相棒と共に翔る   作:ゴールド@モーさん好き

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38話 雷の舞と嵐の舞

 火薬が炸裂する音と共にギャオンッと大気を震わしながら疾走する純白の雷。

 

「ハッ! ……ハッ! …………ハーッ!」

 

 脳内回路が焼き切れんばかりにフル稼働させ続けた身体は、警報と言わんばかりに心臓を鳴らし、消火せんと汗を吹き出し、破裂させぬ為に口から灼熱の息を吐く。

 滑り落ちそうな剣を強く握り戻し、息を整え、強くイメージする。強く、鋭く、雷鳴の如き動きを。

 

「はーッ!」

 

 少年は、誰よりも早く翔け抜ける。

 

 ♢

 

 疲れきった一夏は己に鞭を打ち、ようやく自室のベッドへ体を放り投げた。体と共に意識がベッドへと吸い込まれる。

 

「くひゃ?!」

 

 そうやって落ち切る瞬間、背中に冷たい何かが降りてきて意識は叩き起された。

 

「な、なになに! なにごと?!」

「全く、熱が籠った体をそのままに寝たら明日がしんどくなるぞ。氷当てといてやるからそのままにしてろ」

「ち、千冬姉か、びっくりした……突然氷当てないでよ、びっくりするじゃんか」

「一応声はかけた、お前が寝るの早いだけだ。ついでに体ほぐしてやるが、どうする?」

「お願いします」

(部屋だといつもこうなんだけどなぁ……)

 

 一夏は千冬のマッサージを堪能しながら、公私での対応の違いに外でもこんくらい優しくして欲しいと思ってしまった。

 

「なぁ千冬姉、少しいいか?」

「なんだ」

「ISの必殺技ってよりかは〝型〟を作ってみたんだ。俺的にはかなり形に出来て、模擬用のダミー映像相手程度なら通用するくらいになったんだ」

「ほう、型と来たか。どうして作ろうと思ったんだ」

「俺の白式はどうしてもやれる事が限られる、相手が何か行動すればそれは更にグンッと縮まっちまう。そんな時焦って愚策に走ったらその時点で敗北濃厚だ。だから〝できる事リスト〟を自分で纏めて、その時々で求められる行動を選べれるようにしたいって思った」

「なるほど、それは良い心がけだな」

「でしょ? ソレで型ってのはソレの副産物、リストアップしてる時に、あっコレなら相手にこっちの優位性押し付けれるな! って思えたのがあったんだ。詳しい事は見せたいから、明日時間取れないかな?」

「明日か、明日ならちょうど時間がある。いいだろう、お前がどれだけ白式を理解し、扱えているか見せてみろ」

「うん、あり……がと……う」

「ん? 一夏?」

「すぅ…………すぅ…………」

「寝たか、最近はかなり疲れてる様子だったし無理もないか」

 

 そういうと千冬は氷袋をどけて毛布を被せ、数回頭を撫でたら自身も寝る準備を始めた。

 

 ♢

 

 翌日、演習場の観客席には私以外にも人影が一つ存在した。

 

「篠ノ之、ありがとう。織斑の……弟の特訓に付き合ってくれていたのだろう?」

「え、あ、はい」

(一夏から〝例の技〟を千冬さんに見せると聞いたから同席したが、急にお礼言われたら焦るから前置きください千冬さん)

 

「そもそもとして言い出したのは彼奴です、私はソレを手伝った迄です。言い出した理由も、他から感化された事でしょうしね」

「そうだな」

 

 私達は一緒に、何時もあのバカに振り回されてる苦労人を思い浮かべた。

 

「あ、出てきた」

「さて、態々私に見せたくなるほどの物だ。お手並み拝見といかせてもらう」

『千冬姉! ちゃんとそっから見えてるー?』

「あぁ見えているぞ、それと今は〝織斑先生〟だ!」

『うひぃ! はい!』

「全く、公私は分けろと何時もいってるだろうに」

「ですけど、今日はなんだか嬉しそうですよ? 織斑先生」

「…………大人はからかうもんじゃないぞ」

「ふふ、すいません」

 

 私は篠ノ之の頭をウリウリとしてやったら、一夏の方に視線を戻す。

 

 ♢

 

「さてっと、千冬姉が見てる手前ヘマはできねぇな」

 

 目の前には半透明のホログラムがラファール・リヴァイブを映し出す、そしてそのままライフルをこちらに向けて発射してくる。

 

「雷の舞」

 

 〝3度の爆発〟を経て敵ISに近づき、そのまま回転する。

 

「嵐の舞ッ!」

 

 手持ちの剣で、刃衣で、拳で、蹴りで、超近距離におけるインファイト。動けば当たるそんな距離にて、回避を行えるのは速さを制するこちらのみ。逃げすら許さぬ速さで〝舞い続ける〟。

 

 ♢

 

個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)だと……!」

 

 正直に言えば、彼奴のいう必殺技とやらに期待はしていなかった。ISを半年も触っていない奴の成果など、たかが知れている。

 だから今日は彼奴が少しでも上手くISを操縦できていれば満足だったのだが……

 

「ソレがあの技の本来の名前なんですか?」

「本来のって、知らずに身につけたのか? アレを」

「はい、元々白式は瞬発力と瞬間火力に全てを出し切った機体。改修によってソレらをさらにとがらせました、だから求められるべき行動は〝敵の攻撃には当たらず、こちらのみ攻撃する〟」

「つまりは、後の先」

「はい、ですので狙いを定めさせずに素早く接近するよう〝ジグザグに連続で瞬時加速を行う〟に行き着きました」

 

 篠ノ之が言っていることは理解できる、理解できるがソレを実現させるにはあまりにも早熟過ぎる。良くて瞬時加速(イグニッション・ブースト)を成功するか5分と5分なんて事だってあったろうに、それの発展技術をもう身につけているなんて。

 

「ISを使える時は分け目を振らずにこの練習のみを、使えない時はプールでポーズをとって、平時では瞬時加速を行っている人の動画をひたすら視聴して〝脳と体〟両方に叩きつける事に成功しました」

「そうか……」

 

 私との講習だって物凄く体力を消費しただろうに、下手をすれば野上よりも過酷な練習をめげずにやり続けたのか。

 

「今日は、沢山褒めてやらなきゃな……篠ノ之、晩飯を終えたら部屋に来い。そんな大きくはやらんがお祝い会をする、お前も付き合え」

「は、はい! ありがとうございます!」

「お礼はいい、あのバカに付き合い切ったんだ。お前も労わないとダメだろ?」

 

 さて、今日は久しぶりに気持ちよく酒に酔えそうだ。




はい!今日は明確な一夏強化でしたがどうでしょうか?
自分自身かなり盛ったとは思いますが、毎回特化練習に加えて何時も動画を見てイメージを蓄積し続けたのならいいやというガバい裁定の元GOしました。異論は認めます。
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