須賀京太郎集め   作:TOMO

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京久3

 

中学生の時、熱中になったのはハンドボールだった。

あんなに夢中になったのは初めてだった。

縦横無尽にフィールドを走り回り、ドリブルやパスのチームワーク狙いを定めて放つシュート。ゴールネットを揺らす快感は最高だったし、勝利をチームメイトの皆で噛みしめるのは悪くなかった。

 

 だがそれも、中学時代最後の全中長野予選決勝で幕を閉じた。

 決勝途中で右膝前十字靭帯を損傷し、俺のハンドボールいや、スポーツの道は途絶えた。

 

頂いてた推薦も白紙になり、目が離せない存在―――ポンコツのため―――である、幼馴染“宮永咲”と共に受験勉強を経て、清澄高校に入学したのは記憶に新しい。

 

清澄高校では、部活動への入部が推奨されている。とは言ったものの、義務というわけでもなく個人の自由でしかない。そんな事を説明している担任の話を聞き流していた。

 

文芸部への見学が一人では不安だからという理由で、咲に着いていったにも関わらず、終いには、見学しているのは俺だけであったり。今度こそはと意気込むも、迷子になったお姫様を捜索したりをしていると、運動部関係から勧誘される。それを激しい運動はもう出来ないという理由で撥ね付けてきた。

運動部に入る気はないし、文化部にも興味が湧かない。

「折角だから、文化系の部活も見て回ってみようよ。」と誘ってくれたものの逸れてしまった幼馴染を探しつつ、三年間の高校生活は帰宅部かなと思っていた。。

 

探せる場所は探し、残すは古い建物、所謂、旧校舎に足を踏み入れたそこで俺は運命と出会ったのだ。

 

気弱のくせに、迷子時には気が強いのか勝手に部屋に入っていく幼馴染のため、一部屋ずつ探す。

 

その空き教室のひとつに、窓の外を椅子に腰掛け、眺める一人の女学生。入学式で議会長挨拶をしたその人がいた。

 

思わずその姿に、見惚れてしまった。こんなにも美しい風景がこの世にあるのかと思うほどに美しかった。

 

此方に気付いた、女学生が口を開く。

 

「部活動見学者かしら、それとも入部希望者? 」

 

鈴を転がすような声で、茶目っ気.のある笑顔で聞いてきた。

 

「いや、違うんです。迷子を探していて。」

 

そう答えると、顔に憂愁の影が差し、残念そうに

「そうなの。」と答えた。

 

思わず、

「此処は一体何をするんでしょうか。」

と、質問してしまった。

「麻雀よ。知ってるかしら?」

「耳にしたことはある程度ですね。細かいルールは知りません。」

「そう。なら、教えて上げるわ。其処の卓の椅子に座って。」

 

あれよこれよという間に、麻雀教室が始まってしまった。

 

「麻雀は、四人制で行うの。その中で一番得点が高い人の勝利。使うものは雀牌と言われる萬子、索子、筒子、字牌の四種類、百三十六枚を使用するの。そして、役を作って和了る。ここ迄は良いかしら?」

「はい。」

「ふふっ、続けるわね。萬子、索子、筒子は数牌と呼ばれ各種に一~九まで区別されているの。字牌はそれぞれ東、西、南、北の四風牌、白、發、中の三元牌に分けられるのよ。これらを様々に組み合わせていく競技よ。分かったかしら?」

 

「はい。あの、その役って何種類あるんですか?」

 

「良い質問ね。一般的に採用されているのは三十八種類よ。ローカル役を含めると大凡九十近くね。」

 

「そんなにあるんですか!?」

「といっても一般的な三十八個だけで十分よ。本当なら、体験させてあげられたらいいんだけど……」

 

彼女はとても残念そうに呟いていた。

 

「ごめんなさいね。本当なら二年生の娘がもう一人居るんだけど、今日は家庭の事情で来れなくて。せめて三麻だけでも体験させてあげられたら良かったのに。」

 

