王国/心2某機関NO.2の姿で戦国BASARAにトリップさせられた女子の場合   作:藤 都斗

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なな

 

 

 

 その後、夕方ちょっと前に甲斐の城に着いたかと思ったら、そのままどっかの部屋に連行されました。

 一体全体どんだけキツイ薬使ったのか、全然身体が動かなかった。

 もしかするとそれに追加で、身体に疲れが溜まっていたのかもしれない。

 なんか気が付いたら思いっ切り寝てました。

 

 で、次に目が覚めたらなんかジャニーズ系に顔を覗き込まれてました。

 

 

 はぁ? 

 

 

 あー、これダメだ、寝起きでか知らんけど頭全然働かない。

 でもなんか言わんと不自然だろうから、と考えた俺は、とりあえず挨拶をする事にした。

 

 

「……オハヨウゴザイマス」

「……う、うむ。御早う御座候…………それで……体は大丈夫か?」

 

 少し心配そうなそんな問い掛けで、ちょっと身体を動かしてみた俺は、その行動から痺れが取れている事に気付く。

 なんの成分から出来てたのかは分からんが、どうやら身体に害は無く、無事に分解されたらしい。やったね。

 

「あぁ、大丈夫……みたいだな。うん。で、アンタ何?」

 

「おぉ、申し遅れた、某は真田源次郎幸村。お主を連れて来た佐助の上司でござる」

 

 ……あーうん。

 赤いし、ジャニーズ系でござる口調だしで薄々そうなんじゃないかと思ってたけど、ホントにそうだったよ。

 

「丁寧にどうも、俺は……」

「あぁ、佐助から聞いたぞ。……ライグ、であったな」

 

 名乗ろうかと思ったけど要らなかったらしい。

 まぁ良いけど。

 

「あぁ、俺はライグ。……で、真田源次郎幸村様が何で俺の顔覗き込んでんの?」

 

 ていうかいつまでその体勢なの? 起き上がれないんですけど。

 

「ライグ殿、某の事は幸村と呼んで構わぬぞ!」

 

「無視ですか」

 

 華麗なスルーである。

 いやキャラ的にスルーというより聞いてないんじゃないだろうかコレ。

 まぁ十中八九そうだろうけど、こんなんで大丈夫なんだろうかこの人。知らんけど。

 

「ところでライグ殿! 聞いても良いだろうか」

「何を?」

 

 起き上がりたいんだけどなー、とか適当に考えながら尋ねたら、

 

「ライグ殿は何処から来たのだ?」

 

 という、なんとも答え難い質問が降って来た。

 

 えーと、この場合なんて答えよう。

 

「あー……逆に聞くが……なんでそんな事を聞く?」

「ライグ殿は、名や服装からして日ノ本の国の者では無いのだろう? だからどのような国から来たのか、興味があるのだ!」

 

 ふむふむ成る程。

 

 どうしようかなコレ。

 

「……説明の前に俺……起きていい?」

「おぉ! これはすまぬ!」

 

 ようやく目の前からどいて貰えたので、やっとこさ起き上がる事が出来た。

 辺りを見回せば何故か外は明るくて、どうやら自分は一晩寝てしまったらしい事に気付く。

 

 相当疲れてたらしい俺。

 

 ふと視線を幸村に向かわせれば、続きを聞きたそうな小学生みたいに、ソワソワしながら正座して俺を見ているのに気付いた。

 心のある頃の自分なら“カワイイ! ”とか叫んでいる気がするが、今はそんな事思わないし、むしろ本当にどうでもいい。

 

 だがしかしこのまま待たせるのもアレなので、俺は自分の居た現代を振り返ってみる事にした。

 

「……どんな国か……か。……そうだな……まず、地面はアスファルトと呼ばれる物凄く固い土で固められている」

 

「あすふぁると、でござるか? ……しかし固めてどうするのだ?」

「固めると泥が跳ねたりせず、人や乗り物が走りやすくなる」

 

 めちゃくちゃ簡単な説明だが解りやすいので良しとしておこう。

 

「何と! では荷車や飛脚が躓いたりして横転する事が無いのか!」

「それでも、たまにはあるがな」

 

「そうなのか! それで、他には?」

「……そうだな……、戦が無い。……いや、戦に巻き込まれないが正しいか」

 

 一番の違いを言えば凄く不思議そうな顔をされた。

 

「……? よく解らぬのだが……」

「あー、俺の国は一度他の国にボロクソに負けてな。

 だからすげー長い時間を掛けて、二度と戦をしないと決めたんだよ。

 武器も持たず、どの国とも争わない代わりに、様々な物を作り出す、そんな感じの国だ」

 

 細かい所はあやふやだからよく解らないが確かこんな感じの歴史だった気がする。

 

「しかし……それではどうやって国を守るのだ?」

 

