重ねたキズナと巡る世界   作:唯の厨二好き

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ネギま編ラスト。

今回は唯の後日談。

地の文が多くて読むの大変かもしれません。

あと、細かいところは何時ものようにスルーでお願いします。


第24話 後日談、そして帰還

 麻帆良学園は現在いたるところでバカ騒ぎが起こり大変な賑わいを見せていた。

 

 空を編隊飛行する杖に乗った者達がビラやら煙幕やらを振りまき、空飛ぶ船が光り輝く文字を空中に散らしながら店の宣伝をする。魔法と火薬による花火が上がり、地上でははしゃぎ過ぎた生徒が光の輪っかにより捕縛されズルズルと連行される。

 

 そんな麻帆良学園の正面にそびえ建つ凱旋門を模した巨大な門にはこう書かれていた。

 

 「第78回 麻帆良祭」

 

 イオリア、ミク、テト、エヴァ、チャチャゼロの4人は、そんな麻帆良学園の一角、世界樹広場にある石柱に腰掛けて発光する世界樹を静かに眺めていた。

 

 そんなイオリア達の下へタッタッタと軽快な足音が聞こえてくる。イオリアは聞きなれた足音にふっと口元を綻ばせた。

 

「兄さん! もう、探しましたよ!」

「そうよ! ライブ後の打ち上げから主役がいなくなってどうするのよ! まだ、時間だって……」

 

 10歳くらいの少年の声とそれより幾分年上の少女の声がイオリアに掛けられる。二人共、若干声に焦りと安堵が混じっている。

 

「悪い悪い。何となく世界樹でも見ながら黄昏れて見たかったんだよ。もうすぐ、この世界ともお別れだしな」

 

 その言葉に二人の少年少女が押し黙る。

 

 振り返ればそこにはグッと何かを堪えるような赤毛の少年とオレンジ髪をツインテールにした少女がいた。ナギとアリカの息子ネギとアスナである。

 

「何だ、お前達?そんな辛気臭い顔しおって。折角の祭りが台無しではないか」

「そうですよ~ほら、まだ時間はありますから」

「気持ちは嬉しいけどね。やっぱり笑ってほしいな」

「ケケケ」

 

 そんなイオリア達に益々俯き、口元を引き締めるネギとアスナ。そうしなければ泣いてしまいそうなのだ。笑顔で送り出したいと思っていても、こればかりはどうしようもない。

 

 イオリア達はネギにとって兄や姉のような存在で生まれた時か傍にいる存在だ。家族も同然なのである。

 

 アスナもそうだ。あの日、“墓守り人の宮殿”から連れ出されて以来、ずっと傍にいた彼等を家族の様に想っている。

 

 それが、今日でお別れなのだ。おそらく、もう二度と会うことはないだろう。だからこそ、別れに納得はしていても、溢れる涙を堪えきれそうにない。

 

 そう、今日は、イオリア達がこの世界に来てから21年目、原作の麻帆良祭、世界樹大発光の日。この世界にお別れをする日だ。

 

「ふっぐぅ、ひっぐ」

「ちょっと、ネギ。泣かないって、ふぐっ、約束、ぐす、したでしょ?」

 

 

 ついに泣き出してしまったネギに釣られるようにアスナも泣き始める。

 

 それを困ったように見つめ、石柱から飛び降りるイオリア達。イオリアは二人まとめて抱きしめた。背中を優しくポンポンと叩きあやす。

 

 その優しい感触に、遂に二人は堪えきれず大泣きしながらイオリアの首元にしがみついた。ミク達も優しい目でその様子を見つめる。エヴァは若干、もらい泣きしているようだ。

 

 イオリアはわんわんと泣く二人を抱きしめながら、この21年いろいろあったなぁ~と過去に思いを馳せた。

 

 

 

 

 

 

 

 “墓守り人の宮殿”での戦いが終わったあと、イオリア達がしたのは地盤固めだ。

 

 すなわち、テラフォーミング計画には世界中の協力が必要なので、私利私欲のために足を引っ張るような連中はいらないのである。従って、まずはメガロメセンブリアの元老院や武器商人、マフィアの掃討が急務であった。

 

 完全なる世界はまさに黒幕だったわけで、彼等の所在や不正の証拠をこれでもかと所持しており、彼等を追い詰めるのは比較的簡単であった。

 

