リーグ戦の翌日、俺はいつも通り登校して教室に入ったが……なんかいつもより騒がしいな。なんかあったのか? そしたらクラスの人が_
「ねぇねぇ野上君、あの事について聞いた?」
「あの事? 何の事だ?」
「なんでも2組に中国から転校生が来たらしいんだって」
「中国から? でもなんでこの時期に……」
「なんでも書類関係でトラブルか起きて、今までは通話授業してたらしいの」
(女子はこういう話題をどこから引っ張ってきてるんだ? 普通書類トラブルなんて漏れないだろ)
「それでその転校生、そのままクラス代表にもなったらしいの」
「そうなんか……って今なんて言った?!」
「い、いやだからそのままクラス代表になったって」
「いやいやいやいや、クラス代表って先生も言った通りクラス委員みたいなもんよ? そんなのホイホイ変えていいの?!」
「転校生が代表候補生らしくてね、クラスメイトが満場一致でいいって言ったらしくて、先生もそれならって」
「えぇぇ……」
(そんなのありかよ……ん? つまり)
「2組も専用機持ちになったってこと?!」
「そうよ! そこの男はちゃんと分かってるわね!」
「…………だれだ?」
俺が驚いて声上げた時に、教室の扉を思いっきり開けて女子が現れた。本当に誰あいつ? もしかして件の転校生?
「お前、鈴か?」
「そうよ! 中国の代表候補生、凰鈴音よ!」
(お前か! 最近思い始めたけど……お前トラブルの元かなんかだろ?!)
「何やってんだよ鈴、かっこつけちゃって。似合わねぇぞ」
「な?! あんたねぇ、せっかく私がカッコつけてんだからそこは気を利かして話合わせてくれても良いじゃない!」
「イヤだって……本当に似合ってないぞ?」
「本気で心配すんな! はずがしくなって来るでしょ」
(今の時点で充分恥ずかしいからさっさと自分のクラス戻れよ……あ、あいつの後ろの人は_)
「おい、いつまでも扉で仁王立ちするな小娘。通行の邪魔だ」
「なによ! 私が小さいからって小娘よ、び……は……」
「凰鈴音よ、私は何も貴様の身長が周りに低い事をわざわざ貶してる訳では無い。私にとって生徒は等しく小娘小僧なのだ」
「ち、千冬さん」
「織斑先生だバカもの!」
「は、はい!」
凰鈴音の後ろにいたのは我らが担任の織斑先生だった。てかあいつ知り合いなら声でわかったろ、なに熱くなってんだか。
「ほら、そろそろ予鈴がなる。お前も自分のクラスに戻っておれ」
「い、いやまだ一夏と話が……」
「そんなもの休憩の時にでもやれるだろ、つべこべ言わずに戻れ!」
「は、はい!」
「たく……よーし全員席につけー、これから朝のHRを始める」
さっきまで何事も無かったかのように進める織斑先生、いくつかの連絡事をしたら最後にこんな事を言った。
「以前からも言っていたが、今日からISの実践訓練を授業でもやって行くことになる。それに伴って火曜日のIS基礎学は以降、IS実習となる。今から変更後の時間割も配布するから間違えないように」
(そう言えば今日からだったな、ISの実習授業。何やるんだろう? 俺の時みたいに歩行の訓練かな)
時刻は昼、俺とセシリアそして各々が所属している技術班の主任2人、合計4人は今後の話をする事も兼ねて食堂の隅っこで一緒に食事をしていた。
「まさか既に坊主が口説かれていたとはな〜、嬢さん達は目利きがいいねぇ。俺はIS学園1期生が入学した時にここに就職した、言わば古株でな。男の中ではそれなりに実力の善し悪しが分かるがこの坊主は筋が良い。それは装甲の消耗具合でよく分かる。坊主は山田先生に師事しているんだがな、最初はそりゃあ機体をボロボロにされていたんだ。だが最近じゃ損傷が少しだが減ってきてるし、逆に山田先生の機体に数ヶ所傷を負わせれる程だ。断言する、こいつは強くなる」
まさかここまでべた褒めされるとは思っていたなかったゴールドは、顔を真っ赤にしてる。
「試合を観戦した時から凄いとは思っていましたが、まさか現役の教師に傷を負わせれる程とは……これはミス・セシリアもうかうか出来ませんね。先日は情報戦の結果有利を取られましたが、このままでは本当に勝てなくなりますね」
「そうですね、ミス・ラミアス。一度訓練を見直すのでその際はミス・ラミアスにも助力お願いします」
「それぐらいなら構いませんよ」
「…………そろそろ本題にいきませんか御三方」
ゴールドは今までこれ程一気に褒められた事が無いので恥ずかしく、話の路線を戻す事にした。
