俺がハンガーに戻って来たらもう陰神のスーパーパックの取り付けが完了していた。
俺の所に一がやって来る。
各所コンピュータのケーブルに繋がれているがエンジンもスタートさせておりいつでも発進できる状態であるとの事。
一「...兵装は58㎜ガンポッド、レーザー機銃、マイクロミサイル、CIWSランチャーでアサルトナイフは不具合が発生したため使用出来ません。後は機体が通常より早く重たいです。くれぐれも激しく動く時に注意して下さい」
八幡「了解した」
一の事項を聞いた後ヘルメットを装着し陰神の操縦席に入りキャノピーを閉める。
それと同時に作業班は陰神の機体各所に接続してあったコンピュータケーブルを取り外し始めた。
八幡「BB、オペレーターと回線を繋げ周波数は〇〇」
BBにオペレーターの川崎と回線を繋げるよう指示する。
BB『了解、回線開きます』
BBは指示通り動いてくれた。
俺はオペレーターとコンタクトを取った。
八幡「こちらゴースト88番機。オペレーター返答願う」
直ぐに返答が来た。
川崎『こっこちらオペレーターの川崎...っです....』
ぎこちない返答だった。
俺に敬語を使うのが嫌だったのか?
そう思うと思わずため息を吐いてしった。
八幡「そんなかしこまらなくていいぞ川崎。普段通りに話してもいい」
そう川崎に指摘すると川崎は「わかった」と一言言う。
八幡「空の状況を教えてくれ」
俺は川崎に天候の情報をリクエストした。
川崎は俺の言う通りに動いてくれた。
川崎「風が南西から吹いて雲が若干多い。けど輸送機との合流地点では雲はないよ」
パイロットにとって雲は邪魔なもので敵の視界を防ぐ事が出来る。
時には邪魔で時には便利。
つまり都合のいい物である。
川崎『護衛対象の輸送機が合流予定時間より早く着く可能性があるわ』
どうやら輸送機が予定より早く合流地点を通過するらしい。
すると前方に一が右腕を高く上げですグッドマークを見せる。
ケーブルの取り外しが完了し、全て完了した合図だ。
俺も左手でグッドマークを一に見せ返事を返した。
予定より早く飛行しているのなら俺はそれに合わせなければいけない。
八幡「BB、離陸後直ぐに4000フィートまで急上昇するぞ」
そうBBに言って俺は主翼と尾翼の動作チェックを開始した。
周りいた整備班は引き上げて陰神から離れている。
いつでも出れる状態だ。
動作チェックを終了し川崎に告げる。
八幡「動作チェッククリア。オペレーター、いつでも出れるぞ」
川崎『了解、滑走路へ進入して』
滑走路の進入の許可が下りた。
俺は目の前にいる一に移動する合図を送ると一は両腕を使って外まで誘導してくれた。
一の動きに合わせて陰神を動かす。
ハンガーから出ると黒い空が待っていた。
そして俺のヘルメットに滑走路の誘導矢印が表示した。
一の誘導はここで終わり。
俺は一に敬礼した。
一も敬礼しハンガーの方へ走って行った。
矢印に沿って陰神を移動させ滑走路へと進入しパーキングエリアで止まる。
いつでも離陸出来る状態になった。
後は川崎が上の離陸許可を得るだけ。
滑走路の隣には成田空港の滑走路とターミナルがある。
滑走路に埋め込まれているLEDとターミナルの電気がまるで星空とシャンデリアの様だ。
川崎『離陸許可が出たよ。隣が空港だから旅客機には注意してね』
八幡「了解した」
川崎から離陸許可が下りたと報告が入った。
俺はスロットルを一気に前に押し込む。
陰神のノズルが小さくなりアフターバーナーする。
スーパーパックを装備しているからか体が後ろへ持ってかれる。
まるでカタパルトで離陸する感覚だ。
徐々に速くなり滑走路に埋め込まれているLEDライトが線状に見える程になる。
スピードメーターは離陸可能な数字を出す。
操縦桿を引いて機首を上げで機体を上斜めの状態にする。
そして機体が宙に浮き陰神は地面から離れた。
離陸に成功した俺は主翼左右に付いているスーパーパックのエンジンの推進力を上げ高度4000フィートまで急上昇していった。
川崎 咲川崎 沙希
私は今初めて司令室でオペレーターをやっている。
薄暗い部屋の中ヘッドセットを付けて目の前にあるモニターを見る。
モニカ教官が私に比企谷のオペレーターをして欲しいと言われた時は驚いた。
研修生の私が特殊部隊のアイツをオペレートするなんて無理がある。
ベテランのモニカ教官の方が私より断然いい。
比企谷もそう思っているはずだった。
けどアイツは違った。
こうして私今ここでアイツの、比企谷のオペレーターをしているのである。
アイツの優しさに甘え私はタメ口でアイツとオペレートしている。
これに関してモニカ教官は何も言って来ないけど比企谷以外の人にはちゃんと敬語使わなきゃ。
比企谷が離陸してから数分が立つ。
報告は此方からするがアイツからの報告が来ない。
アイツらしいと言えばアイツらしいけどたまには報告して欲しい。
そう言えば比企谷のパイロットスーツ姿初めて見た。
ここでアイツと会う時はSMSの制服で学校と同じ様に猫背だった。
けどパイロットスーツ姿のアイツは猫背ではなくしっかりと胸を張って歩いていた。
それに体格も良かった。
正直に言えば....カッコいい..と思った
で、でもこれは率直な意見で別にアイツの事が好きとかではなくて....///
とにかく!学校とSNSではアイツの雰囲気が違うって事よ!