「……弱い者は、強い者に庇護を求める。

 つまり、どの国よりも強い国と同盟を組んで“この国を攻撃したらあの国が黙ってないぞ! ”と他の国に誇示して、変わりに高度な技術の発明とか、そういう物をあちこちに送り出し、世界にとって無くてはならない存在になる。そういう風に国を守っている」

 

「……お主の国は、……天下統一するという考えを持たぬのか?」

 

「昔は考えただろうな。でも一度ボロクソに負けたから、戦うのが嫌になったんじゃね?」

 

 これは半分以上個人的な考えだからあんまりアテにならんよ、とそんな風に付け足しながら布団を捲ると、ブーツ履いたまま布団に入ってたらしい事に気付いたのでとりあえず布団から出てすぐさま脱いだ。

 

 和室で土足はアカンよね。

 

「お主の国は勝つ事を諦めたのか」

「お陰で国は豊かになり、誰も飢えたりしない、負けと引き換えに平和を手に入れた。そんな国だよ?」

 

 心が無いから物事を冷静に判断出来る。

 故に、普段考えない事さえ普通に浮かんで来た。

 

 実は意外と頭良かったのかもしれない。

 身体のスペックだったら悲しいけど。

 

「お主は……それで良いと?」

「良いも何も、そこで生まれ育ちゃ、それが当たり前だ。それが日常だ」

 

 心が無いから何の感情も込める事も出来ないまま、ただ無表情で告げた。

 

「……そうか。では……ライグ殿は国が好きか?」

 

「嫌いじゃないが……、あの国は人を腑抜けさせるからな……微妙だ」

 

 眉を下げ、口元は上げる。

 いわゆる苦笑を浮かべて俺はそう答えた。

 

「微妙、でござるか……」

 

 幸村はなんだか複雑そうな顔で眉間に皺を寄せる。

 

 うん、女子が歯軋りして悔しがりそうな程の綺麗な顔面だ。

 心があったら半ギレしてたかもしれない。知らんけど。

 

「……こんなんで良かったか?」

「うむ、良い勉強になった」

 

 さいですか。

 やったね真田幸村、知識が増えたよ! 

 

「ライグ殿は……何故日ノ本に参られたのだ?」

 

「あぁ、俺の意思じゃねーよ。なんか気が付いたら神に連れて来られて今に至る。それだけだ」

 

「では……心が無いとは、真か?」

 

「あぁ。でなきゃ俺が壊れるかもって、神が持ってった。

 神が入るから精神が持たないかもしれないとか言われてな。

 まぁ生まれてこの方、人が殺される所とか死体の山とか

 そんなん見た事が無かったから好都合だったが」

 

 どんな表情が最適だったのか思い出せず、そのままの無表情で淡々と答える。

 

 今俺の中にあるのは、過去と今までの記憶だけだ。 

 

 それ意外は全て、神が抱えて眠っている。

 それを考えると少し妙な感覚がした気がした。

 

 それから視線を動かせば、布団の上に胡座を掻いて座る俺の隣に、何故か迷彩の忍び、佐助が居た。

 

 

 …………いや、なんでお前ここにいんの? 

 

 

 そっと幸村に視線を戻せば、なんか物凄い悲しそうな顔して俺を見ている。

 

 ん? 何? 憐れみ? え? 憐れに思われてるの俺。

 別に要らないんだけどなそんなもん。

 

「……すまぬ……、かける言葉が見付からぬ」

「気にするな。どうせ何も感じない」

 

 妙な奴だなぁ、くらいは考えるけど。

 

「それよりも……猿飛お前いつの間に?」

 

「実はずっと居たよ」

 

 また盗み聞きですか良い趣味してるね。

 いや良くないわ、個人的にも別に構いはしないけどやっぱり悪趣味だ。

 

「佐助! いつの間に!!」

 

 まって、戦国武将がなんで今まで気付いてなかったの真田幸村。

 

 そんなに真剣に話を聞いてたの? それとも相手が忍びだから? 

 すぐに暗殺されないかそれ、ホントに大丈夫? 

 

 実はこういう経済的な話はあんまり解らないんじゃないかと思ってたが意外とそうでは無いらしい事にビックリだよ、心無いからなんもしてないけど。

 

 意外、と言えば意外なんだろう。

 脳筋っぽく見えるのにね。

 

 でも忍びの気配には気付かないのね。

 なんか心配になるわー、いや、実際は全くならんけど。

 

「……ライグの旦那ってさ……、もしかしなくても突然巻き込まれただけ?」

 

 唐突に、意外と鋭い視点での問いが飛んで来た。

 

 忍だからこそなのかもしれんが、……まぁ良いや。

 

「まぁな。気が付いたらオッサンになっててさ、俺は本当にどうしようかと思った」

 

 そう言ったら二人ともから不思議そうに見詰められた。

 

 うん。真っ当な反応である。

 

「どういう意味?」

 

 忍びさんからの質問には、心があったらブチ切れそうな感じの、頭悪い人とか、可哀想な人を見るような、そんな感情が透けて見えた。

 

 この忍び酷くない? 

