重ねたキズナと巡る世界   作:唯の厨二好き

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第47話 土壇場の別荘ライフ

 

 兵藤家は現在、ある意味、異界と化していた。

 

 何せ、悪魔であるグレモリー眷属やシトリー眷属を始め、堕天使総督と幹部、天使、白龍皇とその仲間、戦乙女、そして北欧の主神オーディンが一堂に介しているのだ。この中で、ただの人間である一誠の両親は、きっと世界で一番自覚のない奇跡の体験者に違いない。

 

 なぜ、こんな事になっているのか。

 

 それは、数日前から一誠達がオーディンの護衛を任された事に始まる。北欧の神話大系の保守的な体制を打破し、他勢力との宥和政策を取るため日本の神々との会談を臨んだオーディンは、アザゼルを通して一誠達に護衛を依頼した。

 

 数日、観光という名の視察に連れ回された一誠達だったが、つい昨日、その護衛が活躍しなければならない事態となった。オーディンと同じ北欧神話の悪神ロキが、オーディンの宥和政策が気に食わないと襲撃を掛けてきたのである。

 

 グレモリー眷属に赤龍帝、堕天使総督のアザゼルに幹部のバラキエル。そうそうたるメンバーではあったが、相手は神格を持つ存在。苦戦は免れなかった。しかも、相手はロキだけではなく、彼が作り出した最悪最凶の魔獣フェンリルまでいた。

 

 魔獣フェンリルは神喰狼と呼ばれる存在で、文字通り、その牙は神をも殺す。速度は神速、爪は赤龍帝の鎧すら紙くずのように引き裂く。耐久力も並ではなく、戦闘意欲が異常なまでに高いので、どんな攻撃を受けても怯みもしない。現役時代の二天龍とタメを張るレベルというのだから、“脅威”などいう表現ではまるで足りない。

 

 結果、フェンリルのファーストアタックで、一誠は戦闘不能。その一誠が咄嗟に庇ったリアスも完全には庇いきれず重傷を負った。アーシアがいなければ、二人共死んでいただろう。この点、原作なら一誠はリアスを守りきるし、一発で戦闘不能になる程ではなかったが、蓮が【覇龍】化を止めたので、その分、能力の向上が中途半端になり、原作より弱い状態となってしまっているのだ。

 

 そんな彼等のピンチに現れたのが白龍皇ヴァーリとその仲間――美猴と黒歌、そして聖王剣コールブランドの使い手アーサー・ペンドラゴンである。

 

 ロキは、二天龍が同じ戦場で並ぶというレアな事態に興が満たされたようで、一時撤退を選択した。オーディンと日本の神々との会談の日に必ず現れると言い残して。

 

 その為、ロキとフェンリル対策を練り準備を進めるため、襲撃の日まで、一誠の家を拠点にしているというわけだ。ちなみに、護衛の増援はない。カオス・ブリゲード英雄派が各地で暴れている為に、どの勢力も臨戦態勢で警戒しているからだ。唯一、元龍王のタンニーンが駆けつけてくれるのが幸いである。

 

 そんな中、決戦と目される前の日の晩、何やら思い詰めたような一誠の姿が地下のトレーニング空間にあった。黙々と筋トレをしている。そんな様子を心配げに見つめるグレモリー眷属達。一誠は、先の戦いでリアスを守りきれなかった事が堪えているのだ。本人は隠しているつもりだが、少し注意深く見れば誰でも分かる。

 

「よぉ、一誠。ギリギリまでトレーニングたぁ感心だな」

「先生。……まぁ、俺は弱ぇっすからね。こうやって出来る事をするしかないですから」

「そういって実践できる奴はそうはいねぇよ。お前の根性は折り紙付きだ。そこは俺が保証してやる」

「ははっ、どもっす。……先生、俺……いや、何でもないです。すいません」

「はぁ、言いかけて止めるな、バカ野郎。不安なんだろ? 今度はちゃんと守れるのかって。誤魔化すなよ。見てりゃ分かる。そうやって、体動かしてないと落ち着かねぇって顔に書いてあるぜ?」

「あ~、やっぱりバレてますか」

 

 頬をポリポリと掻く一誠。先の戦いから暫くは戦いの準備に追われていたので下手な事を考えずに済んだのだが、決戦が近づくにつれ否応なく不安が膨れ上がってきたのである。本人も薄々、ばれていると思っていたようだ。

 

「当たり前だ。みんな気づいてる。お前はとことん腹芸に向いてないからな。……さて、一誠。お前、前に【覇龍】になりかけてから、ずっともう少しで何かが掴めそうな感じだって言ってたよな?」

「へ? ええと、そうですね。こう、もうちょっとで、なんて言うか、霧が晴れそうっていうか。もっと上手く力を使えそうっていうか……」

『アザゼル。一誠の言っている事は本当だ。きっかけさえあれば、大幅に力を使いこなせるようになるだろう。禁手化するまでのカウントや持続時間もじわじわと伸びてきている。一歩踏み出せれば、もっと伸びるだろう』

