臨海学校2日目。
前日に引き続き天候に恵まれた今日は、当イベントの目玉である装備試験運用とそのデータ収集。その量は片付けを含めると日中を丸々費やさなければならず、弛んで行動しようものなら夕食に間に合わなくなる恐れもある。専用機持ちは一般生徒よりも換装が多く、1人なので時間も掛かる。
試験場となる離れの海岸には、既に1年生の全員がISスーツ姿で整列している。スーツ自体が水着のような形状なので、いざこうして海とセットにしてみるとなんら違和感が無い。
「では、これより各自で行動を開始しろ」
『はい!』
彼女たちの前に立つ千冬が号令を掛け、各員が事前に決められたチームと段取りを整えて行動に移り始める。1日目は無邪気に遊んでいたが、授業の一環となるとその動きもキビキビとしている。何より飯が掛かっているからとは言ってはいけない。
「あぁ篠ノ之、お前はちょっとこっちに来い」
「?あ、はい」
同じ班の子と準備を進めようとしていた箒を呼び止め、彼女を呼び寄せる千冬。
今回千冬は専用機持ちの監督役で、副担任である真耶は一般生徒の補佐に回っている。その彼女が一般生徒である箒を呼ぶという行動は専用機持ちと一部の生徒を注目させた。
偶々箒と同班だった戦兎も、彼女がそちらに行ってしまったので意識を向けている。
「お前には今日から――」
「やぁ☆」
「…………」
束が生えていた。
訳の分からないことを以下略。もう少し詳しく言うと、岩盤である筈の所に人工的な丸い穴が開いており、そこから突然束が上半身だけ現してきたのだ。周りの驚愕たる様子について微塵も感じること無い笑顔で。
「飛び込んで来ると思った?残念、下から登じょ――」
「ふんっ!」
「あわび!?」
千冬は目にも留まらぬ速さで束の頭を踏み付け、彼女を穴の中へとボッシュート。すかさずご丁寧に付けられていた蓋を蹴って閉ざし、そこに一切の痕跡が残らないようにした。
「……まったく、変な幻覚を見てしまった――」
「それはつまり幻覚を見ちゃうくらい束さんに会いたかったということですね分かります」
「…………」
先程までのやり取りが無かったかのように、束は千冬の近くに佇んでいた。
尤も、頭部に特大のタンコブが無ければもっと自然な光景になっていただろうに。
「それはそれとしてちーちゃん、お久しぶり!おっぱいおっきくな……あ、間違えた、これは箒ちゃんに掛ける言葉だった」
「お前は今の台詞で2人同時に敵を作ったぞ」
「殴りますよ姉さん」
「あぁちょっと、木刀でタンコブぐりぐりすんの止めてぇ~癖になっちゃう~!」
「篠ノ之、やれ」
「はい」
「あぱっち!?」
容赦の無い打撃が脳天のタンコブへと振り下ろされ、潰れた悲鳴と共に2つ目のタンコブを生み出す束。重なったその姿は雪だるまのようであった。
3人による寸劇は久しぶりに会ったとは思えない程に流暢で、極一部の者以外にとっては素性の知れない謎の人物が仲睦まじそうに千冬たちと絡んでいることしか事情が分からず、開いた口が塞がらないでいる。
その内の何人かは、箒が彼女のことを『姉さん』と呼んでいたことを聞き逃しておらず、その正体に察しを付けてもう1つの意味でも驚愕していた。
「というか束、この場にいる者に自己紹介くらいはしろ」
「おいおいちーちゃん、もう私の名前なんてさっきからちょくちょく口にされてるんだから、私がかの大てぇ↑んさい科学者の篠ノ之 束であるぞ、控えおろう!なんて自己紹介をする必要があると思うかい?」
「姉さん、もう自己紹介が終わってます」
「あ、ホンマやん。略してアホやん」
スパーン!と小奇麗な打撃音がまた1つ追加された。
突然現れた不審人物の正体は、現在全世界指名手配中の篠ノ之 束。前後のやり取りで察しが付いていた者も、まだ気づかなかった者もそれを己の中で確信へと変化させ、ざわざわと騒がしくなり始めさせる。