 

「そのままだよ、この……えーと日ノ本に来た時? 

 神が……なんか趣味とか言って、目が醒めた時には既に姿変えられてた」

 

 物凄い不審そうな顔である。

 どうでもいいけどアンタら男前なんだからそんな変な顔あんまりしない方が良いと思うの俺。

 

「あぁ……ちなみに、俺の本来の年齢は19だ」

 

 ……無言である。

 

 いや、なんか言えよ。

 てゆーか男前二人がオッサンを前にして(佐助は横だけど)妙な顔しててウケるー。

 

 そんなどうでもよすぎる事を考えながら、二人を観察する俺。

 特に何も感じないからどうでもいいんだが、なるほど、不審な顔と怪訝な顔はこんな違いがあるのか、と見比べていたら、不意に佐助からぽんと肩を叩かれた。

 

「……頑張れ」

「何を?」

 

 頑張りようが無くない? 何頑張れば良いのよ。

 憐れまれてるのは解ったけど、失礼くない? 失礼だよね? 

 

 とりあえず、記憶の中の自分ならこういう時どうするだろうか、と考えて眉間に皺でも寄せておいた。

 

「そんな顔しないでよライグの旦那! 心無いから平気な癖にィ」

「平気なんだがこういう時無表情だったら不自然だろ」

 

 そう断言したら、なんか納得した顔で成る程、と返って来た。

 阿呆だとでも思ってたのかこの忍びの人。

 

「そういえば、ライグの旦那の話聞いてて思ったんだけど……戦した事無かったの?」

「生まれてこの方、この数日間まで人を殺した事すら無かったな」

「じゃあ、なんでそんなに強いの?」

「神が勝手にこの無駄に強い体にしたんだよ」

 

 やはり淡々と答えて、それから俺は立ち上がった。

 

「聞きたい事はもう無いか?」

 

 何の抑揚も無しにそれだけを尋ねる。

 

「無いなら、俺はそろそろ次へ行かなきゃならん」

「ちょ……待ってよライグの旦那! 俺様はアンタを大将に会わせなきゃいけないんだ」

「そうでござるライグ殿、是非お館様に会って行かれよ!」

「そう言われても俺にだって行かなきゃならねー所があるの。

 お館様って甲斐の虎だろう? なら尚更俺は会っちゃいけねー」

 

「何故でござるか!?」

「自意識過剰かもしれんが……会って、そこで万が一、もしも気に入られたら俺は身動き取れなくなっちまうじゃねーか」

 

 それ以前に、あの人ならきっとこんな俺でも受け入れてくれる気がする。

 ゲームで見る限り、凄くいい人だった。

 

「甲斐の虎……武田信玄公がスゲー人だってのァ、アンタら二人を見れば解る。

 だから会って見てみたいとは思うが、どうせ会うなら心を取り戻してからにしたい……ように思う」

 

 曖昧になったのはやっぱり心が無いからだろう。

 

「……今会っても、何も感じない、何も思わない。それでお前ら嬉しいか?」

「……でもねライグの旦那。コレは俺様の仕事なんだよ」

「猿飛、お前たまには休んでもバチ当たらんと俺は考えるぜ」

「ライグの旦那、俺様が普段どの程度働いてるか知ってんの?」

 

 おっと危ない、誤魔化しとこう。

 

「知らんよ。でも忍って大変なんだろ? だからちょっと休めよ」

 

 のんびりと世間話するようにそう言って、流れるように武器を出し、そのまま佐助の両足を撃ち抜いた。

 

「佐助っ!?」

 

 幸村の焦った声が辺りに響く。

 

「……っ! ぐぅ……っ……っアンタ……それ心臓に悪いよ……卑怯だし……!」

 

「だから言ったろ。俺心無いって」

 

 そんな風に言いながら痛みを堪え、苛立ちに顔を歪めながら睨み付けて来る佐助を見下ろした。

 

「……悪いな。暫く療養すると良い」

 

 筋肉を狙ったから安静にしていれば完治する筈だ。

 だが動こうとした途端、クナイが飛んで来たので急いで避ける。

 

 流石黒い機関のNo.2の肉体という事か、予備動作も無く避ける事が出来た。

 

 なんつーか、凄い身体にして貰ったな本当に。

 

「ライグ殿! 何故だ!! 何故このような事を……!!」

「そうでもしないとソイツ休みそうに無いし。それに言ったろ。俺は行く所があんの」

 

 そうは言ったものの、実際行く所なんて何処にも無い。

 ただ、一つの所に留まっているのは何か違う気がした。

 

「……んじゃ。機会がありゃまた。一晩泊めてくれてサンキューな」

 

 戸惑いながら見据えて来る幸村を背にして武器を片手に纏め、もう片手にブーツを持って窓へ移動し、足を掛け、跳んだ。

 

 そのまま空中に立った俺に幸村が固まっていたが、特に気にはならなかったので、そのまま走り去ったのだった。

 

 

 

 

 

 

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