ただ、何となくだった。気の迷いだったのかもしれない。

「なら、明日はその先輩は居るんですか?」

 

気がつけばそんな事を口走っていた。

 

「え?」

 

彼女の驚いたような顔に思わず笑いそうになる。

 

「ですから、明日はその、三麻?でしたっけ。それは出来るんですか?」

 

「えぇ!明日なら出来るわ!私が、どんな事をしてでも、らt,連れてくるわ!」

「今なんか、不穏な言葉が聞こえた気が……」

「気のせいよ。気のせい。」

 

先程とは打って変わって楽しそうに笑う彼女がそこに居た。

 

そういえば、自己紹介がまだだったなと、思い返す。

 

「俺、一年生の須賀京太郎って言います。」

「へ?……そうね、自己紹介がまだだったわね。麻雀部部長で生徒議会長を務めてる三年の竹井久よ。よろしくね、須賀くん。」

 

思いがけず興奮して、失敗したわ。という囁きは聞こえないフリをしておこう。

 

触られたくないだろうし、うん。

 

「それでは、また明日来ます。」

「えぇ、待ってるわね。明日こそ須賀くんに麻雀の楽しさをお姉さんが教えてあげるわね。」

ウィンクをしてくる竹井先輩に別れを告げ、旧校舎を後にする。

 

 

その後、幼馴染は無事に東校舎の三階で見つけ出した。

泣き付かれ、怒られたが。

世の中は理不尽である。

 

 

今日も何事もなく、無事に放課後を迎える。

「今日こそは、キチンと文芸部を見学してくるからねッ。京ちゃんが居なくても大丈夫だって証明してあげるんだから。」

と、意気込む幼馴染を尻目に教室を後にする。

 

本当に大丈夫なのかと一抹の不安を感じながら、麻雀部の部屋へ足を踏み入れる。

 

「失礼します。」

 

扉を開け、中に入るとそこには竹井先輩と昨日言っていた二年生の先輩が居た。

 

「待ってたわ、須賀くん。こっちが昨日言っていた二年生の染谷まこよ。」

「おい、部長。わしは、一年生の初心者と三麻やるっちゅうから来たんじゃが、男子生徒とは聞いとらんぞ。」

「だって、言ってないもの。昨日来た一年生と三麻を今日やるから、と言っただけよ。」

「はぁ、お主は。わしの名前は、染谷まこじゃ。よろしくの。」

「は、はい。一年生の須賀京太郎です。よろしくお願いします。」

「自己紹介も終わったみたいだし、早速三麻を打ちましょう。」

 

竹井先輩がパンパンと手を叩き喜ばしそうに準備に取り掛かろうとする。

 

溜息をつき、よう確認せんかったわしの不手際じゃのぅ。

と愚痴を零しながら準備する染谷先輩。

 

仲が悪いのだろうか?

 

「あの、俺にも何か手伝えることはありますか?」

 

何もしないというのは居た堪れないので手伝えることはないかと聞くも、

 

「いいから、須賀くんは座って待ってて。」

「京太郎は、待ってんしゃい。準備は先輩たちに任せときぃ。」

 

訂正、仲は良い方だ。同時に言われた、此方を見るでもなく。

 

 

飲み物も渡され、準備が終えたようだ。

「それじゃ、三麻のルールを説明するわ。三麻の場合昨日教えた萬子の二~八が除外されるわ。また、北牌については今回、共通役牌として使用するわ。

それで、須賀くんにはこれを渡しておくわ。」

 

「これは、なんですか?」

「役の一覧よ。例も載ってるわ。これを参考に打ってみてちょうだい。」

「なに、今回はゆっくり慌てず打ってみるとえぇ。時間はたっぷりとあるけぇ。」

 

 

 

 「あ。」

 「どうかしたの、須賀くん。」

 「何か役でもできたんか?」

 「はい、出来ました。」

 

先程渡された、役一覧の一つを指す

 

「えーっと、この、国士無双って奴ですね。」

 「嘘。凄いじゃない、須賀くん!」

 「初めての三麻で、というか、初麻雀で国士とはのぅ。」

 

