昼休みが終わり午後の授業が始まった。だがこれと言って何か特別な事は無く、ゴールドは復習の際に分かりやすいようにチェック等を付けながら必死に食らいついていた。そして6時間目は学活である。最初の学校と言えばクラス委員やクラス係を決めるのが鉄板だろう。そしてここはIS学園、つまり_
「これより来月に開催するクラス対抗戦に出場する代表者を決める。因みにこの代表者は対抗戦以外にも生徒会との会議等にも出てもらう為、クラス委員とでも思ってもらいたい。この事も踏まえて自推、他推問わずに言ってくれ」
これを決めるよなっとゴールドは思った。
(それでも自推他推問わないはあかんでしょ。でもまぁライバルが増える前に_)
「織斑先生、俺は代表者に立候補したいです」
「ほう、野上か。お前は自推では無く他推で名前が上がると思ったが……いや、そうだったなお前の場合はやはり自推か」
そうですよ、俺はこれになんとしてもなって各国にアピールする機会が欲しいんですよ。そう嘆いていたら
「織斑先生、私セシリア・オルコットも立候補させて頂きたいです」
「オルコットもか分かった。他の誰か居ないか? 居なければこの2人のどちらかになるが」
お願いします増えないでください。セシリアだけでも手一杯です。クラス対抗戦の代表を決めるから恐らくは対戦だろうけど、セシリア以外にも誰か来たらこっちの身が持たねぇ!
「はいはーい、私は織斑君を推薦しまーす」
「あっ私も私もー」
天は俺を見放した……ガックシ。いや待て、織斑のカスタム使用によってはまだ可能性はあるはずだ。恐らくやつは姉である織斑先生の事を少なからず尊敬しているだろうし、無意識的にも織斑先生が現役時代のカスタムに寄せるかもしれない。えーっと確か織斑先生の現役時代は……あれ? 確かあの人サーベルだけで勝ち進めたから規格外とか言われてるんじゃなかったけ? ……流石にあの馬鹿でもそんなISには乗らないか。嫌でも近距離特化と言う線も__
「ふむ、立候補はこれで以上だな? では代表者の決め方だが2週間後の月曜日に第1アリーナでリーグ戦を行い、その総合評価で採決する」
「ちょ、ちょっと織斑先生! 俺は立候補なんて」
「自推他推問わないと言ったはずだ織斑。貴様も腹をくくれ」
「で、でも俺機体に乗った事も無いのにどうやって_」
「貴様には国から専用機が支給される、それを使え。それに学園では貸出も行っている。届くまではそれでならしとけ」
「そ、そんなぁ」
落胆している織斑を尻目にゴールドは内心驚いてた。
(え? 国から専用機が支給? どゆこと?! 俺訓練機のカスタム何だが……もしかして俺に利用価値がないって太鼓番されてる?! 嘘だろ評価マイナススタート?!)
他のクラスメイトも驚いているのかどよめき出している。ゴールドは自分の評価に対してだが、周りは1年から専用機を持たされることについて。
「静まれ! とにかくこれは決定事項だ。2週間後の月曜日、その日にクラス代表を決める。次は朝のSHRで説明しきれなかった年間スケジュールについてだ___」
織斑先生の爆弾発言は無かったかのような如く、そのまま授業は進み3分の2授業の時間が済んだ所で話す事が無くなり各自自習となった。
(うーむセシリアだけでなく織斑とも戦わなきゃなのかぁ。放課後の山田先生との訓練でどうするか相談してみよう。師匠ならいい案が浮かぶかもしれない。だけど、師匠ばっかりにも頼れないな)
そう思い、ゴールドはおもむろにノートを取り出し、あるページを開いた。そこにはゴールドの専用機、《モルド・テンペスタ》の情報が事細かに書いてあるものだった。このノートは師匠である山田先生から
「試合中の動き等を考える時は文字ではなく絵の方が早いし分かりやすいので何かに書く事をオススメします。あとその時に直ぐにスペックを確認できるようにどこかにメモをしてるのもいいかもですね」
と言われて自作で《IS訓練ノート》なる物を作ったのである。実際絵(丸に移動なら青、攻撃なら赤の矢印を書いてる)の方が頭の考えを投影しやすくハッキリするので効果的である。それの新たなページに作戦を書いていってる。
(うーん初撃はあれを使うとして、そこをどこに撃ち込むかだが……わざと右を空けて誘い込んであれを使えないだろうか? それが命中したら畳み込むし、それが外れてもまだこれが残ってる。いや流石にそれも躱されるか? ____)
