4話目、どうぞ。
四月の後半
前半は淡いピンクで染まった並木道も深緑に変わっていた。前回の後日談だが、生徒会選挙の投票が終わり会長は天都かなた先輩が、副会長はうちの学年の篠宮りさと一年生の女子。書記も女子生徒が二人、会計は男女一人づつ、総務が女子二人の合計九人だ。男子生徒が一人という辛そうな場所ではあったが、その男子生徒は遠目で見た感じ真面目だが、はしゃぐ時ははしゃぐON/OFFの区別が出来るやつだった。
「お、篠宮か。副会長当選おめでとう」
「和倉君おはよう。頑張るからこれからも応援してね」
廊下を歩いていると、同級生の篠宮りさが歩いていた。
他クラスの彼女とは、あまり話す場は少ないが、たまに話したりはする。
「しかし、会長は天都先輩か...」
「これからが大変だわ」
優秀ではあるものの、ものすごくマイペースな人で、噂には毎日お茶会を開いているとか。
「それじゃあね」
「あぁ、生徒会頑張れよ」
朝から生徒会か...なんか下手な運動部よりも働いてるよなぁ...。
―――
クラスに入ると机に突っ伏した。
視界を遮り、聞き耳を立てると聞こえてくる話題は生徒会とかの話題だ。
「結局後藤は落とされたな」
後藤と言うのは選挙演説で某自営業の政見放送をパクり、不適切だと判断されて立候補取り下げどころか停学処分を貰っている。
「水着コンテストとかやってみて欲しかったな」
これは会長候補の奴だろう。望む声があり、この学校ならやりかねない...が、天都先輩の方が圧倒的だった。
結局は容姿とかだ。まあ、前年度も生徒会やっていて、経験があると思われて入ったりしてるが。
「しかし一人以外全員男とか羨ま...いや、けしからん!」
「これじゃあハーレム...まるで和倉みたいだ!」
何故俺を上げる。俺はハーレムなんて作ってない。
嫉妬の込められた視線が刺さる。
「でも和倉だしな...」
『仕方ない...』
何故皆さん仕方ないで片付けるんですかねぇ。嫉妬の視線から残念なものを見るような視線に変わった。だから俺が何をしたと言うんだ。
「和倉はクラスの話題の中心だよな」
クラスメイトの若倉はそう話を振ってくる。
クラスメイトの男子の中でも数少ない俺の会話相手だ。
「俺は別にあいつらから好意を受けているわけじゃ」
「...彼女達に少し同情かなぁ...」
お前は何を言っているんだ的な視線を送られながら、彼の漏らした言葉を理解しようとした...。
なんでそこで彼女達と出るのか?あいつらか?まさか。
「まあ、鈍感な君は分からないと思うな」
鈍感って...るいや八束とかにも言われたが、俺はそんな鈍感なのか?