 ハンドボールで初めてゴールを決めた時にも勝るとも劣らない衝撃が走った。

 ただのビギナーズラックかもしれない、それとも、先輩たちが手を抜いてくれたのかもしれない。

 それでも、この、雷に打たれたような感覚はきっと間違いじゃなく本物だと思う。

 

 

 キリが良くなったので、休憩を取ることになった。

 先程の役満はやはり、ただのまぐれだったようで、一回も和了ることは叶わなかった。

 

「やっぱり、三麻とはいえ、麻雀を打てるって良いわね。」

 

竹井先輩が嬉しそうに喋る。それに賛同するかのように染谷先輩も、

 

「そうじゃのう。家とは違い、学校で部活として打つのでは何とも言えない嬉しさっちゅうもんがあるのぅ。」

 

二人はそこで同時に微笑み合っていた。

 

「あの、この麻雀部って何か目標とかあるんですか?」

 

好奇心が働いたので、聞いてしまっていた。

 

「えぇ勿論。目標は、団体での全国制覇よ!

と言っても、五人制だから只の夢なんだけどね。」

 

「まぁ、言うのは勝手じゃけぇ。減るもんでもないしのぅ。」

 

何故だろうか、そう言う二人の顔は悲壮に包まれてはいなかった。

だからだろうか、その全国制覇という夢を叶えたいと思ったのは。

それとも、入部希望者じゃないと言ったときの寂しそうな顔を見てしまったからだろうか。

この人を支えたいと思ってしまったのは。きっと可笑しなことではないのだろう。

 

そう思った時には、勝手に話していた。

 

「俺。この麻雀部に入部します。今日しか、まだ麻雀は打ってないですけど、楽しかったですし。」

 

そう、俺は笑顔で言っていた。

 

この発言を受けた二人は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

 

「本当に?本当に、入部してくれるの?」

片方は不安ながらも、

 

「そんな簡単に決めてしまってええんか?まだ、体験入部期間はある。色々と周ってから決めたほうがええんじゃないか?」

片方は此方を案じるように。

 

「いいんです。決めたんです。俺は、麻雀部に入部します。久々にこんなに楽しいって思えたんです。それに竹井先輩の夢である全国制覇を手伝いたいんです。」

 

ハンドボールが出来なくなってからは、何もやる気が出なくなっていた。そんな俺に気を使ってか部活動見学に誘ってくれた幼馴染。

大体一年近く、何事にも突き動かすものを感じなかったが、麻雀にふれて、忘れかけていた何かに火が点いた気がした。

 

「だから、これから、よろしくお願いします!竹井先輩、いや、部長!染谷先輩!」

 

「ううん。此方こそ宜しくね、須賀くん。入部したからには厳しくいくわよ。」

「わしにとっては、初めての後輩じゃ。頼もしくはないかもしれんが、宜しくのぅ京太郎。」

 

三人共笑いながら、握手をしてその日の活動は終わったのである。

 

こうして、清澄高校麻雀部は部員が三人になったのだった。

 

 

 

 

麻雀部に入部してから数日。

麻雀部に新しく一年生二人が入部した。

 

片方は、一年生の間で有名―――並外れたプロポーズで―――となっている、原村和。

もう片方は、本当に高校生か?と、疑問を持たずにはいられないほどの低身長の片岡優希。

 

二人は同じ中学校出身で、麻雀経験者とのことだ。

そして、和と優希が入部したことによって、三麻からの脱出である。

 

その日は、染谷先輩は家庭の雀荘の手伝いがあるらしく、部室には寄らないらしい。

一年生三人と部長を加え、俺にとって、初めての四人で打つ麻雀だった。

 

結果は見るも無残な結果となったが。

 

優希は東場で、何かこう、凄かった。あと、タコス、タコスと煩かった。

和は何かこう全体的に凄かった。色々と。ありがとうございます!と言いたい。

 

