戦姫絶唱シンフォギア 聖遺物の導き   作:ミリー

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 ハーメルンにて初めて小説を投稿させていただいたミリーといいます。まだハーメルンの機能も全て把握しておらず、読みづらいこともあると思いますがよろしくお願いします。

2018年7月30日 ルビ、表現などを変更しました。


並行世界

 人理、未来を守る戦いから約2年。それを成し遂げた2人の内の1人は人理継続保障機関フィニス・カルデアを離れ、冬木の地で日々魔術の探求を続けていた。

 

「よっ…と。相変わらずここのマナはすごいな」

 

 時刻は深夜。青年へと移る途中に見える彼はいま柳洞寺の地下にある鍾乳洞、その奥地へと足を踏み入れていた。

その装いは黒いカソックに黒いローブを羽織っている。しかし、それらはただの衣服ではなく、魔術礼装としての機能が組み込まれていた。

 

(でも何で今更ここの調査を?あれから10年以上経った今、再調査なんて…)

 

 そう、彼の目的は鍾乳洞の奥地に設置されている大聖杯、その周囲の調査だった。本来御三家が行うべきだが、今回はどの家にも所用があり、代理を任されていた。調査と言ったがその内容は簡単なものだった。結界に綻びがないか、防衛術式に異常がないかなど彼1人でもすぐに終わることばかり。

 

 「さて…告げる(セット)――――」

 

 魔術回路を起動させ、解析を始める。すると結界や術式に異常はなかったが、何かがあるのが分かった。

 

(何だ、これ…?魔力の塊…いや、高濃度の魔力を持つ物…なのか?)

 

 解析を止めて、それに近付く。僅かに地面から出ているそれを引っ張り出し手に取るとそれは法螺貝のような形をしていた。土や泥にまみれ、本来の色は分からない

ことから余程長い時間が経っていることが伺える。

 

 「法螺貝…か?何でこんな物が…」

 

 手に取り眺め、土を払おうと触れた瞬間、突如目映い光が放出される。

 

 「っ!?一体何――――」

 

 光が収まった時、そこには何もなかった。謎の物体も――――彼の姿も。

 

 

 

 

 

 

 次に彼が目を開けた時、最初に映ったのは生い茂る木々だった。森というには小さい。辺りを見回すと遠くにビルが見え、公園か何かの敷地内と彼は考えた。

 

 (外に出されたのか?いや、何か違う。取り敢えず――)

 

 魔術回路を起動させ、自身に異常がないか確認する。幸い異常は見受けられず、次に周囲を調査しようとしたその時――

轟音が響いた。

 

(——っ!?今の音、あそこか!)

 

 音のした方へと向かう。そこには4つの人影があった。1人はオレンジがかった茶髪、1人は蒼空を思わせる青髪、1人は紫がかった銀髪、最後の1人はオレンジというよりは赤に近い髪色だった。これだけを見ればただの一般人だっただろう。しかし明らかにその4人は一般人とは思えなかった。何故なら――

 

 (鎧…?それに剣、いや刀に槍、それにあれは鞭なのか…?)

 

 4人全員が鎧を纏い、その内3人が武器を手にしていた。彼が近付いてくるのが見えたのだろう。奥にいた3人がこちらを見て驚愕の表情を浮かべる。

 

 「えっ!?何で人が!?」

 「何だと!?」

 「くそっ!おいダンナ!避難は終わったんじゃ――!?」

 「()、どうし――!?」

 声、姿からその場にいる全員が自分に近い年齢の少女だと彼は判断する。その3人は焦ったようにも見える。その内赤い髪と青い髪の2人は信じられないようなものを見たように目を見開く。そして、最も近い位置にいる白銀の鎧を纏い3人と対峙している1人は―――

 

 「へぇ――――」

 

 彼を見て口元を歪ませ、笑っていた。

 

 「ちょうどいい。おい、お前これで最後だ。あたしと一緒に来い。来ないならあいつを――――――消す」

 「貴様、何を言っている!」

 「ダメ!速く逃げて!」

 「逃がすと思ってんのか?あたしの方が近いんだ。お前らが行くより速くあたしが仕留められる。」

 「止めろ!そいつは――」

 「とっとと決めな!こっちはいつまでも待ってやれねぇぞ!」

 

 銀髪の少女に目撃者である彼をこのままにしておく考えはないようだった。できるなら捕縛し、どうにか有利な状況にもっていきたいことがうかがえる。向こうの3人はどうやら保護もしくは逃がそうとしているようだった。

 

 (まずいな…。魔術を使う訳には――最悪、目眩ましで逃げるためには…)

 

 彼は自分がこの場で厄介者だと認識し、どうにか逃げられないか手立てを考えていた。魔術、神秘は秘匿されるものであり、関わりのない者には決して知られてはならない。が、この場でそれは難しい。そう結論付け、ローブにしまっている小さな石に手を伸ばす。

 

 「…わたしが行けばその人には手をださないんだよね?」

 「立花!」

 「お前…!」

 「そうかい。だったら――――」

 (今!)

