プリキュア新伝説〜導きの少女〜   作:萊轟@前サルン

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 この本によると、14歳の少女・黄醒靉。彼女には魔王にして時の王者であるオーマクロックになる未来が待っていた。前回、新たな戦士2人の加勢もあり見事にもう1人の私を退け、レジェンド達にブランクウォッチを渡して事件は終息した。だが、我が魔王はまた夢の中で新たなプリキュアと出会うのだった。


未来編 2
54.モンスターズ2122


 ある日の朝、私が目を覚ますとそこは自分の部屋ではなく洋風な家が立ち並ぶ街だった。

 

「ここは?」

 

 私はここがどこなのかを聞く為に異様に静かな街の商店街に行き、店にいる男性に尋ねてみた。

 

「あの…ここってどこなんですか?」

 

「お嬢さん、この町のことを知らないのかい!」

 

「はい…」

 

 男性は私が街を知らないのを知るとニヤリと不気味に笑い出し、自分の身体をドラキュラのような姿に変えながら私にこう言った。

 

「これは好都合だぁ…!お前の血をくれぇ!!」

 

「えぇ〜!!」

 

 私はドラキュラに変身した男性から逃げようととにかく街中を走っていく。私を追いかけるドラキュラの姿を見た他の人々も色々な怪物に姿を変え、私を追いかけてきた。

 

「なんで街の人達が怪物なのぉ〜!?」

 

「ヴァァ!!」

 

 怪物化した街の人々から逃げる私だったが行き止まりの場所に追い詰められ、窮地に陥る。

 

「ちょっと待ちな!」

 

 これ以上嫌な景色は見たくないと思い、目を閉じようとしたその時誰かが建物の上から私の前に下りてきてジクウドライバーのようなものを装着した後、狼のような形をした変身アイテムをドライバーに付けて変身する。

 

《マカイ!イカイ!レイカイ!》

 

『キュア…モンスター…!!』

 

 

「月夜に映る正義のシルエット!キュアモンスター!」

 

「キュアモンスター!?」

 

 キュアモンスターは自分に迫り来る怪物を自身の鋭い爪で切り裂いていく。そしてその鋭い爪は怪物の牙より硬く、キュアモンスターの鋭い爪を噛み砕こうとした怪物はキュアモンスターの鋭い爪を噛み砕くどころか鋭い爪の硬さのせいで自分の歯を砕かれてしまった。

 

「ヴァァ…!!」

 

 怪物達はキュアモンスターの鋭い爪による攻撃を何回受けても立ち上がってくるのでキュアモンスターはドライバーに挿している変身アイテムを触り、必殺技を発動させる。

 

《プリキュア・モンスター・クロー!!》

 

 ドライバーの音声と共にキュアモンスターは両手の鋭い爪をさらに長くし、怪物をバッサバッサと斬り裂いていく。そしてもう一度ドライバーに挿している変身アイテムを触り、二段階目の必殺技を発動させる。

 

《プリキュア・モンスターズ・ブレイク!!》

 

 ドライバーの音声と共にキュアモンスターはその場で高く跳び上がり、足に鋭い爪のオーラを纏いながら怪物に向かって急降下していく。キュアモンスターが放った二回の必殺技でさっきまで私の近くにいた怪物は一体もいなくなった。

 

「大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫だけど…あなたは?」

 

「私は真狼(まろう)カイナ!2122年の世界を守るプリキュアだよ!」

 

「2…2122年!?えっ、私は夢で未来に来てるんだよね!?」

 

「うん、あなたは夢でこの時代に来てる!」

 

 と、私と真狼カイナが話していると、私の後方から全身に包帯を巻いた怪物がやって来た。真狼カイナはそれに気付き、私に警告する。

 

「あなたの背後に怪物がいるわよ!避けて!」

 

「えっ…?う、うわぁ!!」

 

 私は怪物の攻撃を避ける事が出来ず、くらってしまった。一瞬、目の前が真っ暗になり、次に目が覚めた時、そこは洋風な街ではなく自宅の居間だった。

 

「靉、アナザープリキュアが現れたらしい!現場に桜木姉妹と千丈がいるが万が一の場合を考えて私達も現場に行くぞ!」

 

「ちょ…ちょっと待ってよ〜眠いよ…」

 

「寝てる場合か!ほらほら、行くぞ!」

 

 ルークは眠たそうな顔をしている私の腕を引っ張りそのままアナザープリキュアのいる現場へ向かっていく。

 

 現場に着くとそこには身体のあちこちに星のマークが書かれてたり、上半身が星型の怪物がいた。

 

 私とルークは早速、腰にドライバーを巻き、私はクロックIIライドウォッチを両スロットに、ルークは変身用のライドウォッチをバックルの右側のスロットに挿し、バックルを一回転させて変身する。

 

【プリキュアタイム!】

 

〈キュア!キュア!クロック・クロック・クロックII!!〉

 

【プリキュアタイム!】

 

〈キュア・ラウム!!!〉

 

 変身後、私とルークは桜木姉妹と千丈に加勢する。そしてアナザープリキュアを追い込んでいく。すると、アナザープリキュアは腰の部分を触り、自分の鋭い爪を長くして私達に襲いかかってくる。

 

 桜木姉妹と千丈はアナザープリキュアの攻撃をくらい、変身が解ける。攻撃を受けなかった私とルークはアナザープリキュアに向かっていく。アナザープリキュアはまた必殺技を発動してきた。

 

 今度はその場で高く跳び上がり、足に鋭い爪のオーラを纏いながら怪物に向かって急降下していく。私は予知していた為、ルークと共にアナザープリキュアの攻撃をかわす。

 

 そして私はサイキョーギレードについている巨大なリボンのパーツを切り替え、"プリ"キ"ュア"という文字を"クロックサイ"キ"ョウ"という文字へと変化させてから巨大なリボンのパーツをジカンギレードのライドウォッチ装填部へ装填し、サイキョーギレードとジカンギレードを合体させて必殺技を発動させる。

 

サイキョー!

