リライト・オブ・ザ・ヒストリア ~彼らは歴史を塗り替えるようです~ 作:かにしぐれ
その名も【ファーランド・ヒストリア】。略して【F・H】。
据え置き買い切り型のゲームの販売が昔ほど伸びなくなってきた環境の中で、このゲームは幅広い
層に人気が出てヒットした。
どれくらいヒットしたかと言えば、2022年と2023年の年間ゲーム販売本数第1位になり、
某夏と冬の祭典にて単独のエリアができるほどだ。
だが、どんなゲームにも不満は必ず出るもので、この【F・H】も例外ではなかった。
【F・H】の不満点はいわゆるグランドルートのエンディングがビターな結末で終わる所だった。
仲間にできるキャラクターを隠しキャラも含めて全員仲間にして、フラグとなる全てのイベントを
クリアして大方の悲劇の芽を摘み取ったはずなのに、ハッピーエンドからは遠いものだったのだ。
具体的に言えば、まず主人公が死ぬ。他のルートなら主人公はクリア後も幸せに生きているのに
なぜ死んでしまうのかと、グランドルートが発見され、そしてクリアされたときは公式が炎上していた。
次に、とある人気のある敵キャラクターが仲間にならずに死ぬ点だった。グランドルートでは、
他のルートでは敵対していたキャラクターもほとんど仲間にすることができたのに、
そのキャラクターだけは何故か仲間にすることができず死んでしまうのだ。
いやいや、プレイヤー達が期待し過ぎただけで、そのキャラクターは最初から敵だったのではと
思う人もいるだろうが、この敵キャラ、敵になるのは終盤で、それまでは一時的に味方になるのだ。
その味方で居る時も、その言動はいわゆる「ツンデレ」なもので、主人公たちに悪態を吐くが
その実主人公達を認めて心を許しているような描写が入るので、それはもう色々捗った。
設定が「貴族の嫡男」であり、見た目がクール系な王子様だったこともあり、捗るに捗った。
ノーマルカップリングから
閑話休題、そんな人気キャラが、ほぼ全てのキャラを救済し、仲間にしていくグランドルートでも
救えないとか、それはそれは炎上案件として立派なものになっていた。主人公の件と合わせて火力
は二乗どころの騒ぎではない。
そんな状況に対して、製作者陣は公式サイトにてストーリーについてのコメントを出したのだが、
その内容は要約すると次のようなものだった。
「最初は他のルートと同様にグランドルートもハッピーエンドで終わるはずだった」
「だけど、気付いたら何故かこのような結末を書いていた」
「今から読み直すと何故主人公や彼を殺すようにしたのかがわからない」
「だけどそのシナリオを書き直そうとすると、何故かそれは違うと感じてしまって書き直せない」
これで終わっていたら、お前ら本当に鎮火させる気があるのかという感じであるが、最後に
「この結末を変えるような『何か』を世に送り出したいと思います。いや、必ず出します」
「何年掛かるか分かりませんが、プレイヤーの皆さんも納得ができるものにします」
というコメントを出したため、それまでのその会社の対応が良かったこともあり、その場はなんとか収まった。最も、新興企業だったため、【F・H】だけの一発屋だから新作が出ないで潰れるんじゃないのという意見も出てはいたが。
それから時が経ち、サイドストーリーやらIFストーリーやらを無料でDLコンテンツとして提供し、
それとは別に各キャラクターをメインに据えたドラマCDとかその他グッズを世に出し続けて
【F・H】一本で10周年を迎えることができたこの会社は、【F・H】の10周年イベントを開催した。
そこで発表されたのが【リライト・オブ・ザ・ヒストリア】。「神」が別世界から呼び込んだ「
キャッチコピーは『さぁ、悲劇を書き直そう』
自給自足って難しいね(遠い目)