 全世界に向けて大分裂戦争の原因が私利私欲を肥やそうとしたメガロメセンブリアの元老院であると証拠と共に大暴露し、ほとんどの者を捕え、新生政府を樹立させた。それと同時に逃亡した者や、マフィアの類は赤き翼を始めとした各国の戦闘集団が連携して掃討していった。

 

 1年後には、帝国、連合、ウェスペルタティア、アリアドネーの4カ国が戦争終結宣言と平和条約を結び、王都オスティアで盛大な式典が開かれた。赤き翼と“スケトシア”は戦争を終わらせた英雄として称えられた。

 

 イオリアは「だから誰が清らかな乙女だよ」と終始表情を引きつらせ、それをニヤニヤとからかうナギとラカンに殴りかかったり、「こんな公の場で恥を晒せるか!」と逃げようとしたエヴァをミクとテトが両脇を抱えて離さず、無理矢理式典に出させたりした。

 

 その結果、既に連合の賞金首からは外されていたエヴァだが、その事実と戦時中の救助活動を覚えていた民衆により“聖なる福音”などと呼ばれるようになり「私は悪の魔法使いだぁ~」と身悶えたりと大忙しだった。

 

 争いの火種を狩っている間もテラフォーミング計画は進められていた。テラフォーミングのプロセスは大きく分けて三つだ。一つ、太陽光を集束し照射する巨大なミラーを火星の傍に設置し、太陽光で気温を上げる。そうすることで極冠部の氷を溶かし火星に水を満たす。

 

 二つ、火星の重力を地球と同じ1Gにするために重力発生機関を開発する。

 

 三つ、火星の大気は二酸化炭素が主なので藻類等の植物により酸素を作り出す。これらのプロセスを魔導、魔法、科学の見地から総合してクリアしていかなければならない。そのため、各国が優秀な人間をアリアドネーに集め研究に邁進させた。

 

 また、テラフォーミングをすれば当然、地球からも観測できる。そのため、現実世界への魔法バレは必須だった。ここでも、紆余曲折を経ることになるのだが、最終的に、魔法はオカルトではなく科学的見地からその存在が証明された新たな学問として浸透させることで混乱を抑えた。

 

 イオリア達は並行してデバイス技術から高度なCPUを作成販売する会社を作り、わずか数年でPC関連業界のトップにたった。そして、地球の名だたる財閥や企業と提携し、テラフォーミング計画に参加させた。

 

 スペースコロニーや、火星での施設は材料を地球から魔法世界に持ち込み、魔法世界で製造し、転移魔法で直接宇宙や火星に送ってしまえばいいので、急ピッチで効率よく行うことができる。

 

 火星での作業も自動人形やゴーレム、召喚魔にやらせることで急速に調査・開拓が可能であった。何せ、魔法の類を使うことで重機何それおいしいの? と言わんばかりの働きができるのだ。

 

 もちろん上手く行ってばかりなど有り得ない。火星のテラフォーミングが現実味を帯びてくると利権を獲得しようと国やら企業やらがこぞって争い始めた。

 

 また、魔法の兵器転用という点で国が動くことも多かった。その度に、イオリア達は東奔西走し、事態の解決にあたってきた。後味の悪い解決しかできなかったこともあった。まさに苦労の連続であった。

 

 しかし、皆が皆走り回り疲弊しつつも、嬉しいニュースも多かった。

 

 例えば、詠春が近衛に婿入りし子供が生まれたことだ。名前はもちろん“このか”である。

 

 この時、刹那の存在を思い出し、迫害される前に一族をぶっ飛ばすか刹那を引き取ってしまえと動いた結果、刹那は白い髪に紅い瞳のまま、百合百合しくこのかの傍にいる。

 

 時間があるときはミクが神鳴流を教えるときもあり、ねえ様と慕われてミクは随分嬉しそうだった。

 

 ちなみに、京都に行った際、マスターを紹介したいと青山宗家に連れて行かれたイオリアは、二十歳くらいの青年が「ミク! 戻ってきてくれたのか! 俺のために!」とか言ってミクに抱きつこうとしたので思わず【虎砲】から【断空拳】のコンボを食らわせてKOさせてしまうというハプニングがあった。

 

 それを見た師範代や宗主が「ほぅ、流石はミクの選んだ男だ」と絶賛し歓迎会が盛大に開かれ、目を覚ました秋人が決闘を挑み宴会の席で再びぶっ飛ばしたりするなど、まぁ、色々あった。