深く考えていると時間の流れというものは速く感じて、いつの間にか終わりのチャイムが鳴っていた。
(おろ? もう6時間目は終わりか。なら速く訓練に行かないとな。師匠を待ってる間に準備運動とか済ませたいし)
そう言ってゴールドは足はやに第2アリーナに向かっていった。
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俺がアリーナで準備運動をしていると師匠である、山田先生が到着した。
「こんにちは野上君5時間目以来ですね。聞きましたよ、オルコットさん以外にも織斑君とも戦う事になったらしいですね」
「そうなんですよ、セシリアは昼休みの時に聞いたので分かってそれだけでも頭抱えてたのに織斑先生が《自推他推問わない!》なんて言うから織斑まで……俺はてっきり立候補制かと思ってたからびっくりしましたよ」
「アハハ、その無茶苦茶加減が先輩らしいというか、これで敵が増えてしまいましたが訓練はこのままのやり方にします」
「それでいいのですか? 正直織斑はまだわからないとして、セシリアの対策ぐらいは取っておいた方がいいのでは……」
「その事なのですがね、野上君が今やってる訓練はそのまま対策になるんです」
「と言うと?」
「セシリアさんのISのデータは以前見せましたけど覚えてますか?」
「はい、イギリスの第3世代《ブルー・ティアーズ》ですよね」
「正解です」
俺は春休みの時に山田先生からある事を教わった。それは、
「IS学園ではアリーナで行った訓練や大会は録画データとしては逐一保管されているのです。そしてその録画データは生徒証にあるQRコードを読み取る事で開けるサイトや、部屋に支給されてるパソコンから閲覧する事ができます。ですが、これ生徒証に書いてあるのにあんま使われないんですよね。なんででしょう?」
(それはみんなが生徒証あんま細かく読まないからなのでは)
この事を教えられた時にたまたま最新データがセシリアだった為ついでに説明された。
「それでは私達が行ってる訓練はどういうモノか答えてください」
「えっと、《武器の性質から並列思考処理が必要な為、補習を行いながら模擬戦をする》ですよね。この訓練素人目に見ても難易度の上限振り切ってるような訓練ですがそれがどうしました?」
「確かにこれは難易度的に考えれば初心者向きでは確実に違いますが_っと話がそれましたね。彼女、オルコットさんの専用機の特徴はBT兵器にあります。ですが、これは並列思考処理をこなせればハイパーセンサーで位置が分かるので捌ききれます。ですのでこの訓練は自分の長所を伸ばしながら、相手の長所を削れる訓練なのです。これで分かってくれましたか?」
「なるほど、確かにその通りですね。分かりました、ですがそれだと織斑対策はどうするのですか?」
「現段階で織斑君の専用機については情報がないので対策がしようが無いのでそれに当てる時間は基礎の訓練に当てます」
「という事は本当にいつも通りなんですね、分かりました。それでは今日もお願いします。午前中に言ってた分からない単語等は纏めておいたので今送ります」
「ピロン_ふむふむ分かりました。それでは今日は模擬戦を10分セットを5回、間の休憩は5分で行います。定位置に行きますよ」
「はい!」
俺と師匠はISを展開して模擬戦の定位置まで飛行した。因みに師匠が乗ってるのは通常のラファール・リヴァイヴである。
「それではカウントダウンを始めます。準備はよろしいですね?」
「いつでも大丈夫です!」
「分かりました……それではカウントダウン開始」
そう言うとブザー音が鳴りカウントが5から始まりそして0になった瞬間に両者は動き始めた。
今回はゴールド君の訓練風景で終わりましたね。それで皆さん気づきましたか?これまだ学校初日なんです(遠い目)。もしかして更新が早いのは単純に書いてる量が少ないからかな?嫌でもテンポよく読めれると思ったらいいんだよ。うんそうしよう。次回は初日の夜か飛んで決戦日かのどちらかを書く予定です。次回も楽しんで貰えたら幸いです。
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