ガンダム 鉄血のレコンギスタ   作:K-15

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 投稿が遅れて申し訳ありません。
 どんなに遅くても月イチで投稿できるように心がけていたのですが先月はできませんでした。
 少しでも楽しみにしていただいてる方の為にも今月から頑張ります!


厄祭戦編
第二十一話 破滅へのカウントダウン


 背部からの攻撃を受け止めたGセルフ。それは紛れもなくビーム兵器。ここに来てからモビルスーツが携帯する武器も艦艇の主砲も全てが実弾だったにも関わらず、突如現れたモビルアーマーが口からビームを発射した事にベルリは驚く。

 

「あのモビルアーマー、ビームを撃った!?」

 

「な、何なんだよあのデカイの?」

 

「とにかく危険ですから退避して下さい!」

 

 バックパックから青白い炎を噴射し地上から飛び上がるGセルフ。上空から巨大な機影目掛けてビームライフルの銃口を向けトリガーを引いた。

 一直線に進むビームは土煙に塗れるモビルアーマーに直撃するが、この機体も他の例に漏れず装甲はナノラミネートアーマー。白い装甲に直撃するもダメージを受けた様子は伺えない。

 

「あの鳥みたいな機体もビームは通らないのか?」

 

 もう二度、三度とトリガーを引いてみるが、全身がナノラミネートの装甲に包まれているモビルアーマー。強力なGセルフのビーム攻撃を物ともせず、口を大きく開き上空にビームを放つ。

 

『キャアァアアアッ!』

 

「っ!?」

 

 モビルアーマーのビームは空気さえも焼き払う。高出力のエネルギーが発生する様はまるで雄叫びを上げるかのように、敵と認識したGセルフに攻撃を仕掛けてくる。

 ペダルを踏み込み回避行動を取るベルリ。だが発射されるビームはホースから出る水のようにGセルフを追い続ける。

 

「コピペシールド、行けるよね!」

 

 左腕のシールドからフォトン装甲シールドを複数枚展開し向かって来るビームを防ぐ。同時に加速しモビルアーマーの懐に飛び込む。狙うのは胴体の装甲の隙間からわずかの覗かせるフレーム。が、ベルリは銃口を向ける事すらできなかった。

 

「え……」

 

 ほんの一瞬、意識を向けた先からは高速で接近する小型で鋭利な物体。咄嗟に操縦桿を押し込みシールドで防ぐが、あまりの衝撃にマニピュレーターから手放してしまう。

 それはモビルアーマーの背部にワイヤーで連結されたブレードだ。

 

「尻尾だってぇ!? 動物じゃあるまいし!」

 

 左手を首元に運ぶとビームサーベルを引き抜き、再び襲い掛かるワイヤーブレードに注意を向ける。一発だけビームライフルのトリガーを引いてみるが、ブレードも全てナノラミネートアーマーで形成されておりダメージは通らない。

 接近するワイヤーブレードに針のように細いビームサーベルをあてがい激しい閃光が生まれる。

 

「くッ! どうするベルリ……ジャンプ、リフレクターモード!」

 

 地面を蹴り飛び上がるGセルフ。全身の装甲を青く変化させ背部から翼のようにフォトン装甲を展開させると同時にモビルアーマーの強力なビームが飛来した。

 背部からビームを受けるGセルフ。直撃するビームは粒子となりGセルフのエネルギーとして吸収されていく。機体にダメージは通っていないが、それでもベルリは防戦一方の戦いを強いられる。

 

「動物が相手なら普通の戦い方じゃダメなんだ。スピードも反応速度も今までの相手と違うぞ」

 

『キシャアアァアッ!』

 

「やってみるしかない!」

 

 シールドもない状態でベルリはペダルを踏み込み機体を加速させた。全身の装甲を深緑色に変え、口から発射されるビームをくぐり抜け懐に飛び込む。

 モビルアーマーの腹部に目掛け、両腕で高トルクパンチを叩き込んだ。

 

「いっちゃえぇぇぇッ!」

 

 ハイパワーによる衝撃が巨体を浮き上がらせる。だがそれだけで全身がナノラミネートアーマーのモビルアーマーは倒せない。ワイヤーブレードが素早くGセルフの右脚部に絡み付く。

 

「なっにぃ!?」

 

『ギギィィィッ!』

 

「本当に動物だって言うの? 野うさぎを捕まえるのとは違う。この尻尾が!」

 

