「さぁ、実験開始……ってその決め台詞さっき言ったな」
呑気にそんな事を呟く戦兎――ビルドへ再び氷の矢が複数襲い掛かる。変身の間は待ってくれていたアイススマッシュだったが、変身が完了した後はお構い無しのようだ。
ビルドは氷の矢を見切ると横に跳び込み、それらを躱してみせる。そのまま自身の武装【ドリルクラッシャー】を粒子召喚すると右手に携え、装備を完了させる。
剣身がドリルの形をしたそれは、追撃でやってきた氷の矢を高速回転で弾き飛ばして装備車であるビルドの身を守っていく。そのままビルドはスマッシュに肉薄し、間合いに入るとドリルクラッシャーを振るった。
「そぉい!」
『っ!?』
ドリルの回転が敵の装甲を削り取り、スマッシュに確かなダメージを与える。続けて振るわれていくことによって装甲は薄まり、相手に与えるダメージも上昇していく。
締めにビルドは刺突攻撃を放ち、敵の薄い装甲を穿った。強い衝撃を受けたスマッシュは近くの瓦礫に吹き飛び、砂煙を起こす。
「おーい、これ位でダウンしてもらっちゃ困るんだけどー?」
バトンのようにクルクルとドリルスマッシャーを回し、それを肩に乗せるビルド。スマッシュが埋まっている瓦礫に声を掛けるも、もくもくと上がる土煙しか見えない。
しかしそれが晴れた時、再びアイススマッシュの姿が現れる。しかも先ほどとは異なり、腕部には氷でできたブレードとシールドがそれぞれ形成されている。
アイススマッシュの特性は氷の能力。先程まで使ってきた氷の矢もその能力の一部で、相手は氷を自由自在の形に形成することによって武器などを作ることが出来るのだ。
氷の剣と盾を見たビルドは、興味深そうに身を乗り出しながらリアクションを取る。
「おおっ、何かカッコいいじゃん!剣対剣、っていうのも面白そうなんだけど……」
ビルドはドリルクラッシャーの刀身を持ち手から分離させると、ドリルの剣先と持ち手の先を合体させ、ブレードモードからガンモードへ移行させた。
ドリルクラッシャーには2種類のモードが存在し、接近戦で戦うブレードモードと遠距離で戦うガンモードを使い分けることが出来るのだ。
「今度は俺が撃つ番ってことで!」
そう言うとビルドは銃口を敵の姿に捉え、加速光弾【スピニングビュレット】を連発する。
『ッ!』
アイススマッシュはシールドを前方に構えながら、悠然と突進を仕掛けてきた。貫通力に優れたビルドの弾丸はシールドに命中していくが、氷の硬度が想像以上に堅く貫通には至らない。
「わぁお。割と頑丈なのね……おっと!」
気付けば敵は近くまで来ており、迫りくる氷の刃をビルドはひらりと躱す。その後も連続で斬撃が繰り出されるが、彼は銃撃を止めて回避に専念することによってそれらを次々と躱してみせる。
氷の刃の切れ味はどれ程のものかは喰らってみなければ分からないが、それを振るう相手は理性に欠いて暴れるだけの怪人。十分な力を発揮しないとなれば、酷く怖れるものでもない。
「ではそろそろフォームチェンジといきますか、ね!」
『ッ!?』
タンクボディのレッグで強力な蹴りを放ったビルドは、スマッシュを軽々と吹き飛ばして近くの車に激突させる。
その隙を見計らった彼は、別のフルボトルを取り出した。ガトリングの銃口がデザインされたガンメタルカラーのフルボトル【ガトリングフルボトル】、獅子の頭部がデザインされた黄色のフルボトル【ライオンフルボトル】。
≪ライオン!≫≪ガトリング!≫
ラビットとタンクのフルボトルを取り外し、振り終えた新しいフルボトルを挿し込んだビルドは変身時と同様にレバーを回す。
≪Are you ready?≫
「ビルドアップ!」
ラビットタンクの時と異なって黄色と鋼色の成分がパイプを通り、前と後ろにハーフボディを形成する。そして2つの装甲がビルドを覆うように1つになる時、ビルドの姿が変化した。
腕部にはライオンのたてがみ、肩部には尻尾型の装甲が施されており、ライオンの頭部を模したアイデザインが特徴の黄色いボディ。
胸部に薬莢ベルトのデザインが加えられているガンメタルカラーのボディ、アイデザインはフルボトルと同様でガトリングの6門銃口。
【トライアルフォーム・ライオンガトリング】