「そら1年、こいつの存在は無視してテストを進行させろ。手が止まっていては夜までに終わらんぞ」
「私の存在を無視しろとは、ちーちゃんってば鬼畜な敏腕教師!略してちく――」
スパーン!スパーン!今度は2連発だった。
「やだなぁちーちゃん、私はちくわって言おうとしたのにぃ」
「嘘をつけ嘘を。というかちくわ教師ってなんだ」
「……ええと、姉さん。それで頼んでいた物は……」
「大丈夫だ、問題無い。ちゃーんと用意して来たよ~。けどその前に……」
千冬たちから離れ、一般生徒たちが装備テストを行っている方へと軽やかなステップで歩いていく束。周りの生徒が彼女の接近に再びざわめくが、当の本人は全く反応していない。
束の一直線先にいたのは、戦兎。束が現れてからも様子を気にしつつずっと作業の手を止めずにいた彼の傍まで近寄ると、彼の背中を包むように大胆に抱き付いた。
『っ!?』
「いやぁ、せんちゃんは快くハグを受け入れてくれて束さん感涙だよ。ちーちゃんも箒ちゃんもシャイだから私を抱いてくれなくて泣きそうデース」
「泣いてんのか泣きそうなのかどっちだよ」
「まぁまぁいいジャマイカ。ほれほれ、もっと押し付けちゃる」
『っ!?』
束の大胆なスキンシップに驚く一同。その中でもシャルロットの反応は特に一番大きかったのは近くにいた専用機持ちのみぞ知る。
「で、結局束さん今日は何しに来たの?」
「んふふー、それを今からお披露目するんだよん。さぁさぁこの場にいる諸君はこれから起こるサプライズを見たければ空を見よ!」
そう言われて気にならない者などおらず、全員が一斉に空を見上げ始める。
その直後、雲も小細な青い空にポツンと浮かび上がる黒い点。点はほんのちょっとずつその大きさを拡げていき、やがて肉眼でもその正体が明らかになっていく。工学的な四角い物体、箱の役割を果たすそれは地表100メートル上空で空中展開すると、中に入っていた物を解放させる。
箱より出でて大地に舞い降りたのは、1機のISであった。スマートな紅蓮の装甲と、脚部腕部の先にあしらわれた金色の蒔絵の装飾。それ自体が1輪の花を表しているかのような、そんな空気すらも漂わせていた。
「って、そのまま落として来て大丈夫だったのこれ」
「へーきへーき。その辺の措置はちゃんと施してるから」
「姉さん、これが私の……」
「そ、これが箒ちゃんの専用機……【紅椿】さ」
代表候補生でもない、一般生徒の箒が専用機。束の発言に本日何度目か分からないリアクションを生徒たちは取る。だが彼女たちが驚き終えるのはまだ早く、そこから始まった紅椿の稼働テストでその性能を見せつけられた。
紅椿を装着して空に躍り出た箒に放たれた、数十発の誘導式ミサイル。束が用意したそれらは噴出煙を吹かしながら四方八方より箒に襲い掛かる。1発でも当たればシールドエネルギーをごっそり削られるだけでなく、シールドを貫通して操縦者にも相当のダメージが入るだろう。
地上でそれを案じた一夏が、彼女の名前を強く呼ぶ。
一夏の声に呼応するかのように、箒は両手にそれぞれ携えた日本刀型の武装を用いて迫り来るミサイルを迎撃していく。刺突に合わせて刃から雨のようにエネルギー波を放つ【雨月】と、刀を振るった範囲に応じた帯状のエネルギー波を撃つ【空裂】。機体内のマニュアルを読み終えていた彼女はそれらを初見とは思えない手慣れた様子で使いこなし、次々とミサイルを斬り落としていく。
やがて彼女は最後のミサイルを撃墜すると、爆煙を背景に達成感に溢れた笑みを浮かべた。
「漸く私も並べる……この紅椿で……!」
一方地上にて、息を呑んだままの生徒たちに混ざってテストを見学していた戦兎も、紅椿の高性能ぶりに舌を巻いていた。