 

【フィニッシュタイム!】

 

《クイーンギリギリスラッシュ!!》

 

 "クロックサイキョウ"という文字が付いている巨大な光の刃がアナザープリキュアを切り裂く。斬り裂かれたアナザープリキュアは爆発と共に消えていった。

 

「あのアナザープリキュアは何なんだろう?」

 

「モンスターのスペルが胸元に刻まれていた気がする…」

 

 千丈はフラつきながらもその場に立ち上がり、私にそう言う。私はモンスターという言葉を聞き、夢に出てきたキュアモンスターを思い出す。

 

「って事はキュアモンスターの力を宿した…」

 

「何か知ってるのか?」

 

「いや、夢に出てきたくらいしかまだ分からない…」

 

「だったら早く家に帰って寝るんだな」

 

 私がキュアモンスターの事を言うと、ルークがキュアモンスターという言葉に反応し、私に近づいてきた。だが、まだキュアモンスターについてはあまり分からない為、もう一度寝てキュアモンスターについて調べることにした。

 

 

2122年......(夢)

 

 私はどこからか誰かに呼ばれている感じがした。目を覚ますと目の前には真狼カイナがいた。

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫だよ!」

 

「良かった…所で、あなた名前は?」

 

「私は黄醒 靉!」

 

「靉ね!よろしく!!」

 

 真狼カイナはまだ私の名前を知らなかった為、私に名前を訪ねてきた。私は自分の名を真狼カイナに教えた後、真狼カイナと共に街を歩いていく。

 

「ねぇ、何でこの街は人に似た怪物がいるの?」

 

「異種交配実験が行われたせいよ…」

 

「異種交配実験?」

 

「えぇ、人は数年前、人間に足りない物を補う為にありとあらゆる生物達と繋がってきた…たしかに、実験のおかげで人間に足りない物は補えた。これで実験成功かと思いきやこの実験は人間に有るべきものを奪ってしまった。それにより異種交配実験から人間のようで人間ではない人達が多くなってしまったのさ」

 

「そんな事があったとは…ちなみに、カイナは?」

 

「私は狼と人間のハーフ。奇跡的に私だけ人間に有るべきものを失わずに済んだの」

 

 真狼カイナはこの世界の事と自分が狼と人間のハーフである事を私に教えてくれた。その後、私と真狼カイナが話しながら歩いていると辺りが暗くなってきて月が出そうになってきた。

 

「あれ、もうこんな時間か…」

 

「靉、私から離れて!」

 

「えっ、何で!?」

 

「いいから早く!」

 

 真狼カイナは出かけている満月を見て私を押し飛ばした。次の瞬間、真狼カイナは雄たけびをあげると共に禍々しい容姿をしたキュアモンスターに変身した。

 

「カイナぁぁぁ!!」

 

2021年......

 

 そう叫んだ瞬間、また目の前が真っ暗になり、目を覚ますとそこは自分の部屋だった。近くにはルークがいた。

 

「何か手がかりは得られたか?」

 

「とりあえず、夜になる前にあのアナザープリキュアを何とかしなければいけない事は分かった!」

 

「それだけか…まぁ、いい。またアナザープリキュアが現れたそうだから行くぞ!」

 

「うん!」

 

 私とルークがアナザープリキュアのいる現場に行くとそこにはタイムジャッカーのディメンションがいた。

 

「まさか、本当に来てくれるとはね…」

 

「アナザープリキュアの話は嘘なのか?」

 

「あぁ、君達をおびき出す為の嘘だ!」

 

 事前に変身していた私はこの事を既に予知能力で見ていたがルークは見ていない為、ディメンションにアナザープリキュア出現の真偽を聞いていたその話の途中、また私の予知能力が発動した。

 

 予知ではディメンションの前に突如、玄野影兎が現れ、ディメンションの顔に星型のアイテムをかざし、アナザーモンスターにしていた。ディメンションが危険だと感じた私はディメンションに警告する。

 

「ディメンション、逃げろ!」

 

「ん?うっ……」

 

 警告は一足遅く、ディメンションは突如現れた玄野影兎に星型のアイテムをはめられてしまい、アナザーモンスターへと変化した。

 

「玄野影兎…!何て事をしてるんだ!!」

 

「見てわからないのか?アナザーモンスターを作っただけだ。ディメンションを触媒にした事によりウォッチの生成は可能になった」

 

「くっ…」

 

 ルークは突如現れ、ディメンションをアナザープリキュア化させた玄野影兎にそう言うが、ウォッチの生成が可能になった事を聞き、何も言えなくなった。

 

「さぁ、誰がウォッチを手に入れるのか…?楽しみだなぁ…!」

 

 玄野影兎はそう言いながらアナザーモンスターと共にどこかへ去っていってしまった。私達はこれ以上ここにいても意味はないと思い、一旦、家に帰るのだった…

 

 

to be continued.......




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