生身の私とルークに迫るフュージョン、私は死を覚悟したが、生身の私達の前に坂上あゆみが現れ、私達を攻撃しないようフュージョンに呼びかける。
「フーちゃん、やめて!!この人は魔王じゃないし、この世界はフーちゃんが望んでいるような平和な世界だよ!」
「あ、あ…あゆみ?」
坂上あゆみがフュージョンに呼びかけると、フュージョンの低い声が突然高くなり、坂上あゆみと過ごした懐かしき過去を思い出したかのような表情を浮かべていた。だが、その表情は長く続かず、声も表情も元の怖いフュージョンのものへと戻ってしまう。
「フン、もう1人の私は今、封じ込めた」
「フーちゃん…」
坂上あゆみは自分が知る優しいフュージョンが封じ込められ、悲しい表情を浮かべると共に私に何かを手渡してきた。
「お願い!私の力でフーちゃんを倒して!」
「エコーライドウォッチ!?」
「多分、この時の為に生み出されたんだと思う!」
「ありがとう、坂上あゆみの"想い"フュージョンに届けてみせる!」
私はそう言いながら再び立ち上がり、ドライバーを腰に巻いて変身用ウォッチとエコーライドウォッチをバックルのスロットに装填し、バックルを一回転させて変身する。
【プリキュアタイム!】
〈キュア・クロック!!!〉
【アーマータイム!】
〔エコー!!〕
キュアクロック エコーアーマーに変身した私はケンモードのジカンギレードを片手に再びフュージョンへ向かっていった。
2012年…
その頃、ルークはウォズリンの帰りが遅く、過去で何があったのか?と思い2012年へ来ていた。
「ウォズリン!どうしたんだ?」
「私がフュージョンを生んでしまったんだ…私が倒してしまったせいで本来、二体にしか分裂しないはずだったフュージョンが三体に分裂したんだ」
「だから私達のいる未来で魔王をも凌駕する力を持つ最凶の怪物・フュージョンが出来上がってしまったのか…」
「本当にすまない…」
「仕方がない事だ。これが人類が歩んできた正しい歴史なんだから…まぁとにかく、早く2021年に帰るよ!靉が待ってる!」
ルークはそう言いながら、ウォズリンをウォズリン専用タイムマジーンに乗せてから自分自身も専用のタイムマジーンに乗り、2021年へと帰っていく。
2021年…
一方の私は歴代の敵達の能力を使うフュージョンにまたもや苦戦を強いられていた。
「ぐっ…必殺技さえ決められれば勝てるのに…!」
「魔王よ、歴史は変わらないんだ。お前が魔王になる歴史や私が魔王であるお前に勝つ歴史もな」
「そんな事、やってみなきゃ分かんない!!」
「ほぉ…なら、見せてみろ!お前の歴史を変える力を!!」
フュージョンはそう言いながら長い茨の蔓を背中に五本生やす。そして私に向けて茨の蔓を伸ばしてきた。
「攻撃の速度が速すぎて避けきれない!」
フュージョンの攻撃速度に対応する事が出来ていなかった私はフュージョンの伸ばした長い茨の蔓を避ける事が出来ずにいた。だが、長い茨の蔓が私の体に巻きつこうとした時、2012年から帰って来たルークとウォズリンがそれぞれの武器で長い茨の蔓を切り裂いた。
「ルーク!ウォズリン!」
「間に合ってよかった!私とウォズリンが囮になっている間に靉は必殺技を打って!」
「我が魔王、頼みましたよ!」
「分かった!」
ルークとウォズリンはフュージョンに向かっていき、私が必殺技を放つまでの時間を稼ぐ為に必死に攻撃を避けたりしている。私は2人が囮になっている間に2つのライドウォッチの天面のスイッチを押し、バックルを一回転させて必殺技を発動させる。
【フィニッシュタイム!】
【エコー!!!】
〈ハートフルエコー・タイムブレーク!〉
「オモイよ、届け!!」
私は珍しくキックではなく両手から出た白い光をかめはめ波のような感じでフュージョンに向けて放つ。
「くっ…何だ、この光は!」
「私や皆の想いがこもった最強の光だ!」
「こ、こんなはずでは…なかったのに…!魔王よ、覚えておけ。私はいつかまた必ず蘇る!その時がお前の本当の終わりだ」
フュージョンはそう言いながら光の粒子となって消えていった。フュージョンが消えるのと共にエコーライドウォッチも消滅してしまった。
「フーちゃん…」
「坂上あゆみ、フュージョンの事は私が必ず救ってあげる!だから、心配しないで!」
「ありがとう!」
坂上あゆみから感謝の言葉を受け取った私はその後、坂上あゆみと少し話してからルーク、ウォズリンと共に自分の家へと戻っていくのだった…
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