同時にその詳細を独自に分析する。機動力については一見すれば良く分かる。セシリアたちの専用機も十分高スペックだが、紅椿はそれを更に上回っている。中距離にも対応した近接武装が2振りある時点である程度柔軟に立ち回れることが見て取れ、白式のように近づかなければどうしようもない、といったピーキーな仕様にもなっていない。確かに性能は目を見張るものがあるだろう。
しかし、それ以外にも気になる点がある。それは、一般生徒と習熟度に大きな差の無い箒があそこまで動けるものなのかということだ。彼女のことをけなしているわけではない、彼女も放課後には一夏の特訓に参加しているので、つい先程大した差は無いと言ったが彼女の方が上達は進んでいる方である。
だが代表候補生にして専用機持ちであるセシリアたちの稼働時間は箒よりもずっと長く、経験を積んでいる。そんな彼女たちと遜色無い動きを、箒は先程見せつけた。
「(箒だけの力じゃない……何か優秀な補助機能でも入れた、か?)」
チラリと束の方を見やる。
戦兎の視線に気づいた束はバチコーン!と言わんばかりの強烈なウインクを返事の代わりとした。意図は不明。
「お、織斑先生!大変です!」
丁度その時、途中から席を外していた真耶が慌てた様子で千冬の元へと駆け込んできた。普段からちょくちょく慌てる姿を見せる彼女であったが、今回はいつも以上に切羽詰まった様子だ。
真耶は周りに聞かれないように千冬に寄って話をし始める。
「どうしたんだろうな、先生たち」
「さぁ?というか戦兎ってば篠ノ之博士とあんな風に抱き合う仲なんだね」
「いや、一方的に抱かれてたでしょどう見ても。というかシャル、いつの間に俺の横へ来たの?」
「ついさっき」
「そうなの。ってかシャル、なんか機嫌悪くないか?」
「別にー?いつも通りだけどー?」
むくれ顔で言っても説得力は皆無である。彼女のご機嫌斜めの原因は言わずもがな、先程のハグである。
束との関係は当人である戦兎から聞いており、2人が疚しい関係ではないということはシャルロットも理解している。が、やはり好いている相手が自分以外の女性とあんな風に身体を密着させているのを見て、なんとも思わないのは無理だった。自分だってあんな風に身体をくっつけてなんやかんやでいい雰囲気に(ry。
「全員注目!!」
「ぴゃいっ!?」
煩悩に嵌りかけていたところを千冬の張り詰めた声によって引き戻される。おまけに変な声を出してしまい、周囲の視線は一気にシャルロットの元へ。
針の筵のように身体に突き刺さる皆の視線に居た堪れなくなり、顔を真っ赤に赤らめて俯いてしまう。
「デュノア、どうかしたのか?」
「な、なんでもないです……」
「なら静かにしておけ。現時刻をもってIS学園教員は特殊任務行動へ移行する。今日のテストは中止。各班、ISを片付けた後は旅館に戻って教員からの指示があるまで自室で待機だ」
突然のテスト中止に加え、自室待機。
これから臨海学校の本当のメインが行われるという時に突然そのように言い渡され、困惑する生徒たち。今日は戸惑ってばっかりである。
狼狽える生徒たちへ千冬から喝が飛び、急いで各自撤収を始めていく。
「専用機持ちは全員集合しろ!」
「お、呼ばれたぞシャル」
「あ、うん。行ってくるね……というか戦兎も自分の班の片付けしなよ」
専用機持ちであるシャルロットが呼ばれたことで、彼女は千冬の元へと走っていく。
戦兎も自分の持ち場に戻ろうと踵を返そうとした時、ふと目にした。
先程専用機を得たばかりの箒も集められていたこと、そしてその姿を嬉しそうに眺めている束を。
――――――――――
一応一般生徒なので待機命令の対象となる戦兎は、自室で悠々と研究を行っていた。同室には真耶がいるのだが、暫く戻って来れないと本人に言われたので好き放題に研究道具を置いている。
