それはそうと、最後の投稿が月始めですね。申し訳ございません(土下座)
「おはよう和倉君。重役出勤ですか?」
「待ってください。そしてよく考えてください。警察もヒーローも消防士も何か起きたら遅れて駆け付けるじゃないですか。この様に正義は遅れてやって来るので遅刻と言うのは決して悪では無いじゃないですか」
「朝からそんなに口が回るなら、夜にも出された罰課題を元気にやれるわね」
「ごめんなさい勘弁してください」
不肖、和倉翠
二年に入り初遅刻。
―――
「翠ってるいが居ないとだらしないよなぁ...」
珍しい事にるいが寝坊したらしく、俺を叩き起す暇がなかったらしい。そして俺の寝付きが良く、起きた時には一時間目の半ばだった。そして俺は一限の担当兼担任の月白先生から罰課題を課されるのだった。幸いな事に簡単なものだったのですぐに終わりそうだ。
「返す言葉がございません」
「和倉くんって結構片付け苦手だしね」
「なんか、捨てようとすると昔読んでたマンガ本を発掘して読みたくなっちゃうんだ」
「それダメなやつじゃん...」
東雲から始まったこの会話のバトンは八束に渡り、アンカーの明音が止めを刺した。
「和倉くんは普段しっかりしているのにどうしたの?」
追い打ちをかけるように、普段服装や遅刻に関して口酸っぱく言う風紀委員の霧生典子に心配されてしまった。そんなに珍しい事か?俺だって寝坊することはあるのに。
「いや、夢見心地が良かっただけだと思うぞ」
「そこは断定しないのね」
遅刻の原因は寝坊か電車の遅延か通院くらいだろう。わざわざ聞く意味は分からん。
「まあ、俺の遅刻の話しは良いだろう、次の授業は物理で移動だからさっさと行くぞ」
「話を変えたな」
東雲、お前は一言余計だ。
「でも時計を見てみろよ」
「...げっ!もうこんな時間」
「急がないとね、ほら!見吉さん起きて!」
「うぅーん...ダーリンくすぐったいよー...むにゃむにゃ...」
随分と幸せそうな夢を見ているようで。
「見吉さん起きないわね...和倉くん見吉さんの事背負ってくれる?荷物は持つから」
「...やるしか無いのか...」
移動教室の時、どうしても見吉が起きない時は俺が背負って運ぶ事がある...正直周りの視線が気になるのだが、力ある男手が必要なのだから仕方ない。そして背中に当たる感触との勝負だって事は断じて無い。無いったら無い。
「偶にはお姫様抱っこでもして上げたら?」
「それこそ見吉のダーリンにやらせてやれよ。春木場だろ、B組にいる『昼寝の小五郎』だっけ?」
「『眠りの英治』だね、それだと迷探偵になっちゃうよ」
昼寝も眠りも大して差は無いと思うんだけどなぁ...。
「取り敢えず起きろ見吉」
「...うーん?...あ、おはよー和倉くん...」
「お目覚めした所悪いんだけど、物理一式揃えて物理室に行くぞ、もう走らんと間に合わん」
「...わかったー」
眠気眼を擦りながら見吉は鞄を漁り物理の教科書等を探す...今にも寝そうだけど、大丈夫なのか...?
