60.スプラッシュスターズ2021
和解した私とルークは私の家で前の様に仲良く過ごしていた。勿論、ルーク側にいた皆も私の元へ戻ってきて、私の家は再び活気を取り戻した。
「朝ごはん豪華だ!黒ウォズリンが作ったの?」
「そんな訳ないよ、我が魔王」
「じゃあ、一体誰が…?」
私はそう言いながら体をくるりと反対方向へ回転させ、目の前にあるライドウォッチホルダーを見る。ライドウォッチホルダーから全てのウォッチが盗られていた。
「あれ!?ウォッチがない!!」
「きっと料理を作った奴が犯人に違いない!靉、犯人探しするよ!」
「うん!」
と、ルークは勝手に豪華な料理を作ったりウォッチを盗んだりした犯人を探そうと外に出ようとしたが、扉の前には紅色の片目を隠したショートヘアをした女性がいた。
「あなたは?」
「私は海東湊、あなた達のウォッチは私が貰ったよ。まぁ、兄さんに頼まれたから盗んだんだけど…」
「ウォッチを返せ!」
「兄さんに頼まれたものだ。返すわけにはいかない!」
「くっ…黒ウォズリン!アイツから私達のウォッチを取り返してよ!」
「やれやれ、私もよく使われる様になったものだ…」
黒ウォズリンはそう言いながらドライバーを腰に巻き、ドライバーのライドウォッチ装填部分にウォズミライドウォッチを挿す。
『アクション!』
ライドウォッチを挿した後、ドライバーのレバーを倒して変身完了する。
『投影!』
【フューチャータイム!】
《スゴイ!ジダイ!ミライ!キュア・ウォズ!ウォズ!》
キュアウォズに変身した黒ウォズリンは鎌モードのジカンデスピアを持ち、海東湊へと向かっていく。キュアウォズが自分に向かってくるのを見た海東湊は従来のキュアモバイラーを超えるネオキュアモバイラーという変身携帯を取り出し、ネオキュアモバイラーの中央部にある装填部にカギ型の変身アイテムを挿して変身する。
「プリキュアチェンジ!」
変身した両者は互いに向かっていく。黒ウォズリンは海東湊のキュアカトラスという武器から繰り出される強烈な斬撃を避けながら海東湊に攻撃する機会を伺っている。
「あなた、中々やるじゃん。私が普段あまり使わない技特別に見せてあげるわ」
「何っ…?」
海東湊はそう言いながらキュアモバイラーにプリキュアキーと呼ばれる物を三本順番に挿し、レジェンド達を召喚する。今回召喚したのはビューティ、ソード、レモネードのようだ。
海東湊に召喚されたビューティは氷の剣を、ソードは光の刃を、レモネードは黄色いチェーンを持っている。3戦士は持っている武器を使い、黒ウォズリンに襲いかかっていく。
「ぐっ…数的に不利か…なら、これでいかせてもらう…!」
黒ウォズリンはそう言いながらライドウォッチホルダーからシノビミライドウォッチを取り出し、ドライバーに挿してあるウォズミライドウォッチを外して取り出したシノビミライドウォッチをドライバーに装填する。そしてレバーを倒し、フォームチェンジする。
『アクション!』
『投影!』
【フューチャータイム!】
《誰じゃ?俺じゃ!忍者!フューチャーリングシノビ!シノビ!!》
フォームチェンジ後、黒ウォズリンはシノビの力で無数に分身を作り、海東湊から私達のウォッチを取り返していく。
「くっ、私から取り返すとは…!まぁいい。ここは一旦、引くとしよう」
海東湊はそう言いながらワープを使い、どこかへ去っていく。一方、ライドウォッチを海東湊から取り返した黒ウォズリンはライドウォッチを地面に並べた。
「あれ、クロックII、ラウムリバイブウォッチがない!あと、ラウムウォッチも…」
「私のウォッチがないだと…!?黒ウォズリン!私は全てのウォッチを取り返せと言ったはず!」
「何故、私がルークの言うことを聞かなければならないんだ?昔はルークが私の言うことを聞く側じゃなかったのかい?」
「あのなぁ…」