 

 曖昧な一誠の言葉をドライグが補足する。原作では、一誠は、生命力の大半を代償にした【覇龍】をきっかけにして大幅にパワーアップをしている。対して、今の一誠は、生命力はそのままに【覇龍】への成り掛けをきっかけとして、壁を越えつつあるという状態だ。

 

「そこでだ。もしかしたら、その“壁”を超えられるかもしれない一手を用意した。決戦までに、何とかものにして来い」

「い、一手……ですか? ま、まさか、俺にも匙みたいに実験を!? グリゴリの研究施設でドライグを弄り回すつもりですか!?」

『なんだとっ!? 精神的にいびるだけじゃ物足りないというのか! 今度はこの体も弄ぶというのかっ!? うぉおおおおん!! 乳龍帝には人権すらないというのかっ!!』

「ちげぇよ!! お前等、堕天使をなんだと……いや、まぁ、神器弄り回しているし、否定は出来ないんだが……今回は違う。協力者を呼んだんだよ」

「協力者?」

 

 ついにはモルモット扱いかと、号泣を始めた繊細な時期に突入しているドライグを尻目に、アザゼルが自身への信頼のなさを嘆きつつ、助っ人の話を出した。それに興味を惹かれたのか、グレモリー眷属やシトリー眷属、イリナが集まってくる。

 

 リアスが、アゼザルに皆を代表して質問した。

 

「アザゼル。協力者って……確か、どの勢力もカオス・ブリゲードのテロを警戒して人手を出せないんじゃなかったのかしら?」

「ああ、それは変わらん。その協力者も、こっちに来られるのは三時間か四時間くらいだそうだ」

「?? 益々、意味が分からないわ。そんな短時間来ただけで何が出来るというの?」

「まぁ、それは来てからのお楽しみだ。おっ、言ってる間に、そろそろ時間だな」

 

 アザゼルが時計に目を向けながら、一誠の家に掛けられている結界を解いた。その事に驚くメンバーだったが、直後、眼前に何度か見た覚えのある正三角系の魔法陣が出現し輝きだしたのでギョッとする。

 

 そして、もしかして……と、現れるだろう人物を頭に浮かべた瞬間、予測違わず、その人物が魔法陣の上に転移して来た。

 

「伊織!」

「一誠。こんばんは。他のグレモリー眷属も揃ってるんだな」

 

 一誠が驚いたように声を張り上げ、相手の名前を呼んだ。そう、そこに現れたのは東雲伊織、その人だったのだ。いつも傍らにいるミク達の姿は見えず、伊織一人だった。

 

 グレモリー眷属も驚いているし、シトリー眷属も突然現れたのが【魔獣創造】の使い手であることに驚いている。何人かは「“ストック”の伊織くん!」とバンドの方で興奮していたが。

 

「悪かったな。そっちも大変だろうに、わざわざ呼び出して」

「アザゼルさん。気にしないで下さい。神様相手にしようって言うんだ。本当なら全面的に協力したいところです。こんな事くらいしか出来なくて申し訳ない」

「それこそ、気にするな。お前の言う“別荘”を貸して貰える上に、一誠達の修行に付き合って貰えるだけで大助かりだぜ」

「え? え? 修行? 別荘? ちょっ、先生、伊織! 二人で納得してないで説明してくれ! 何が、どうなっているんだ」

 

 二人で話を進めるアザゼルと伊織に、一誠が困惑しながら説明を求めた。そして、説明を求めているのは、その場にいる全員が同じだった。アザゼルは、苦笑いしながら話し始める。

 

「ああ、すまん、すまん。実はな……」

 

 それは、伊織が曹操達の襲撃を受けた直後にきた、アザゼルからの連絡から始まる。

 

 あの後、電話に出た伊織に、アザゼルは事情を説明しロキ戦への協力を依頼した。本来なら、協会を通して依頼するのが筋なのだが、今回は時間がなかったので仕方なく直接連絡したのだ。

 

 しかし、伊織達とて厳戒態勢にあることに変わりはない。ミクは、七人分の分身体をフル活用して未熟な神器使い達の護衛に張り付いているし、それはテトやエヴァ、チャチャゼロも同じだ。蓮は、最後の砦としてホームの護衛を請け負っている。

 

 そして、戦力増強の依頼に応えて、伊織の魔獣達も各地に派遣し警戒している状態で、余力らしい余力はなかった。伊織の【魔獣創造】は、個体が馬鹿みたいに強力な分、大量に生み出すような力には向いていないのである。

 

 なので、最悪、一誠達が本気で不味い状況で助けを求められたら駆けつけるつもりではあったが、そうでなければ護衛拠点・対象の傍を長時間離れるわけには行かず、アザゼルの依頼に応えるのは難しいというのが結論だった。

 