 

 全員の注意が逸れた今この瞬間しかない。そう感じた彼は魔術を行使する。

 

 「凍結(イーサ)!」

 「なっ!?」

 

 銀髪の少女の足元へと投げられた石に込められた術式を起動させ、足を地面と共に凍らせる。虚を突かれた少女は一瞬動きが止まる。次に逃走のための魔術を行使する。

 

 「Legs(脚部)Boost(強化)

 「嘗めんなぁ!」

 

 少女も反応が遅れたとは言え、すぐさま氷を剥がし、鋭利な鞭を伸ばす。偶然にいたが目撃者。このまま逃がすつもりは無かった。しかし、強化魔術によって速度の増した彼の体に触れることは無かった。彼の体は強化魔術を使っていなければ引き裂かれていただろう。予想外に一撃が外れた彼女は次の行動へ移る。

 

「なら、これでどうだぁ!」

(っ!?)

 

NIRVANA GEDON

 

エネルギー球を生成し、投げつける。ただそれだけの技だが、生身の人間が食らえば死は免れられない。とっさに体を捻り、当たることは避けられた。が、その余波だけで吹き飛ばされ、近くの木に叩き付けられる。

 

 「ぐっ!」

 「ああっ!」

 「貴様!一般人に手を上げるとはっ!」

 「こいつはあたしらのことを見たんだ。そのままにしておく道理はねぇだろ!」

 「やめろぉぉぉ!」

 

 もう一度鞭を振るい今度こそ彼を捕らえようとする。しかし、赤髪の少女が彼の前に躍り出し手にした槍で払う。

 

 「くそっ!てめぇっ!」

 「やらせない、絶対にこいつは…!」

 「だったら力づくで、っ!なんだよ、フィー――――撤退!?何でだよっ!――――ちぃっ!分かったよ!」

 

 その場にいた全員が銀髪の少女を見る。

 

 「お前ら、今日は見逃してやる。次に会った時は本気で相手してやるよ。それと――――お前、今度会ったら絶対に消してやる。」

 

 そう言葉を残し、銀髪の少女がこの場から離れる。

 

 「っ!待てっ!」

 「翼さん!今はあの人を!」

 「!あぁ、分かった!」

 

 2人は少女の追跡よりも彼の保護を優先し、駆け寄る。近付いていくと赤髪の少女は必死に呼びかけていた。

 

 「おい!生きてるか!生きてるな!?死ぬな!絶対に死ぬな!」

 「司令!」

 「分かってる!いま医療班を向かわせた!そのまま彼の意識をもたせてくれ!」

 「はいっ!もう大丈夫です!すぐに助けが来ます!だから――――」

 

 生きるのをあきらめるなッ!

 生きるのをあきらめないでッ!

 

 必死に呼びかける2人の声が重なる。その声は力強く、優しく、薄れていた彼の意識を再び呼び覚ますには余りあるほどだった。薄っすらとだが目を開ける。

 

 「――っ!見えるな!?あたしが分かるな!?」

 

 その問いかけにわずかながら頷き,肯定の意を表す。その瞬間目の前にいる少女の目に涙が浮かぶ。

 

 「よかった…!」

 

 その表情はどこか彼が憧れていた――――――正義の味方(・・・・・)を彷彿とさせる安堵と喜びに満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――弦十郎くん、ちょっといいかしら」

「どうした、了子君」

「今、計器に少し反応があってね何かと思って調べてみたんだけど――――これを見て」

「――?っ!?これは…フォニックゲイン(・・・・・・・・)…だとぉっ!?」

 

その言葉に周りにいた人物全員がそう発した人物の方を見る。

 

