連邦軍人とフェイトくんの旅。   作:ばんどう

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phase5 vsアーリグリフ軍
フェイトくん修行編part3 ついに、手に入れました。


 死屍累々。

 その中で、フェイトはただ一人、立っている。

 

 ズバァアア!

 

「ガハッ!」

 

 飛び散る鮮血に、フェイトは思わず空気の塊を吐いた。

 ざざ、と地面を掻いて、踏みとどまる。

 

「ゴフッ……!」

 

 空気だけに納まらず、吐血した。

 それを右腕で拭って、フェイトはニヤリと、アレンを見やる。

 

「ぐ、ぅ……っ。……フッ、どうした? その刀を人に向ける為の特訓の筈だろう?」

 

 対峙する連邦軍人は、衝撃を受けたように目を見開いた。

 

「っ、!」

 

「お前の訓練の成果とは、そんなものか! ――今の一撃。僕じゃなかったら、問答無用で死んでたぞ」

 

「…………くっ!」

 

 フェイトの気迫に、思わずアレンは気圧された。

 その、一瞬の隙。

 フェイトは迷わず上段に剣を振り上げ、踏み込んだ。

 

「ぬぁああああっ!」

 

「破っ!」

 

 

 斬っ!

 

 油断なく――相変わらず、小憎いほどにちゃっかりと、抜刀術で答えるアレン。

 

「……全っ然だな」

 

 ぶしゅぅううっっっ、と、フェイトの腹から鮮血が、勢い良く抜けて行く。

 既に失血で膝が緩み、気を抜けば今にも倒れそうだった。

 しかし、彼は倒れない。

 

 ――この悪魔にだけは弱みは見せてはならない。

 

 彼は本能で、それを察しているのだ。

 

「くっ……! どうしても、どうしても……兼定の、この刀の可能性を、見たくなってしまう……! それではダメだと分かっているのに……! っっ、くっ!」

 

 刀を握り締めながら、歯痒そうにアレン。

 フェイトはそれを見据え、眉間にしわを寄せた。

 

「未熟者がぁっ! 以前、僕に言ったよな? 信念を貫きたければ、それに見合う実力を備えろと」

 

 ざ、とフェイトは前に出る。

 アレンは息を呑み、兼定を構えた。

 

「その刀を人に向ける。自分の言った言葉さえ達成できないとは、無様だな!」

 

「っ! ……フェイト……!」

 

「言っておくが、僕はお前なんかに負ける気はないぞ……。二度も三度も四度も五度も、負けてたまるかぁっっ! いい加減、僕の命も限界だぁあ!」

 

 フェイトは既に限界を超えた所にあった。

 血走った目が、本能的に構えられた剣が、彼の生存本能の現れである。

 

「ここいらでお前を倒しておかないとぉおおお! 命がいくつあっても足りないんだよォおおおお!」

 

「だからそれまでに、俺が兼定の使い方を覚えて見せる!」

 

「その前に僕等が死ぬわぁあああああ!」

 

「くっ……! 話し合いは平行線か……。ならば、行くぞ! フェイト!」

 

「来やがれ悪魔ぁあああ! 僕の(タマ)を取ってみろぉおおお!」

 

 

 

 ――今日も、修行は続くのである。

 

 

「全っっ然だなぁああ!」

 

「くそぉおおおお!」

 

 

「兄ちゃん達……実は仲良いだろ?」

 

(バカヤロッ! 話しかけるなっ!)

 

(今はタヌキ寝入りしときな! フェイトの犠牲を無駄にするんじゃないよ!)

 

(ゴメンよ……フェイト兄ちゃん)

 

 

「未熟者がぁあああああ!」

 

「俺は兼定を使いこなしてみせるっっ!」

 

 

 

 

 

 こうして、フェイトは『対兼定戦 GUTS発動率100%』スキルを手に入れた。

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