 アザゼルもそれは分かっていて、手勢の多い伊織に、“あわよくば”くらいの気持ちで依頼したらしい。しかし、頼られてあっさりNoと言えないのが伊織だ。ロキとの決戦まで一誠達にずっと協力するのは難しくとも、どうも伸び悩んでいる一誠の修行に数時間付き合うくらいなら何とかしようというのだ。

 

 アザゼルは、数時間では……と遠慮したものの、そこは伊織達自慢の【別荘】がある。それを説明し、決戦前にみっちり鍛錬して“壁”を越えられないか試してみようと提案したのである。

 

「という訳で、伊織曰く、その“別荘”を使えば、えーと、伊織、どれくらい差があるんだ?」

「最大で七十二倍差ですから、三時間入るとして、中では九日間になりますね――“インデックス”“ゲイン”“ レーベンスシュルト城”」

 

 伊織は、そう説明しながら手元に顕現させた念能力【魂の宝物庫】から【ダイオラマ魔法球】を取り出した。

 

 突然現れた球体状のケースに入ったミニチュアに皆が目を丸くする。アザゼルが、「ほぅ、これがそうか、ふむふむ、なるほど……」などと呟きながらペタペタと魔法陣やらケースやらを触って確かめている。研究者肌が刺激されているらしい。

 

 伊織は、百聞は一見に如かずと言わんばかりに全員を魔法陣の前に促した。シトリー眷属もいるので中々の大所帯だ。

 

「みんな、合図をしたら魔法陣に飛び込んでくれ。時間差のせいで、一秒遅れるだけで、結構中の人を待たせる事になるからな」

 

 そう言って、伊織は全員を中へと送り込んだ。

 

 周囲をナイアガラのような巨大な滝と虹、海と木々の緑に囲まれた雄大な景色の中、天へと伸びる塔の如く鎮座する巨大な柱の上で呆然と周囲の景色に目を奪われている一誠達がいた。

 

 転移陣の描かれた白亜の巨柱からは、陸地に向けて真っ直ぐに空中回廊が伸びており、その先には中世風の威容を湛えた立派な城がそびえ建っている。

 

 伊織は、その回廊の入口まで歩くとくるりと一誠達に向き直り、かつてエヴァがそうしたように、胸を張って歓迎の意を示した。

 

「ようこそ、レーベンスシュルト城へ」

 

 

 

 

 そうして始まった別荘内での修行の日々。

 

 明日は決戦だ! と意気込んでいたのに、いきなり十日近い猶予が出来てしまった一誠達は、最初かなり戸惑っていたものの準備期間が大幅に増えた事を素直に喜んだ。シトリー眷属とアザゼルは三日ほど快適に過ごして英気を養ったあと、外の世界で用事を済ませるために出て行った。

 

 そして、今日も今日とて修行に励む一誠は、現在――フェンリルに襲われていた。

 

「ぎゃぁああああ!! 無理ぃいいい!! しぬぅううう!!」

『オォオオオオオン!!!』

 

 一誠の悲鳴が木霊する。同時に、フェンリルの咆哮が響き渡った。

 

『相棒、怯むな! これは所詮幻だ! 死にはしない!』

「ドライグぅう! そんな事いっても、爪で切られても、牙で噛まれても普通に痛ぇんだけどぉ! プレッシャーも本物と同じくらいヤバイ感じなんですけどぉ!」

『ああ、大した幻術だ。……いや、精神への干渉だったか。見事な再現率だ。全く、本当に引き出しの多いやつだよ』

 

 ドライグが感心したように、そう言いながら僅かに意識を逸らした。その先には、浜辺で必死に戦う一誠を見ながらヴァイオリンを演奏し続けている伊織の姿があった。

 

――念能力 神奏心域

 

 それが、この別荘内にフェンリルの咆哮が轟いている理由だ。【神奏心域】によって一誠にフェンリルの存在を見せているのである。幻故に、スペックは話に聞いた通りに再現できており、精神に干渉しているので、その爪牙が当たれば思い込みが実際に体を傷つける。

 

 言ってみれば、信心深い宗教家の思い込みにより聖痕が出来たり、焼きごてを押されたと思い込んだ者に本当にミミズ腫れが出来たりという現象と同じだ。もちろん、実際にフェンリルの攻撃を受けたときとは比べるべくもなく傷らしい傷も付かないのだが、精神への直接ダメージなので、ある意味、回復魔法で直ぐに癒せる肉体的ダメージよりもきついかも知れない。

 

 伊織は、実戦に勝る修行はなし、どうせならこれから戦う相手とのシュミレーションも兼ねれば一石二鳥と、この修行方法を選んだのだが……常に、世界最悪最凶の魔獣に襲われ続けるという悲惨極まりない荒修行によって急速に能力の引き出しを開け始めている一誠を見れば、正解だったというべきだろう。

 

ザシュッ!!