それにしても修学旅行が終わってから比企谷と由比ヶ浜と雪ノ下の仲が妙に悪い。
基地に行く途中電車の中でアイツは意見の食い違いとか仲が悪いと言っていた。
学校では普段通りの顔をしているがたまに何か抱え込んでいる顔をしている。
電車の中だってそうだった。
そんなアイツに私は心配した。
成田基地から離陸して1時間が経過した。
高度4000フィートで現在も太平洋上空を飛行。
アメリカ空域と日本空域の境目付近にいる。
少しスピードを上げ目的地へ向かっている。
レーダー反応なし、IFFに異常は見当たらず、敵影もいない。
陰神は夜になると本来の力を発揮する。
黒と灰色の塗装によりステルス機能が上がり暗闇の空では陰神は見えない。
敵の死角を狙う事が出来る。
まさにゴーストだ。
するとレーダーの端に反応を見せた。
IFFはAmerica air forceと表記する。
間違いない。
今回の護衛対象の輸送機だった。
俺は川崎に報告した。
八幡「レーダーに護衛対象機の反応を確認したこれより対象機に近づく」
川崎『りょ、了解!』
八幡「どうした?急に声出して....」
川崎『な、なんでもない!////早く行きなさい!』
何故か質問しただけでオペレーターに怒られました。
気を取り直し俺は機首を下げ降下しながら輸送機に接近した。
八幡『BB、輸送機と回線を繋げろ』
同時にBBに輸送機と回線接続を取る様命じる。
BB『了解....輸送機U-19と回線が繋がりましたこのままお繋ぎします』
ここから英語でコンタクトを取る事になる。
八幡「此方はSNS戦術特殊航空部隊の比企谷大尉だ。依頼の護衛任務に来た。もうすぐ機等に接近する」
機長『此方はU-19ー.......』
コンタクトに成功した。
現在U-19は高度3500フィートで飛行中。
日本の領空内に入ったと聞いた。
降下中の陰神をU-19と同じ高度に合わせ接近する。
接近するうちにU-19を目視で発見した。
八幡「機影を確認した」
BB『マーカーをセットします』
同時にBBがヘルメットのガラスにU-19にマーカーをセットする。
八幡「U-19を目視で発見。これより更に接近し護衛任務を開始する」
と川崎に伝え機体をU-19の背後へ周ってから先頭を飛行する。
これより本格的な護衛任務に入る。
U-19の中にレインボー部隊(知り合い)が搭乗している。
そしてここから1時間30分かけて横浜までU-19を護衛する。
面倒くさい事だが陰神に乗れるから別にいい。
するとU-19から通信が入った。
だが機長の声ではなく聞き覚えのある声が俺の耳に入る。
声の主はドイツ特殊部隊GSG9
コードネーム、イェーガー
イェーガー『久ぶりだなハチマン、イェーガーだ』
イェーガーの声を聞いて呆れてしまう。
勝手に通信に入れていいのかよ?