 

 それと、決戦の日から10年後、テラフォーミング計画が軌道に乗ったことを機会にナギとアリカが結婚を表明し、その一年後、ネギが生まれた。

 

 アスナは使われていた薬品のせいで感情の回復と成長が遅く、そのため、ネギの姉のような存在として一緒に育った。

 

 原作に比べ、正真正銘の王子様として育ったせいか甘えん坊で寂しがり屋なところがあり、小さい頃は忙しいアリカに代わりアスナが面倒を見ていたので、アスナにベッタリなお姉ちゃん子になってしまい、アリカの落ち込む姿がよく見られた。

 

 ネギやアスナが麻帆良学園に留学することになったときなど、頑張ってこいと軽快に笑いながら励ますナギとは対照的に涙目で送り出すアリカは印象的だった。

 

 そんなこんなで18年が経ち、遂に生身で人が火星に降り立つ日が来た。イオリア達もそのメンバーだ。

 

 作られた水路に水が流れ、未だ藻類だけとはいえ植物が息づく。緑と水の星になりつつある火星に、今日は世界樹より切り出した苗木を植える日だ。10年前より準備されていた世界樹の苗木がこの星で輝けばテラフォーミング計画は成功と言ってよい。

 

 まだまだ生み出される魔力は弱くても、後はひたすら育てていくだけなので10年もあれば地球の半分くらいは魔力に満ちた星になる。

 

 各国の代表や魔法世界の人々が映像越しに見守る中、計画の発案者であるイオリアが苗木を受け取る。

 

 そして、いずれの火星の中心となるであろう場所にそっと世界樹の苗木を植えた。10秒経ち、30秒経ち、ダメだったのか? と落胆の溜息が吐かれそうになったその瞬間、淡く儚げに苗木が輝き出した。

 

 少しずつではあるが魔力を循環させ世界に放出していく。その様子をマジマジと見つめる人々は、ようやく実感したのか一斉に歓声を上げた。まさに歴史に残る瞬間である。

 

 イオリアも喜びを噛み締めるように周りにいる人々と抱きしめ合い、固い握手をし、そして盛大に雄叫びを上げた。守りきった、やりきった男の叫びだった。

 

 当初、計画は成ったとはいえ、まだまだ火星の緑地化は始まったばかりということで、イオリアは悩んでいた。3年後に帰還するか否かである。万一に備えるなら少なくとも10年は様子をみるべきではないかと。

 

 しかし、そんなイオリアの悩みを吹き飛ばしたのは、この世界で親友といってもいい間柄になったナギであった。

 

 この数十年の間に2人はよく語らい、ナギはイオリアが故郷に残してきた誓いを知っている。それ故に、帰還に悩むイオリアに「いいから、後は俺達に任せて、さっさと家に帰りやがれ!」と発破をかけたのだ。

 

 その後、多くの友人達も同じように背中を押してくれたので、イオリアは帰還を決意した。

 

 帰還の報告は造物主にもしに行った。その際、エヴァ達も連れて行ったのだが、造物主がエヴァに「お前も行くのか」と聞き、エヴァが「行くに決まってるだろ」と訝しそうな表情をして答えると、「そうか」と一言呟いた。

 

 その声音にどことなく寂しさのようなものを感じたイオリアは、つい「お義父さん、娘さんを僕に下さい!」と冗談交じりに言ってしまった。

 

 隣で顔を真っ赤にしながら「な、なに言ってるんだ! お前は!」と怒鳴るエヴァを尻目に「やべ、滑った?」と冷や汗をかくイオリア。

 

 しかし、意外なことに「娘をよろしく頼む」と真面目に返されてしまい「あ、はい。任せてください」と素で応えるイオリア。やはり隣でギャーギャーと騒ぐエヴァを放置して何だか妙な空気の中、固い握手を交わす造物主とイオリアであった。

 

 ちなみに、エヴァがイオリア達と一緒に行くことについては、エヴァからの頼みではない。イオリアからの頼みだった。イオリアがこの世界に来て、世界の救済を決意した日から20年以上かけて育んできたキズナを今更途切れさせたくはなかった。

 

 ミクやテトは最初から一緒に行くつもりだったようで、エヴァに一緒に行こうと誘ってみようと思うと相談すると、「えっ? 今更その話し?」と割りかし本気で驚かれた。

 