 

「うぎぃい! っのぉ、負けるかぁ!!」

 

 泣き言を言いながらも一歩も引かない一誠は、幻想フェンリルに脇腹を抉られながらも反撃の拳を放った。それはあっさり避けられたものの、修行を始めた当初は出来なかった事である。短い間ではあるが、確実にフェンリルの攻撃に慣れてきている一誠。伊織も、その成長を見て微笑みを浮かべる。時間があれば、対ロキ戦のシュミレーションも出来るだろう。

 

 そんな伊織は、更に別の場所に意識を向けた。そちらにも伊織の音楽は届いており、同じくグレモリー眷属がフェンリルと死闘を繰り広げていた。対フェンリル用の連携の修行だ。たった三日ではあるが、既に見事なコンビネーションを発揮している。

 

 と、その時、不意に魔法球の転移陣が反応を見せた。どうやら、複数人が転移して来たらしい。遠くに聞こえる声が、シトリー眷属やアザゼルではなかったものの聞き覚えのあるものだったので、伊織は構わず演奏を続けた。【別荘】の外は一誠の家に掛けられた結界で守られているので、アザゼル達の出入りに不便をきたさないようゲートはオープン状態にしてあるのだ。

 

 それから数分、いくつかの気配がレーベンスシュルト城のテラスから感じられた。しかし、どうやら見学をするつもりらしく動く気配はない。伊織は、その内の一人が戦いたそうにそわそわしているのを感じて、苦笑いを零しつつ、その人物――ヴァーリにも音を届けた。

 

 途端、

 

『オォオオオオオン!!』

 

 三体目の幻想フェンリルが、ヴァーリの眼前に出現する。ヴァーリは、一瞬、伊織に視線を向けると唇の端を吊り上げて笑みを見せ、一気に禁手化し飛び掛った。

 

 暫くの間。三ヶ所で爆音と轟音が響き渡っていた。

 

 

 

 

「ほっほっほ、【魔獣創造】の小僧は、中々面白いものを持っておるのぅ。先の技しかり、この空間しかり」

「これは北欧の主神様。別荘へようこそ。【魔獣創造】所持者の東雲伊織と申します」

「まぁ、そう畏まるな。ここはお前さんの城じゃろう? 中々、いい趣味をしておる」

「はは、実際には家族の一人が作ったものなので俺のセンスではないんですが」

 

 精神的限界で一誠がぶっ倒れたのを期に休憩に入った直後、一誠を担ぐ伊織の元へオーディンとお付の戦乙女ロスヴァイセがやって来た。

 

「おお、聞いておるぞ。赤龍帝の小僧と同じで、中々のすき者らしいの? えぇ? 既にハーレムを作っておるらしいではないか。堕天使の小僧に聞いたぞい。なるほど、ここはお前さんの女が作ったというわけか」

「いえ、誤解ですから。別に無類の女好きとかじゃありませんから。あとでアザゼルさんにその辺の事、よ~く言って聞かせないとダメですね、ええ」

 

 どうやら堕天使の総督様は、【魔獣創造】は女たらしだと噂を広めているらしい。伊織の額に青筋が浮かぶ。しかし、北欧の主神相手に失礼な態度を取るわけにもいかないので、伊織は、直ぐに気を取り直すとオーディンに尋ねた。

 

「それで、何か御用ですか? あと六日ほど一誠達の修行に付き合うので、その間であれば、好きに使って下さって構いませんが。ああ、一応、封印してある部屋への立ち入りは遠慮して頂けると幸いです」

「そんな無粋な真似はせんよ。なに、用事という程のものではない。わしが招いた問題に巻き込んだようなものじゃからな。一言、礼と詫びを、とな」

 

 伊織は、オーディンの言葉に恐縮したように頬を掻いた。同時に、本物の神様でありながら律儀な対応に少しの驚きを抱く。

 

「いえ、どうかお気になさらず。俺が協力したくてしているだけなので。むしろ、こういう時に頼って貰えるのは嬉しい事です」

「ほっほっほ、アザゼル坊が言う通りの人間じゃの。お前さんならそう言うだろうと言っておったわ。本気で助けを求めれば、どんなに無理をしてでも駆けつけるだろうともな」

「そうですね。一誠達ならやり遂げると信じていますが」

 

 事も無げに、いざとなれば神との戦いに参戦するという伊織の言葉にオーディンの笑みが深くなった。

 

「うむうむ。最近はとんと見なくなったが、主は英雄や勇者の資質を持っておるようじゃの。そのような者に神滅具の一つが渡った事は僥倖じゃわい。赤龍帝や白龍皇の小僧共も中々熱い魂を持っておるようじゃし……やはり、時代が動き出しておるのじゃろうな」

 

 感慨深げに髭を撫でながら何度も頷くオーディン。何やら琴線に触れたようだ。きっと、一誠やヴァーリの前へ進もうとする気持ちと同じように、彼の心を震わせる何かを感じたのだろう。

 