「疲れたじぇー。京太郎、悪いがタコスを買ってきてくれー。」

「こら!ゆーき、駄目ですよ。今日初めて会った、須賀君にそのようなこと頼んでは。」

「そんな硬いこと言いっこなしだじぇ、のどちゃん。」

「ふふっ。二人共仲が良いのねぇ。流石同じ中学出身なだけあるわね。」

「いえ、そんなことは。」

「私とのどちゃんはベストフレンドだじぇ。」

 

話が一段落ついた様だし、飲み物の序にタコスでも買ってくるとしよう。

 

「それじゃぁ、俺はタコスでも買ってきますね。学食のメニューにありましたし、ずっと気になってたんですよねー。」

「おおぅ。京太郎は話がわかるじぇ。頼んだぞ。」

「ゆーき!もう。申し訳ありません須賀君。」

「良いって、良いって。飲み物買う序だし。和は何か飲むか?」

「いえ、そんな。私は結構です。」

「私は、オレンジジュースが良いじぇ。」

「優希もああ、言ってるし。な。」

「……それでは、お茶をお願いしても良いですか。」

「任せろって。部長はどうします。」

「私?私は、須賀くんにお任せするわ。」

「一番難しいじゃないですか、ヤダー。」

「須賀くんのセンスが物を言うわねぇ。」

 

絶対に、揶揄ってる。短い付き合いだがそんな気がする。

 

「私も手伝います。任せっきりなのも嫌なので。」

和が助けてくれるようだ。

 

「サンキュー、和。助かるよ。それじゃぁ、行ってきます。」

「行ってきますね。」

「タコス待ってるじぇー。」

「いってらっしゃい。気をつけてね。」

 

俺は、和と共に、部室をあとにする。

思わず、その胸に目が行ってしまう。悪いなぁと思いつつも思わず目で追ってしまう。

そんな事をしていると、和が切り出した。

 

「須賀君、女の子は思っているよりも視線に敏感です。気をつけてください。」

 

バレていたみたいだ。

 

「あー。悪い、和。こう、思わずというか、何というか。これからは気をつける。」

「いえ、次から気をつけて頂ければ。」

 

そうして、会話が終わり、俺と和との間には静けさが流れる。

思わず気まずくなってしまったので、何か会話の種が無いものかと詮索する。

 

「そういえば、和も優希も麻雀やったことあるんだな。」

「そうですね。ゆーきと出会えたのも麻雀のお陰です。」

「そうなのか?」

「はい。中学二年生の時に此方に引っ越して来まして、その時に仲良くなったのがゆーきと先輩が一人います。」

「へぇー、そうなのか。」

「はい。」

「それにしても、和って麻雀強いよな。家に雀卓あったりするのか」

「えぇ。ありますよ。」

「マジか!?やっぱり、必要なのか?家でも勉強するには。」

「そういう訳でもありませんよ。今ではアプリで配信されていたりしますし。」

「そうなのか!和はどれをやってるんだ?」

「それは……」

 

何でもないような会話をしているうちに、食堂に到着し、頼まれたタコスと飲み物を購入し部室へと戻る。

 

今日のレディースランチも美味しそうだった。今度からは部活に行く前に食べてから行こうと、決心するのであった。

 

 

ここでの決意があんな事になるとはその時の俺は思いもしなかったのだ。

 

 

部長には、水を購入した。

評価は「まぁまぁね」だった。

 

 

「カモつれてきたぞーっ」

後ろで、麻雀キライと言っているがこの際無視だ。

 

今日、部長は議会での仕事、染谷先輩は実家の雀荘。

和と優希との三麻も悪くはないが、打つなら四人で打ちたいし、勝ちたいし。

 

そんな、軽い気持ちで咲を麻雀部に連れてきたのだが、カモどころじゃない大物だったのだ。

 

 

咲が正式に、麻雀部に入部してから、数日。

俺は、部長話がしたいので、部活が終わったら、二人っきりになれませんか?という手紙を渡した。

その日の部活が終わり、和と優希はタコスが待ってるじぇと騒ぐ優希に和が振り回される形で帰宅。染谷先輩も帰宅。咲は一緒に帰ろうと誘ってくれたものの、残って勉強したいからというと、渋々ながらも了承し帰路についた。

 

最初に口を切ったのは、部長だった。

 

「それで、須賀くんからの話たいことがるのよね?」

「はい。」

「何かしら?もしかして、告白?