 引きずられ土煙を上げて地面に擦り付けられる機体。

 モビルアーマーは自らの脚元にまで引き寄せて強靭な鉤爪が地面をえぐる。操縦桿を匠に動かしGセルフを操るベルリは地団駄を踏む鳥の脚を辛うじて避けるがそういつまでも集中力も続かない。

 地震が発生したかのように、絶え間なく鉤爪の攻撃が襲い掛かる。絡み付くワイヤーのせいで身動きも満足に取れない。

 

 

「右からも来る! トリッキー!」

 

 バックパックからトラクタービームを発射し目前に迫る脚を停止させるが、視線を向ければもう片方の脚がGセルフを蹴り飛ばした。

 

「ぐぅぅッ!?」

 

 衝撃に歯を食いしばる。高トルクモードで高まった防御力のお蔭で致命的なダメージはないが姿勢制御もままならない。

 そこにジャンプするモビルアーマーが鋭い鉤爪の切っ先でコクピットを貫こうとする。両腕を伸ばしマニピュレーターで受け止めるGセルフ。

 だがモビルアーマーの重量、更にはエイハブリアクターから発生するハイパワーにGセルフと言えども耐え切れない。ジリジリと切っ先が迫って来る。

 

「これじゃ押すも引くもできない! 何とかして逃げないと」

 

『ベルリ、そのまま押さえてろよ!』

 

「登録されてない機体?」

 

 Gセルフの後方、鉄華団の基地から現れたのは全身の装甲がピンク色の機体。シノのガンダム・フラウロスの姿がそこにあった。

 背部に二基搭載されているレールガン、頭部にはシノ自身が塗装した白いアイペイント。

 ツインアイで巨大なモビルアーマーをしっかり捕らえるシノは阿頼耶識システムを通してフラウロスに搭載された特殊機構を動かす。

 腕部のガントレットを展開し下半身を一八〇度回転させ四脚姿勢に変形するとレールガンの砲身に設置されているレーダーも合わせて狙いを定める。

 

「これが俺の流星号にしかできない特別性だ! ギャラクシーキャノン、発射ッ!」

 

 エイハブリアクターから生み出される電力は並の機体を凌駕する。トリガーを押し込むと同時に高弾速の弾丸が轟音と共に発射された。音よりも早く、空気を突き破る二発の弾丸は一直線に突き進みモビルアーマーに直撃した。

 通常の弾丸ならナノラミネートアーマーが耐え切るが、フラウロスから発射された弾丸はそれを突き破る。

 

『ググゥ……ア゛ア゛ぁぁぁッ!?』

 

 直撃の衝撃にモビルアーマーの体が後退する。胴体を二発の弾丸が突き破り、最後の断末魔の叫びを上げると力なく倒れ込んだ。モビルアーマーの拘束から逃れるベルリのGセルフはシノの機体の威力に目を丸くする。

 

「どうだ! これが俺の流星号の力だ!」

 

「す……凄い……助かりました、シノさん」

 

「気にすんな。それよりこいつは何なんだ? あの放送で言ってた厄祭戦と関係があるのかぁ?」

 

「わかりません。でも今は準備を進めましょう。地球に言った団長や三日月さんのことも気になります」

 

「そうだな、わかんねぇこと考えてもしょうがねえ。おい、ハッシュ生きてるか?」

 

 元のモビルスーツ形態に戻るフラウロスは逃げ遅れたハッシュの機体の元へと向かい、ベルリは戦闘により弾かれたシールドの回収に向かった。ペダルを踏みバックパックから青白い炎を噴射してジャンプするGセルフ。

 落ちているシールドの傍に着地しマニピュレーターを伸ばすと左腕にマウントさせる。

 その時、ふと何かが視界に入った。

 

「何だ? モビルワーカー……じゃないぞ?」

 

 サイズはモビルワーカーと同等、黒いボディーに真っ赤なモノアイ。両腕にはドリルが設置されており、その黒い機体は地中から三機、四機と次々に現れる。

 向かう先はフラウロスの一撃により倒したモビルアーマー。無数に集まる小型機はモビルアーマーの損傷箇所を修復していく。

 

「何だって言うんだ!? 自動修復してるの? アサルト!」

 

 修復される前に破損箇所に強力なビームを撃ち込み完全に破壊しようと試みるベルリ。Gセルフはパイロットの声を認識し装甲を赤い色に変えバックパックを両脇に抱えると即座にビームを撃った。

 だが小型の黒い機体は何重にも重なり合い壁となり、モビルアーマーへのダメージを防ぐ。

 

「あの小さいのもナノラミネートアーマー……シノさん、次の装填を急いで!」

 