 が、次の瞬間、オーディンは悪戯っぽい笑みを浮かべると、傍らで静かに佇んでいる戦乙女を横目に阿呆な事を言い出した。

 

「ところで、お前さん、もう一人くらい嫁を取る気はないかの? このロスヴァイセは器量はいいんじゃが、どうにも堅くてのぉ。彼氏いない歴イコール年齢なんじゃよ。将来が心配での」

「ちょっとぉ! オーディン様! いきなり何を! っていうか、いい加減、私の恋人問題から離れてくださいぃ!!」

 

 地面を叩きながら猛抗議するロスヴァイセ。銀髪碧眼のクールビューティーかと思えば、実はかなり残念な人らしい。伊織は、思わず小さな笑みを零す。そんな伊織に、ロスヴァイセはキッ! と鋭い眼差しを送ると、伊織にハーレムなんて! と説教を始めた。それに苦笑いを深くする伊織。内心、いい加減、肩に担いだままの一誠を休ませてやりたんだが……と思いつつ、ロスヴァイセの説教をどうやって止めるか頭を悩ませるのだった。

 

 その後、どうにかロスヴァイセの説教から逃れた伊織は、一誠を城の一室に運び込み、アーシアやリアスなど眷属女性陣に看病を任せたあと、全員分の食事の支度をしてくれているメイドパンダのリンリンさんやチャチャネの手伝いでもしようかと炊事場に向かった。と、その時、不意に背筋に悪寒が駆け抜けた。

 

「おっと」

 

 そんな軽い声を残して身を翻した伊織の背後からスっと手が伸びてくる。伊織は、その手首を極々自然な動きで捉えるとくるりと捻り、合気の要領でその襲撃者を投げ飛ばした。

 

「ふにゃ!?」

 

 何とも可愛らしい悲鳴を上げて、文字通り猫の如く空中で身を翻した黒い着物の女性は何とか無様を晒さずに着地する。見れば、纏う着物は大きく着崩されており、艶かしい脚線美や魅惑の双丘が今にも零れ落ちそうになっていた。その妖艶な眼差しと相まって途轍もない色気を放っている。

 

 しかも、そんな色気を放っておきながら、頭の上にはネコミミが付いており、「もうっ、何で気づいたの!」とでも言うようにミョーンと伸びながら可愛らしい自己主張をしている。可愛らしさと妖艶さが混在した見た目は(・・・・)魅力的な女性――ヴァーリチームの黒歌だった。

 

「……今のを気づかれるとは思わなかったにゃん。気配は完全に消してたはずなんだけど……どうやったにゃん? 伊織ちん」

 

 黒歌は猫魈であり妖怪猫又の中でも特に強い力を持っている。そして仙術や妖術に長けており気配を消す術には相当の自信があった。さっきのも、特別手を抜いたようなことはない。なので、あっさり回避されたどころか反撃まで食らった事が少々、黒歌の矜持を傷つけていた。

 

 伊織は、黒歌の悪びれないどころか、質問までして来た挙句、“伊織ちん”呼ばわりに苦笑いを零す。

 

「どうも何もない。ただ“感じた”だけだ。実際、気配なんかまるで掴めなかったよ」

「?? 気配は掴めなかったのに感じた? 意味不明なんだけど」

「う~ん、説明が難しいんだけどな。……昔、常に致命傷級の事故(・・)に遭いまくるってことがあって、死に物狂いで足掻いていたら、本能的に危険を察知できるようになったんだ。気配とか何も感じなくても、ただ何となく分かる。まぁ、所謂シックスセンスみたいなものだ。だから、俺に奇襲は通じない」

「やっぱり意味不明なんだけど……」

 

 常に悪戯っぽく飄々としている黒歌が珍しく困惑するような眉を八の字にした。そんな黒歌に苦笑いを深めつつ、今度は伊織が尋ねる。

 

「で? 黒歌さんに、いきなり襲われるような心当たりはないんだが?」

「黒歌でいいにゃん♪ さん付とかむず痒いし。襲ったのはちょっとした茶目っ気にゃ。ヴァーリを瞬殺したっていう相手がどの程度のものか試してみたというわけ。それと、この空間に使われてる時間干渉の術について聞いてみたいにゃ。私でさえ、まだ空間干渉が限界だっていうのに……」

 

 どうやら、そういう事らしい。おそらく、そう簡単に術の詳細を教えてくれるとは思えず、さっきの一撃で気でも打ち込んで行動不能にしたあと、ゆっくり聞き出そうとでもしたのだろう。半分以上は悪ふざけだろうが。

 

「なるほど。それで先の一撃か。動けなくなった俺に何をする気だったのやら。今の状況でそういう行動に出るあたり、如何にも気まぐれで自由奔放な猫って感じだな」

「……やっぱり、気づいてたんだ。それでそういう反応って意外にゃん。もっと、激怒するか、叩き出すくらいするかと思ったのに。くふふ、何なら、動けなくなった時にしようと思ってたこと、今からして見るにゃ?」