「っとそうでしたわね。それでは改めまして自己紹介を、私はイギリスの代表候補生セシリア・オルコットさんの専属技術班主任、マリュー・ラミアスです」
「じゃあ俺も、ラファールチーム主任の田島総司だ。坊主がラファールのカスタム機という事で俺が担当している」
「わざわざありがとうございます、それで今日集まっていただいたのは他でもありません。ミスタ・野上がイギリスの代表候補生になるにあたっての軽い説明会だと思ってください。この内容には勿論現在ミスタが所持している専用機《モルド・テンペスタ》にも関わりがありますので、技術主任であるミスタ田島にも来てもらいました」
そこからは先程ラミアスさんが言った通り説明会のようなものだった。ラミアスさんの話によれば代表候補生とは一種の職業に当たるそうで、俺はセシリアが所属している会社の2人目の代表候補生という事になるらしい。てか代表候補生って職業だったのね、それで所属した後は基本的には毎日の簡単な健康検査の報告や訓練データの報告と言った事がメインになるらしい。給料は基本的には正社員と同等で、ISに関する事でアイデアを提出してそれが通った場合はそれもちゃんと給料に加算してくれるとの事。学生の身だからこの程度らしく、卒業後は国家代表か会社のテスト操縦者等になるとのこと。その他にも大雑把なルールを聞いた。
「今日はここまでにしますね、今日の暮れ頃には書類が届くと思われますのでそれに同封されている説明資料をよく読んでから署名して下さい」
「分かりました」
「それではまた今度、それとミスタ・野上とミス・セシリアは確か次の授業ISの実習授業でしたよね。まだ時間はありますが早めに準備をしていた方がよろしいですよ。アリーナまでは少しありますしね」
そう言うとラミアスさんは席を外した、その後おやっさんとセシリアとも別れて俺は更衣室に向かった。そしたらそこには既に織斑が着替えていた。
「ん? よぉ野上、お前も着替えか」
「あぁそうだよ、それ以外でここに来るかよ。それにしてもお前はやいな、まだ少し時間あるのに」
「いやまぁな、俺はまだISに慣れてないから少し先に慣らしとけってちふ……織斑先生から言われてさ」
「そうなんか、なら俺も頼んで少し慣らしとこうかな。まだ武装の違いで展開速度にムラがあるし」
「今でも充分強いだろお前……」
「そんなの知るか、こちとらやっと師匠に傷つけれる程度になってきたんだ。そんなのでこの先やってけれるか、その為に不安要素は1つでも減らすんだよ」
「お前がそういうんならいいけど、本番で体壊して不戦敗なんてなるなよ」
「そこは安心しろ、それに関して師匠から特に厳しく言われてる。てかこんな話やめてアリーナ入るぞ、俺はまだお願いしてないから早く言わなきゃやし」
「それもそうだな」
俺らはアリーナに入り、織斑は白式を展開して飛行を始めた。俺は織斑先生に申請をして許可を得た後、モルドを展開して1つずつ武器を展開する。
(やっぱり武装が多い分展開のムラが多いな、これの改善として武装を減らすかひたすら訓練をするしかないが……まず俺の戦法が搦手が基本だから訓練しかないな。とにかく対抗戦までに''あれ''はちゃんと実戦でも違和感なく使えるようにしないとな。結局リーグ戦ではまだまだって事で使えてないし)
そう考えゴールドはある武装を重点的に展開の訓練をしていた。
昼休みも終えて、俺と織斑は既にISを解除して他のクラスメイトと一緒に整列していた。
「よし、遅刻者はいないな。ではこれより、ISの基本操縦の実習授業を行う。そうだな、織斑、野上、オルコット。見本として前に出て飛んで見せろ」
名指しを受けた3人は前に出てISを展開する。セシリアが最初に展開し、そのすぐ後にゴールドが展開。織斑は名前を呼んでの展開を行う。
「ふむ、流石にまだオルコットの方が速いか。だが野上は操縦時間の割にその展開スピードは驚異的だ、これからも精進するように。織斑はまだ名前を呼んでの展開だがそれでも展開速度はそこそこだ、まだ慣れてない証拠だ。慣れてないうちは訓練以外にも自分の機体の写真を見たり模写等をしてイメージ出来るようにしろ。……よし、飛べ!」
織斑先生はひとしきり評価を言い渡すと、3人に指示を出した。指示の3人は飛び上がっていく。1番早いのはセシリア、次いでゴールド、最後に織斑である。ゴールドがセシリアに勝ったと言っても基礎や機体性能はセシリアの方が上である。だがそれに負けじとゴールドもその後ろを飛んでいる。織斑はゴールドの3歩後ろあたりで険しい顔をしながら飛んでいる。