「えぇ、何だって?」

 

「モビルアーマーはまだ動いてるんですよ! また来る!」

 

 再び立ち上がるモビルアーマーは口からビームを吐く。コピペシールドを展開するGセルフは地面を蹴り飛び上がるとビームライフルで小型機を狙う。

 装甲にはベルリが口にしたようにナノラミネートアーマーが使われているが小型故に全身ではない。モノアイや可動部などの隙間は強力なビーム攻撃を防ぐ事はできず、直撃を受けると内側から爆発するようにして破壊される。

 それでも巣穴から湧き出るアリのように数が多い。ビームライフルを二発三発と連続して撃ってもなかなか数は減らない。

 

「くッ!? どうすれば……」

 

「待てよベルリ! ギャラクシーキャノンの弾は二発しかねぇんだよ、一度基地に戻って--」

 

 返事を返すシノはフラウロスを基地に戻そうと踵を返しペダルを踏もうとしたその時、近づいて来るモビルアーマーを機体のシステムが感知しパイロットに動悸が走る。

 

「ぐッ!? 何なんだよ……こりゃ……」

 

 頭の中で見た事のない映像が鮮明にフラッシュバックする。それはモビルアーマーとガンダムフラウロスとの戦いの記憶。

 シノがリペイントする前の白いフラウロスが無数のモビルアーマーと戦う記憶が流れ込んで来る。

 

「あのデカブツと戦ってるのか? 俺の流星号だけじゃない、他にもモビルスーツが居る……ガンダムフレームってヤツか……」

 

「シノ! 何やってんだ、動けぇぇぇッ!」

 

 ハッと息を呑むシノは意識を取り戻しモニターに映る戦況を確認する。叫ぶ明宏のグシオンがシザーシールドを両手で構え突進して行く。

 

「すぐに弾を補充するからよ! それまでは死ぬんじゃねぇぞ明宏!」

 

「誰が死ぬかよ! ベルリ、待ってろ。すぐに--」

 

 ペダルを踏み込み更に加速しようとする明宏。が、モビルアーマーが目前に迫った瞬間に力が抜けてしまう。同時に機体の出力も下がり微弱なスラスターでどうにか片膝を付き地面に着地する。

 ツインリアクターの出力は上がらず操縦桿を動かしてもペダルを踏み込んでも歩くような速させしか動けない。

 

「ぐぅッ!? どうなってやがる? 機体には何の問題もねぇはず……」

 

「明宏さん! 小さいのが向かってます!」

 

 モビルアーマーの尻尾に振り回されるGセルフから通信が届く。明宏が前を見れば無数の小型機が群れを成して迫って来ていた。

 

「理由はわかんねぇがこのままじゃ逃げるのも難しそうだな。でもよ! こんな所で死ねるかよぉぉぉ!」

 

 シザーシールドを地面に降ろし両腕部の格納されたロケットランチャーを展開、操縦桿のトリガーをとにかく引きまくる。一発の威力はさほど高くはないが、モビルワーカー並の小型機を破壊するには充分だ。

 それでも数が多すぎる。二体、三体と破壊してもまるっきり減らず、土煙を上げながら向かって来る軍勢にこのままでは飲み込まれてしまう。

 ほぼ全ての部品を改修された機体ではあるが、全身を絶え間なく攻撃されれば瞬く間にスクラップとなるだろう。

 

「うお゛おおおォォォッ!」

 

 雄叫びを上げながらトリガーを引き弾を発射し続けるが群れの速度は依然として変わらない。そうこうしている間にロケットランチャーの弾が失くなってしまいカチカチとトリガーの音だけが虚しく鳴る。

 

「おい、グシオン! 何やってんだよこんな所で! ベルリを助けて、あのデカブツをぶっ倒す前に、こんな情けねぇ終わりはゴメンだ! もっと気合い入れろ! 俺は--」

 

 阿頼耶識を通してまた記憶が流れ込む。目の前の敵との戦いの記憶。どうすれば相手を倒せるのか、その為に結ぶ悪魔との契約。

 厄祭戦時に作られ悪魔とも呼ばれたガンダムフレーム。その意味を明宏は知る。

 

「三百年前からコイツはアイツラと戦ってたのか……アイツを倒す為に作られた機体……」

 

 流れ込んで来る記憶の中で二機のモビルスーツが戦っていた。一機は三日月が乗るバルバトス。今のと比べれば外観が変わっているが鋭いツインアイと二本のアンテナは間違いなくバルバトスの物。

