「ありゃ? シャル?」
「あ、ヴィー姉さんこんにちは」
何時もの様に食堂で昼飯を食べていると、同席しているシャルロットに誰かが話しかけて来た。短い金髪に頭からつま先までスラリとスリムの体はシャルロットとは対照的に思えるのにどことなく似ていると感じた。
「ココ、〝ボク〟も相席していい?」
「ワタシは勿論いいけど……みんないいかな?」
「よく知らないけどシャルの知り合いなんだろ? ならいいと思うぜ!」
「私も同意だ」
「ワタクシもです」
「以下同文」
「ははは、それじゃお言葉に甘えて」
そう言って彼女はトレーを起き、腰につくと自己紹介を始めた。
「ボクの名前はヴィナス・デュノア。気軽にヴィーとでも呼んでくれ、一応皆と同じ1年生だけどシャルのお姉さんやってます。以後お見知りおきを」
「一応って……まさか」
「あーやっぱり少しはこっちの方でも話題になってたのかなアレ……そう実は──」
「ヴィーお姉さんって頭悪くて留年したんすか?!」
俺は織斑の頭をコイツのスマホでひっぱたいた。ついでに言うと箒も織斑に思いっきり肘鉄をくらわせていた。
「話の腰をおるなこのアホ」
「そうだぞこのバカもの、明らかにそういうテンションじゃなかったであろう」
「いてて悪かったよ……っててめぇコレ俺のスマホじゃねぇか!?」
「すまない、硬い物が欲しい時にちょうど目の前に置いてあったからよく確認せずに使った。加減はしたから割れてないだろ?」
「加減したって事は分かってたって事だろうが」
「はて」
「こっっっっの……今日の訓練試合覚悟しとけよ、なます切りにしてやるからな」
「そうなる前にお前が蜂の巣だ」
「「…………」」
「ハイハイ、私も悪ノリが過ぎたからヴィナスさんの話の続きを聞くぞバカもの〝共〟」
「野上さん、織斑さんの事になるとみょーに子供っぽくなるというか、普段と比べて少し変になりやすいですわよね」
「ぐぬぬ、雑にニコイチ扱いしやがって」
「くっ」
悔しさを感じながらも俺達は黙り、ヴィナスさんの話を聞いた。
「んっんー、話を戻すけどボクは皆と同じく1年生だよ。シャルとは双子では無いけどね」
「え? 双子じゃないのに何で同じ学年に?」
「シンプルに言うと母親が違うの」
「え?!」
俺の質問に、ヴィナスさんはサラッと何ともないかのように爆弾発言を投下してきた。
「ボクが元々いわゆる正妻の娘で、シャルが不倫相手の娘だったわけ」
「そうなんだよねー、いやはやびっくり」
「聞いといてアレだけど大丈夫なんですか? その、家族との折り合いとか、気持ちとか……」
「え? あぁへーきへーき、どうせ親のゴタゴタだし」
「それにどうやらお父さんはしっかり制裁を貰ったらしいからねぇ」
「「「制裁?」」」
制裁、というものすごく不穏な言葉に皆聞き返す他なかった。
「そう!」
「当然私達が産まれる前の事だから又聞きの情報なんだけど、私とシャルの母さんが父さんに対して一緒に〝折檻〟したらしくてね」
「折檻って……」
俺は物騒でいてとても曖昧な言葉に乾いた笑いが出てしまった。
「まぁそんなこんなで母さん達はしっかりきっかり父さんに責任取らせてるって訳、一緒に暮らして今はまぁ事実婚状態……みたいな?」
「書類どうこうはしてないから私と私の母さんはシェアハウスしてるだけなんだけどね」
「色々とあったんですね……」
「っま、今は皆仲良く暮らしてるから良いんだけどねぇ」
「それよりもボクは野上くんにと〜っても興味あるなぁ」
「へ?」
「ウチのラファールを随分自分色に染め上げちゃってるじゃん?」
「あっそのえーっともしかして怒ってたり……?」
「いやそういうのは全く、ただ私はラファールのテスターでもあってね。どういう設計理念の元あのカスタムをしてるか気になったのよ」
「ほっ良かった……ん? ラファールのテスター?」
「そうっ! 私たち姉妹は2人とも専用機持ちの代表候補生なんだよ!」
「シャルが第3世代新技術のテスターで、ボクが第2世代の性能技術限界のテスター。デュノア社はISの技術が他より劣っていたからISの基礎チームと3世代の特化型チームの2つに別れて開発が始まったんだよ」
ふむ、それで同じ会社なのに2人の代表候補生が居るのか。
「これからは、妹共々仲良くしてくれたら嬉しいよ」
「はい、こちらこそ」