「何で…!?」

「フォニックゲインって…あれは――――」

「えぇ。ただの一般人だと思っていたけれど、ちょ~っと危険(・・)かも知れないわねぇ...」

「司令...」

「――俺が行く。緒川」

「はい、もちろん」

「では、行ってくる」

「気を付けてね。まだ素性が分からないのだから十分に――」

「分かっている。それに――彼もまだ子どもだ。俺たち大人がどうにかしないとな」

 

 

 

 

 

「特に異常はありませんね。ですがしばらくの間激しい運動は控えて下さい」

「分かりました。ありがとうございました」

 

2人が向かう病院で彼は治療を受け、ベッドの上にいた。全身を強く木に打ち付けていたが、打撲で済み骨折はしていなかった。木に当たる直前、咄嗟に魔術で防壁を張り、身を守っていたのだ。それでも体の各所が痛んではいたがこれといった異常はなくこのまま帰ることとなった。

 

「念のため、もう少しゆっくりここで休んでくださいね。何かあったら呼んで下さい」

 

そう言い残し、医師は去っていった。入れ替わるように3人の少女が病室に入ってくる。真っ先に駆け寄って来たのは赤髪の少女。必死に呼びかける姿をよく覚えていた。

 

「大丈夫か!?どこも怪我はないか!?」

「大丈夫ですよ。幸い打撲で済みましたから」

 

良かった...と呟き、ようやく力が抜けたのかベッドの柵に手をかける。

 

「気を張りすぎだ、奏」

「そうですよ。お医者さんも打撲だけだって言っていたじゃないですか」

「でもさぁ...」

「すまない、少し彼と話をさせてくれないだろうか。」

「司令!」

「弦十郎さん!」

「ダンナ!」

 

そこに2人の男性が入ってくる。1人は赤いスーツを着た大柄な男性。その体は少し見ただけで鍛練を積んできたことがよく分かる。もう1人は黒いスーツを着た若い男性。表情は柔らかく、微笑んでいるように見えるが隙がなく、つかみ所が見られない。

 

 「でもダンナ、こいつはまだ…」

 「奏、情報の秘匿もあるんだ。ここは取り敢えず出よう」

 

 小声で青髪の少女がそう伝える。

 

 「そういうことだ。何、心配するな。すぐに終わるさ。」

 「奏さん、話が終わればまた話せますよ」

 「…分かったよ」

 

 2人が促し、渋々という様子で赤髪の少女とともに退室していく。部屋に残る3人はの間に奇妙な沈黙が流れる。初めに口を開いたのは赤いスーツの男性だった。

 

 「さて、突然すまなかったな。俺は風鳴弦十郎。詳しくは話せないが今回の件の…まあ、責任者だと思ってくれ」

 「…はぁ」

 

 突然の訪問もそうだが、それ以上にいきなり責任者だと名乗る人物が現れたのだ。混乱するのも当然だろう。

 

 「早速本題に移るが、今回のことは他言無用にしてくれないだろうか」

 「はい?」

 「…まあ、君が見た通りあの力…詳しくは話すことはできないんだが、あれは憲法に抵触しかねない。世間に顔見せするのはまだ早すぎるんだ」

 

 思い返すと彼女らが持っていた武器は人に振るえば容易に命を奪うことができる。軍事力と言われても納得できる。秘匿しなければならないことは想像できる。

 

 「————分かりました。今日のことは口外しません」

 「ありがとう。緒川」

 「はい。ではこちらの書類に署名をお願いします。————ありがとうございます」

 「そういえばまだ君について聞いていなかったな。君はどうしてあの場にいたんだ?」

 「あー…そのたまたま出歩いていたら音が聞こえてあの場所に行ったら…という感じですかね…」

 「…そうか、ありがとう。もう帰るのか?」

 「えぇ。もう遅いのでそろそろ――――」

 「ならこちらで送って行こう。どこに住んでるんだ?」

 「そこまでしてもらわなくても大丈夫ですよ。1人で行けます」

 「良いのか?無理は――――」

 「していませんよ。気持ちだけ受け取らせていただきます」

 「何かあった時は大人を頼ってくれよ。君は――――そういえばまだ名前を聞いていなかったな」

 

 普通、情報の秘匿のためにあった人に名前を聞くことはない。しかし、この彼は事情が異なる。少しでも多く情報が欲しい。そう判断したからこそ弦十郎は名前を尋ねることに決めたのだ。

 

 「署名をしたのでそちらでわかると思いますが…」

 「君自身から聞きたいんだ。頼む」

 「…そういうことなら改めて。私は――――――――――」

 

 

 

 

 

 

 言峰零士です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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