この図を最近知った。アイドルマスター(本家)はあまり詳しく無いけど、如月千早さんはよく聞く名前だったので、衝撃的でした。
この土日は特別何も無かった。強いて言うなら姫島がゲームしに上がり込んだくらいだろう。
いつもの通学路を歩いていると、どうやらにゅーろんについての話が広まっていた。中には「ファンになった!」なんて声もあり彼女達の人気は見るに高まっている。一ファンとしては嬉しい限りだな。
今月の生活費はあまり残っていないが、使って良い小遣いは結構残ってる。ゴールデンウィークの時は四月の繰越使ったし、江ノ島行ったのも取り敢えず生活費から出して…で生活費足りない様なら小遣いから補う事に。幸い今月分は足りそうだ。余らすのが小遣いになるから良いんだけど…。
「和倉君、今日は寝坊しなかったのね」
「そんな毎日寝坊してたまるかよ…風紀委員サマ」
「…いつも通り寝癖は立ちっぱなのね…」
「…こればっかりは直しようもないよ…」
霧生典子、風紀委員の彼女は自由気ままな聖櫻学園の中でも更に自由に生きてる二年C組の風紀を主に取り締まっている。姫島曰くノッポさん。何故なら俺と身長が変わらないからだ。
「猫背が酷いわね…シャキッとしなさい!」
「…るいがこのままにしろと顔を赤くして怒るもんだから無理」
ある時ファッションにチャレンジしてみようと少しオシャレで安く帰る服屋に行って店員のおすすめを聞き、頭良い(笑)感じに見せようと伊達眼鏡買って、姿勢を正して街中歩いたら多方面から視線を浴びた。キャーキャー悲鳴を上げられたからダメなのかと思った時にるいが来た。
やけに早口だったが「翠くんは何時もの状態で良いの!それでもライバル多いんだからこれ以上増やさないで!!」と言ってたのは覚えている。ライバルってなんだ…?俺なんかの景品なの?
「…興味あるけど止めておくわ…」
「しかしこれだけ背が近いと目線合わせて喋れるな」
「…長身なのはコンプレックスなのよ…」
「モデル体型で良いじゃないか。オシャレとかして見れば良いのに」
「…貴方だってオシャレのイロハなんて分からないでしょ?」
「まあな。だから店員におすすめ聞いてそれを着てる」
「…自分で選ぶ努力くらいしましょう…」
出来たらやってるよ…あれ?
「…八束は居ねぇのか?いつもならとっくに居るだろう?」
「…八束さん風邪引いたらしいわ」
「珍しいな…まあ、流行りやすい時期だからな…」
季節の変わり目は体調を崩しやすい。どんなに気を付けていたって風邪なんかはふとした時に襲ってくる。
「…看病しに行ったら喜ばれるかもよ?」
「どうだかな…まあ、お見舞いくらいは行くよ」
―――
お見舞いに行こうとしていたら月白先生に、次いでにプリントを届けるよう頼まれた。前に手紙のやり取りをした時に、家は分かっていたから。スポーツドリンクやシャーベットアイス、ゼリーを袋に下げて呼び鈴を鳴らす。
『…はい』
扉の向こうへから弱々しい声が聞こえてきた。まさか八束の奴一人で家にいるのか?
「和倉だ。霧生から風邪ひいたと聞いたから見舞いに来たぞ」
『…えっ、和倉君!?』
室内からドタバタっと聞こえて来たが…。そんな慌てなくても逃げないのに。
「こ、こんにちは…」
落ち着いたと思ったら髪を結ばず、所々寝癖が立ってる八束が来た。心做しか…いや、完全に顔が紅く熱が下がっている感じがしない。熱冷まシートもおでこに貼ってるし。
「元気とは言えそうに無いな。これ今日配られたプリント。それとスポドリとかアイスとか買ってきた」
「あ、ありがとう…いまお金持ってくるから…」
「病人から金は取らねぇよ。それとフラフラしているけど大丈夫…では無さそうだな」
目の焦点があんまり定まってない。明らかに死にそうになってるくらいは体調悪いだろう。
「だ、大丈夫よ…これくらいすぐ…治すから…あ…れ…?」
「危ない!」
やっぱりダメじゃねぇか!立ちくらみでも起こしたのかそのまま廊下に倒れそうになった。
「もう大人しくしてろ。今一人か?」
「…うん」
「…看病していく。どう見ても大丈夫そうとは思えない。顔も紅いままだし立ってるのもやっとだろ?」
「…ごめん。お世話になる…」
「謝んなくて良いからさっさと治せ。取り敢えず治せ」
階段登らせるのも危ないだろうな…おぶるか。
「ほら、乗れ」
「う、うん…」
…しかしるいも姫島も東雲もそうだが何故女の子はこうも柔らかく軽いのだろうか。
「部屋は二階か?」
「うん…扉の所に名前書いてあるから」
…いつもはうるさくクラスメイトを見ている委員長さんも、風邪には手も足も出ないのか…まあ、一年の頃も体調崩して休むなんて事は無かったから、久し振りの風邪で辛く感じているのだろうな…。
「よっと…っておぉ…」
部屋は少しばかり教科書などが散乱していた。俺の部屋もるいが来ないとこんな調子だが…。
「あ、あんまり見ないで…」
恥ずかしいのか顔を背中に押し付けてくる。…熱すぎねぇか?