ラビットタンクの時に起きたベストマッチが無い、亜種的存在はトライアルフォームと分類され、この姿もその1つである。
ビルドは左手にドリルクラッシャーのガンモード、右手に新しく召喚したホークガトリンガーをそれぞれ携え、彼はそれらの銃口を吹き飛ばしたアイススマッシュに定めた。
「じゃあ次の第二関門、いってみよー!」
『っ!』
2丁銃による銃弾の嵐が、スマッシュ目掛けて一斉に襲い掛かった。貫通型のスピニングビュレットと爆発型のバレットイレイザーが群となった弾幕は数の暴力で氷の盾を削っていき、やがて爆発で吹き飛ばすとスマッシュ本体に弾丸を叩き込み続けた。
「頑張れ頑張れ絶対にやれるって気持ちの問題だそこで諦めんなって!」
銃を撃ちながら敵を応援する、悪魔の科学者がそこにいた。
そんなビルドの応援は届いていないだろうが、寧ろ届いていてほしくない所だが攻撃の合間にアイススマッシュは弾丸の雨に対抗して巨大な氷塊を出現させると、それをビルドに向けて放り込んだ。氷塊を盾にすることによって、ビルドの攻撃はスマッシュに通らず完全に遮られてしまっている。
弾丸をやり過ごしたスマッシュは、攻勢に転じるべく氷塊の上を飛び越えてビルドに奇襲を試みる。
だが、氷塊を飛び越えた先にいたのは2丁の銃を捨てて格闘の構えを取りながら待機していたビルドであった。
このフォーム、何気に性質が悪く……。
「ガトリングの性質は銃撃と……爆発!」
『ッーー!?』
ガトリングのボディは重厚な装甲から重い一撃を放てるだけでなく、手足の先を特殊火薬で覆うことによって爆発を伴ったパンチやキックを放つことが出来る。
「斬撃、打撃、ムチ攻撃、衝撃波……攻撃バリエーション豊富なライオンちゃん!素敵!」
『ッ、ッ、ッッ!?』
隠し爪で鋭く引き裂き、肩部の尻尾を引き抜いてムチのように振るって攻撃。強靭な打撃はガトリングボディの爆発と相まって相手のダウンを誘い、腕部のたてがみ型装置で蓄積されたエネルギーが、咆哮衝撃波となって敵を吹き飛ばす。
さっきまで銃撃しておきながら、近接戦闘も難なくこなせるのである。これはひどい。
連撃を受けてヨロヨロと立ち上がったスマッシュは、渾身の力を込めて自身の頭上に先程と同じく氷塊を形成させていく。
しかし、その大きさは等身大レベルだった時とは比ではない。3m、5m、7mとどんどん巨大になっていき……。
「うぉー、でっけぇ」
遂にそのサイズは、10m級にまで達した。下手なアパート並の大きさとなったそれに押しつぶされようものなら、間違いなく無事では済まないだろう。
そして今、その対象となるのは……ビルド。
アイススマッシュは頭上の巨大氷塊をビルドに向かって投げつける動作を行う。それに呼応して浮上していた氷塊は轟、とビルドに向かって進み落ち始めた。
「おっとっと、これはマズイ」
迫り来る大氷塊の中、ビルドは先程ポイ捨てしたガンモードのドリルクラッシャーを拾い上げ、手際良く新たな空色のフルボトルを振るとそれを専用の挿入口に挿し込む。
≪Ready go!≫
そしてビルドは、銃口を氷塊に向けると……。
――――――――――
路上に落ちている10m級の氷塊。落下の衝撃で周囲の物は丸々吹き飛んでおり、その威力を物語っている。
アイススマッシュは仕留めたと確信していた。あれ程の氷の塊に押し潰されれば、いかに強い力を持っていても圧死されてしまうのは明白。仮にまだ息があったとしても動けず、衰弱死が待っているだけ。
次なる標的を求めて、アイススマッシュはこの場を後にすべく、氷塊に背を向ける。物であろうと者であろうと、破壊の対象は既にこの場には存在しないから。
≪Ready go!≫
機械音声と共に、アイススマッシュの背後で大地が砕ける音が発される。
アイススマッシュが振り向いた先、その空に彼はいた。
ビルド・ラビットタンクフォームが宙に跳んでいる姿が空中にあったのだ。
氷塊に潰される直前、彼は【ロケットフルボトル】を利用したドリルクラッシャー・ガンモードによる必殺技【ボルテックブレイク】でロケット型のエネルギー弾を発射し、氷塊を僅かに押し返した。
僅かに出来た数秒の時間でビルドは最初に変身したラビットタンクフォームに変身し直し、地面に潜って氷塊の一撃を免れたのである。