 

 ペロリと舌舐りしながらそんなことをいう黒歌。微妙に前屈みで腕を寄せているため、ただでさえ迫力ある双丘が更に危険なことになっている。上目遣いも併用するという徹底ぶり。あざとい、流石、エロ猫、実にあざとい。並みの男なら、それだけで腰が抜けるかもしれない色香だ。

 

 しかし、いくら見た目は少年で、肉体に精神が引っ張られる感覚が皆無ではない伊織と言えど、中身は百五十年以上生きてきた男。酸いも甘いも噛み分けて来た上に、その傍らには常に極上の魅力を持つ妻達がいたのだ。今更、ほぼ初対面の女の誘惑に陥落するような柔な精神はしていない。正直、黒歌よりミク達の方が、伊織にとっては何十倍も魅力的だった。

 

「止めておくよ。そういうのは間に合ってるからな」

「……確かに、赤龍帝ちんと違って女を知ってるみたい。でも、他の女もたまにはいいと思うにゃ?」

「そう思えない程度には、がっちりと心を掴まれているんだよ。無謀で無意味な試みはしないことをオススメする」

「……言ってくれるにゃ」

 

 言外に、「お前はミク達以下だ。興味ない」と告げられた黒歌は、ピキリと額に青筋を浮かべる。そして、何なら、本当に力尽くで聞き出してやろうかと舌舐りをし瞳を煌めかせた。

 

「止めておけ、黒歌。戦いの前に余計な力を使うな。それに、東雲伊織を倒すのは俺だ」

「げっ、ヴァーリ」

 

 今にも色んな意味で伊織に襲い掛かりそうな黒歌に、突然、廊下の奥から声がかかった。ヴァーリである。黒歌は、ちょっとバツ悪そうに舌をペロッと出すと両手を上げた。

 

「東雲伊織。久しいな。直接会うのはお前に倒されて以来か……。あれからも随分活躍しているようじゃないか。さっきのフェンリルは中々面白い趣向だった。それに、この空間も悪くない。まだまだ、俺の知らない力を持っているようで嬉しいよ」

「ヴァーリ、相変わらずの戦闘狂ぶりだな。カオス・ブリゲードと繋がってるお前が、一誠達と組むとは意外だったよ」

「神と戦うなんて心躍るじゃないか。たまたま、そこに兵藤一誠達がいただけの話。いてもいなくても挑んださ」

「……それだけとは思えないが。まぁ、そういう事にしておこうか。俺の今回の役目は、一誠を鍛える事だけだからな」

 

 伊織が、相変わらずのヴァーリに溜息を吐く。そして、そろそろ夕食の時間だから食いたければ食っていけと言い残して、さっさと踵を返した。ヴァーリチームもグレモリー眷属と同じくらいユニークな奴らが集まっているので、これ以上、絡まれる前に退散してしまおうと思ったのだ。

 

 別荘内という自分の懐に容易に招き入れ、黒歌の行為も特に気にせず、以前襲ってきたヴァーリを前に簡単に背を見せる伊織に、ヴァーリは不敵な笑みを浮かべた。遠ざかっていく背中がとても大きく見えたからだ。黒歌の方は何となく面白くなさそうな顔だ。まるで大きな存在に、子共にするようなあしらわれ方をされたせいだろう。

 

 その後、結局、食事をもらうことにしたらしいヴァーリ達が、メイドパンダの存在とその実力(料理)に驚愕するのは言うまでもないことだろう。ちゃっかり食卓に付いていたオーディンの舌まで唸らせたリンリンは半端ではなかった。

 

 

 そんなこんなで最終日。

 

『JET!!』

 

 一誠の姿が掻き消える。背中の魔力噴出口から大出量の魔力を噴かせて超高速移動をしたのだ。それにより、一瞬とは言え、フェンリルの速度に追いつき、その鼻面目掛けて拳を振るうことが出来た。

 

 フェンリルは、それを避けてカウンター気味に爪を振るうが、一誠は予期していたようにあっさり回避し、逆に背中の翼を手のように展開した。そして、フェンリルを飛び越えながらその尻尾を捕まえる。

 

「ドライグ!」

『応っ!!』

 

 一誠の呼びかけにドライグが応える。一瞬で、爆発的に力を倍化させた一誠は、尻尾を掴む一誠の翼を切り裂いたフェンリルに向かって特大の魔力弾をぶっ放した。

 

 その一撃により消え去るフェンリル。実際のフェンリルなら耐え切るだろうし、そもそも今の一誠では単独で勝てる相手ではないのだが……それでも初日とは見違える程赤龍帝の力を使いこなしている一誠に、それは合格を知らせる合図でもあった。

 

「ぜぇ、ぜぇ、や、やった……やったぞ、ドライグ!」

『ああ。よくやった、相棒。九日前とは比べ物にならんほど力を使いこなしている。本物であっても、そう簡単に殺られはしないだろう』

 