 もう一機は両手にブレードを握り単騎でモビルアーマーと対峙していた。世界に向けて放送されたアグニカ・カイエルと名乗る男が搭乗するガンダムバエルと同じ。

 バルバトスはバエルの援護をするように小型機を優先的に破壊する。それでも全ては無理だ。小型機はバエルにより負傷したモビルアーマーの傷を修復していく。

 

(さっきベルリが言ってたのはこれか。あのちっこいのがシノが撃った弾の傷を直したんだな。だったらまずはコイツラだ、そうじゃねぇとアイツは倒しきれねぇ! おい、グシオン……お前の力を寄越せ! アイツをぶっ倒す力を俺に寄越せ!)

 

 明宏の意思に答え、機体のリミッターが解除される。ツインアイが赤く輝き、ツインリアクターの出力も正常に戻り、更に今まで以上のパワーを作り出す。

 立ち上がるグシオンはシザーシールドを持ち上げ力の限りフルスイングした。

 

「うお゛ぉぉぉおォォォッ!」

 

 その一振りが目の前の軍勢を轟音と共に吹き飛ばす。鉄塊をぶつけられ破壊された機体、吹き飛ばされ壁に激突した機体、裏返しになり巻き起こる土煙に塗れる機体。

 秘められた力を開放したグシオンを止める者は居ない。

 

「ぶった切ってやる、その尻尾!」

 

 地面を蹴りメインスラスターを全開にするグシオンはモビルアーマーへと突っ込む。だが相手も当然、明宏のグシオンが接近して来る事に気が付いている。

 大きく口を開け、強力なビームを発射した。

 

『ギィガァァァッ』

 

「喰らうかよ! 待ってろベルリ!」

 

 エネルギーの濁流をすり抜け、背中に取り付くグシオンはシザーシールドでモビルアーマーのワイヤーブレードの付け根を刃で挟み込む。

 だが小型機の一機が両腕のドリルを回転させながらグシオンを止めるべく飛びついて来る。

 

「まだ……来るのかッ!?」

 

「破壊できなくても……」

 

 ビームライフルの音が轟く。ワイヤーブレードに絡まったまま地面や壁に叩き付けられていたGセルフがトリガーを引いた。正確な射撃は迫る小型機へビームを直撃させ押し返した。

 その操縦技術の高さに明宏は舌を巻く。

 

「あの体勢で良くやるよ。でもこれで終わりだ!」

 

 ツインリアクターの出力を上げてシザーシールドに力を込める。ゆっくりと、でも確実に、巨大な刃はモビルアーマーの尻尾とも呼べるワイヤーブレードを根本から切断した。同時に拘束されていたGセルフも自由になる。

 絡まったワイヤーを蹴り飛ばすとバックパックから青白い炎を噴射して飛び上がった。

 

「何とかなった? 助かりました、明宏さん」

 

「まだ終わってねぇぞ。シノ、次の弾はいつなんだ?」

 

『終わってるよ。もう一発ぶちかましてやる!』

 

 フラウロスのシノから通信が繋がる。弾を装填したフラウロスが変形して二門の砲身をモビルアーマーに向けていた。

 明宏は砲撃の邪魔をさせまいとシザーシールドの刃を今度は後頭部に向け、力任せに上方へ向ける。地団駄を踏み暴れるモビルアーマー。

 

『グガァァァッ! ギァァァスッ!』

 

「野郎……くたばれってんだ! 撃て、シノォォォ!」

 

「唸れ! ギャラクシーキャノン、発射ァァァッ!」

 

 二発の鋭い弾丸が空気を突き破りながら一直線に突き進んで来る。一発は暴れるモビルアーマーの胴体に直撃し、もう一発は左脚に直撃した。強固なナノラミネートアーマーは一撃で打ち砕かれ、内部のフレームがあらわになると共にダメージも与える。けれども倒し切るまで油断はできない。

 

「修復される前に!」

 

 前方に回り込むGセルフはビームライフルの銃口を向けトリガーを引いた。発射されるビームは内部のフレームへと直撃し、内側から巨大な爆発が起こる。モビルアーマーはまるで苦しむかのように雄叫びを上げた。

 

『グオ゛ぉぉオ゛ォォォッ』

 

 もう一度トリガーを引き次は左脚を狙い撃つ。フレームを破壊されたモビルアーマーは自重を支えきれずを崩れ落ちるが、それでももがき動く。

 口を大きく開けGセルフ目掛けてビームを発射しようとするが、明宏のグシオンがそれを許さない。刃で首元を挟み込みツインリアクターのパワーを全開にする。

 

