敵ISをどうやって押さえつけるか説明するには、モルド・テンペスタのシールドについて説明しなければならない。
このシールドはゴールドが正攻法では勝ち抜けないと考え出した擬似BIT兵装である。だが、やはりそこは擬似兵装……本家イギリスとは決定的な違いが存在している、それは仕組みだ。似ているのに仕組みが違うのかと思われるが、これはあくまでたまたま似てしまった為であるからしょうがないことだ。
本家イギリスのBIT兵装は、多大な集中力とイメージ力で脳内に仮想空間を作り、そこでBITを将棋やチェスの駒のように移動させるイメージする。それをIS側がキャッチし、信号を送って操作している。
変わってモルド・テンペスタの擬似BIT兵装は、本体と強靭なケーブルが接続されており、そのケーブルを介してガトリング砲やスラスターを操作している。"シールド及びケーブルは本体と繋がっている為、BIT程の集中力を要さない"。
つまり、本家イギリスでは多大な集中力やイメージ力を糧に完全なる無線操作を行っているのに対し、モルド・テンペスタは有線を用いて少しの制約はあるものの、操作の簡略化を目指した作りになっているのだ。
そして今回の作戦で重要な役割を果たすのは、"シールド及びケーブルは本体と繋がっている為、BIT程の集中力を要さない"という事だ。
つまり、ゴールドは敵ISをケーブルで拘束した後に、シールドに装備されているソードで地面に固定しようとしているのだ。
(この作戦には穴ぼこだらけだ。1つに敵ISに隙を作れるか、2つにケーブルで拘束できるか、3つに地面に拘束する前に逃がさないか、4つに地面に拘束できたとして継続できるか……やっべぇ少し考えただけで4つも穴が見つけれたよ、少し泣きそう。だけどそんぐらいしないとあいつは止められねぇ。なら_)
ゴールドはシールドを展開、高速で回転させながら掃射、シールドが壊されて余ってしまったケーブルは"先を輪っかに作って待機"。ケーブルが絡まらないようにゴールド自身も回転しながらガトリング砲とサブマシンガンを撃っている。
(やるしかねぇだろ!)
ゴールドは3つのBITを回転させながら撃つことで銃弾の檻を形成、敵ISを逃がさないようにした。だが、そんな事をすれば当然標的はゴールド自身に集中し、敵ISは両腕をクロスして盾にしながら突っ込んでくる……が! ゴールド自身の目的は拘束である為その行動は願ったり叶ったりである。
ゴールドは左手に装備してるシールドを構えてタックルによる衝撃に備える。だが、ただ備えるだげではない。衝突する寸前にシールドの前方に、残っていたグレネードランチャー及び、ロケットランチャーの通常弾頭を展開した。
そんな事をすればゴールド自身もタダでは済まない、現にシールドは完全に壊れてしまったが必要経費だと思って割り切る。敵ISは爆発をもろに受けてしまったせいか、スラスター系統に異常が起き、落下している。
「そこだァァァァァァ!」
俺はその隙を見逃すまいと突撃、シールドやケーブルで拘束しながら地面に叩きつけた。そしてそのままだと逃げられるので、シールドについてるソードそして、腰のソードをさっきケーブルで作った輪っかに結びつけた物を地面に突き刺した。
「ハァハァハ……これでお前はもう動けまい。いい加減諦めやがれ」
敵ISは尚も抵抗している為、依然として気が抜けない。
「おい凰、武装隊はまだ着かねぇのか」
「そうね、まだ姿は見えないわ。それよりも私も拘束手伝うわ、万が一って事もあるし」
「そうか、助_」
かる。そう言おうとしたら、爆発が起きた。どこで? 敵ISからだ。
「ぐがぁ!」
「野上?!」
(なんだなんだなんだなんだ! 今度は一体なんなんだよ?!)
と俺は敵ISの方を見てすぐ確信した。地面はえぐれ、奴のでっかい腕に備え付けられている銃身から煙が出てる。つまり_
(こいつ……まさか、自分ごと地面を撃って抉ったのか?!)
いくら強靭なケーブルで拘束されようとも、それを支えているのは4本のショートソードだ。それが地面から離れてしまえば奴の高い出力なら容易く解けるだろう。
(クソ! しくった、こいつ中々に頭がキレやがる)
いや、そもそもIS学園なんて所に襲撃してくるような奴だ。相当の愚者か頭のネジが取れた天才のどっちかだ。そしてこいつはあろう事か、学園のセキュリティに一切引っかからずに襲撃を行った。つまりは後者で確定なんだよこんちくしょう!
俺はすぐさまショットガンとサブマシンガンを展開、発砲する。
だが、そんなの効かんとばかりに接近し、その大木ぐらいあるのではないかと思われる大きさの腕で殴られてしまう。
「野上! あんたよくも野上を!」
「ば! バカそんな特攻そいつに効くわけねぇ!」
俺の予想は正しかった。凰は感情的になり過ぎて隙が多く、容易く敵ISのビームによって撃ち落とされてしまった。
敵ISはそのまま俺に歩み寄ってきた。歩いているのは先程のスラスターの不調のせいであろう。
(くそっ体が動かねぇ、SEも残り僅か……ここまでか)
出てくるのはあの優しい人。
(いや? 良く持ったと思うよ俺は)
出てくるのはあの温かい人
(こっちはIS乗ってまだ1.2ヶ月、対してあっちは……分からねぇけど想像を絶するような訓練をしているだろう)
出てくるのあの暖かな風景
(そんな相手に1度は拘束したんだぜ? 上出来だろう)
出てくるのはあの優しい笑顔。
そこでやっとゴールドはある事に気づいた。自分がある事について悲しんでいる事に。それは死への恐怖とは違った。それは_
『野上君』
親しい人に会えなくなるという寂しさだった。
(もうあの人に会えないのか……せめて最後にまた、あの人のあの暖かな笑顔を見たかったんだけどな)
そこまで考えてるからうちに敵ISはすぐそこまで来ていた。そしてその腕が今振り下ろされんとしていた。
さようなら、山田先生……
そう心の中で呟いたその時、1つの銃声が鳴り響いた。その方向に顔を向けたゴールドは酷く"安堵し涙を流した"。依然として戦場である、この場で安堵したのだ。
なんたってそこには、彼の暖かな記憶の大半を占める"あの人"が居たからである。
「~~~山田先生!」
「助けに来ましたよ、野上君! 凰さん!」
そこで俺の意識は途絶えた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回めっちゃ頑張りました。それはもうめっちゃ!ゴールド君にとってはある事に気付かされる回になりましたね。いや〜……山田先生イケメン。
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