「勝利の法則は、決まった!」
空中のビルドと地上のスマッシュとの間に、グラフ型のエネルギー滑走路が出現。
そこにビルドが蹴りの姿勢で乗っかり、グラフに沿うようにスマッシュに目掛けて急降下し始めた。
≪ボルテックフィニッシュ!≫
滑走路を駆けるビルドの痛烈なキックが、怪人の胴体に炸裂する。
≪イェーイ!≫
怪人は身体から火花を噴き上げながら吹き飛び、ゴロゴロと地面に転げ伏していった。そして何とか起きようと抵抗するも、間もなく力尽きてダウン。
着地したビルドは成分が入っていない空のボトル【エンプティボトル】を取り出すとフタを開け、倒れた怪人の方に向ける。
すると怪人の身体から粒子状に成分が抽出されていき、それはエンプティボトルにどんどん集められていった。やがて成分が出尽くすと、スマッシュだった生物の身体が変化した。
スーツを着た三十路のサラリーマンが、先程のスマッシュの正体だったのである。
「よぅしっ、抽出完了。これで俺にも氷の能力かぁ……」
エンプティボトルに成分が集まったことにより、ボトルは膨張したような形を帯び、棘のような模様が円を描いて浮かび上がっているという外見的変化が起きている。【スマッシュボトル】と戦兎達関係者は呼んでいる。
ウキウキ気分のままビルドはビルドフォンを取出し、ライオンフルボトルをボトル挿入口に挿し込む。
するとビルドフォンは瞬く間に変形を開始し、登場した時のバイク【マシンビルダー】がそこに出来上がった。
よっこらせとビルドがそれに乗り込んだと同時に、多数のパトカーが現場に駆け付けた。しかしビルドには彼等と関わる理由が無い。
「グッバーイ」
呼び止められる前にビルドはパトカーから降りてくる警官たちにそう告げると、バイクを走らせて去っていくのであった。
――――――――――
舞台は再びIS学園へ。
昼休みの時間に戻ってきた戦兎は、そのまま何事も無く授業に参加した。
一夏を始めとするクラスメイトたちは彼が突然抜け出した事を気にしていたが、千冬から『奴と学園で特殊な契約を交わしている、余計な質問は控えろ』と釘を刺されたので誰も質問する事は出来なかった。もし忠告を破って彼に訪ねようものなら、グラウンド周回を命じられるかもしれない。
そして放課後。
今日1日の授業が終了したわけだが、一夏のみが頭から煙を吹き出してダウンしていた。
「あぁ……全然分からねえ……」
「お疲れさん。何でそんなにぐったりしてるんだ?」
「いや、授業の内容が全然分かんなくてさ……というか赤星は余裕そうだよな」
「ま、事前に知識はここに入れてあったからな」
トントン、とこめかみ辺りを指差して告げる戦兎。強がりでもなんでもない、確りと知識が蓄えられている者の表情をしている。
「あぁそれと、俺の事は戦兎でいいぞ?名字よりも名前で呼ばれる機会が多かったから、ぶっちゃけ名前で呼ばれた方がシックリくる」
「そっか、折角の貴重な男友達なんだし俺としても嬉しい提案だな……じゃあ俺の事も一夏でいいぜ。織斑呼びじゃ千冬姉もいるしややこしいだろ?」
「確かに」
女子だらけの環境で男が希少という環境のお陰か、2人は大きな隔たりを起こすことなく邂逅を終えた。
2人がそんな風に話していると、職員室に戻っていた筈の真耶が再び教室に姿を現した。少し慌ててやって来たようで、息が若干乱れている。
彼女は2人の男子生徒を見つけるや否や、安堵の表情を浮かべた。
「あっ、織斑くんに赤星くん!良かったぁ、まだ帰ってなかったんですね!」
「あれ、山田先生?俺たちに何か用ですか?」
「えっとですね、2人の寮の部屋が決まりましたので鍵を渡しに来ました。はい、これがそれぞれの鍵です」
そう言って真耶は2人に寮部屋の鍵を手渡す。
一夏の部屋番号は1025、戦兎の部屋番号は5103とそれぞれキープレートに記されていた。
「あれ、俺たちって相部屋じゃないんですか?っていうか戦兎の部屋番号多くね?ここの寮ってそんなに部屋ありましたっけ?」
「あぁ、それはですね――」
「赤星に関しては、事情で少々特別な場所をこちらで用意することになった」
そこに現れたのは千冬。堂々と廊下を歩くその姿は王蛇、じゃなくて王者の風格。キングフォーム。