 禁手化を解きながら、城の前にある砂浜に崩れ落ちる一誠が歓喜の声を上げる。それに、苦笑い気味ではあるもののドライグが称賛の言葉を送った。

 

「お疲れさん、一誠。ドライグの言う通り、見違えたぞ」

「伊織、へへっ、ありがとな」

 

 ザッザッと足音を立てながら伊織が称賛の言葉を贈りつつやって来る。実際、一誠は原作と同程度、あるいは戦闘経験という点では上回っている事を考慮すれば、原作より強くなっていた。

 

 心地良い疲労感とそよ風に身を任せながら砂浜に大の字で横たわる一誠の隣に、傍から見れば、まるで孫の成長を喜ぶジジイのような眼差しを向ける伊織が腰を降ろす。

 

 そして、小さな小瓶を一誠に差し出した。

 

「一誠、これを」

「ん? なんだこれ?」

『お、おい、それは』

 

 ドライグがその正体に気がついたのか驚いたような声を出した。一誠が首を傾げて伊織を見る。

 

「中身は、蓮の蛇だ。無限の龍神がこちら側にいると知られるのは、俺達的には困るから、出来れば控えて欲しいが……だが、お前等の命には変えられない。いざという時は遠慮せず使ってくれ」

 

 伊織の言う通り、その小瓶の中には蓮の蛇が入っていた。蛇を飲めば力が跳ね上がるのは自明の理。それはイコールでオーフィスが伊織達の側にいることを証明することでもあるので、今の生活を崩したくないと思うなら表に出すべきものではなかった。実際、小瓶に封印魔法が施されており、開封しない限り気配は微塵も漏れないように出来ている。

 

 また、一誠達が、ドーピングのような力の得方をよしとしないだろうという事も伊織にはわかっていたが、今回の相手が相手だけに、保険はいくら掛けても多すぎるという事はないだろうと考えたのである。既に、アザゼル達、蓮の存在を知っている者達には、いざという時の為に渡してある。

 

「それに、本当にどうしようもなくて助けが必要な時は、遠慮なく呼んで欲しい。蛇を通せば、蓮に伝わるから。その時は、万難を排して助けにいく」

「伊織……サンキュ。まぁ、こっちにはグレイプニルとかミョルニルとか切り札も沢山あるし、何てったって、ここまで修行に付き合って貰ったんだ。これを使わなくても、神様くらいぶっ飛ばして来るぜ」

「そうか。そうだな。一誠なら、きっと大丈夫だ。何せ、乳龍帝おっぱいドラゴンだもんな」

『東雲伊織ぃ! お前までその名をっ! いや、そうだった。お前はあの番組の曲を作った奴だった……やはり、俺に味方はいなんだな』

 

 冗談めかした伊織の言葉に、しくしくと泣き始めたドライグ。一誠が慰めながら、そういえばよくエンディングを引き受けたなぁと思いつつ、案外、おっぱい好きなのかと、おっぱい談義を持ちかけてきた。

 

 それに対する伊織の答えは「おっぱいもそれ以外も十二分に間に合っている」だった。

 

 一誠が血涙を流したのは言うまでもない。

 

 と、そんな一誠を尻目に、しくしくと泣いていたドライグが何とか立ち直り、伊織に水を向けた。

 

『東雲伊織。前から聞きたかった事があるのだが』

「ん? なんだ?」

 

 そこで、ドライグは少し躊躇ったように言葉を止めると、意を決したように質問を繰り出した。

 

『……東雲崇矢という人物を知っているか?』

 

 その質問に、伊織は、ああその事かと納得したように頷いた。やはり、ドライグは伊織の事を知っていたのだろう、と。一誠が、いきなりどうしたのだろうと、不思議そうな顔をする。

 

「東雲? 伊織と同じ姓だよな。ドライグ、知り合いなのか?」

『相棒、東雲崇矢は、お前の一つ前の使い手だ。期間は短かったが、歴代でも有数の使い手だった。成長速度だけなら一番だろう。あいつほど早く禁手に至った者はいない。それも、力に溺れず、自らの意志で至った者はな』

「へぇ、すごい人なんだな。東雲って退魔師では沢山いる名前だって聞いたけど、伊織の知り合いか? まぁ、少なくとも十七年は前の人だから知らなくても無理はないけど……」

 

 一誠が、ドライグの説明に感心したように頷きながら伊織に視線を向けた。伊織は、少し困ったような表情だったが、どれでもドライグの評価に頬が綻ぶのを止められなかった。そして、静かな声音で返事をした。

 

「知っているとも。東雲崇矢は……俺の父さんだ」

「ッ!?」

『……やはりか。何となく、あいつとあいつの伴侶の面影があったから、あるいはそうではないかと思っていた。俺は、お前が赤子だった時の姿を見ている。あの生まれたばかりの赤子が、まさか父親と同じ神滅具所持者とはな……。崇矢の……崇矢と静香の最後は……知っているか?』