「俺ってそんな鈍感なのか...?」
『そうだよ!』
耳に入ったクラスメイト全員が迫真の声を上げる。
仲良いなお前ら。
「まあ、いいや...」
机に垂れている時には元通り周りは会話を再開していた。いつの間にか若倉は、他のコミュで「やっぱり加賀美は可愛いよな!声も見た目も行動も!」と盛り上がっていた。まあ、元気なのは良い事だ。
ふと周りを見ると、今日は東雲も姫島もいた。
学校に来てまで仲良くゲームをしていた。
―――
放課後になった。今日あった六時間目の物理の疲れからか、家に帰った途端制服のままベッドの上に突っ伏した。正確に言うと物理の前の体育で疲れていたところ、止めを刺された。どっちでもいい。
「疲れた...」
少し目を閉じたつもりで再び目を開けると、東雲と姫島の姿があり、外の景色は夕暮れだった。
いつの間にか寝ていたらしい。そしてこの二人は家主に無断で侵入したこととなる。
「ん?起きたのか?」
「あぁ......で、何しに来たの?」
頭があまり回っていないが、ゲームをやっている様に見える。まあ、こいつらの様はそれくらいか...。
「ゲームと飯を集りに来た」
「右に同じく」
「......はぁ」
起き上がると、下のキッチンまでとぼとぼと歩く...しかし身体が少し暖かい。寝る前にかかっていなかった毛布がかかっていたのは彼女立ちが毛布をかけてくれたからだろうか。まあ、根はいい奴だからな、両方。
「冷蔵庫は何が入ってたっけ...」
開けると鶏肉とキノコとか野菜とか...。これ使って和風パスタでも作るか。パスタ用の麺は補充してあるし...。
まあ、あいつらも文句言わず食うから大丈夫だろう。
他にも何か作っておくべきか...。
お、偶然ペパロニがあったんだ。近所のお爺さんが輸入品の大型スーパーに行って買ってきてくれたんだ。
和風パスタとペパロニピザの組み合わせってありなのかと思ったが、ピザ食べ放題の店だと和風パスタ頼んでピザも楽しむ人もいるらしいからいいのか。行った事ないけど。細かい事は気にしない方がいいか。
白米出て来て主菜副菜汁物が洋風でも食べれるからな。
いや、見た目的にあまり良くないか...。
確認しなくてもいいか。ゲームに夢中になって話聞かなそうだし。そう言えばコーラってあったっけ...。
―――
缶のコーラが常温保存で置いてあった。期限も問題ないし、保存場所も直射日光は避けている場所だから問題ないだろう。親が使っていたジョッキを洗い置いておく。
「おーい!もうそろそろ飯が出来るから降りて来い!」
上の部屋まで聞こえるくらい大きめの声で呼ぶと上から反応したような音が聞こえてきた。
下手したらゲームに夢中で降りて来ないなんて事もあったが、今日はお腹が空いているようだ。
「もう出来たのか?」
「もうすぐ出来るから席について」
端末を持ってきているのか、席についたら二人はその端末でゲームを始めた。
「しかし...いい匂いがするなぁ...」
「あぁ、材料あるからピザ焼いてるんだ」
「なるほど...だからチーズか...」
さてと...パスタはもうこの位か...。事前に用意した皿に盛り付けるとテーブルに持って行く。本当は手伝って欲しい所だが、仕方ない。
「まず主食のパスタだ。鶏肉とキノコと水菜とか使った
和風パスタだ」
「これが...」
「女子力...」
何かブツブツ言っている様だが知らない。後から
「お!キノコだ!」と姫島が喜んでいるが、少し反応が遅いようだ。
ピザの方を確認しに来たら丁度出来上がった。
いい感じに焼けていて、チーズなんか長く伸びそう(小並感)
「熱っ!」
取ろうとした時にオーブンに触れてしまったのか強い痛みが襲ってきた。軽く冷やそう。
珠にやらかすけど、本当に痛い。
「ふぅ...」
待たせるのも悪いので早めにピザを取り出し、皿に乗せて運ぶ。ピザの存在に気付いた東雲は、驚きの声を上げたが、それよりも嬉しさが勝っていた。まあ、喜んで貰えたのなら何よりだ。作ったかいがある。
「これ手作りなのか?」
「流石にペパロニとチーズとかそう言うのは市販だが
生地は手作りだ...作り置きだがな」
流石に生地まで作る時間は無かった。
「流石だよな、翠はな...女子力高くないか?」
「本当だよなー。それより、早く食べさせてくれぇ...」
姫島が目の前のパスタを食したいとかそんな目をしていたので、雑談は置いといて食べる事にした。
「じゃあ...いただきます」
『いただきます』
「お店のより美味しい...だと?」
「ピザも美味しいな〜!」
自分が作ったものを美味しそうに食べる彼女達をみていたら
「お、おい!なに笑ってるんだよ!」
いつの間にか、笑っていたらしい。