「ほら、熱下がってるか測ってみ?」
ベッドの上で寝かせると、持ち歩いている体温計を出す。消毒は後で消毒液でも借りるか。
無機質な電子音が小刻みに聞こえてきた。
「どれどれ…うわっ三十八度超えてる…」
「…熱下がって無いみたい…寧ろ上がってる…」
これの状態を無視できる程クズでは無い。ましてや高校入ってからお世話になってる女の子の友達なんだ。
「…食欲は?」
「…あんまり」
「アイスとかなら食えるか?」
問うと首を縦に振った。袋からみかん味のシャーベットと取り出しスプーンで掬う。
「ほら、口開けて」
「…頂きます」
少し驚いた顔をしていたが…るいを看病する時はこうするば喜ばれてたからな…今は知らないけど。
「ちなみにうどんとかは食べれるか?」
今度は首を横に振った。そこまで食欲無いのか…。
「これ食ったらゼリーあるから、それ食って薬飲みな」
本当はちゃんと食べさせてからが体力もある程度戻るし良いんだけどな…。でも無理して食べさせても逆効果だろう。
「…ありがとうね。看病してくれて」
「別に…今にも倒れそうな病人を放って置けるなんて出来ないだけだよ」
「ううん。それだけじゃないの。君に看病してもらえて嬉しかった」
――!
「…やけに素直だな」
「…ふふ、何だかね」
「…みんな心配してた。明日は無理でも早く治せよ」
「うん…もう少し甘えて良いかな?」
「…好きにしろ」
―――
八束が寝付いた頃には苦しそうだった表情も大分穏やかになってきた…と言ってもまだ熱は高いのか依然顔は紅いままだ。
「…和倉…くん…」
…寝言か?
「…ありがとう…」
…たく、何時もは気持ちを何故か隠してるのに今日は素直過ぎて調子狂うな…。
「こっちこそ…何時も世話になるな」
彼女はクラスでも中心に立つ人物なのは間違いない。話の輪の中心に居るわけでは無いが。何時もは注意されて気が滅入っている姫島ですらどこか寂しげな表情を浮かべてたし、見吉も眠いのを堪えて授業を受けていた。何時もと違いみんな大人しかった。おかげで霧生も久し振りにゆっくりしていた。みんな八束の事が心配だし、何時もの日常も八束が居てこそのものなのだと痛感させられた。
今の雰囲気良いクラスを作っているのは、ムードメーカーの明音や戸村でも無い。きっと八束が居るから作り出せるのだろう。ある程度暴れても大丈夫だと。おかげで本人のストレスはマッハだけどな…。
でも…彼女はみんなから慕われているから、何時も叱られてる奴らだって協力して誕生日会を開くのだろう。怒られて恨みがあるならそんな事はしない。表面「用事がある」で誤魔化すが、驚く事にみんな来たからな。八束は凄い驚いていたが、嬉しそうだった。感極まって泣いたりもしたんだっけな。
「…来年の誕生日も楽しみにしとけよ」
「…突然どうしたの?」
「いいや、何でも」
「変なの…」
まあ…頑張り屋で今のクラスを築き上げた彼女なのだから、数日くらい休んだって誰も怒らないだろう
―――
二日後に八束は復帰した。それまで驚く程静かだった二年C組は騒がしさを取り戻した。
「こら!姫島さん学校でゲームしちゃダメでしょ!」
「うげぇ…また面倒なのが戻ってきたのう…」
八束の叱りを受けて嫌そうな顔をしている姫島…でもなぁ…。
「そんな事言って八束が居ない間寂しそうにしてただろ?」
「な!何を言うんだ何を〜!」
「ったく素直じゃ無いな…」
「和倉君」
「ん?どうした八束」
「…あの時言えなかったけど、お見舞いと看病…ありがとねっ!」
ニコッと笑う八束の姿に、少しずるいなと思ってしまう。そんな俺もあまり素直じゃ無いんだなぁ…。
そんなこんなで、長く感じた五月はその幕を閉じたのだった。
最近は気分が良いけど、風邪気味。