ルークと黒ウォズリンが昔の事で軽い口喧嘩をしていると背後から慌てた様子のウォッチンがやってきた。
「皆、アナザープリキュアが現れた!」
「ルーク、黒ウォズリン行くよ!」
「うん!」
「あぁ!」
ウォッチンからアナザープリキュアが現れたという情報を聞いた私達は早速、アナザープリキュアのいる場所へと向かっていく。
アナザープリキュア二体のいる場所はPANPAKAパンというケーキとパンの店だった。店の中には2人の女性がいた。
「早く満と薫を元に戻さなきゃ!いくよ、咲!」
「うん!」
2人の女性はポケットから変身アイテムだと思われる小型の携帯を取り出し、ダイヤの形をしたカードを小型の携帯に挿入して変身セリフを言って変身する。
「「デュアル・スピリチュアル・パワー!」」
「花開け 大地に!」
「羽ばたけ 空に!」
「輝く金の花 キュアブルーム!」
「きらめく銀の翼 キュアイーグレット!」
「「ふたりはプリキュア!」」
2人の女性はプリキュアに変身し、アナザープリキュアへと向かっていった。2人の変身を見た私はドライバーを腰に巻き変身用のライドウォッチをバックルの右側のスロットに挿し、バックルを一回転させて変身する。
【プリキュアタイム!】
〈キュア・クロック!!!〉
変身した私は2人に加勢し、ケンモードのジカンギレードアナザープリキュア二体に攻撃していく。
「あなた達は…?」
「舞と私はふたりはプリキュアS☆S!大人になったらプリキュアになれないと聞いてたけど、なぜか今もプリキュアになれちゃってるのよ〜」
「な、なるほど…ってか怪物二体の変身者は知り合いなの!?」
「そうだよ…何で2人があんな怪物になっちゃったんだか…」
と、私と女性の1人が話していると木陰から白ウォズリンが出てきて何かを話し始める。
「それは私が世界を滅亡させる為さ」
「白ウォズリン!?」
「霧生満、霧生薫は本来、生みの親であるアクダイカーンの消滅と共に消えるはずだった。だが、緑の郷の精霊たちの力とフィーリア王女の協力により命を繋ぎ止められた」
「でも、彼女達がアナザープリキュアになっただけでどうやって世界を滅亡させるんだ…?」
「彼女達が僅かに宿しているアクダイカーンの一部を再び目覚めさせ、元にアクダイカーンを蘇らせる。蘇らせたアクダイカーンにプリキュア達を混ぜ合わせれば7つの泉を枯渇させて世界を滅亡させる程の強大な力が生まれる!」
「何…!?」
白ウォズリンはどうやら、霧生満、霧生薫をアナザープリキュアにしてアクダイカーンを蘇らせ、蘇ったアクダイカーンにプリキュアの力を吸収させて7つの泉を枯渇させ、世界を滅亡に追い込むらしい。
「まぁ、世界が滅ぶ様を眺めているがいい…」
「待て!」
白ウォズリンは自分の計画を話し終えた後、アナザープリキュア二体に私の前に行くように指示して移動させ、私の行く手を阻ませる。私が前に進めない間に白ウォズリンはどこかへ去っていってしまった。
「ちくしょう!!こうなったら…!!」
白ウォズリンに対してのイライラが溜まっていた私はライドウォッチの天面のスイッチを押し、バックルを一回転させて必殺技を発動させる。
【フィニッシュタイム!】
〈タイムブレーク!〉
私はアナザープリキュア二体に向かって真っ直ぐ伸びている"キック"という文字に沿って急降下していく。必殺技は決まり、アナザープリキュア二体の変身は解けた。
「大丈夫!?」
と、私はアナザープリキュアにされていた2人に近づく。2人の身体からは紫色をした不気味なオーラが出ている。アナザープリキュアにされた影響で悪の心が共鳴し、アクダイカーンが復活しかけているのだろう。
「まずい、でもどうすれば…!」
私は2人を救い出す方法が中々思いつかずその場で頭を抱えるのだった…
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