簪から奪い取ったスクラッシュドライバー、臨海学校前の時点で既に8割以上は完成させており、残りの詰め作業もこの旅行中に終わるだろうと踏んでいた。しかし予定外のトラブルのお陰で研究に充てられる時間が増え、予定よりも早く完成させることが出来るペースを掴めていた。
「束さんもとうとう【第4世代機】に入ったからな……俺もちょっとは進んでおかないとな」
紅椿が第4世代機であるということは、束の口からは語られていない。しかし先程のテストで見せた性能、あれもほんの一部となれば既存の第3世代機の枠には収まらないと戦兎は確信していた。世界中が第3世代機の開発に躍起になっているところをちゃっかり次世代機まで進め、完成させてしまう。あの天災ならばやりかねない。
だから戦兎も負けられないと思った。彼女の成果が同じ科学者としてのプライドを刺激し、作業の手を速めていく。
≪―♪≫
「うん?」
その最中、持ち込んでいたクローズドラゴンが急に動き始めて戦兎の周りを徘徊し始める。音楽を鳴らしながら飛び回るので、音が右や左に行ったり来たりで非常に忙しない。
どうやらただ飛んでいるわけではなく、戦兎に対して何かを伝えたいかのようなそぶりをしている。残念ながら言語機能は搭載されていないので、その内容をハッキリと理解するのは困難である。
≪―♪―♪≫
「いや、何が言いたいのか分かんないから」
≪♪♪♪≫
「あー、外に出ろって?」
てめぇ表に出ろ、という意味ではない。世の中には喧嘩っ早い龍がいるかもしれないが、これは違う。これはクローズドラゴンに備え付けてあるとある機能が働いた影響。そのドラゴンが屋外を示しているとなると、戦兎はその意図を理解する。
その機能とは、スマッシュ探知機能。範囲こそ限られているが、スマッシュの存在をキャッチするとこうして戦兎に報せてくれるのである。
「いや臨海学校の、しかも緊急事態中にスマッシュ発見とか普通有り得ないでしょ……」
宝くじでも当てたような気分である。倒せばフルボトルを手に入れられるので、戦兎にとっては本当に当たりかもしれないが。
とはいえ放置するわけにはいかないので、戦兎は道具一式を揃えて部屋を出る。ドラゴンを先頭に立たせて道案内をしてもらう間に、携帯で千冬の番号に掛ける。3コール程鳴った後、向こうと繋がった。
『なんだ、こっちは取り込み中だぞ』
「スマッシュが出たみたいなんで、その報告を」
『何、スマッシュだと?』
電話から出た直後は声色に苛立ちが籠っていたが、戦兎の報告の内容に不意を突かれ、少しいつもの調子に戻る。
『このタイミングでか?』
「いや、スマッシュの出現は俺の意思じゃないんで……ハッ!?まさか本当に山田先生がスマッシュ!?」
『違いますよ!?ここにいます、というか本当にってどういうことですか!?私がスマッシュなんて話がどうやって出てきたんですか!?』
千冬の近くにいて丁度戦兎と彼女の通話が聞こえていた真耶が、謂われのない話に対して心底驚いた様子で全力否定してきた。
『この馬鹿の言うことは無視して結構です、山田先生』
「てんっさいですから、俺」
『ほざけ。それでスマッシュだったな?巡回中の教員には私から伝えておくから、お前はそのままスマッシュを――』
「ちょっと君!今は待機中の筈よ!」
「あ、捕まりました」
『なんでそっちのタイミングは悪いんだ』
巡回中の教員へはその通話から直接千冬が説得することによって事無きを得た。
これで心置きなくスマッシュの元へと迎えると思った直後、今度は戦兎の携帯に着信が掛かる。画面にはシャル、と表示されていた。
「もしもし?」
『あ、戦兎?ごめんね、これからスマッシュを倒しに行くのに』
「なんで知って……あぁ、もしかして織斑先生と同じ場所にいるのか?」
