラックが友里恵と先輩の乗った自転車に突っ込んで来たのである。その事故のおかげで友里恵は足が動かなくなるほどの重傷を負い、最悪寝たきりになるかもしれないと医師に宣告されてしまった。
友里恵はまた再びアガシオンを呼び出し「私の足を今すぐ治して」と願う。すると、ある外国人の医師からアメリカの病院で手術をすれば治ると連絡が来たために友里恵はアメリカで治療を受け、見事に足が完治した。しかし、後に衝撃の事実が舞い込んできた。何と友里恵の足を治すための莫大な治療費を母親が負担しようと自殺してしまい、その保険金で友里恵の足は治ったというのだ。悲しみに暮れ、泣き叫ぶ友里恵。友里恵の父親もやりきれない表情で娘を見つめていた。
一方その頃、九頭龍研究所では…
クシナ「ヴィヴィルちゃん、「猿の手」って小説知ってるかしら?」
ヴィヴィル「いえ、知らないわ。」
クシナ「猿の手のミイラが出てくる話なんだけど、その猿の手は何でも願いを3つ叶えてくれる代わりに何らかの代償を願った人に与えるの。願いが壮大であるほど大きくて残酷な代償が返ってくるのよ…」
ヴィヴィル「ふーん。また読んでみようかしら?あら、そう言えば宗麟は?」
クシナ「博士の夜食を買いに行ってるわよ。」
その夜、友里恵は涙ながらにアガシオンに懇願する。「お母さんを生き返らせてほしい」と。アガシオンが頷いた直後に家のドアを叩く音がした。友里恵が恐る恐る扉を開けると…そこには土と泥に塗れ、身体が半分白骨化している母親のゾンビが立っていた。パニックになり、鍵を閉める友里恵。しかし、母親のゾンビは窓を割ってリビングに入って来た。急いで家を飛び出す友里恵だが、ついにガレージに追い詰められてしまった。
絶体絶命の友里恵だったが、買い物帰りの宗麟が偶然近くを通り、悲鳴を聞いて駆けつけてきた。宗麟はガレージにあったスパナで母親のゾンビを殴り倒した。すると、アガシオンがガレージに友里恵の様子を見に来たため、宗麟はアガシオンに問いかける。
宗麟「このゾンビを呼んだのはお前か?」
アガシオン「何だ。私は良かれと思ってやったのだぞ?」
宗麟は怒りに震えてリントヴルムに変身し、アガシオンに殴りかかる。しかし、アガシオンはリントヴルムのパンチやキックをかわすと、後ろに回り込んで武器のチェーンで首を絞めた。しかし、リントヴルムも負けじと後ろ向きに走り、ガレージの配電盤にアガシオンをぶつけて引き離す。距離を取ったリントヴルムはファフニールフォームにチェンジしようとするが、アガシオンの伸ばしたチェーンで変身アイテムが弾かれてしまった。だが、反撃にリントヴルムは接近してきたアガシオンを巴投げで投げ飛ばし、ガレージから放り出した。追撃として、リントヴルムはドラグーンボルトブレイクを撃とうと構えるが…
アガシオン「よそう、リントヴルム 。我々が戦っても無意味だ。それに仮に私を倒してもこの娘の母親は戻らない。私は、ただ封印を解いた人間の願いを聞くという使命を果たしただけだ。私は3つの願いを叶え終えたら再び眠りにつかなければならない。次に目覚めるのはおよそ100年後だ。」
アガシオンはそう言うと友里恵の母親のゾンビと共にすうっと消えていった。リントヴルムは意外な戦いの幕引きにただ呆然と立ち尽くすだけだった。
数日後、友里恵は母親の墓参りにやってきていた。すると、後ろから中年男性に声をかけられた。この男は友里恵が前に訪れた博物館の守衛だった。男は友里恵に静かに言い聞かせる。
守衛の男「俺も実はアガシオンの封印を解いたことがある。たまたまある山で土の中から壺を掘り出したんだ。俺はアガシオンに冗談で「俺を不老不死にできるのか?」って言ってしまった。もちろん願いは叶ったよ。でも、俺はそのせいで一生死ねない身体になってしまったんだ。病気も一切かからないし、怪我しても傷が瞬時に治る。歳もとらないんだ。だけど、その代償は…「孤独」だった。妻も息子も親友も先に歳を重ねて死んでしまう。ついには孫やひ孫にすら先立たれたよ…!俺を知ってる人なんて誰もいなくなってしまった…!」
こうしてこの男はアガシオンは眠っている壺を博物館に保管し、以後、同じようにアガシオンによって不幸になる人間を出さないよう博物館の守衛になり、日夜アガシオンの壺を監視していたのだという。友里恵は自分の軽はずみな行動からこのような結果になったことを守衛の男からの話で深く反省するのであった。
そして、友里恵は母親の墓参りが終わった後、また別の墓に向かう。その墓石には…友里恵が憧れていた先輩の名前が彫られていた。
(完)