 しかし、イオリアとしては、きっと長く一緒にいるだろうからこそ、なあなあにはしたくなかった。きちんと言葉にしておきたかったのだ。それ故、ある日、エヴァを呼び出し、二人きりになった。

 

「エヴァ、2年後の帰還の話しなんだけど……」

 

 イオリアが持ち出した話題に、態々呼び出したことも相まってエヴァは勘ぐった。

 

「イオリア、まさかお前、私には残れとか言うのではあるまいな。もしそうだったら……」

 

 剣呑な視線でギロッと睨むエヴァに、「違う違う」と苦笑いするイオリア。

 

「そうじゃなくて、ちゃんと言っておきたかったんだよ」

「?」

 

 どうやら懸念していたこととは違うらしくホッとすると同時に、では何だ?と疑問顔のエヴァに、イオリアは真剣な表情でスっと手を差し出した。

 

「エヴァ、俺と一緒に来て欲しい。ずっと」

 

 エヴァは差し出されたイオリアの手と顔を交互に見ながらやがて意味が伝わったのか軽く頬を染めながら俯く。

 

「あの時とは違うな」

「ああ、そうだな」

 

 あの時とは、エヴァがイオリアを追いかけて来た日のことだ。

 

「あの時、お前は私の意志に任せた。私の一緒にいたいという思いを汲み取って、“よかったら一緒に行かないか?”そう言って」

「ああ」

「それが、今は“一緒に来て欲しい”か……」

「そうだ」

 

 エヴァは目尻に涙を貯めながらポツリと「求められるというのはこれほど嬉しいものなのか」呟く。そして、目尻の涙を指でクイッと拭うと、いつもも不遜で不敵な笑みを浮かべた。

 

「ふん、仕方ない。一緒に行ってやろうではないか。……どこまでだって一緒にな」

 

 そう言って、ギュッとイオリアの手を握った。イオリアも微笑みながら握り返す。二人は微笑み合い、まるで祝福するように月明かりが二人を照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ドタバタと多数の足音が聞こえ、ハッとイオリアは意識を戻す。

 

 ネギとアスナは未だにイオリアの首元にしがみつきスンスンと鼻を鳴らしている。イオリアが二人を抱きしめたままこちらに駆けてくる人達に視線を向けるのと大声を掛けられるのは同時だった。

 

「おお~い、イオリア! てめぇ! 勝手に行っちまうつもりじゃないだろうな!」

「ちょっと薄情じゃないですか?」

 

 そう言いながら駆け寄ってきたのはナギとタカミチだ。その後ろからはアリカ、アルビレオ、ガトウ、ゼクト、詠春が歩いてくる。

 

「そんなつもりじゃないって。幾ら何でも不義理だろうが……」

 

 苦笑いしながら否定するイオリア。

 

 傍に寄ってきた赤き翼のメンバーとワイワイ騒いでいると、アリカが無数の空中ディスプレイを表示し、そこにはラカンやテオドラ、その他にも沢山の魔法世界で知り合った人々が映し出された。

 

 皆口々にイオリア達へ声をかけるので対応が大変だ。並列思考をフル活用しながら更に増した喧騒を楽しむ。

 

 そうこうしながら皆思い思いに思い出話に花を咲かせていると、さらにワーと集まってくる人々。麻帆良でネギやアスナのクラスメイトとなった者達だ。その中には、原作での3-Aのメンバーのほとんどが含まれている。

 

「兄やん、兄やん! いきなりおらんくなるなんてひどいえ!」

「そうです! にい様もねえ様も心配しましたえ!」

 

 このかと刹那だ。二人は勢いもそのままに、このかはイオリアに刹那はミクに抱きつく。視界の端で詠春がピクリと反応していたが無視だ。親バカはもう十分である。

 

 集まって来た人々はいつの間にやら100人近くにまで増えていた。皆が皆、別れを惜しむように、あるいは意識しないようにして精一杯騒ぐ。

 

 一体誰が持ってきたのかテーブルや敷物が用意され、その上に飲み物やらお菓子やらが大量に置かれている。第二の宴会会場と化した世界樹広場で世界樹の発光に照らされながら、最後の時まで時を忘れて騒いだ。

 

 そして、ついにその時が来た。

 

