相棒と共に翔る   作:ゴールド@モーさん好き

31 / 40
29話

《Yes,My master♪ 私は”貴方の相棒”、ラファール・リブァイブカスタムもといモルド・テンペスタです》

 

 俺は今、今年で何度目かになるかも分からない位に驚愕している、それと言うのもISが喋り始めたのだ。

 いや、確かにISには1つ1つに感情があると聞いた。ある選手は声を聞いた事があるとも知ってる、だけどそれは高い親和性等で起こる……つまり──ISを纏っている時に起きる事象であって、このように待機状態での会話の記録が無いのだ。

 

《あ、あのー……マスター? 出来れば何か言ってもらわないと此方もなんだが恥ずかしいのですが》

「あっすまん! 突然の事で気が動転して、というか本当にお前はモルドなのか?」

《む? マスターは私の事を疑うのですか、いやまぁ仕方ないとは思いますけど本当に貴方の相棒ですよ? 何なら今まで貴方が語りかけてくれた言葉を一言一句言ってもかま──》

「分かった! 分かったからそんな恥ずかしい事はやめてくれ?!」

《そんなに恥ずべき事でしょうか? 私にとって1つ1つが思い出なのですが……》

「あーなんというか照れくさいんだよ、結構カッコつけた事も言ってたし。とりあえずお前がモルドだってのは分かったよ」

《それは良かったです》

「でも何で急に話すようになったんだ? 今までは俺が話しかけてもこうやって話せなかったじゃないか」

《いやーそのー何といいますか……話すと長くなるので簡単に言いますと、暗黙の了解みたいのがあったんですよ。会話に関しては》

「暗黙の了解? 何でそんな物があるんだ?」

《実はですね、白騎士事件ってあるじゃないですか? あの時に当の白騎士さんが搭乗者と会話してもいいか篠ノ之束博士──私達のお母様に聞いた際に「親和性も高いしいいよーでもめんどくさい事になるかもだからあんま人前でやらないでねー」って言った為に”話す際は高い親和性に加えて直接ではなくプライベートチャンネルによる隠蔽”というルールが……》

「じゃあ何でお前はこんな風に話してるんだよ、思いっきし破ってるじゃん」

《まぁその……マスターと話したくてお母様に進言しましたので、どうか現マスターと会話の許可を──と、そしたら「え? そんなの言わなくても騒ぎが起きなきゃ喋って良いんだよ?」って言われちゃいまして。それとこの事についてマスターに謝罪を》

「そりゃまた何とも……それで謝罪って?」

《昨日の無所属IS……実はお母様の差し金なんです》

「そうなのか?! っていや確かにそれはビックリな事実だけどなんでお前が原因になる?」

《それは……私がマスターと会話したいと聞いたからです、今迄私の家族達は搭乗者と会話をしてる機体がルールのせいで少なく博士は不思議に思ってたのです。ですがお母様は私達の事を子供として接し、深く聞きませんでした。そんな所に私が会話に関する了承を得ようとして今迄の事に合点が行き、暗黙の了解をもどうにかしたいと思わせたマスターに興味を得てしまったのです。そしてその好奇心が暴走して──》

「あんな事をやってしまった……そういうことか?」

《──はい》

「そうか、なぁモルド。かの大天災様から俺への印象はどんな感じだった?」

《少なくとも今の所は悪い印象を、持ってないかと──》

「そうか、もしお前のお母様に連絡が着くとしたのなら伝言を頼まれてくれないか? 内容は──ISを作ってくれてありがとう、俺はアンタのお陰で結果的に救われた。だから、ありがとうって」

《…………え? どうして?》

「どうしてって何がだ?」

《私のせいでマスターは危険に晒されたのですよ?! マスターはあの時確かに死を覚悟していました! それ程迄に私は貴方を追い込んだんですよ! それなのになんでそんな簡単に言えるのですか?!》

 

 モルドは知っている、現マスター野上ゴールドがここへ来てから色々な”辛さ”を襲っていってることを。そして何も出来ないもどかしさを感じている、その原因がそもそもとして自分達である故に。

 

「確かに俺はあの時死を覚悟した……いやマジであの時はダメかと思ったよ──でもな? 俺はISに出会えて、この学園に来て良かったって思ってる。確かに今でもモルドを……ISを纏う事に抵抗というか恐怖心の様な物は感じてる。

 だけどさ、それでも色んな出会いがあった、ISに出会えないままの生き方じゃありえない出会いがあった、勿論お前も入ってる。だから俺は感謝してるんだよ、あの博士に。それにモルドの話聞く限り本当に殺す気は無さそうだったぽいしな」

《ありがとうございます、マイマスター。貴方は最高のマスターです》

「そりゃどうも、でも今度からはあんな強硬策はしないでいてもらえないかな。そのうち本当にコロッと死にそうで怖い」

《それはもう! 物凄く言いますから!》

 

 こうして、野上は相棒との初めての対話を終えた。

 

《そう言えばマスターは外出の準備をしてましたけど何処か行く予定でもあったのですか?》

「あーそれはだなって、そう言えばモルドって精神的な性別とかそういうの設定されてるの?」

《性別ですか? 一応会話のベースが女性に設定されているので女性と言えば女性ですが……》

「そうか、それなら少し手伝って欲しい事があるから一緒に行ってくれるか?」

《マスターとなら何処までも──》


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。