『詳しくは言えないけど、任務の待機中でね。こうして電話してるのも、実はこっそりやっててあんまり良くないんだけど』
あんまりというか、普通に駄目である。
『その……上手く言えないけど、とにかく気を付けてね。なんだか妙な胸騒ぎがしちゃって、何か言わなきゃって思って……』
「そっかー」
『軽っ!?いやいや、そこはもうちょっと警戒心強めるリアクションしないかな!?』
「そう言われてもなぁ……俺にはいつも通りのスマッシュ退治にしか感じないし」
『もう……まぁ、それくらいマーペースな方が戦兎らしいかもね。さっきも言ったけど、本当に気を付けてね?』
「ん。じゃあまた後でな」
『うん、いってらっしゃい』
――――――――――
≪―♪≫
「この辺か」
旅館から出て約10分。クローズドラゴンの案内に従ってやって来たのは、昼間に遊んだ浜辺よりも更に離れた別の浜辺。スマッシュの姿は見当たらず、陸に進んでいくと森が広がっているが、それ以外は砂浜が続いているのでスマッシュが隠れられるような場所は無さそうだ。
「見渡す限り砂だらけ……なぁ、ホントにスマッシュなんているの?」
≪―♪―♪≫
「散歩したいだけじゃないよな?」
≪♬!♬!≫
「うおっ、おま、火ぃ吹くなってあつぅい!」
真面目にスマッシュを探知したというのにそう言われる始末。これにはクローズドラゴンも怒りの火炎攻撃。
ともあれ、この様子ではどうやら杞憂に終わった模様。そもそもこの探知機能も試運転が十全ではないので、何かしら不備があってもおかしくは――。
『ほう……まさかそちらから出向いて来るとはな』
戦兎以外の声。
加工が施されて肉声とはかけ離れた不気味なボイスが彼の耳に飛び込んで来る。その声に覚えがあった戦兎は、素早くそちらを振り向いた。
何も無い砂浜の上に、白い煙が朦々と立ち込める。向こう側の景色が見えない程に濃いその白煙の中から、徐々に人影が形を成して煙の中から現れる。
『また会ったな、赤星 戦兎』
「お前は……バット――」
『ナイトローグだ』
バッ、ナイトローグ。工場のような煙突とコウモリの意匠をあしらったスーツをその身に纏った、謎の怪人。こうして戦兎と対峙するのは2度目である。
「まさかお前とこんな所で会うとはね……偶然、にしては出来過ぎだと思うんですけど」
『どう解釈するかはお前の自由だ。だが、私がこれからすることは何も変わらない』
ナイトローグが身体の煙突から煙を噴かせると、そこから手品のように己の武器を取り出す。以前にも使っていた短剣【スチームブレード】の刃を戦兎に向けて。
『お前をここで始末する』
「前回といいホント物騒だこと……俺が何か恨まれるようなことでもしたの?」
ビルドドライバーを腰に巻き付け、ラビットとタンクのフルボトルを懐から取り出してドライバーに挿し込む。
≪ラビット!≫≪タンク!≫
≪ベストマッチ!≫
レバーを回すと、赤と青の成分を通す幾重のパイプが周囲に展開され、戦兎の前後にビルドのハーフボディが形成される。
≪Are you ready?≫
「変身!」
≪ラビットタンク!イエーイ!≫
戦兎が最も慣れ親しみ愛用しているビルドの基本フォーム、ラビットタンクフォームが白い蒸気を噴かせながらその姿を露わとする。変身の直後、ドリルクラッシャーを召喚することも忘れずに。
快晴の空の下、ビルドとナイトローグが緊張感の漂う距離を空けて対峙している。互いに相手の動向にいち早く反応出来るよう警戒し、沈黙の数秒をその場に齎す。
やがて両者は同時に足元の砂を蹴り上げて走り出し、鋭く振るった得物をぶつけ合う。開幕の火蓋がまさに今、切って落とされた。
―――続く―――
ラビットタンク「なんで俺の変身音端折ったん?」
もう2章入ったし……。