「経緯を話しつつ部屋に案内するから、赤星は私についてこい」
「分かりました」
「それじゃあ、織斑君も私の方で事情を話しつつ案内しますね。織斑君いいですか?」
「あ、はい大丈夫です。あっ、戦兎!折角だから食堂で夕食一緒に食わないか?」
「ん?まぁいいけど」
「おう、じゃあ後で食堂前に集合な!」
そうやり取りをすると、一夏は真耶と共に戦兎と千冬の2人と別れて自分の部屋へと向かっていった。
戦兎の部屋に向かいがてら、戦兎と千冬の間でも雑談が行われる、
「どうだ、織斑とは仲良くやれそうか?」
「仲良く、ですか?まぁ互いに嫌うようなことは今のところ無さそうですし、特に問題無いんじゃないですかね」
「そうか……まぁ何だ、織斑とは……一夏とは仲良くしてやってくれ。あいつも女だらけの環境で色々と苦労があるだろうからな、男友達のお前がいるだけでも色々と違うだろう」
それまで鉄面皮を覆っていたような千冬の表情だったが、その時は少なからず顔が綻んでいた。教師としてではなく、彼の姉として告げられたその声色もどこか優しげだった。
しかし直ぐに咳を払って自らを取り繕い直すと、いつも通りのキリッとした表情に戻った。
「んんっ、それで赤星、お前は束とどういう関係なんだ」
「あれ、束さんから聞いてないんですか?」
「生憎な。ここにお前を入学させる話を持ち込んできた時も、あいつは必要な事だけを告げて連絡を終えた。普段なら無駄話を入れてきてもおかしくなかったのだが……」
「成程……といってもそこまで大したエピソードじゃないですよ?3年前にドイツで記憶を失っていた俺を、束さんが偶然見つけて保護してくれたんです」
3年前の第2回モンド・グロッソの決勝戦当日。
雨が降りしきるドイツの郊外にて、戦兎は束に発見された。過去の記憶をすべて失った状態で。
千冬も彼が記憶喪失だということや、その周辺の経緯は束から聞かされていた。両者の証言が合致している以上、そこに嘘は無いだろうと踏む。
しかし、彼女には一点信じ難い内容が1つあった。
それは、あの束が千冬、箒、一夏の3人以外に心を開いているということ。それ以外の人間を極端に嫌い、両親に対してもあまり良く思っていない彼女が、偶然拾った人間に強く入れ込むというのが俄かには信じられなかったのだ。
「あの束がな……一体どういう風の吹き回しなんだか」
「え、束さんって誰かに優しくするのがそんなに変なんですか?俺、すごい世話焼いてもらったんですけど」
「あいつがまともな対応する人物は本当に限られている。気に入った人間にはウザいくらいに甘ったるく接するし、それ以外の人間には氷のように冷たく接する。ましてや……」
千冬は目的の場所である寮付近まで到着すると、そこで足を止めた。
「自分のポケットマネーを惜しまずにこんなプレハブ小屋を用意するとなると、相当気に入られているようだな」
彼女に倣って戦兎も歩くのを止めると、彼の目の前にはやや豪華な横広のプレハブ小屋が建てられていた。
窓から内装が窺えるが、ベッドや冷蔵庫などの基本的な居住用設備が揃っている。特に極めつけは、その居住空間の隣に科学室と思われる空間が設けられている事。様々な機材がそこに備えられていた。
「おぉ……!」
「連絡があった直後、学園の方にも電話を入れていたみたいでな。学園長の許可を取ってお前専用の個室部屋、もとい住居を急遽建設させたんだよ。建設費も工事費も中の備品諸々の経費も、全部あいつ持ちだ」
「すっご、すっげぇ!」
千冬の話を聞いていたのか怪しくなるような興奮度でプレハブ小屋に走り寄る戦兎は、食い入る様に窓から中を覗き込む。研究用のスペースがあることにいち早く気付いた彼は更にテンションを高める。
「先生!中、中に入ってみてもいいっすか!?」
「お前の部屋なんだから入ればいいだろう。鍵を使え鍵を」
「ぃやっほう!ロック・オープン!」
戦兎が小屋の鍵を開けて中へと入る。1人で暮らすには十分スペースに余裕もあり、戦兎は早速小走りで駆け回って家の中を探り始める。
そんな戦兎に続いて家に入ってきた千冬は入り口にもたれ、呆れた様子で戦兎のはしゃぐ姿を眺めやる。
先程まで落ち着いた雰囲気だった少年が、急に子供のように騒ぎ喜んでいる。そのギャップがおかしくて、千冬は呆れた表情の口元をフッと崩す。
