そんな君に   作:秋の月

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1ヶ月も放置して申し訳ございません。


16話 放課後デート

「翠くん、この後時間ありますか?」

 

月曜日の放課後、帰りのHRが終わりクラスメイトが帰宅や部活に向かう事を始めた頃に、クラスの違う椎名がうちのクラスに赴いて予定を聞いてきた。

 

「俺は時間あるが...部活は大丈夫なのか?」

 

「はい!今日はお暇を頂戴したので、この後お出かけしませんかと思いまして...」

 

「あぁ...そう言う事か。それなら大丈夫だよ、もう行く?」

 

懐は心許ないので一旦銀行で引き出す必要があるのだが、そこを許さない程椎名は鬼では無いし問題無いだろう。しかし学園のマドンナとも言われる椎名と、しかも制服で出かけるとなると、目立ちそうだな...。まあ、向こうはただ友達と出かけるってだけで、たまたま選んだのが俺だっただけなんだろうな。

 

「翠くんが大丈夫ならば行きましょう!」

 

まあ、今日はバイトも無いし、折角のご好意だから付き合わせてもらおう。

 

「それじゃあ行くか...どこに行くんだ?」

 

「駅前のショッピングモールとかどうですか?」

 

あぁ、あそこか。小物とか服とか色々置いてあるあそこか。色々揃ってるからいいかもな。食事処もあるし、今日は食って帰るか...。

 

「いいな。近いし色々揃ってるし」

 

「それじゃあ決定ですね!早速行きましょうか」

 

「そうだな」

 

取り敢えず東雲たちに「今日は食って帰るから、家に行っても飯は用意しないからな」とだけ告げておこう。連絡無しに遊びに来る場合があるから困ったものだ。

 

そうだ、余談ではあるが父親と母親の五年間の海外転勤が決まったらしい。息子である俺には相談すら無く、事後承諾で今日旅立った。いや、確かに普段から話さないし、正直親にしっかり育てられた自覚も無いが転勤くらいは教えて欲しかった。下手したら親の分の飯も作ってしまう所だったなんて事もあるからな。まあ見送りする余裕も作らない冷たい親だから、帰ってきたら冷めた茶漬けでも出すべきだろうか。

 

「しかし...雨が降りそうな天気だよなぁ」

 

「帰りは大丈夫でしょうか...」

 

「一応俺は傘持ってるが...」

 

天気予報を見たわけでは無いが、空が心做しか喜ばしくない雰囲気だったので念のため持ってきたのだ。

 

「まあ、帰りくらい送るぞ。お前が嫌じゃなければ」

 

「な、ならもしもの時お願いします」

 

そこら辺歩いている天然パーマで、平均的な身長だが猫背のせいで小さく見える雰囲気の暗い奴で良いならと、心の中で自分を下に見ていると、椎名の顔がジト目だった。

 

「翠くん、心の中で自分の評価を下げてましたか?」

 

何故わかるのか知らないが、バレていたそうだ。それがどうしてジト目に繋がるのかはイマイチ分からないのだが...そこの所はどうなんですかねぇ...。

 

「いや、そんな事ないよ?」

 

「翠くんって、噓を吐く時と自分を見下している時は決まって頭に手を当ててるって自覚してる?」

 

...確かに無意識的に手を当てていたかもしれない。まさか俺じゃなくて椎名が知っていたとは...。

 

「...そんな俺の事見てたのか?」

 

「え?えぇ!?き、急に何なんですか!み、見てないと言ったら嘘に...いや、何でもないです!は、早く行きましょう!」

 

「あ、おい!」

 

突然顔を赤くした椎名に手を引かれて、走る羽目になった...やはりあれは俺の自意識過剰だったか。このまま交番に届けられて学校生活が終わってしまうのか?まあ、椎名の事だから例え怒っていたとしても交番には届けないだろうと高を括る。そしてそのまま連れて行き荷物持ちとして馬車馬の如く......椎名の人間性からしてそれは無いか。東雲とか姫島くらいだな。まずあの二人はそんな外出ないから頻度は少ないけど。

 

「...今他の女の子の事考えてましたか?」

 

椎名はエスパーだったか。

 

「まあ、許しますけど...今日、この時間は私だけを見てくださいね」

 

...え?この子何言ってるのか...。

 

「当たり前だろ、まず他に着いてきている人は居ないからな」

 

「...そう言う事じゃ無いんですけど...」

 

ボソボソと言っているからか至近距離でも耳に入って来なかった。

 

「何か言ったか?」

 