「首を引きちぎってやれば流石に動けねぇだろ!」

 

『ぐぐ……ォォォオ゛ッ!?』

 

「これで……終わりだッ!」

 

 刃と刃がピタリと密着し、モビルアーマーの首がナノラミネートアーマーとフレームごと切断された。ぼとりと頭部が地面に落ち、モビルアーマーは完全に機能を停止した。

 

「はぁ……はぁっ……終わったな?」

 

「でも小さいのも何とかしておかないとどうなるかわかりませんね。Gセルフなら飛べるので周囲を見てきます」

 

「あぁ、頼む……にしても、こんな奴が一体どこから来たんだ? 地球への準備も途中だってのによ」

 

 シザーシールドを腰部にマウントさせ、モビルアーマーを見下ろす。炎の中で燃える巨大な残骸。

 暫くするとシノから通信が繋がって来た。

 

『お、オイ! やべぇぞ、明宏! あのデカブツが--』

 

「デカブツならぶっ倒した所だろ?」

 

『下じゃねぇ、上を見ろ!』

 

 言われて上空を見上げれば、巨大な翼を広げるモビルアーマーの姿が。それも一機だけではない。六機、七機、もっと居る。

 三機がかりでやっとの思いで破壊したモビルアーマーが空から降臨した。その衝撃に明宏は思わず息を呑むしかできない。

 

 

 

///

 

 

 

 縺れながら落下するバルバトスとレギンレイズ。少しでも落下のダメージを減らそうとメインスラスターを全開にする三日月。一方のジュリエッタもペダルを踏み込みメインスラスターを全開にしてバルバトスを重力の底に落とし込もうとする。

 

「白い悪魔め! このまま何もできないまま沈みなさい!」

 

「ぐぅぅぅッ! 下からも来る? さっきの奴か……」

 

「ヴィダール? 援護を頼めますね」

 

 三日月が振り向く先には両腕を損傷したヴィダールの姿が。地上から飛び上がるヴィダールは脚部のハンターエッジを展開し落下するバルバトスに迫る。

 が、蹴り上げるブレードはバルバトスの装甲にダメージを与える事なくワイヤーのみを切断した。

 

「な、何をしているのです!? ヴィダール!」

 

「撤退だ! ここはもういい、撤退するんだ!」

 

「撤退ですって? 何の為にここまで来たのです!」

 

「説明は後だ! 早くしろ!」

 

 ジュリエッタは表情を歪ませながらも損傷したヴィダールを機体を見るとバルバトスに背を向けた。

 撤退して行く二機を落ちながら眺める三日月。けれども深追いをしようとはせず、海上に建設されたドーム状の建物の屋上に着地した。

 

「逃げたのか? ん……なに?」

 

「その姿……バルバトスか? キマリスといい、俺の知っている姿と随分変わってしまったな」

 

 気配を感じ振り向く先。

 ドームの中から現れたのは二本のブレードを手にし両翼を広げる白き悪魔--ガンダム・バエル--

 

「誰だ、お前……」

 

「そうか、そうだな。パイロットがアランである訳がないな。まぁ良い、肩慣らしくらいにはなるか」

 

 金色のブレードの切っ先を向けるバエル。ビリビリと伝わる闘争心、敵意、明確な殺意。

 三日月も右手のソードメイスを構え、目の前の相手に鋭い視線を向け戦闘態勢に入る。

 

「アンタが誰かは知らないけど、邪魔するなら殺すよ?」

 

「アハハハハ! 俺を誰か知らないか。長く眠りすぎたな……だったら教えてやる、お前に! この世界に! アグニカ・カイエルの名を! 俺の力を!」

 

 アグニカのバエルも戦闘態勢に入る。睨み合う互いの視線がぶつかり合い、モビルスーツを通してでも静けさが感じられた。

 緊張感が走る、心臓の鼓動がはっきり聞こえる。

 生唾をごくりと飲み込んだ次の瞬間、バルバトスとバエルが動く。




 新米のハッシュ・ミディです。
 厄祭戦とかモビルアーマーとか、訳わかんねぇことばっかりでモビルスーツの操縦の練習もロクにできやしねぇ。
 でも明宏さんに教えて貰うのは前ので懲りたし、かと言ってベルリさんに教えて貰うのもなぁ……
 次回、鉄血のレコンギスタ--厄祭戦--
 げぇ、ベルリさん!? もうマニュアルは見たくないっすよぉ!
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