「見て分かる通り、居住スペースと研究スペースは真ん中で分けられている。学園長の許可が下りているとはいえ、ちゃんとそこの分別は弁えるように。授業に支障を来たすような生活態度を繰り返すようなら相応の罰則が降りるから覚悟しておけよ」
「了解です!」
「居住スペースの奥にはシャワールームがある、脱衣所の更に奥の方だ。寮の方の大浴場の方もいずれは男子も使えるように検討しているが、暫くはまだ使えないから備え付けの方で我慢しろ」
「あぁ別にいいですよ。俺、浴槽とか殆ど使ったこと無いですし」
弟ならば湯船に浸かれないことをショックに感じるところだろうな、と内心で千冬はそう思っていた。
そして同時にこうも思っていた。しかしあの愚弟ならば、それ以前にアホな疑問を持っていたに違いな――。
「それにしても、何で男子は大浴場使えないんですか?」
ここにもアホがいた。
千冬は先程までの暖かな視線から一転、冷めた目つきで戦兎を見る。
「お前、それ本気で言ってるのか?」
「え?はい」
「男と女が一緒に風呂に入ることを何とも思わないのか?」
「別に何も?」
「…………」
どうやら目の前にいるアホは、記憶だけでなく性的倫理観も一緒に落として来たらしい。記憶を失くしたからという理由があるとはいえ、こうもハッキリと告げられると千冬も言葉を失った。
「……色々お前には教えなければならんことが出来たようだが、今は1つだけ教えておく。女の素肌を見るような場面は絶対に控えろ。腕や足などは構わんが、胸部と臀部周辺は特にだ。いいな?」
「ん?まぁよく分からないですけど、ダメって言うならやめときます」
「もし見た暁には、お前の命が燃え尽きるだろうな」
「なにそれこわい」
千冬は弟とは別ベクトルでの問題児が潜んでいた事に、密かに頭を悩ませるのであった。
尚、彼女の頭を悩ませている張本人は能天気な顔でその様子に首を傾げていた。
―――続く―――
■ラビットタンクフォーム■
【身長】196cm
【体重】99kg
【パンチ力】9.9t(右腕)17.0t(左腕)
【キック力】23.7t(右脚)17.8t(左脚)
【ジャンプ力】55.0m
【走力】2.9秒
――ラビットハーフボディ――
①ワイルドチェストアーマー:胸部装甲。スマッシュの通常攻撃に耐え得る強度を備えており、運動性能を高める為に装甲の軽量化が施されている。数秒間だけ自身の動作を高速化させることが可能。
②BLDラピッドショルダー:右肩部装甲。腕部の動作を最適化し、攻撃速度を上昇させる。
③クイックラッシュアーム:右腕部。繰り出すパンチの威力はやや低いが、俊敏性の高さを活かして手数で攻める戦法を得意とする。
④BLDラピッドグローブ:右拳の強化グローブ。細やかで素早い動作が可能な為、ドリルクラッシャーなどの武器を用いた攻撃を得意とする。
⑤クイックラッシュレッグ:左脚部。高い俊敏性を備えており、跳躍強化バネ【ホップスプリンガー】を利用したハイジャンプが可能。
⑥ラビットフットシューズ:左足のバトルシューズ。軽快なフットワークを得意としており、ムーンサルトなどのアクロバットアクションを織り交ぜたキック攻撃が可能。
――タンクハーフボディ――
①パンツァーチェストアーマー:胸部複合装甲。複数の種類の装甲板を重ね合わせることで、物理攻撃に対する強度が高められている。
②BLDインパクトショルダー:左肩部。接触した物体に衝撃波を浴びせ、内部機能などを破壊する。威力は戦車砲発射時に匹敵する。
③ヘビーアサルトアーム:左腕部。内部に組み込まれた駆動装置によって腕力が高められており、敵の内部中枢に影響を与えるヘビーなパンチを繰り出すことが可能。
④BLDインパクトグローブ:左拳の強化グローブ。手の甲に反応装甲が装着されており、衝撃波を伴うパンチで相手の内部機能を破壊する事が出来る。
⑤ヘビーアサルトレッグ:右脚部。機動力と防御力に優れており、高強度の装甲板を叩き付けるヘビーキックを得意とする。
⑥タンクローラーシューズ:無限軌道装置が組み込まれており、敵装甲を削り取ったり高速走行を行ったりすることが可能。
※仮面ライダービルド公式サイトより抜粋。