「ああ。酒呑童子との戦いで邪魔が入ったんだってな。酒呑童子――崩月から聞いた」

『そうか。そうだったな。お前が、あの鬼を倒したのだったな。フッ、因果とは偶にこういう粋な事をする。あの赤子が立派になったものだ』

 

 伊織とドライグが話をしている間、一誠はただただ呆然としているようだった。あまりに身近な場所に、友人の親の死が関わっている事に衝撃を受けているようだった。そして、その衝撃に拍車を掛けているのが、伊織の父親が自分の一つ前の赤龍帝であることだ。

 

 つまり、十七年前、まだ赤子だった伊織を残して他界した伊織の父から自分は赤龍帝の籠手を受け継いだのだ、という事が、伊織が同じ神滅具所持者である事も相まって、何だか大切なものを取ってしまったような気がしたのである。

 

 もちろん、そんな事あるわけないのだが、何となくバツの悪い気持ちは抑えられなかった。どうせ神滅具所持者となるなら【赤龍帝の籠手】がよかったんじゃないかと。そんな心情のせいで歪む一誠の表情に、伊織が気が付く。そして、人生経験の豊富さ故に、その心情も手に取るようにわかってしまった。

 

 背負う必要のないものを背負いそうになっている一誠に、多少の呆れを感じつつも、何とも優しい男だと頬を緩める。

 

「一誠、今、お前が感じているのは全くお門違いだ。神滅具が誰に宿るかなんて誰も分からないし、赤龍帝の籠手が俺に宿らなかった事に対して、俺が思うところは何もない。むしろ、次の赤龍帝が一誠みたいな真っ直ぐな奴で、本当に良かったと思ってる」

「伊織……」

『全くだ、相棒。神滅具を受け継ぐなんて考え自体がどうかしている。馬鹿な事で悩むなよ』

「いや、馬鹿って……ああ、もう、わーたよ。俺が誰にも恥じない赤龍帝ならいいわけだしな」

『フッ、そうだ。……まぁ、既に俺は乳龍帝だがな……ぐすっ』

 

 どこに地雷が落ちているわからない繊細なドラゴン赤龍帝ドライグ。伊織も内心、既に乳龍帝おっぱいドラゴンだけどな、と思っていたが口を滑らせなくて良かった。自虐と他人から言われたのではダメージの深さも違うのだ。

 

「その意気だ。確か、一誠は今、赤龍帝の深層に潜って歴代の所持者と対話しようとしているんだよな? だったら俺の父さんにも会うかもしれない。父さんは、最後まで自分の意志で戦って果てた。崩月は、父さんとの戦いを最高だったと言っていた。もし残留思念が囚われているなら、あるいは、父さんが突破口になるかもしれない」

『ああ。あいつは最後まで己の意志を捨てなかった。静香を守れなかった事を悔やんではいたが……伊織の言う通り、語りかけるなら崇矢がいいだろう』

「そっか。伊織の親父さんなら、確かに頼れそうだよな。わかった。……何ていうか、その、色々とマジでありがとな。伊織」

「どういたしまして。全力で暴れて、悪神も犬っころもまとめてぶっ飛ばして来い。そして、生きてまた会おう」

 

 伊織が拳を突き出すと、一誠もニッと笑って拳を合わせた。

 

 その後、別荘を出て、グレモリー眷属やシトリー眷属達、オーディン達やヴァーリ達に挨拶を澄ませてお別れをした伊織。多少の心配はあったもの、それでも、伊織は半ば確信していた。一誠なら、いや、一誠達なら蛇を使うまでもなく、きっと勝利を収めるだろうと。

 

 もっとも、その翌々日に一誠達から礼を兼ねた連絡が来て、期待通り蛇を使わず勝ちを拾ったものの、蛇の代わりに異世界の乳神様とかいう謎の神様から(にゅう)パワーなるものを貰って一誠がパワーアップしたと聞いたときは、異世界の存在を知っている伊織をして「そんな馬鹿な」と呟いてしまったものだ。

 

 そんな予想の斜め上をいく結果ではあったものの全員無事に生き残った事を伊織達は大いに喜んだ。

 

 もうすぐ駒王学園は修学旅行だ。行き先は京都。一誠からも京都に来たら是非、一度会おうと約束をしており、伊織自身も楽しみにしていた。

 

 が、そう事はスムーズに行かないもので、一誠達が強敵と戦ったのだから、次はお前達の番だとでも言うように、伊織達に大きな戦いが待っているのだった。

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

本格的にはロキ戦に関わらせないことにしました。
ただ、蓮ちゃんがやらかしたツケは払わねばと、修行に付き合うという形にしました。

崇矢さんについて、深層に囚われているのは妻を守れなかった悔恨から……ということで。
先に、最高の戦いとか言っちゃったから、憎悪に囚われているとか不自然ですし……

さて、次回はVS英雄派です。

明日の18時更新予定です

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