『織斑、何をしている。機体性能だけを見ればお前が扱っている白式がトップなんだぞ。オルコットはともかくとして、野上が扱っているモルドはカスタムされているとはいえ第2世代だ。並走するぐらいはしてみせろ』
「そういったってなぁ……なぁ2人はどうやって飛んでいるんだ?」
「私は参考書通りですわ」
「俺もだ。お前こそどうしてそんなに遅いんだ? リーグ戦の時はもう少し速かった気がするんだが」
「あの時は無我夢中だったんだよ、てかなんで2人は三角錐でイメージ出来るの?!」
「いや、あれって要するに空気抵抗を考えればいいんだろ? 細い角錐は細い分空気の抵抗が受けにくい、だから速いって。てかそんなに上手くいかないんならイメージを変えたらどうだ?」
「そうですわね、恐らく織斑さんにはそちらの方がよろしいですわね……それでしたら矢印を思い浮かべてはどうでしょうか? それなら移動先も明確にしやすいかと、速く飛行したい時は太くして力強くってイメージでどうでしょう」
「お、それいいな。ありがとう2人とも」
織斑は2人の助言もあり、少しだがスムーズに飛行できるようになった。
暫くして織斑先生から停止の指示が来て、3人はその場で停止した。
『そこから急降下し地上スレスレで完全停止をやってみろ。目安はオルコットが10cm以内、野上が15cm以内、織斑が20cm以内だ。まずはオルコットからやってみろ』
「分かりました。それでは御二方お先に」
そう言ってセシリアは急降下をし、10cmジャストで停止した。
『流石だなオルコット、それでは次は野上だ』
「はい!」
俺は急降下を行い、ある程度まで下がったら体を起こしてスラスターを逆転、減速にかかる。
「ふむ、13cmか。この様子だとお前にも10cmで良かったかもな」
「いやいや俺はまだまだですよ」
「それ程謙遜する事もないと思うがな、それでは最後に織斑! やってみろ」
『俺だってやってやるぜ!』
そう言って織斑は急降下して俺と同じように途中で体を起こしてスラスターを逆噴射し、減速を計ったが……
「なぁ織斑よ、私はまだお前が未熟なのを考慮してオルコットや野上よりも目安を多くした。だがな、これ程とは思わなかったぞ…………いいからその情けない姿をどうにかしろ」
「……はい」
減速が足らず、足が埋まってしまった。
「お、お前……足がズポッてククク」
「うっさい! 俺もまさかこんな感じで不時着するなんて思わなかったわ! これならまだぶっ倒れた方が良かったわ!」
「ハァ、それでは気を取り直して授業を進めるぞ。今度は武装の展開だ、これも先程の順番でやる。まずはオルコット、やってみろ」
「分かりました」
そう返事をするとセシリアは最初にレーザーライフルを展開、収納し、ショートソードも同様に展開、収納した。
「うむ、合格だ。流石だなオルコット」
「ありがとうございます」
「今後もその調子で頑張っていけ。次は野上だ」
「すいません織斑先生、武装は全部ですか?」
「全部だ」
「分かりました」
そう返事をしてゴールドは、アサルトライフル、サブマシンガン、ショットガン2丁、グレネードランチャー、ロケットランチャーを展開した。
「ふむ、殆どは素早く展開しているな。だがロケットランチャーはまだ展開が遅いな、この展開の遅さでは試合では大きな隙になる。克服するように」
「分かりました」
「それ以外は先程言った通り素早く展開できているから安心しろ、次は織斑だ」
「はい!」
織斑はそう返事をすると、ブレードを展開した。その展開速度は遅くはないが実戦で扱える速度と言うとやはり少し遅い。恐らくこれも操縦同様に慣れてないせいである。
「少し遅いな、武装も機体同様に写真等を見て日頃からイメージしやすくするように訓練する事だ。いいな?」
「はい、分かりました」
「これにて実習授業を終わる、気をつけ、礼」
「「「ありがとうございました!」」」
これにて初の実習授業は終了した。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
今回は鈴の登場、代表候補生についての説明にISの実習授業と色々とやりました。正直分ければもう少し早く投稿出来たのでは?と思いますがそれだと少ないと感じたので通しでやりました。
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