「いえ!何でもないです」

 

何を言ったか聞き返したが、何でも無かったようだ。

 

「それならいいんだが...」

 

―――

 

駅前のショッピングモールは、平日と言うのもあり騒がしくなかった。今の時間帯はやはり学生に主婦と言った程度だろうか、店の関係上あまり男性の姿は見受けられなかった。

 

「どこから行くか?」

 

「まず洋服のお店から行きましょう」

 

着いていきながら思っていたのだが、何故女子はそんなに服を買うのだろうか...男の俺はそんな持っていないし、ファッションに関してはフの字も分からない。着れればいいものじゃ無いの!と言うか多くても散らかるだけだし...。

 

「洋服って色々あるけど、こんなにいるのか?」

 

「やっぱり相手に印象付けるものですし、可愛いのとか着たいので欲しいですね」

 

確かに印象付ける事においては顔や態度の次位には重要かもしれない。でもオシャレと言うより着こなしじゃないのかそう言うのは。

 

「翠くんはそう言うのに無頓着ですよね。髪の毛もボサボサですし...」

 

「まあ端から興味無いんだがな。着れればいいし、金かけたく無いし。それと俺のくせっ毛はドライヤーじゃ直らないからワックス塗るしか無いんだけど...なんか嫌なんだよなぁ...」

 

理由は無いが、生理的に受け付けない奴だ。

 

「一度オシャレしてみたらどうでしょうか?」

 

「えぇ...」

 

確かにショッピングモールを提案したのは俺だが、俺自身服はCUとかUNIKLOで買う人間なんだが...。

 

「それじゃあ行きましょう」

 

「あ、おい!」

 

聞く耳を持っていなかった。こうして、まず俺のファッション大会が始まった。

 

―――

 

「これなんてどうでしょう!」

 

着せられたのは黒いズボンと黒い上着、汚れが目立ちそうな真っ白いシャツだ。幸い来たのはオシャレな服屋では無く、財布に優しいCUだった。

 

「うーん...いいんじゃない?」

 

考えても分からない俺は早速お手上げ状態、正直な話、背がピンと張っているわけでも、顔が良いわけでも無いから何着ても...強いて言うなら正装くらいをピシッと決めればいいと思ってるからなぁ。

 

「それじゃあこれは」

 

渡されたのはジーンズと白と黒のボーダーシャツ...椎名も推すし、普段着るような服だからいいとは思うけど。

 

「いいんじゃない?」

 

「もー!真面目に考えてください!」

 

「真面目に考えてって...俺は至って真面目何だが...」

 

同意したら怒られてしまった。全く理不尽だ。

 

「椎名の服も見た方がいいんじゃないか?その為に来たんだし」

 

「...そうですね」

 

俺は取り敢えず話題を変えて、椎名に提案し行動に移す。しかし...服なんてどれも一緒だと思うし、なんであんな破けたジーンズ履いてる人がいるのだろう...貧乏で直す金とか新しいのを買う金が無いのかなぁ。やっぱり俺には理解できない...。

 

―――

 

椎名の買い物も終わったが、特出するのであれば、椎名は大体の服が似合ってた。それを正直に言うと顔を赤くし怒られた。一体何が気に障るのか、褒めるのも正直になるのもダメなのか?なら誰がいいんだ?ヒッキー?

 

「クレープ奢ってもらいすみません」

 

「いんや、気にするな。俺も甘い物食いたかったし、迷惑かけた分の迷惑料だ」

 

「......そ、それならありがたくいただきます...」

 

最初の間は何だったのか知らないが、また納得はしてもらったらしい。しかし女性は本当に分からない。褒めても怒られ、真面目に答えても怒られ、考えてるだけでも怒られ、他の人と出かけるだけでも怒られ、知らない女の子を助けても怒られ...俺は一体何をすれば良いのか?滅多に怒らないのって...朝比奈と竜ヶ崎?いや後者は怒るどころかベタ褒めされて...それはそれで困るけど...。

 

「この後何処に行きます?」

 

「家」

 

「もうそんな時間ですか!?」

 

「いや...知らないけど...」

 

時計を見ると六時に針が指してあった。今クレープ食ったばかりだから夕飯は...家に帰ってからにするか...。

 

「じゃあスーパー寄っていいか?」

 

「いいですよ、買い物に付き合ってもらいましたし」

 

「それじゃあ行くか」

 

今日の献立を急遽考えながら、俺達はモール内のスーパーに出向いた。




最近ガルフレのネタ切れが顕著になっています...。
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