「見吉さん、ちょっと急い『キーンコーンカーンコーン』
『あっ』
物理の遅刻が確定した、二限始まりの鐘が鳴った。
―――
幸いな事に、物理の先生は俺らより後に来たから遅刻は有耶無耶になった。
「和倉先輩は本当に抜けてる所は抜けてるんですから...」
「試験の話か?」
「日常生活の話ですよ!」
先に言うけど罰ではなく「仕事手伝って下さい」と言うことで、昼休み生徒会室に来ていた。室内を見渡すと、そこには天都会長と、鴫野しか居なかった。
「所で...他の人はどうしたんだ?」
「本当はりさちゃんと康平君が来る予定だったのよ」
「ですが...お2人とも風邪を拗らせてしまい...」
まあ、季節の変わり目だしな...若倉も拗らせたらしいが、少し流行が早いように感じるなぁ。
「お大事にと伝えといて下さい。俺も出来る仕事はやるので」
「ありがとうございます!」
「助かるわ〜」
なんて言いながら、天都先輩は壁際に行き紅茶を汲み始めたので、あぁこの人本当に仕事するの?となってしまった。二人で回すのは結構厳しい量という事で呼ばれたのだから仕事をしなかったらそれはそれで問題か。
「へぇー、部活とかでこんなに消耗するのか...」
漫画研なら紙や印刷費、運動部ならドリンクに使用器具にその他色々...しかもうちの学校は無駄に部活がある様に思えるからな...。
「聖櫻は部活や行事にお金を掛けてますからねぇ...」
授業は他と変わらないし、教室も私立独自かと言ったら、公立でも使われるタイプだし...。まあ、図書館やら部活専用施設やらがあるのを見ると私立高校だなと思う。
「和倉先輩、これもお願いします」
「ほい...これも会計報告か...」
普通は間違えないものだが、ちょろまかす奴は居るんだよなぁ...。賭博研究会とかよく認められたな、支出と使用予算が合ってないし、支出の詳細が書かれてないし、書いたの誰よ...伊藤閉司とかパチモンくせぇな。それとは逆に手芸部は支出より使用予算が多い...あ、優木がやったのか。後で慌てずやってくれと注意しておこう。しかし部活の数が多いとこの確認作業も大変だ。だからそこでお茶を飲んで一息ついている天都先輩は仕事をして欲しいが、言っても聞かないだろうな。っと、生徒会長印押すのか...会計だけじゃダメなんだなぁ。
「こっち見終わったので後お願いします」
「一息ついたらやるわ〜」
...間違っても紅茶は落とさないよなと思いながら、流石にそれは無いなと仕事に戻る。
「それにしても...先輩違和感無いですよね...生徒会入ります?」
「残念ながら俺はバイトやってるからね...手伝いくらいしか出来ないし、表立って目立ちたく無い...」
「それにしては、サッカー部の練習試合に助っ人として入って強い力を見せてたわよね」
「はははなんのことだか」
思わず頬が引き攣ってしまった。この人も見ていたのか...。
「それに不良が来て騒動になった時、人前で真っ先に睦ちゃんを庇いに行ったわよね」
「元々は俺の呼び起こした事ですし、関係無い人を巻き込むわけにはいかなかったんですよ」
「なんか色々噂になってるわよね〜」
「...色々ってそんなにあるんですか」
なんでその名前が付いたか知らないけど、聖櫻の幻想殺しとか言われた記憶はある...まさか他にもあるの?
「二年B組のインドア派二人を飯で手懐けた」
いや、間違ってはいない。けど何処から広がったんだ?
「校内でも人気の女の子とかなり仲が良い。確か上条さんは幼馴染みなんだっけ」
「仲は良いですけど...そんな噂にされる事ですか?普通に友達付き合いしているだけなのですが...」
「...不憫ね...」
「え?」
この人何を言ったんだ?突然小さな声で、しかも表情が急に暗くなったぞ...。
「何でもないわ〜、それで登戸のカフェでバイトしてるんだって〜?そこでも人気らしいわね」
「バイトはしてますよ。まあ、お陰様で評判は良いですよ」
「女の子も何人か迫って来るんじゃない〜?ねぇ睦ちゃん」
「うぇぇ!?私に振るんですか!?確かに先輩は人気高そうですけど......」
俺は決して難聴系では無い(と信じたい)のだが、これは最後の方本当に何を言っているか分からない。天都先輩のは本能から受け付けようとしなかったのだろう。少し怖かったし。
「いや、確かに『メールアドレス交換して!』とか良く言われますよ」
「言われるのねぇ...」「...言われるんですか」
「でも仕事中ですし、相手は大人の方とかで、俺を弄んでいるだけだと思いますよ」
顔が笑って居たので、恐らく遊んでいるだけだと思う。だから俺は店長直伝「携帯なんて無くてもここに来れば通じ合えるじゃないですか(ニッコリ)」を発動し撃退している。店中騒ぎになるがあれはなんだ?俺のあれがそんなに気持ち悪かったのか?
「...睦ちゃん..」
「言わないで下さい。分かってます」
「?まあ、なので弄られるだけの店員ですよ......意見書の方、意見の多いものとそうでないもの確認してまとめました。一応両方確認取るようにお願いします」
「ありがとうございます。休み時間も残り少ないので後は戻って頂いても大丈夫ですよ」
「そうか?まだ昼残ってるから戻るよ。お先に失礼します」
バイト以外でまともに仕事をした気がし、働いた快感と達成感が生まれ、良い気分で教室に帰れた。
―――
「彼、絶対人気ものよねぇ...ライバル多いよ?」
「先輩、結構鈍感ですしね...」
この作品、何人かオリキャラがいるのですが、中々出せませんね...