駄目よッ!?私は三年生で須賀くんはまだ一年生!?寂しい思いなんてさせたくないわ、私は!?」

「違いますって。」

「そうなの~?連れないわねぇ、須賀くんも。それとも恋の相談かしら?相手は本命の和?それとも対抗で咲?大穴で優希というのもあるわね。」

「違いますって。部長だって、分かってる筈です!

俺が何を言いたいのかは!!」

 

部長は分かった上で、とぼけている。

その解りづらい優しさは今になるととても苦しい。

 

「部長、俺は、」

 

早速切り出そうとしたら、部長に遮られる。

「良いのよ、須賀くん。そして、ごめんなさい。貴方にとって、辛いことを言わせようとしている私は、駄目な先輩ね。」

 

そういう部長の顔はとても苦しげに歪ませていた。

俺は、あぁ、この人もこんな表情ができるのかと思っていた。

 

深呼吸をしてから、部長は、いや、竹井先輩は口を開いた。

 

「須賀くん。君には裏方に回って欲しいの。咲が入部してくれたお陰で、全国大会への切符が漸く手に入られたの。

私はこの最後のチャンスを物にしたい。無駄にしたくない。麻雀の初心者である須賀くんへの指導はどうしても疎かに、優先順位が低くなってしまう。

それでも、麻雀部にいてくれるなら、あの日言ってくれた事がまだ心変わりしていないなら、雑用をしてくれないかしら。

嫌なら、麻雀部を辞めてくれたって、構わない。皆には、私から説明するわ。」

 

「辞めると言ったら、竹井先輩は咲たちになんて説明するんですか。」

 

「須賀くんには、退部してもらったわ。私の夢は皆にも言ったように、全国制覇。須賀くんへ割く時間は減ってしまう。麻雀部にいるのに麻雀しない時間が増える前に退部させた、とでも説明するわ。」

 

先輩は拳を握り締めながら話してくれた。

先輩も辛いのに、俺は何を言わせてしまったのだろう。

 

「先輩が悪者みたいじゃないですか。」

「良いのよ。これくらい何とも無いわ。」

「そうですか。」

「えぇ、そうよ。」

「なら、大丈夫です。先輩が悪者になる必要なんてないんです。明日、俺から皆に言います。

皆が麻雀に集中できるように、裏の仕事、所謂マネージャーをこなすって。」

 

俺は、笑顔で言い切る。そうだ、俺は、初めて三麻をした時に言ったんだ。

先輩の全国制覇の夢を手伝うと。なら、俺は、俺にできる事をする。

たったそれだけのことだ。

 

「ありがとう、そして、ごめんなさい。須賀くんには辛い思いをこれからさせることになるわ。」

 

先輩は苦しそうな表情で声をかけてくれる。

そんな必要はないのだ。これは必要なコトなのだから。

 

「大丈夫ですよ。これでも身体は鍛えてるんで。」

 

俺は親指を挙げ、笑いながら言う。

それに釣られたのか、

「そうね、なら、これから期待してるわよ。須賀くん。」

部長も漸く笑顔を見せてくれた。

 

「任せてください、部長!」

 

 

 

そして、俺は翌日から牌譜の記録・整頓、部室の清掃、買い出しやらといった雑務をしていくことになった。

 

咲は、一緒に打とうと誘ってくれるし、和や優希も代わると言ってくれる。だが、毎回俺は、

「全国に行って優勝するには、女子が沢山打った方が良いって。それに、ネト麻だってあるしな」

と言って、提案を一蹴する。

 

 

 

ここから清澄高校麻雀部はきっと始まったのだろう。

 

 

 

カンッ

 

 

 

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