 自然と会話が少なくなり、穏やかな表情のイオリア達と違い、多くの人々が泣きそうな顔をしている。

 

 イオリア達のように穏やかに笑っているのはナギ達だけだ。イオリア達は石柱に飛び乗ると広場に集まる人、空中ディスプレイに映る人をゆっくり見渡した。そしてよく通る声で叫ぶ。

 

「この世界も、お前達も、みんなみんなー、最っ高だった! ありがとう!」

 

 ワーと泣き声だか歓声だがわからない雄叫びが広場に響き渡る。ミクやテト、エヴァも一言二言、感謝と別れの言葉を告げる。

 

「こっちこそ、ありがとよ!親友!故郷に帰ってもしくじんじゃねぇぞ!」

 

 ナギが不敵に笑う。

 

「さらばだ!生涯最高の友よ!」

 

 アリカが友に精一杯の言葉を送る。

 

「主等のこれからに幸あれ!」

 

 テオドラが祝福する。

 

「お元気で!あなた方の生涯は最高のものでした」

 

 アルビレオが微笑みながら手を振る。

 

「達者での~」

 

 ゼクトが柔かに微笑む。

 

「神鳴流を錆びさせるなよ!」

 

 詠春が最後の喝をいれる。

 

「イオリア!てめぇ、誰にも負けんじゃねぇぞ!」

 

 ラカンがイオリアの最強を称える

 

「まぁ、こっちのことは任せな」

 

 ガトウが安心させるように笑う。

 

「あなた達と戦えたこと生涯の誇りです」

 

 タカミチが拳を突き出す

 

「兄さん姉さん! 僕、絶対、すごい男になるから! 立派な魔法使いになるから!」

 

 ネギが誓いを立てる。

 

「私、幸せだから! みんなの御蔭で幸せだから! ありがとう!」

 

 アスナが感謝を伝える。

 

 他にもこの世界で築いてきた多くの人々から言葉が送られる。それら一つ一つをしっかり受け止め記憶し、イオリアは満面の笑みを浮かべながらミクとテトに両手を差し出す。二人がその手を握り光に包まれる。

 

―――― ユニゾン・イン ――――

―――― ユニゾン・イン ――――

 

 濃紺色の魔力が穏やかに渦を巻き、ベルカ式の正三角形の魔法陣が空中に浮かび上がる。

 

 イオリアは腕を伸ばしエヴァの腰を抱き寄せた。チャチャゼロは懐だ。エヴァもイオリアの腕を回ししっかりと抱きつく。濃紺色の魔力と転移魔法の光が溢れ辺りを照らす中、寄り添うイオリア達は一枚の絵画のように神秘的で美しかった。

 

 イオリアは最後にもう一度、自分達を見つめる人々を見渡すと、大声で祝福を送る。

 

「この世界の全てに、最強無敵の幸運を!」

 

 そう言って、光と共に空へと消えた。

 

 この日の出来事は多くの歴史書に残されている。魔法世界の国々は世代を替えても異世界から来た英雄を讃え続けた。

 

 その後の魔法世界がどうなって行くのか、それはまさに神のみぞ知ることだが……きっと大丈夫だろう。

 

 足掻き続ける人間は決して終わらないのだから……

 




いかがでしたか?

今回でネギま編は終了です。

原作メンバーはほとんど出なかった。
期待していた方がいたら申し訳ない。
たぶん書き出したら止まらないと思いまして。
本作のネギま編はあくまで親世代をメインしたかったのです。

あと、テラフォーミングの辺りとか適当です。
ネット情報をほぼそのまま参考にしました。(ちょっとだけARIAも)
なのでツッコミは無しの方向でお願いします。

それと、作中でネギがイオリアを兄さんと呼んでいる点で、えっもうおっさんじゃ・・・
と思った貴方、その理由はベルカ帰還編でちょろっと出てきますので・・・まぁ予測つくかもしれませんが。

ネギま編は妄想が激しかったです。
厨二好きには堪らない作品なだけに作者は現実の忙しさも忘れて執筆、結果寝不足、現実アポン
勢い余って原作のネタを書いてしまったり・・・
まぁ、とにかく楽しかったです。
読んでくれている方も楽しんで頂けたのなら嬉しいです。

次回は、一応の最終章、古代ベルカ帰還編。3話完結ですが・・・もうひと騒動あります。

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