八幡「通信が入って来たかと思えばアンタかよ。勝手に使うと怒られるぞ」
それに対しイェーガーは高笑いした。
イェーガー『ちゃんと操縦士に許可を貰ってる。それに俺1人じゃない』
トゥイッチ『久しぶりねハチマン』
フランスのGIGN トゥイッチが現れる。
この人はテザーを飛ばすショックドローンを作ったメカ好き女性隊員でBBを作った本人である。
八幡「トゥイッチ貴方まで....」
トゥイッチ『別にいいじゃない。私たちこれから帰りなんだから』
嫌違うだろ。
行きも帰りも同じ事だろうが。
この人達の輸送機護衛は必ずと言っていいほど俺がつくはめになる。
だから毎回回線で俺に話し掛けて来る。
まぁそこからレインボー部隊の人たちと関わりを持ち始めたがな。
BB 『お久しぶりですエマ』
トゥイッチ『その声はブラックバードね。どお?調子は』
BB『絶好調です』
トゥイッチ『フフッ、元気そうで何よりだわ』
BBとBBを作ったトゥイッチの会話はまるで親子の会話だった。
エマとはトゥイッチの本名エマニュエル・ピションの略しである。
トゥイッチ『ハチマンはいつレインボー部隊に入ってくれるのかしら?』
いや入隊しないから。
八幡「いや入りませんから」
イェーガー『なんでだ?ゴーストのお前なら推薦で行けるぞ』
トゥイッチ『そうよ、それにシックスにもオファーされてるでしょ?』
八幡「確かにそうですが....」
レインボーは国や宗教を問わない部隊。
PMCやSMSでもレインボーの隊員になれる。
ただし何処もそうだが特殊部隊に属する者しか出来ない。
川崎『.....比企谷.....』
暗い声で俺を呼ぶ川崎オペレーター。
心配してくれてるのであろう。
てか英語理解しているんですね。
八幡「真に受けるな川崎、俺はバルキリー乗り一筋だ」
川崎『....そ、そう...』
ゴーストに配属しているしシックスさんからオファー誘いを受けている。
だが俺はまだ17歳。
レインボーは「軍」
年齢制限がある。
それに連携を取るなんてボッチの俺には出来ません。
後また訓練なんてごめんです。
イェーガー『ん?誰だ?』
八幡「俺のオペレーターだ」
イェーガーが川崎の声に反応しやがった。
イェーガー『声が若いな、名前は?』
あんまり模索しないで欲しいのだが。
川崎『か、川崎 沙希...です。比企谷のクラスメイトです』
イェーガー『ハチマンにクラスメイトだと⁉︎』
川崎が一部誤った情報?をイェーガーに伝えせいで誤解をされてしまった。
イェーガー『おい、どういう事だハチマン。SNSにお前のガールフレンドがいるなんて知らないぞ』
八幡「いやガールフレンド居ないから!ただの知り合いだから!」
川崎『ガ..ガ..ガールフレンドだなんて....///』
トゥイッチ『あらあら、この動揺ぶりはもしかしたら....』
八幡「いやいや、そんなラブコメ的な事ありませんから!」
俺は誤解を解くのに必死だった。
八幡「とにかく、俺はバルキリー乗りとしてこれからもやって行くつもりです。ですからまだレインボーに入るとか考えてませんから」
そして無理矢理でもこの話を切ろうとした時だった。
操縦席から警報が鳴り響いた。
川崎『ッ⁉︎』
八幡「ッ......」
レーダーに反応あり。
IFF反応なし。
7時の方角にUnknown2機凄い速さで接近している。
BB『不明機2機この速さは無人機です』
やはりか。
俺はU-19から少し離れながらスピードを落とし左後ろに着いた。
川崎『比企谷、これって....』
八幡「ああ、不明機だ。それに無人機だ、直ぐに上に報告して交戦許可を貰ってくれ。いつでも殺れるようにスタンバイする」
川崎『りょ、了解!』
私は比企谷の言う通り不明機2機が現れた事を司令官に報告した。
後ろにいたモニカ教官は私の驚愕したけど司令官の顔は険しい顔になった。
そんな中私は比企谷が要求した交戦許可を口にした。
川崎「比企谷大尉が交戦許可を要求しています」
司令官「交戦を許可する。ただし大尉は護衛任務の為なるべく護衛対象機から離れないように」
川崎「了解!」
交戦許可が降りた。
けど条件付きの交戦権だった。
とにかく急いで比企谷に報告した。
川崎「比企谷、交戦許可が下りたわ。けど任務はあくまで護衛だからあんまり輸送機から離れちゃダメよ」
八幡『了解........親父の時と少し状況が似てるな....』
なにひとつ変わらない声で返事する比企谷。
けど最後比企谷は小さな声で呟く。
その最後一言だけ私をどこか寂しさを感じさせた。